第13話「教育TVで..」
ふりはりの正レギュラーになってしばらく経った頃に、衣愛代にふたは
りの名物コーナーであるキャラクターライブ出演の話しが舞い込んで来た。
「衣愛代ちゃん。キャラクターライブに出れるみたいだよ」
「ほ・本当ですか!」
「ただ..ちょっとエッチなことをすることになるけど..」
「えっ..エッチって..」
作山の言葉に気になった衣愛代はキャラクターライブの仮台本を見せて
もらう。
そこには作山の言うとおり、とんでもないことをやらさせることになっ
ており、衣愛代もこればかりは反対をすることにした。
「こんなのおかしいです..これじゃ私、エッチすぎます」
「う〜ん、確かに過激すぎるかも知れないな..」
「これはお断りしてください..」
「でもな..これはチャンスかも知れないぞ」
「そんなことを言われても..お尻を出すんですよ..」
そう、何と衣愛代が演じるキャラクターライブでは数回ほどジャージを
捲られてお尻を出すシーンがあると言うとんでもないものであった。
そのライブの名は「セクハラハンター渕村亮」と名づけられており、無
頼の女好きな超一流のハンター役のふっちゃんこと渕村と相棒役の衣愛代
と面白おかしく行う内容となっていた。
「相手はふりはりのふっちゃんだから、きっと変な風にはならないから」
「でもぉ..お尻を出すなんて..」
なかなか賛同しない衣愛代を、作山は必死にこれはチャンスという事を
アピールし続けた。
「わかりました..1回だけならやります..」
「ありがとう、衣愛代ちゃん」
結局、渋々引き受ける事となり、絶対に1回だけという事でそのキャラ
クターライブをやる事となった。
だが、この「セクハラハンター渕村亮」はTVで放映後に大反響を得る
こととなる。
それは批判や抗議が殺到したわけでなく、好感を得た応援が次々と寄せ
られたのだ。
そう、ふっちゃんのいやらしさを微塵も感じさせない明るい演技に視聴
者の好感を勝ち取ったのであった。
もちろん、衣愛代の割り切った演技も良く、剥かれたお尻で「このドス
ケベ〜天誅ぅ」と思い切り生でヒップアタックまでするのだから、すごい
勇気が必要だろう。
ふっちゃんの方もヒップアタックを受けたときは何回転もごろごろとオ
ーバーなバック転を見せて壁に思い切り激突して見せるのだから、視聴者
はこれを笑わずにいられない。
清純アイドルが生尻を出してるという割には、誰もがそこにいやらしさ
を感じない出来となっていた。
そう、あまりの好評ぶりに衣愛代本人も驚いてしまい、いやらしくない
のであればお尻ぐらいは諦めて、キャラクターライブを続けることにして
しまった。
そして、その後のキャラクターライブのトーナメントでは何と「セクハ
ラハンター渕村亮」が優勝したのであった。
だが、このキャラクターライブでお尻を出し続けたせいか、最近は衣愛
代のお尻出しは定番となってしまい、他のコーナーでも平然として出され
てしまう。
つまりは、衣愛代の”おしり”は世間ではTV公認のものとなっており、
他のTV局でもお尻を見せる事が起こるぐらいであった。
もちろん、このお尻出し公認が衣愛代にとんでもない仕事を呼ぶことに
なるとは思ってもなく、その仕事は今までは有り得ないことだから画期的
なものとなってしまうのだ。
実はその仕事を依頼してしたのは教育TVであり、昨今犯罪の低年齢化
が激しくなってることから、この仕事が持ち上がってきた。
ちょうど番組編成に向けて、教育TVでは犯罪の低年齢化を減らすため
の番組を企画している所であった。
昔では考えられない小学生や中学生などの起こす凶悪犯罪の抑止に教育
TVとして貢献したいところであり、一般公募などで視聴者にアイデアや
要望を集う事にした。
その結果、ある要望が多く集まり、それを中心とした番組の構成を考え
てることとなった。
多く寄せられた要望とはしつけに関係するものであり、学校でも家庭で
も昔の様な厳しいしつけを番組内で上手くアピールしてくれということで
あった。
「厳しいしつけと言われてもな..どう番組にしたらいいか..」
「そうだよな..でも昔は厳しかったよな..」
皆が昔の厳しいしつけを思い出している中、何故か特別参加していた作
山が口を開いた。
「どうでしょう。この際、思いきった事をやってみたいんですか聞いてく
れますか」と言い作山は新企画の案を話した。
その作山の企画はあまりにも斬新なものでありなおかつ教育TVのタブ
ーを打ち破るものであった。
「確かにそれはインパクトあるけどな..局柄それは無理だな」
「ああ..民放なら出来るけど、ここは教育TVだぜ..」
「いや、教育TVも変わる時かも知れないな..」
「プロデューサー..まさかやるつもりですか!」
「ああ、クビになってもやってみるか..」
何と番組のプロデューサーが自分のクビを賭けてあえてその企画を乗る
ことにした。
そして作山はその番組のメインとなる衣愛代にその仕事を持ち込んだの
だった。
だが、衣愛代はその話しにまたもや猛反対を始めた。
「そんな事したら社会的な問題になりますから」
「いや、問題はないから」
「教育TVですよ!民放とは違うんです」
今度ばかりは、絶対的に反発を続ける衣愛代。
衣愛代がここまで反対を続けるのは分かるかも知れない。
何せ、その番組は昔のしつけを深く印象させる内容となっており、驚い
た事に衣愛代が厳しいしつけと称してお尻を叩かれてしまうのであった。
これは前代未聞の話と言っても過言ではない。
教育TVが清純アイドルのお尻を叩く有様を放映しようとしているのだ。
いくら世間で、お尻出しを公認されたアイドルと言っても出来るはずは
ないだろう。
それもお尻を叩かれるのだから、恥辱すぎるのではないのだろうか?
今度ばかりは作山が暴走したとしか考えらない衣愛代であった。
「絶対に断ってください!こんなのおかしすぎます!」
「そんなに頭ごなしに言わなくても..」
「おかしいんじゃありませんか?教育TVですよ。お尻なんか出したらこ
の業界にだって居られなくなるかも知れないんですよ」
「いや、それは大きな誤りかも知れないな」
あくまでも反対を続ける衣愛代に作山が必死に説得を続ける。
もちろん、最初から衣愛代が猛反対するのは承知しており、こう言って
衣愛代を納得させる事にした。
「衣愛代ちゃん。教育TV側だってそんなに愚かではないんじゃないか。
ちゃんと上の方と話してOKが出たんだから、いやらしい感じを出すはず
はないな。そこは理解して欲しいとこだけど..」
「ぅぅ..」
作山は続けて、教育TV側の正論を語り始めていくと、衣愛代自信も自
分がいやらしく感じてたのを反省してしまい、そこまで強く言う作山に負
けて出演をOKする事にした。
「わかりました..そこまで言うなら作山さんにお任せします..」
「大丈夫だよ、衣愛代ちゃん。俺に安心して任せてくれ」
こうして、お尻叩きの番組に出る事になり、後日1回目の撮影を行うこ
とになった。
番組の衣装として子供服ぽい姿でスタンバイに入る衣愛代。
そう、この物語では衣愛代は”わるい事をするいたずらお姉ちゃん”の
役であり、いろいろとわるい事をして、お尻を叩かれる流れとなっていた。
早速、本番が始まり衣愛代はわざと飲んだ空き缶を道路にすてる演技を
する事から、第1話のテーマは”空き缶は正しく捨てよう”というもので
あろう。
次々といろんな所に空き缶を投げ捨てる演技をする中、そのお姉ちゃん
のお母さんがあらわれ注意をし始めた。
「こらぁぁ〜衣愛代ちゃん!そんなとこに捨てちゃ駄目でしょ!」
「そんなの関係ないもーん」
台本どおり、衣愛代はその言葉を聞かない演技を始め、お母さんを怒ら
せてしまう。
「言う事、きかない子は”おしりぺんぺん”だからね!」
ついに怒ったお母さんは最後の手に出ることになり、衣愛代を抱えてか
らスカートをめくりパンダのパンティを一気に下ろした。
もちろん、衣愛代のお尻は丸出しとなり、そのお尻に向かって尻たたき
をしてきた。
これがこのしつけ番組の目玉であり、厳しいしつけの代表である”おし
りぺんぺん”であった。
だが、このおしりぺんぺんが視聴者にとって厳しいしつけと捉えてくれ
るのだろうか?
何せ、叩く相手は子供ではなく、童顔ながらも立派な女性のお尻をして
いる子供役の衣愛代のお尻を叩くからだ。
「いくわよぉぉ〜!」ピシャァァァーーーンン!!
お尻を叩いた大きな音がスタジオ内に響き渡る。
「ひゃぁぁっっ・・・」
衣愛代の顔に苦痛の表情が浮かんでおり、衣愛代自身からは見えないが
お尻には見事な手形が赤く浮き上がってきた。
実は台本には本気で叩くようにとは書いてあったが、実際にここまで思
いきりやってくるとはスタッフもかなり驚いていた。
しかし、よく考えると今衣愛代のお尻を叩いているお母さん役の女性は
現在、他局で衣愛代がレギュラーとなっている子供番組の前のお姉さん役
の人であった。
早い話が衣愛代のせいで降板させられたのだ。
そのお母さん役、広永美香にとっては今回の役はまさに衣愛代にうっぷ
んを返すいい機会であり、衣愛代の尻を思いきり叩けるなんてこれほど美
味しい仕事はないだろう。
ピシャァァァーーーンン!!「ぁぁっっ・・・」
「心から反省するまで、お母さんは許しませんからね!」
ピシャッ!ピシャッッ!!ピシャァァァーーーンン!!
「ああぁぁ・・・」
ピシャッ!ピシャッッ!!ピシャン!ピシャッーンン!!
ピシャァァァーーーンン!!
ここぞとばかりに鬼のような形相で衣愛代のお尻を叩き続ける広永美香。
(ざまーみろ!あんたのせいで私は下ろされたのよ!あははっ、いい気味
だわ!もっと叩いてやるわ!ええ、私の手が壊れても構わないんだからぁぁ〜)
ピシャッ!ピシャッッ!!
ピシャッ!ピシャッッ!!ピシャン!
ピシャッ!ピシャッッ!!ピシャン!ピシャッーンン!!
「ごめんなさい〜ごめんなさい〜」
「駄目よ。もっともっとぉ反省しなさいっ!!」
(そうよっ!許さないんだから!お尻が出せないほど真っ赤っかにしてや
るんだから)
衣愛代のお尻からは次々と大きな音が響き渡っていき、見てるスタッフ
も思わず怖さで唾を飲み込むほどであった。
結局、数分間叩かれることになり泣きじゃくった衣愛代が謝るセリフを
言って番組は無事終わる事となった。
すでに衣愛代のお尻はすごく真っ赤に赤く腫れてしまい、叩いた広永の
手も赤く腫れあがってしまうぐらいだった。
意外に広永としては、ストレスが思いきり発散できたらしく、濡れタオ
ルを持ってきて衣愛代のお尻の腫れを心配し始めた。
「ごめんなさいね..あまりにも本気で叩いてしまって..」
「いえ、いいんです..本気じゃないとかえっていやらしくなってしまう
から」
こうして第1話の撮影が終わり、後日その内容が教育TVで放映され、
その反響がどうなるかを誰もが不安に思う中、今回も意外な結果が待って
いた。
どうやら、広永が本気で怒りしつけているシーンが主婦層に大好感とな
ったらしく、イメージ的にも少しもいやらしくなかった事から、次もお尻
叩きをして欲しいという要望が殺到してしまった。
それとお尻だしというエッチなことで売り出していた衣愛代に反感を持
っていた主婦層が無様に真っ赤にされるお尻を見て広永のようにストレス
が発散して気持ちよかったとこもあったらしい。
一方、見ていた子供たちの方にも映像のインパクトが凄かったらしく、
母親が言う事を聞かない子供に「衣愛代ちゃんみたいにお尻ぺんぺんする
わよ〜」と言うだけで素直になってしまうほどであった。
そんな波及効果が広まったせいか、小学校などの教育現場でも、これを
道徳の授業の一環として番組を見せる様にもなってしまった。
つまりは衣愛代のおしりは教育TVでも認めてしまう世間公認のものと
なっていく感じであり、衣愛代本人として複雑な心境であった。
後日談:衣愛代の尻たたきで真っ赤になっている事が多くなったのでふり
はりの第2弾キャラクターライブでは”女孫悟空、衣愛代の冒険”
としてお尻の所が開いた猿のぬいぐるみを着てコントをする事に
なってしまった。
第14話へ