「じゃあ、ツバメはちょっと待っててね」
「うん。待ってる」パリパリムシャムシャ。
翌日の放課後、私は大量のお菓子をツバメに与えて教室に待ってもらう
ように頼んだ。
「もなり、またかくれんぼか?」「まあ、そんなとこ♪」
幼馴染でもあるツバメは私がかくれんぼすることだけ確認すると、それ
以上は何も聞いてこなかった。
今のツバメは目の前にあるお菓子を食べる以外のことには、あまり興味
がないらしい。
とりあえず、これからするかくれんぼには一応、最低限の保険だけはし
ておかなくちゃね。その保険がこのツバメである。
そう、校内で私が相当な危険に陥ったときに駆けつけてくれるからだ。
もちろん、ツバメも万能じゃない。私の危険信号が届くとこに居てもら
わなくちゃいけない。そのためにお菓子を与えてここに居てもらっている。
ちなみに未だにツバメが駆けつけるトラブルが起こったことはない。
いや、トラブルが起こったら一大事だし、これは万一の時のために掛け
てる保険なのだ。まあ、お菓子代は無駄になると思うけど私の勝手な都合
でツバメを待たせてるんだから、お菓子ぐらいおごらないとね。
(さてっ、じゃあかくれんぼしに行きますか♪)
ツバメを教室に残して、かくれんぼをしに行く私。
このかくれんぼ、小さい頃からの私の悪癖の1つであり、笑われるかも
知れないけどかくれんぼという行為に依存しているのだ。
自慢じゃないけど、私にかくれんぼさせたら誰にもずっと見つからない
し、しまいにはみんなが探すのをあきれて帰るほどだ。
”誰にも見つからない!”この高揚感が身体に染み付いて、かくれんぼ
をしたい欲求がたまってしまう。中学生までなら、欲求を解消するために
友達にかくれんぼ遊びを持ちかけて何とか発散できたけど、高校生になる
とそうはいかない。
「かくれんぼしよ♪」なんて言ったら、きっとみんなドン引きしそう。
でもでもぉぉ〜、だんだんとかくれんぼしたい衝動に駆られるし、ツバ
メはかくれんぼ嫌いと言って探してくれないし、こうなったら自分1人で
かくれんぼするしかないじゃないっ!
ただ問題は1人だけのかくれんぼをどうやって成立させるかだ。
要は絶対に見つかってはいけない状況を作り出して、赤の他人をかくれ
んぼに参加させればいいだけだ。
そして導き出された答えは、愚かなことに私が全裸でかくれんぼをする
ことだった。もちろん、1回でもゲームオーバーすることは認められない。
見つかったら即、私自身の人生のゲームオーバーに繋がるから。
(ぁぁっ..何でこんな馬鹿なこと思いついちゃったんだろぉ..)
最初はちょっと上着やスカートをめくったままにしていたのが、下着姿
へ変わり、最終的には全裸まで悪化させた私のかくれんぼ。
正直、これが露出行為と何ら変わらないのは分かってる。誰が見ても露
出狂そのものだし..
だけど、私はあえて言うわっ!「これは露出行為じゃないっ!究極まで
高めた真のかくれんぼなんだ!」と。いや、どう違うかって言われても答
えられませんが..
ともかく、時々こういうイケナイ行為を校内でやってるわけで、最悪の
事態だけならないようにツバメを待機させてるの。
ちなみにツバメは私がしている行為に、ほとんど興味がないらしくお菓
子が時々いっぱい食べられることが嬉しいみたい。
(そういう理由もあってツバメを選んだんだけどね)
さて、目的地に近づいたからかくれんぼをしなくちゃね♪そう言って校
舎から出た私が目的地から100m離れた草むらで全ての服を脱ぎ捨てた。
服を全て脱ぎ、一糸まとわぬ姿で私は少し荒れ果てたラグビー部の部室
に着いた。
2年前に部員が集まらず廃部になったラグビー部だが、部室だけはその
ままで放置され、今では不良のたまり場となってしまった。
(ぁぁ..今日は5人ぐらい居るよぉぉ〜。中から悪い会話が聞こえてく
るよぉぉ〜)
見つかったら即強姦という危険なスポットで裸でかくれんぼをしている
愚かな私だけど、これぐらいまで自分の依存症を悪化させたのだ。
1つ前のスポットも良かったけど、ポルターガイスト騒ぎが起こってか
ら誰も近づかなくなってしまったし〜。
(・・・いやまあ、誰が元凶かは本人が一番分かっているわ..)
そんなことよりも、今は隠し穴から侵入し裸で彼らの動向を伺うことに。
(タバコ臭っ..まあ、タバコならいいとするか)
私が隠れてることに気づかず、いろんな悪い会話をし始める不良たち。
よく出る単語は、やはり女とセックスのことが多い。こんなとこでかく
れんぼをしてる私は相当なお馬鹿さんだ。
(ぁぁっ..あんっ)
裸で隠れてることに身体が疼き、危険なことに部室の中を裸で移動し続
ける私。
同じ部室に素っ裸の女子高生が居るなんて知ったらそう思うだろう。き
っと血眼になって探しまくるんだろうと、危機的状況が快感となってくる。
(やだぁぁ〜、またおま●こがぐちゅぐちゅだわぁぁ〜。こんなに濡らし
ても匂いに気づかないなんて鈍感よねぇぇ〜)
はしたないおま●こで見つかる可能性があるのに、淫らな女のような行
動を取る私。
つい、見つかって襲われることを想ってしまう。あっと言う間に私は犯
されちゃうんだろうなぁ〜。
(いや犯されるのは絶対嫌なんだけど、想うぐらいだけならいいじゃない)
何か完全に余裕を持って、この危険なかくれんぼを堪能している。ここ
まで処女である私が楽しめるのには理由がある。
それは何といってもツバメの存在だ。ここなら100%ツバメが駆けつ
けてくれるし、5人ぐらいの男子なら1分もしない内に全員、ツバメに撃沈
させられるだろう。
ましてやエネルギーを充填させたツバメの剣の腕は剣豪以上のレベルで
あることは幼馴染の私だからこそ深く知っている。
幼馴染を利用してまで恥ずかしいことをするなんて本当に私ってイケナ
イ女かもぉぉ〜。
でも、結局は露出の快感に負けちゃう情けない私。
これからも私、萌奈莉のイケナイ日記は懲りるまでずっと続くと思う。
(終わり)
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