第1話「桂、仕組まれた番組」
世間は今1人のグラビアアイドルの話しで盛り上がっていた。
佐川 絵里代(さがわ えりよ)”さがえり”の愛称で呼ばれる今人気
のグラビアアイドルが突然の転身をしたからである。
数ヶ月前までは各誌の表紙を飾っていた彼女が、今ではAVまがいなこ
とを次々とやって世間を騒がしていたのであった。
かってトーク番組で一戦をまじえた桂もこの転身ぶりには驚き、今日も
専用の控え室で絵里代の記事を読んでいた。
「今度のVシネマは満員電車が舞台ですって..ふぅ、これじゃAVと変
わらないわね。けど、こんなに早く落ち目になるとはね..」
「何々、目玉は特製つり革に無理矢理、押し込められるバスト90のFカ
ップですって..馬鹿じゃないの?この女は..」
桂は絵里代が載ってた雑誌を軽く丸めてゴミ箱に捨てたのである。
「・・・こんな風になってまで何故、あの女は辞めないのかしら..」
普通、ここまで落ち目になれば引退すると思った桂だったが、絵里代は
辞める感じには見えず、逆に人気が上がっている風にも見えた。
自分の持論だと、ここまで下劣なことをやってる彼女はあっという間に
消えていくのだが今回ばかりは状況が違っている。
何故なら、自分では落ち目になったと思う彼女の仕事が増えてきてるか
らである。
TV番組やCM、更にドラマの出演など落ち目になってるアイドルのく
せに次々と仕事を増やしている。
当然、その中にはお下劣な番組などもあり、そこでは自らの痴態を平然
と晒している。
先日は若手お笑い芸人による「さがえり絶頂選手権」など自分の裸身を
使っての番組などもやっていた。
かっての人気グラビアアイドルが若手お笑い芸人の前で裸になって登場
し、全裸のさがえりを弄りまくる。
簡単に言えば性技を競うあうトーナメント形式の内容であり、彼女を絶
頂させた方が、決勝へ勝ち進められる下劣極まりない番組なのであった。
つまりは、さがえりは試合をする度に絶頂させられることになり、最後
の方では口から涎を垂らして完全によがっていたのだ。
(何が絶頂選手権よ!女として公開の場で何度もイクなんて下劣すぎるわ!)
桂はたまたまこの番組を見ており、恥さらしの彼女が番組の途中で失禁
してしまうハプニングを出したのを見た時はおぞましさを感じてしまった。
「嘘でしょ...番組上でおしっこを漏らすなんて信じられない..出す
あの子も馬鹿だけど、これを放映する番組もふざけているわ!」
この時、桂は思った。もう、これで彼女はいろんな批判を受けてTVに
は出てこない。
こんな馬鹿なことをやったらCMだって必ず降ろされるはずだと。
そう確信したのだが、意外に世間の批判はなく、笑顔で「おしっこ漏ら
しちゃいました〜♪」と答える彼女の明るさが人気を高めていったのであ
った。
(馬鹿な..失禁したアイドルが何で平然と人気を高めてるの..一体、
何がどうなればこういう結果になるの?)
どんな卑猥な姿を見せても人気を落とさない彼女に疑問といらつきを覚
える桂。
この頃から、桂は何故か絵里代の出ている番組や雑誌をチェックするよ
うになっていた。
いつから始めたかわからないが、自分の持論を崩している絵里代を気に
するようになり、次第に絵里代の動向を細かく調べている自分がそこにあ
ったのだ。
「世間はどうして..ここまで晒してる子を盛り上げているの?信じられ
ない..こんな下劣な子、絶対に落ち目になってるはずよ..はずなのに..」
厳格な両親によって育てられた桂にとっては、この現実が信じられなか
った。
裸を売りとしてTVに出るなんて最も下劣な行為であり、ましてやそれ
で人気を取るなど不潔だと思っていた。
自分はこんな風に落ち目にはならない..例え、どんな状況に追い込ま
れても、こんな無様な姿を晒してたまるものか。と桂は何かに反抗するか
の様に心に誓っている。
だが、この絵里代の転身の原因が自分だったとは、この時は思いも知ら
なかった。
そして、その桂の身にもこれからとんでもない事が起ころうとしていた
のであった。
1週間後、桂は生番組収録の為、ある店にやってきていた。
そう、そこは芸能人が良く行く評判のいいのエステ・サロンであり今日
は健康を売りにしている生番組”ドキっと健康”に出演する予定であった。
”ドキっと健康”はTV東*が夜の11時からやっている番組でセクシー
さと健康を売りにしている番組であり、毎回アイドルやレースクイーンな
どがちょっと色気のある格好をして様々な健康方法を生でチャレンジする
番組なのだ。
今回は大物アイドルとして出演する予定でここに呼ばれた桂。
だが、桂は機嫌が悪く来た早々、番組プロデューサーに注文をし始める。
そう、桂はこういうお色気系の番組が大嫌いで事務所に頼まれて仕方な
く出演をOKしたのだ。
こういう番組の時の桂は非常にワガママであり、常に無理難題を押し付
ける事で有名で今日も不機嫌そうな顔でいろんな注文をプロデューサーに
言ってきたのであった。
「ねえ、プロデューサーさん。今回、泥エステするってきいたけど..私
あまり、顔を汚したくないのよね」
「でも、ここの泥エステは肌にとてもいいので是非、顔にも..」
「いやよ。顔に泥塗るくらいなら私おりるわよ」
「そんな..うちは生なんですよ。番組に穴があいたら私は..」
「どうせ。この番組もう打ち切りでしょ?まあ最後の賭けで私を出したの
は正解かも知れないけどね」
「ぐぐっ・・・・・・」
「まあ、出演料が高いからある程度は我慢してあげるけど顔に泥はいやな
のよね〜」
「わ・わかりました。顔に泥はつけないと約束します」
「それとエステは、こっちで用意した水着でやるけど構わないわよね?」
「!水着でですか..それじゃエステに..」
「嫌ならいいのよ。帰るだけだから」
「わ・わかりました..水着でOKです」
「あと、エステの後の料理も注文どおりの用意してくれた?」
「はい。百合谷さんはフランス料理が好きとの事なので一流シェフを呼ん
で調理させております」
「ありがと。あと私みたいなアイドルがこんな番組に出てあげるんだから、
ワインも一流を用意してくれるのよね?」
「はい。ロマネ・コンティーを用意させて頂きましたのでどうかよろしく
お願いします」
「そう。これで私も気持ちよく番組に出演出来るわね」
桂は軽い笑顔を見せてエステ・サロンに入っていった。
そんな桂を見てプロデューサーはあまりの悔しさで殴りかかりたい気分
であった。
けど桂自身も、そんな自分を抑える事が出来なかったのである。
こういうお色気系の収録だと胃がムカムカし、強烈なイライラ感に襲わ
れるからであり、ワガママでも言わないと気が済まないのであった。
(・・・何でいつもこんなに頭にくるの?このイラつき何とかならないの
かしら..)
桂は頭を抱えながらエステ・サロンに入り詳しい打ち合わせを始める中、
プロデューサーは1度TV局に戻りカメラチェックをしていた。
そこに1人の女性が現われる。
そう、セクシータレントの飯塚 安希が何故かプロデューサーの所に来
たのであった。
飯塚 安希。かってはTフロントの女王と呼ばれた辛口セクシータレン
トでありいろいろ過激な事をやってワイドショーを騒がす人物としても有
名であった。
彼女の罠によって落とされたアイドルは数多く芸能界では恐れられてい
る存在であり、今回の絵里代の転身にも大きく関わった人物で、絵里代を
ここまで堕とした張本人でもあった。
「こんばんは♪岡上ちゃん(プロデューサー)。何かずい分、ご立腹の様
子ね」
「安希ちゃんか。今すげー頭にキテるぜ」
「ふふ、百合谷 桂のこと?」
「そうだよ!あの女TVと全然違うじゃねーか。俺あー驚いたぜ」
「ふふっ。所詮は秀才気取りのアイドルだからね。中身はあんなもんよ」
「ところで安希ちゃん。いいのかい?またこんな事をやっちゃって」
「構わないわ。ところで百合谷は、ちゃっとエステに来たんでしょうね?」
「ああ、今ごろ打ち合わせ中だろ。けど、こんなことやって大丈夫なのか?」
「平気よ♪岡上ちゃんも最後に1回ぐらい、いい数字欲しいでしょ?」
「そりゃ、もうすぐ打ち切りだしな。このまま低視聴率で終わるのも悔し
いしな」
実は”ドキっと健康”は、ここ最近の低視聴率で打ち切りが噂されてお
り、事実局内では今回の桂の出演で打ち切る予定が決まっていたのであっ
た。
そんな番組を持つプロデューサーに安希がとんでもない話しを仕事を持
ちかけたのである。
それは桂を堕とすものであり、自分が堕とした絵里代との約束でもあっ
た。
(絵里代ちゃん..あなたとの約束はちゃんと果たしてあげるわ♪もちろ
ん、私への借りも加えて返してもらうけどね。)
安希は昔、ある番組で百合谷 桂に思い切りばかにされた事があった。
その時受けた屈辱を返すのも今回の目的の1つに入っていた。
この番組は全てが安希によってセッティングされたものであり今から巧
みな罠で桂を堕とそうとしていたのであった。
「岡上ちゃん、今回はいっぱい良い画が取れるから楽しみにしてね♪」
「そんなに凄いことをやるつもりなのか?」
「ええ、あの百合谷が嫌いなお色気のシーンをたっぷりとね」
「へへっ。じゃあ、おっぱいなんかポロリしちゃうのかい。ひひっ」
「おっぱい?とんでもない!!」
「えっ..無理なのか..そうだよな」
「ふふ、そんなもんじゃ済まないってことよ♪おっぱいなんて序の口に過
ぎないわ」
「おい、冗談だろ?おっぱい以上って言ったらあれだぜ」
「そうよ。おま●こも出してもらっちゃうわ。モザイク付きだけどね」
「そんな事出来るのか?そうか、何か盗撮などを使って出す気だな〜」
「何を言ってるのよ。そんな犯罪行為で出しても意味ないわよ」
「それって、TVの前で脱がせるってことか?嘘だよな?」
「本当よ。もしかしたら脱がせるだけでは終わらないかも知れないけど♪」
ごくりっ。「・・・・・・」
「岡上ちゃん、生唾が枯れるほど楽しませてあげるわ」
(ふふっ、あんたの秘められた性癖を開花させてあげるわ。そう、百合谷
桂は本当はいやらしいことを求めているはず。お蔵入りした映像が貴女の
被虐性を物語ってたわ!)
実は百合谷 桂を堕とす材料を安希が探してる際に、桂が無名時代に出
演した映画にお蔵入り映像があることを発見したのだ。
実際の映画では、ほんの小さく裸が数秒映っていたに過ぎない女囚人B
を演じた桂だが、看守たちに淫猥な身体検査を受けるシーンも撮っていた。
そのシーンは主役を喰うほどの迫真の演技になっており、目立ち過ぎる
ということでお蔵入りになったらしい。
安希はこの映像を見終ったときに、桂を確実に堕とす方法を思いついた。
口では、お下劣を拒絶している百合谷 桂の本心は恥辱を待っているは
ず。あのお蔵映像と同じ様なシーンを!
看守役の男たちも演技であることを忘れて本気で桂を辱めたぐらいなの
だから。
「岡上ちゃん、今日の映像は一生の思い出になりそうなほどに凄くなりそ
うだから覚悟決めてね」
「・・・おいおい、どこまでやらせるつもりなのかよ..」
「とことんよ。とことん♪」
「うおおおおおおおおおお...」
プロデューサーが安希の言葉に圧倒される中、そんな事を知らない桂は
これからとんでもない番組に出される事になっていくのであった。
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