第7話「契約の再確認」
例の放映があってからここ数日、TVは里奈穂の話題で盛り上がってい
た。早速、記者たちは芸能プロダクションに押しかけ始めた。
たが記者たちが向かった先は今のプロダクションではなく、かって里奈
穂が清純派アイドルをやっていた時に所属していたところへ押しかけてい
た。
そこでは関係者たちが次々と「信じられない」「あんな無垢な子が」と
里奈穂の変わりように戸惑うコメントばかり帰ってきた。
そう、ワイドショー的には実にいいコメントばかりが返ってきて、どこ
も盛り上がっていた。
当然、今のプロダクションの方にも記者がそれなりに殺到していた。
だが、あの「はちゃヤリ」メンバーを多くかかえている芸能プロダクシ
ョンの為、この様な対応には完全に慣れていた。
そう、毎度いろんな事で責められる芸能プロダクションだから、どこの
記者が来てもノーコメントを貫いており、一切のコメントを出すことはな
かった。
そして、当の里奈穂はプロダクション側で用意した車で記者たちに見つ
からないようにプロダクションに向かっていた。
どうやら、契約についての話しがあるという事で呼び出しを受けたので
あった。
里奈穂を乗せた車が人の目を避けてプロダクションに着き、自分を呼ん
だ社長の所へ向うと、もう既に社長が社長室の前で待っていた。
「おはようございます」
「おおっ。里奈穂くん。よく来てくれた。とりあえず部屋に入りたまえ」
「は・はい..」里奈穂はそのまま社長室の中に入っていく。
「今回の件、大騒ぎになってすまんかったね」
「いえ...私もある程度は覚悟してたので..」
「そうか..君がそう言ってくれると私も安心だよ」
「..あの、ところで今日はなんか契約の件で話があるとか..」
「あっ。そうだ。今回は契約の再確認をしてもらうので呼んだのだよ..」
ドキッ。「再確認..あの規約の事ですか...」
そう、その規約とは里奈穂に関してのとんでもない規約...
考えてみると、まだ補欠レギュラーとして契約をしただけでそれ以降の
契約はしていなかった。
「あの..今後の正式な契約の件でしょうか?」
「正式な契約だが..今回、それは後回しにしよう」
「はい?」
「まだ補欠レギュラーとしての収録も撮り終わってないしね」
「はあ....」
「今回は次の補欠レギュラーとしての収録契約の再確認をしてもらいたい
んだ」
「補欠レギュラーの?」
「ああ、今回補欠レギュラー用に規約も少し具体的にしたから君に確認し
てもらいたいんだよ」
「具体的ですか?」
「ああ、説明するより見た方が早いだろ」
社長は里奈穂に修正した契約内容書を渡した。
里奈穂はその内容に目を通すと、前回同様に大声を出して驚いた。
「!!ちょ・ちょっとこれはどういう事なんですか?」
「うーん。書いてある通りだけどだめかね?」
社長は平然として里奈穂に答えてきた。
そこには「補欠レギュラー」での里奈穂に関しての具体的な規約が書い
ており内容を簡単に説明すると以下の感じであった。
1.私、里奈穂は次の収録で必ずおっぱいを出す事を承諾します。
2.モザイクで処理してもらえれば、おま●こを映しても構いません。
3.プロデューサーや番組からの追加注文はどんな恥ずかしい事でも承
諾します。
そう、これでは自分の全裸披露をお願いするようなものであった。
「こ・こんな馬鹿な契約を私にしろと言うの!!ふざけないでよっ!」
「おいおい、そんなに怒ることじゃないだろ?」
「これを怒らない馬鹿はいないわ!!私はお色気タレントじゃないのよ!
いや、これじゃAV女優だわっ」
里奈穂は顔を真っ赤にして怒ってきた。これはあまりにもひどすぎる契
約であり、自分を馬鹿にしているかの様に思ったからである。
だが、そんなひどい契約書を出した社長は平然としており、落ち着いた
口調で里奈穂に話し掛けてきた。
「確かに君はお色気タレントじゃない..だがこの番組がどんな番組かは
もう承知しているだろ」
「そ・それは前回、出ましたのでわかってます...かなり下品でした」
「そうだ!この番組ははっきり言って下品な番組だ。だから君も前回、か
なりの破廉恥な事をされたんだろ?」
「それは承知してます..だからあの収録について今さら文句言うつもり
はありませんっ」
「よろしい。じゃあ今後の展開は予想できるはずだね?」
ドキッ!!「・・・・・そ・それは...」
「前回は確かあともう少しで君は胸を出されたはずだったが?」
「は・はい...」
「と言う事は君は胸を出す事も認めていたんじゃないのか?次の収録で出
してもいいと言ってなかったか」
「た・確かに言いました..いいコーナーにしてくれるなら..胸は見せ
ても構いません..で、でも..」
「つまり契約したら、いざと言うときに断れないからってことかね?」
「そういうつもりじゃ、ありません..約束は守ります」
「それじゃ、契約をすることに問題ないんじゃないかね。確か、前回の収
録でも下半身が晒されても画像処理してくれればいいと聞いたが..それ
はモザイクのことじゃないかね」
「そ・それはその..」
「・・・やはり君は断るつもりがあるってことだね?まあ、逃げ道を作っ
ておいたとしても私は責めるつもりはないがな」
「いえ..断るつもりはありません」
里奈穂は社長の問いに困惑していった。社長の言ってる事は正しい..
予告もした以上、胸を出す羽目になっても仕方のない事なのだが...
ただ、こう契約書ではっきりと書かれると迷いが生じてしまう。
もうどう答えていいかわからなかったのであった。
そんな里奈穂とは対照的に全く動じない社長が柔らかい口調で里奈穂に
話し掛けていく。
「里奈穂くん。君は何か勘違いしていないだろうか?」
「はい?勘違いって?」
「一つ言っとくがこの契約をどうしても承諾してくれとは言ってないし、
強要するつもりもないんだよ」
「えっ...」
「前回も言ったが、これは強要してやらせることじゃないと思っている!
君はこれを断るのは自由だし、断っても一切の文句は言わないよ」
「!あっ..そうですよね...」
「嫌なら、この契約書を破いてくれたまえ。次は君が納得できる過激じゃ
ないものを用意しよう」
「破いてもいいって..でも破いたら」
「そうだな。この前の予告も白紙にしておこう。嫌がる君を辱しめるわけ
にはいかないからな。要はこれを出した目的は君にもう1回確認したいか
らなんだ」
「確認ですか..」
「この前も言ったが後で大声で泣かれて騒がれでもしたら大変なんだよ」
「・・・・・・」
「何度も言うが君が嫌なら自由に断わっていい。私はそれについて文句を
言うつもりもない。それは約束しよう!」
そう、社長は何と里奈穂に全ての選択権を渡してしまったのであった。
もちろん、里奈穂がこの契約を承諾すれば...もう後には引けなくな
ってしまう。
里奈穂はいろいろ考えた。そう断るのは簡単な事だと..
(そうよ!!こんな事やるなんて馬鹿よ!!断るのよ!!)
「さあ、どうするのかい?」
「あ・あの...もう少しだけ時間を...」
(!!なっ?何で断わらないの?)
「そうだな。じゃあ正式な返事は2日後で構わんよ。それでいいかね?」
「は・はい。明後日に必ず返事をします」
「それじゃ、今日はこれで帰ってもらうことになるが、せっかく来てもら
ったんだ。今度はプロデューサーに君の覚悟を知ってもらっていいかね?」
「えっ?プロデューサーに..どういうことですか」
「今日これから1時間後にプロデューサーが番組の打ち合わせで来ること
になっていてね。どうせなら君がここまでなら平気ですというとこを彼に
も見せて欲しいんだよ」
「また水着を選んで着るってことですね..」
「いや、今度は全て君に任せることにした。まあ、私は何も言うつもりは
ないし、君が思う覚悟を見せてくれないか」
「そ・それって..私に脱げと..」
社長のとんでもない提案に里奈穂は焦りはじめた。
どう考えても、この覚悟とはどこまで服を脱げるかということに間違い
ないからだ。
「里奈穂くん、別に私は君に服を脱げとは言ってない。まあ、この前の覚
悟が水着だったから、そう思うのも当然だが言葉で君の覚悟を見せてもい
いんだ。プロデューサーに何を話したらいいか、考える時間をもらったと
思えばいい」
「そ・そういうことでしたら..ちゃんと考えます。あ・あの、本当に服
は脱がなくていいんですんね?」
「ああ、君が脱ぐ必要はないよ。話す内容を考えてくれればOKだよ」
「・・・わ・わかりました。プロデューサーが来るまでに考えておきます」
「じゃあ頼んだよ。君が集中できるように、この部屋から出ることにしよ
う。プロデューサーが来るまで誰も入れないようにするから、しっかり考
えておいてくれ」
「はい、ありがとうございます。私の覚悟が分かるような内容を考えます
ので」
「それじゃ、私は部屋を出ることにしよう。1時間後にプロデューサーと
ここに来ることにしよう」
そういって、社長は前回同様、里奈穂を1人残して部屋を出て行った。
「ば・バカにしてるわっ!結局脱げってことを言ってるようなものでしょ」
部屋の中で1人だけとなった里奈穂が社長の振る舞いに対し、少し怒り
をあらわにした。
(絶対!脱いでたまるものですか。ちゃんと口で分かる様な内容を考えて
やるんだから)
脱ぐつもりはない里奈穂は机にあったメモに自分の覚悟が分かるような
内容を文章にして書いていった。
(ぁぁ..それにしても私、かなり変なこと言ってしまったわ。社長だっ
て何度も私を脱がせて覚悟を見せろって言ってくるわけないよね)
自分から恥ずかしいことを言ってしまったことに里奈穂の顔が真っ赤に
なる。けれど、あの流れからすると覚悟とは脱ぐのが一番分かりやすいと
思ったからだ。
(そうよね..伝えるより見たほうが早いよね..けど、やっぱり服を脱
ぐなんて出来ない..)
正直、服を脱ごうという愚かな選択肢も頭に浮かんでしまうが、けど社
長も脱ぐ必要がないと言った以上、ここは言葉で説明するしかないと里奈
穂は思った。
「そ、そうよ!脱いだら負けよ。私、こう見えても言葉で説明するのも得
意なんだからっ」
実は里奈穂は説明するのは上手い方であり、スラスラと自分の覚悟を文
章でまとめることが出来た。
「よし、出来たわ。これなら私の覚悟もプロデューサーに納得してもらえ
るわ。まだ時間もあるし、もっと見直していい内容にしなくちゃ!」
残り時間を使って文章の見直しを始めた里奈穂だが、内容が良くなれば
なるほど、何かが足りないような気がしてならなくなってきた。
(いい内容だと思うけど..本当にこれが私の覚悟なの?)
「・・・わ、私まだ..清純派アイドルとしてのプライドが残ってるの?も
うあんな窮屈な立場は嫌なのに..」
ちょっとしたふざけたことも決して認めてもらえない、間違って変なこ
とを言ってしまったら後から全て編集されてしまう清純派アイドルだった
頃の自分。今回のような覚悟なんて天地が引っくり返っても要求されるこ
とはないだろう。
里奈穂は机の上に置いてあった契約書を再び手に取った。
すると、何か目からウロコが落ちるような、今の自分はもう清純派アイ
ドルじゃないんだと言うことを思い知った。
契約にはおっぱいを出せと、おま●こを見せろと堂々と要求してくる。
プロデューサーや番組の方が絶対なんだと示してくる契約書。
これが里奈穂にとっては何か心地いい。清純派アイドルの立場を失えば
自分の扱いはこんなものだろう。
「・・・や、やっぱり、ある程度脱がなくちゃダメだわっ」
覚悟を見せろと言うのなら、せめて下着姿ぐらいにならないといけない。
さすがに裸になるのは勘弁してもらうが、これからはそれぐらいしなく
ちゃいけないと感じた。
里奈穂はあの破廉恥な契約にそこまでの意味を読み取ったようだ。
「・・・私はもう、清純派アイドルじゃないんだから..番組が私に求める
なら、裸ぐらい..」
ビクンッ!ヒクヒクッ..(ああぁ..今すごい快感が?)
今の里奈穂の立場から考えると番組の方が絶対だ。こんな破廉恥な契約
も受け入れなくちゃいけないことに何か嬉しさが湧いてきた。
そう思うと、破廉恥な契約内容にも怒りが起こらなくなった。
「下着までなら..下着までならいいわ..」
里奈穂の手が服にかかり、まずは上着を脱ぎ始めた。上がブラだけにな
ると今度はスカートのホックも外してきた。
大胆にも下着姿でプロデューサーが来るのを待つことにした里奈穂。
だが、こんな姿を本当に見せていいのだろうか?もう、すでにプロデュ
ーサーがプロダクションに着き、社長の案内で里奈穂が居る部屋へ向かっ
ていた。
こちらの方も里奈穂がある程度脱ぐことを予想していたらしい。
「社長、里奈穂ちゃんが覚悟を見せる言いましたが、まさか服でも脱がす
つもりじゃないでしょうね?」
「いや、私もそこまで要求しないよ。ただ本人が自発的に脱いでしまった
のなら、それは仕方ないと思うんだがね〜」
「自発的って..そういう風にしたんじゃないんですか?」
「いやいや、私はそんな悪いことしてないよ」
(まあ、でも彼女は脱ぐだろうな。前回も自分から透明の水着を着たぐら
いだ。私が本当に求めてるものが何なのか分かるはずだ)
やはり社長は最初から里奈穂に服を脱いでもらうことを期待しており、
ショーツ一枚だけの姿まで脱いでくれれば最高だと思っていた。
「社長..やっぱ服を脱ぐように仕向けてますね。目を見れば分かります
よ」
ぎくっ「いやぁ〜、参ったね。まあ裸にはしないつもりだから、精々下
着姿ぐらいまでだから」
「そうですね。まあどうせ、社長はパンイチまで望んでますが僕としては
下着姿だけで相当な覚悟だと思いますよ」
「そうだな。もし彼女が服を1枚でも脱いでいたら覚悟があると認めよう」
「ええ、もちろん」
社長とプロデューサーは里奈穂がどこまで覚悟の脱衣をするかを期待し
て、里奈穂がいる部屋のノックをした。
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