最終話「転嫁は回り持ち」


 さてはて、前回のつづきとなったので引き続き私、壱郷が解説をすすめ るのですが、ここで簡単なストーリーのおさらいをしましょう。    私、壱郷の母校の中学で起きた連続生徒不明事件を追う新聞部の木戸さ んが私が残したカードを発見し、手にすることになりました。  けれど、そのカードを手にしてから校内では次々と奇怪な事件が起こり 始めてしまった。  そんな時に同じカードを持った友人の阿木山さんがカードの説明をして くれました。  これは正義のヒーロー変身カードであり、これを残したのは私、壱郷で 全部で13枚残したという。  そして全ての正義のヒーローを倒したときに真のヒーローが生まれると いうのだ。  こうして正義のヒーローたちの悲しい闘いが始まったのです。 【壱郷】「これぞ、闘わなければ真の勇者が生まれない私の理論です」 【柔紀】「って言うか..何で正義のヒーロー同士が闘わなければいけな いのよ..」 【美紗里】「ちょっと待ってよ。それなら、今ここにいる木戸さんと阿木 山さんもお互い戦わなければいけないんじゃない?」 【木戸】「いや..正義のヒーローに変身なんて..正直、恥ずかしくて 出来なかったので」 【阿木山】「カードは預かってるけど..とても壱郷先輩のカードを使う 勇気がなくて..」 【凛】「その気持ち、よく分かるな。私が同じ立場なら怪しくて使う気が しないな..」 【壱郷】「何てことでしょう..これでは真の勇者が生まれないかも知れ ません。先輩として悲しいです」 【柔紀】「生まれなくていい!ところで今日はその変なカードで相談にき たのよね?」 【木戸】「はい..先輩のカードを使ってしまった奴らが私たちのことを 追ってきているので伝説の5人組のお力を借りにきたのです」 【凛】「そういうわけか..仕方ない、久々に暴れるとするか!なぁ?」 【蘭】「いや、それは凛に任せたっ!私には廊下のお菓子が待っているの だぁぁー」 【凛】「おい?蘭、そんな無責任な..」 【蘭】「お菓子〜お菓子ぃ〜。先生、お菓子片付けてきま〜す」 【柔紀】「ああ、校舎をめちゃくちゃにされても困るからね。お菓子の方 は頼んだわ」「はぁ〜い。お菓子ぃ〜おかしだよぉ〜」 【凛】「・・・見損なったよ」 【美紗里】「そこまで言わなくても..大体、壱郷さんが巻いた種なんだ から、ここは張本人に頼んだ方がいいわ」 【壱郷】「それも一理ありますね。でも後のことを考えないで作りました ので私でも止められません」 【沙智菜】「すごく無責任な..」 【柔紀】「まあ、あまり深く考えるのもやめたほうがいいわね。本当にカ ードを使う奴がくるとも限らないし」  ピンポンパン〜♪<緊急校内放送です。どうやら、この学校に刑務所か ら脱獄した凶悪な脱獄囚が入り込んだようです。刑事さんが追っています が注意してください> 【凛】「・・・脱獄囚って、何か嫌な展開だな」 【壱郷】「ネタバレですが、おそらく追ってきた刑事もかなり怪しいと思 います」  ピンポンパン〜♪<緊急校内放送です。刑事さんと一緒に敏腕弁護士と 犯人の居場所を探るために占い師も校内に入ったようです> 【美紗里】「何で占い師がやってくるのよ..」 【壱郷】「気をつけてください。どうやら弁護士の方は重火器を持って校 内に入ってきたようです」 【柔紀】「ものすごく、とんでもない展開になってきてない?壱郷さんっ、 何とかしなさい」 【壱郷】「わかりましたっ!木戸さん、阿木山さん。今こそ変身する時だ と思います」 【木戸】「嫌ですっ」【阿木山】「右に同じですっ」 【壱郷】「仕方ないですね。もしもの時の強制変身装置を発動させる時が きたようです..」 【柔紀】「みんな、壱郷さんを取り押さえなさいっ」 【壱郷】「何をするんですか..まさかすでに魔の手がこの4組に..」 【美紗里】「来るわけないでしょ!これ以上、変な展開にさせないだけよ」  バリィィィィーーーンンンッ!「!今の音は何なの」 【沙智菜】「窓ガラスの割れる音だわっ」 【悠子】「!占い師の格好をした人が思い切り地面に叩きつけられて転が っていってるわっ!」  バリィィィーーーンンッ!「!またガラスが割れる音が?」 【凛】「重火器をもった奴が重火器ごと地面に叩きつけられてるぞ..」  ドカァァァァーーンッ!「・・・今度は校舎の壁が砕けて飛んでるけど」 【柔紀】「刑事っぽいのが地面に叩きつけられたわね..」 【壱郷】「きっと真の勇者の選別が始まったのです..」 【美紗里】「そうだとすると残ったのは脱獄囚じゃないの..一番残って もらいたくないのが残ったような..」  ドカァァーーンッ!「・・・また校舎の壁が砕けたわ」 【沙智菜】「囚人っぽい人が地面に叩きつけられてるけど..」 【木戸】「うそ..一騎当千のような奴らがあっという間に..」 【阿木山】「もしかして..生徒会長の鷹見澤が..」  ガラッ!「僕のことを呼んだかい。木戸くん、阿木山くん」 【壱郷】「いきなりの大ボス出現ですね。これはドキドキハラハラの展開 ですよ」 【凛】「ちょっと待て。何か様子が変じゃないか?」 【鷹見澤】「!そ・そうか..奴らを倒したのは壱郷先輩の仕業かっ!」 【壱郷】「私ですか?残念ですが、この通り身動きが取れない状態なので アリバイが成立してると思います」 【柔紀】「よく分からないけど、壱郷さんでも誰でもいいからこの事態を さっさと収拾しなさい。もうすぐ授業なんだから」 【美紗里】「そんな呑気な状況じゃないと思いますが..」 【沙智菜】「何か..めちゃくちゃ強そうな雰囲気を出してるよぉぉ〜」 【凛】「・・・そろそろ、あたしの出番ってとこか..」  ダダダッ!ドカァァァーー!ガシャァァーーン!バリバリーン!  誰かが思い切り走ってきて4組のドアにぶつかり、そのままドアをぶち 破って教室の中に転がって入ってきた。 【蘭】「いたた..久々に教室のドア壊しちゃったな..」 【美紗里】「蘭っ!何、ドアを壊して入ってきたのよ」 【沙智菜】「でも美紗里..鷹見澤って人がドアと一緒に教室の窓から飛 ばされていったようだけど..」 【蘭】「あちゃぁ〜、誰か飛ばしちゃった?まずかったかな〜」 【凛】「・・・蘭、お菓子は美味しかったか?」 【蘭】「お菓子?ああ、すごく美味しかったよぉ〜、満腹まんぷくだよぉ〜」 【凛】「そうか..身体中、すり傷や切り傷がいっぱいだが..よほど危 険なお菓子だったようだな..くすっ」 【蘭】「・・・いいだろっ別に。お菓子食べながら..その運動してただ けだよ..」 【内川】「はぁはぁはぁ..久々に我を忘れて走ってしまったわ..とこ ろで廊下の邪魔なお菓子、さっさと片付けなさいよっ!」 【取り巻き】「そうですよ。内川さまの言うとおり、さっさと食べてきな さいよっ」 【沙智菜】「蘭ちゃん?今までお菓子食べてたんじゃ..」 【蘭】「す・少しだけ残っただけだよ。あとで食べる分を残しただけさ」 【柔紀】「・・・まあ、そういうことなら目をつぶろう。さあ、授業を始 めるわよっ」 【凛】「・・・蘭、素直に言えばいいじゃないか。せっかくのいいとこを 見せるとこなのに..」 【蘭】「私は..伝説になりたくてやったわけじゃない..ただ悪い奴が 許さなかっただけさ..」  ザァァァァァァ〜〜〜、ゴォォォォォ〜〜・・・ 【壱郷】「先生..突然の大雨と嵐がきたようです..」 【蘭】「おいっ!何だそりゃ!」 【凛】「天気も驚くことをしたんだろ..」 【柔紀】「さあ、オチもついたとこだし、授業を再開するわよ〜」 【美紗里】「いいのかしら..そんな解釈で..」 【沙智菜】「変身されることを思うとマシだったかも..」 【木戸】じぃぃぃーーん「か・感動しましたぁぁ!やっぱり本当の噂どお りの伝説の人だったんですねぇぇ〜。私、希望を持てましたっ!」 【美紗里】「希望を持てた?何か台詞が変じゃない?」 【阿木山】「実は私たち..頭がちょっとアレなんですが、先輩を見て確 信しました。頭の良し悪しに関係なく頑張ればここまでなれるんですね」 【凛】ずっ!「いや..そういうことじゃないと思うが..」  ともかく、これで決着がついたと思いますが真の結末はみなさんの投票 によって「戦い続ける」か「止める」かの選択肢を用意しましょう。 【柔紀】「いいや、投票するまでもなく終わりよ。おわりっ!」  というわけで終わってしまいました。残念なので走ってきます。  では再び昼休みの職員室からズームインッ(古)!! 【柔紀】「というわけで何とか決着がつきました」 【堂華】「なるほどね。さすが伝説の5人組の中心人物は伊達じゃなかっ たようね。やる時はやるってことね」 【柔紀】「まあ、いくつかの窓ガラスと壁の幾つかは粉々になりましたが」 【堂華】「それぐらいは大目に見ましょう。だいたい、学園三大美女と呼 ばれた知能あふれる美人生徒会長のときは、もっと校内の破損がひどかっ たんだし。凸凹3人トリオ娘の破壊ぶりはすごかったわ〜」 【柔紀】「・・・そう呼ばれてもいいのですが..そこまで堂々と自分で 言って顔が赤くならないのですか..」 【堂華】「別にぃ〜。本当のことだったものぉ〜♪」 【校長】ぼそっ「今でも机の修繕費を出し続ける教師もいるがな〜」  その直後、校長の頭上に空いてる机が次々と飛んできたのは言うまでも ないだろう。 【2組担任】「・・・堂華先生..ぼくの机は目の前で消えたのですが..」 【堂華】「あらっ?そうみたいね〜。よく飛ぶ机ね〜」 【柔紀】「・・・・・」(本人が座っていても飛ばすんだ..) 【2組担任】「まあ、ぼくは構いませんが..それよりも昔の破壊ぶりは もっとすごかったみたいですね。特に伝説の泥酔暴力生徒会長は悪酔いす ると教師の車も投げ飛ばす化け物だったようですし」 【柔紀】「・・・・・」(何で、この人もそういうことを本人の前で)  ぶんっ!2組担任が職員室の窓から空中を飛んでいったのは言うまでも ないだろう。 【堂華】「あらっ?お行儀悪い教師ね〜。急いでるからって窓から出てい かなくてもいいのに〜」 【柔紀】「いや..意外とここ高いですが..」(大丈夫なのかな..) 【堂華】「それは心配無用よ〜。彼は長年の修行で高いところから飛び下 りても、猫のように無事な着地をするから〜」 【柔紀】「そ・そうなんですか..」(何回飛ばしたんだろ..) 【堂華】「ところで女子中学生たちは帰ったの?」 【柔紀】「はい。伝説の5人組に会えて満足して帰りましたよ」 【堂華】「しかし、かっての伝説の5人組も4組の中では普通に見えちゃ うから考えるとすごいわね」 【柔紀】「そうですね。まさか、あの2人が伝説の5人組だったなんて.. あれっ?えっと何か今、違和感を..」 【堂華】「違和感?何か気になったことがあったの?」 【柔紀】「確か..以前話したとき、私のクラスにいる伝説の5人組の数 は3人って言ってませんでしたか?」 【堂華】「ええ、そうよ。3人よ」 【柔紀】「あの..1人足りないんですが..あの2人はよく一緒に行動し てるのですが3人目が思い当たらないんですが..」 【堂華】「まだ知らなかったの?ほら、私たちの学生時にあった学校7不 思議”自動修復校舎のなぞ”のアレよ」 【柔紀】「いくら校舎を壊しても翌日には綺麗に修繕されてる謎のことで すよね?でもあれって腕利きの修復屋がいたせいですよね?ものすごく身 なりが怪しかった全身鎧のおじさんでしたよね」 【堂華】「ええ、卓越した修復技術を持ち、口癖は錬成してるように思わ れるほどの修復技術をもつ子供を育てるって言ってて、確か自分の子供に 願いをこめて錬の字を名前に入れたと聞くわ」 【柔紀】「それって、波賀野 錬菜(はがの れんな)さんのことですね。 そっか、全身鎧マンの娘だったのね..」 【堂華】「そう、何でもすぐに直す全身鎧マンの娘が伝説の5人組の1人 で、父親譲りの修復技術で今では波賀野さんが校内を修繕してるようよ」 【柔紀】「よく考えたら、教室の扉がいつも翌日には直ってたわね.. そうか、波賀野さんがこっそり直していたのね」 【堂華】「というわけで、こうやって飛んでいった机もこんな風に直って しまうのよ〜」 【柔紀】「・・・うそっ、もう直ってる..いつの間に来てたのよ?」 【堂華】「もう、かっての鎧マンを超えてるかも知れないわね」 【柔紀】「そうですね。まるで童話の小人さんみたい..」  ピキィィィィィィーーーーーンンンッ! 【柔紀】「?今のぴきぃんな音は何?小人さん?」 【堂華】「ちょ・ちょっと柔紀ちゃんっ!そのキーワードはダメェ〜」  職員室のどこからともなく重低音の声が響いてくる。 【??】「チビって言ったなぁぁぁ〜誰がウルトラのどちびだぁぁぁぁっ!」 【堂華】「今のは言葉のあやよ。波賀野さん、落ち着いてぇぇぇーー」  どうやら、さっきの音は校内を修復していた波賀野さんがぶち切れた音 だったのようだ。 【柔紀】「もしかして..何かヤバイ感じ?」 【錬菜】「チビっていうとぉ〜、どうなるか見せてやるわぁぁ〜」  パァァァァーーンンッ!  波賀野さんがパァーンという大きなかしわ手を打ってくると、職員室に あるいろんな物が勝手に動き出したり、2組担任や校長が椅子の仕掛けに よりバシュバシュという音を立てて飛ばされた。 【錬菜】「これぞ暴挙保護者退散システム、モンスターペアレントバスタ ーシステム作動ぉぉぉーーー」 【柔紀】「これはやりすぎよぉぉーー。校長が縦横無尽に飛んでいるじゃ ないぃ〜」 【堂華】「っていうかピンボールの玉みたい..はじく音まで出てるから エキサイティングかも」 【2組担任】「あのぉぉ〜、僕も飛ばされていますがぁぁ〜」 【堂華】「それはいいんじゃない?」 【柔紀】(いや..よくない気もするけど..)  次々と職員室から先生が出て行き、中の方は台風でも乗り込んだように いろんなものが破壊されていく。 【堂華】「まあ、こうなったら仕方ないわね。しばらく様子見しましょ」  そう言って物や校長が飛び交う中で、柔紀先生にお茶を入れる堂華先生。 【柔紀】「・・・そうですね。あとで直してくれるんならいいかっ」  職員室が壊滅的状態になる中でのん気にお茶をすすって世間話をする2人 であった。  ちなみに壊れた職員室は翌日にはちゃんと全て元の状態に戻っていた。 【壱郷】「唐突ですが、この話をもって終了となりました。マジです。本 気と書いてマジなのです..」 【柔紀】「!ちょっと、何なのよっ!全然、最終話らしくないでしょ!こ れじゃ打ち切りみたいなもんでしょ」 【壱郷】「はい、そうです。ただ強い続編要望があれば新・うららかとし て私が主人公として復活するでしょう」 【沙智菜】「あの..一応、私が主人公なのですが..」 【壱郷】「ともかく、これで完結です。またの会う日をお待ちしてます」 【美紗里】「・・・いいのかな..こんな終わり方で」 <おわり>


【人物紹介】J
来崎 凛(らいざき りん)出席番号:22
 超帯電体質の持ち主。身体から発する静電気は電気ショックに近いもの
がある。正義感が強いことから風紀委員をやっている。
 天才ヴァイオリストとしての一面も持っており、美声でもあることから
音楽に関しては誰にも負けないとこがある。
 ただ洋服センスが最悪であり、娯楽アクションや西部劇もの好きから堂
々とカウボーイハットを被り、バイオリンを背に担いだ上でマフラーをな
びかせて街中を歩いている。
 過去、何回か落雷に直撃したことから帯電体質が悪化し、電気を浴びる
ことが癖になっている。目立つおでこが電気で光るという噂がある。
 中学時代、地元学生戦争を治めた(悪化?)伝説の5人組の1人である。

<おまけ>
【壱郷】「どうも壱郷です。巷では10話で打ち切られたんじゃないかと囁
かれてましたが、やっぱりこの話で打ち切られました」
【沙智菜】「いや..そんなズバリ言わなくても。しかし、いつの間にか
シェアード・ワールドなんかに組み込まれてるし..」
【蘭】「ジェラート・ワールド..じゅるっ。美味しそうだなぁぁ〜」
【凛】「シェアードだよっ。アイスクリーム屋じゃないんだから」
【柔紀】「まあ、いろいろな事情があるんだろうな〜」
【壱郷】「早い話。私たちは本編から追い出されたってことになりますね。
リストラです。不景気が全て悪いんです」
【悠子】「いや..そういうことじゃないような..」
【美紗里】「要は本編に出せなくなるほど、世界観がズレてしまったって
ことでしょ..」
【壱郷】「というより、この作品の作者はぺた@ぺんじゃないそうです。
最後の最後でカミングアウトしてみました」
【沙智菜】「ええぇぇぇっ!まさか、投稿作家さんが書いていたの〜」
【壱郷】「いえ、作者は「新宮 沙智菜」です」
【美紗里】「沙智菜が作者なの?」
【沙智菜】「わ・私、そんなの書いてないよぉぉ〜」
【壱郷】「詳しくは後々に。では、また会う日まで」
【柔紀】「こんな終わり方でいいのか..まあ、この作品らしいか」

「沙智菜うららか」完