エピローグ
ナディアとの闘いが終わった後、さっそく食事に行く事になり、まずは
服を着なければいけないのだが..
「紅乃衣、いつまでも裸でいるわけにはいかないだろう。せっかくだから、
服はこのナディアが取ってきてやろう」
「えっ、いいの?でも結構、遠くにあるんだけど..」
「せっかくだから霧隠秘術、縮地術を見せてやろう」バシュッ!
ものすごい速さで私の服を取りにいったナディアを見て冷や汗を流す私
だった。
(あんなことまで出来たんだ..あの子とまともに闘ったら、絶対勝ち目
なんかないわよぉぉぉぉぉーーー)
ここはずっとナディアと休戦を続けるしかないわね。うんうん。
(お母さんに貰ったあの券を使うときがきたみたいね!)
あっという間に私の服と下着を持ってきたナディアにお礼を言って、服
を着替えた私はナディアを連れて近くのショッピングセンターに行くこと
にした。
そう、この大型のショッピングセンターの中にバイキングをしてるとこ
があり、たまたまお母さんから家族無料の券を貰っていたのだ。
(本当はさっちゃんと食べるつもりだったけど、この際仕方ないわね..
けど、4人まで無料なのは勿体無いかな..)
「Oh〜紅乃衣、奇遇デスネ〜。もしかして食事デスカァ」
「ルン?まあ、そこの食べ放題に行くんだけど一緒に行く?」
「いいんデスカァー、ルン本気にしちゃいマスヨー♪」
「別にいいわよ。家族用の無料券があるから」「Oh、それは素晴らしい
デスネ〜」「お嬢、探しましたぞ。さあ、腹いっぱい食べましょうぞ」
「セバ・スチャン!よくものこのこと出おったな。覚悟はいいか?」
「お嬢、その事は後にしましょう。こっそりタッパーも容易いたした故」
「むむっ..タッパーを持参するとは。さすがだな..まあ、食べた後で
ゆっくり話すとしよう」「御意!では決戦に臨むとしますか」
何か気がつくと4人になってしまったけど、これを家族で通すには無理
があるけど、強引にいくしかないか..
「祖父です」「長女デース」「3女だ」「えっと次女です..」
明らかに人種がバラバラだけど何とか家族券を使えたから良かったかも..
ただ何故か店の人の方が申し訳なさそうな顔をして私たちにこう言って
きた。
「今、混んでるので相席になりますがいいですか?」「座れれば別に構い
ませんが」「そうですか..ここだけの話なんですが相席の方が有名人な
のですが構いませんか?」「有名人?もしかしてTVの取材中ですか?」
「いえ、お忍びで来てるだけですが..もしかするとお客様に迷惑をかけ
るかも知れませんので」「そうなんですか?まあ、それでも構いませんので」
(どっちかと言うと、私たちの方が迷惑をかけそうな気がするけど..)
とりあえず有名人と相席で食事をすることになり、席に案内されると1
人の女性が座っていた。
「えっ!あれって大食いのギャル澤さんじゃないのっ!」
何とお忍びで来ていたのは大食いで有名なギャル澤さんだったらしく、
この感じじゃ私たちのテーブルは彼女のものでいっぱいになりそうな気が
した。
「こんにちは〜♪可愛いお嬢さんたちね。お互い仲良く食べましょ〜」
「は・はい、宜しくお願いします..」(ルンたち、きっと彼女の食べぶ
りに驚きそうね..)
だが、私が思ったよりもこのバイキングはとんでもない事になってきた。
「る・ルンっ!?ちょっと何で鍋ごとカレーを持ってくるのよっ」
「これは食前のジュースデスヨ♪アツイ内に一気に飲むのが美味しいデス」
そう言って、本当に飲み物のようにルンが鍋ごと、ごくごくとカレーを
飲み干していく..(ルンが大食漢って聞いたけど..これほどとは..)
「お嬢、手ごろな大皿があったので助かりましたな」「うむっ」
「ナ・ナディア..それって料理を盛り付ける皿よ..」
料理用の大皿にこれでもかというぐらいに料理を乗せてきた2人がすご
い勢いで料理を食べていく。
「このジュース、最高デース♪もう1杯、もらってキマスネ」「はいっ?」
「セバ・スチャン、もう料理がないぞ。また取りにいくぞ」「御意!」
尋常じゃない3人の食べぶり(1人飲みぶり?)に、さすがのギャル澤
も口をポカンと開けて呆然としていた。
いや、私も正直、こんなに3人が食べるとは思っておらず、見てるだけ
でお腹がいっぱいになりそうな気がするわ..
「Oh〜こっちの辛口カレージュースも美味デスネー♪まだまだ飲めマスネ」
「だからルン、それはジュースじゃないし..毎回鍋ごと持ってこないで..」
「お嬢、大皿を2つにしましたぞ!これならもっとたくさん食べれますぞ!」
「そっちの2人も料理を根こそぎ持ってくるなぁぁーーー」
ふと周りを見ると満員だった店内の客はガラリとなっており、私たちの
食べぶりに食欲がなくなって次々と帰ったらしい。
当然ながら入る客もいないので、ほとんど貸切みたいになってくる。
(あぁぁぁ〜〜、もう絶対に、この店には2度と行けないかもぉぉぉーーー)
「甘口カレージュースもイケマスネ〜♪」「ルン..何杯飲む気よ..」
「お嬢、誰もいなくなった時こそ大皿3枚いけますぞ!」「いくなぁぁーー」
こ・こいつら..いったいどんな胃を持ってるのよ。腹の中がどっかの
異次元とでも繋がってるんじゃないの..
よく見たら、大食いのギャル澤が未だに呆然としており、食欲を失って
いるみたい。って言うか、こんなの見たら誰も食べる気が出ないわね..
「中辛カレージュースも飲みやすいデス〜。どんどん作ってくれるから嬉
しいデス♪」「お嬢、店員が直接食べていいと言いましたぞ」
「それは好都合だな。いくぞ、セバ・スチャン!」
ああぁ..店の人が自棄になってるよ..食べ尽くせるならやってみろ
という感じだけど、この3人なら本当にお店にあるもの全部食いつくしそ
うだよぉ〜。
それから1時間後..
バイキングの制限時間120分となったので食事を終えた私たちが店を出
ると店のドアには本日閉店しましたの看板がかかっていた。
まさか本当に店の料理を食い尽くすとは思わなかったよ..
幸いなのはギャル澤さんが一緒にいたおかげで、店の外では彼女が食い
尽くしたような噂が立っていた。(実際は一口も食べてないけど..)
「紅乃衣、今日のカレー飲み放題、最高デシタァァ〜♪」「食べ放題よ..」
「お嬢、これで一週間食べなくても過ごせますぞ」「あんたら冬眠前の熊か」
「紅乃衣見よ。霧隠秘術、四次元収納術でタッパー10個に詰めておいたぞ」
「四次元収納って..あんたは科学忍者か..」
こうしてバイキングを無事に?終えたけど、こんな人たちとこれからも
付き合うとなると頭が痛いです..
って言うか、まだ増えると思うと先が思いやられるよぉぉぉぉぉぉぉーー!
(終わり)
「紅乃衣の恥芸帳」完