第16話「隠された行事」


 渡部さんの女体盛りが来てからもう数十分も経つであろう。  男子社員のほとんどは渡部さん回りを囲み女体盛りを楽しんでいたので おり、身体の上の料理は、ほとんど食べられて無くなっていた。  そう、ただ裸の状態として台の上にそのまま寝かされていた。  渡部さんは料理が無くなったにも関わらず、どこも隠さないままで虚ろ な表情をしている。  悪い言い方で言うなら男子社員たちに凌辱され尽くした姿と言えよう。  男子社員たちの手で何度もイかされ、ありとあやゆるとこを弄られてし まったんだから、こうなっても仕方がないだろう。  あまりにも恥辱な花見・・・  僕はこの恥辱な花見に悔しさを覚える中、ある1つの疑問を抱いた。  もしかしたらこれは今回だけのことではないかと..  周りの浮かれた男子社員の会話を聞くとそれが確信に変っていく。 「ははは、今回もなかなか良かったなぁ〜最高だぜ」 「ああ、毎回粒ぞろいだからたまんねーぜ」 (今回も?毎回?何だ?今の言葉は?やはり..こんなのが去年もあったのか?)  僕は周りの言葉に何かを思い出した。そうだ。今回の花見がある1週間 前からの部内のおかしな様子と渡部さんの変化の事であった。  男子社員のあのそわそわした様子..そして下着を着けずに仕事をして いる渡部さん..  全てが1つで繋がった感覚がした。  僕の推測が合ってればあの渡部さんの変化も今回こんな目になったのも 合点がいくのである。  そうなんだ。これはこの社の隠された行事、いいや儀式みたいなもんな んだ。  第一、渡部さんと同じ同期の新人OLは誰もこの花見に文句を言う様子 がない。  逆にみんなほっとした感じでこの様子を見ていており、まるであらかじ めこうなる事を知っている感じであった。  僕がいろいろ考えを整理してる中、先輩の1人が僕に急いで声を掛けて きたのであった。 「おい、平ちゃん。そこにいたが。良かった。お前にあれの事話し忘れて いたよ」 「あれの事?もしかして渡部さんの事ですか?」 「ああ、実はなあれはな・・・・・」  先輩は僕に説明し始めた。この先輩は他の男子とは違い、渡部さんの女 体盛りには一切手を出していなかった。  源堂 堅介。僕の先輩であり、新人である僕の教育担当でもあった。  社内では、堅物男として女子社員から敬遠される変わり者として有名だ った。  当然、そんな先輩だから渡部さんの女体盛りには一切無関心でいられる のである。  変わり者として有名だが、仕事に関しては完璧で、社内ではやり手の社 員であり、様々な嫌がらせや妨害にはリスクをいくら払っても徹底的につ ぶすと言うとんでもない切れ者であった。  そんな先輩であるから、イベントに参加しない僕らを誰も責めてこない のである。 「すまねえな。平ちゃん。あまりにもくだらねえ事だったから忘れてたよ」  そう、先輩は僕にこの隠された行事について詳しく話し始めた。  大体が僕の憶測どおりであり、この社では毎年新人の誰かを女体盛りに する事が慣わしになっていたのである。  それも女子たちには、何と入社した時からすぐにこの事が伝えられてお り、後は誰かが犠牲になるかを決めるだけの事であった。  そう、同期の新人女子たちは渡部さんを差し出す事にし、あとは周りの 先輩たちが渡部さんに女体盛りをやらざるを得ない状況にすればいいのだ。  ここ1週間の渡部さんの破廉恥な行為はこの花見のために仕掛けられた ものであり、その事を知った僕は、先輩OLたちへの怒りが込み上げてくる。  そんな僕に先輩が言ってきた。 「なあ、平ちゃん。お前今回この皿を盛り付けて運んだOLたちをどう思う?」 「・・・・・渡部さん、いろいろ目つけられてたから楽しんでやったんじ ゃありません?」 「そうか、お前らしい答えだな。だがそんなんじゃあの子は途中で逃げるな」 「?何がいいたいんです?」 「実はな、盛り付けたあいつらも全員同じ目に合っているんだよ」 「え?同じ目に?どういう事ですか?」 「平ちゃん、この社には春間際にしか使わねえ部屋が1個あるのは知って るだろ」「それって、例の花見準備室ですか?」 「ああ、花見準備室だ。男子禁制で関係者立ち入り禁止の部屋のな」 「ちょっと気になってたんですが..あの部屋、関係者立ち入り禁止はわ かるけど何で男子禁制なんですか」 「簡単に言えば男子には見せられない部屋ってとこかな?」 「見せられない部屋?」 「その部屋にな。この花見の行事の写真がいっぱい張られてるんだよ。そ う歴代の女体盛りの写真が全部そろっているんだよ」 「・・・・・・・」 「そう、その部屋で毎回打ち合わせをしてそこでその写真を参考に盛り付 けられるんだよ」「じゃあ渡部さんも・・・」 「ああ、彼女だって同じ目にあった先輩たちの痴態が飾られてる部屋で盛 り付けされれば諦めるしかねえだろ?」 「・・・・・・・」 「だけどな。俺はな今回は・・いいや前回もこのイベントがなくなると思 ったんだけどな..やっぱ朱にまじったって事か」 「今回は?」 「ああ、去年な..女体盛りになった子が意地でも次回からはなくすと言 ってたんだよ。彼女はこの1年でかなりの仲間と力を付けてきたんだ。な くそうと思えばなくせるんだよ」 「それって去年の新人OLで今では1番の出世候補と呼ばれてる先輩OL ですか?」 「ああ..こういう思い切った事をやらされた女子は開き直ってものすご く伸びるやつが多いんだよ。実力派の大半はこのイベントの経験者って言 っても過言ではねえな」 「じゃあ、なんで今回もこんな事を?」 「だから朱にまじったんだろ?努力した彼女があんなちやほやされてる渡 部さんを許せなかったんだろ?結局同じパタンなんだよ」 「そんな、だってその人も同じ目に遭ってるんですよね?」 「ああ、同じ様に花見前から下着着用を禁じられ、花見のあとだっていろ いろやらされたよ..」 「そんな人がどうして同じ屈辱を渡部さんにやらせるんですか?」 「何かが変わったんだろ?俺にはそこまではわからねえ。これだから俺は 女ってやつが信じられねーんだよ」 「・・・・・・先輩」 「だが..一概に朱に染まったという事では片付けられないかもな..」 「どういう事ですか?」 「女じゃなきゃ、わからねー何かがあると俺は思う。彼女だって、あれだ け嫌な事をされたと言うのに恍惚な顔をしていただろ?」 「・・・あ・あれは誰かに何かをされてるんですよ」 「そうかも知れない..けどな..周りの馬鹿な男共には全て彼女が望ん だ事だと思うだろう」 「・・・・・そ・そんな..」 「今も見てみろよ。その馬鹿な連中を!やつら次のショーに、もう行列を くんでるぜ」 「次のショー?」  僕が渡部さんの方を見るといつの間にか料理はすっかり綺麗に片付けら れており、先輩OLたちの手によって綺麗に身体を拭かれていたのであった。  男子社員たちに弄られてた秘部や肛門についても小さなホースを使って 洗浄しており悶える渡部さんの様子を男子たちはニヤニヤしながら覗いて いた。  洗浄が終わった渡部さんは先輩OLに指示されて上半身を起こす。  さっきは寝ててわからなかったが起きあがった姿には、その可愛い顔に あわない見事な胸が惜しげも無く晒されていたのであった。  そして何やら渡部さんはお酒のビンを手に持ち、そのまま自分の身体に こぼしていたのであった。  いや良く見ると自分の閉じた股にお酒を酌んでおり、よく世間でいうワ カメ酒を作っていたのであった。  男性社員たちはその酒を飲むために行列を作っており渡部さんは1人1 人にワカメ酒を飲ませていたのであった。  その飲む男子社員の顔は見るに耐えられない程たるんだ顔になっており、 情けない感触を僕は感じたのであった。 「渡部さん...可哀相に..」 「今からそんな顔してたらこれからの出来事を見てられねえぜ」 「それってまさか1番やばい状態に...まさか渡部さんの身体を..」 「・・・意外にスケベなやつだな?安心しろ。このイベントにはもう1つ の暗黙の了解があるんだよ」 「暗黙の了解?」 「ああ、簡単に言うと男子は決して性行為に出ない事だ。そう、そういっ た類の行動が出たらたちまちこのイベントは中止となりOLたちの手でそ の男性はクビと同時にそれなりの場に出され、かなりの慰謝料も取られる んだよ」  僕はまた驚いた。このイベントにはいろいろと深いものがあるんだと。 「まあ、そう言う事だから渡部さんも了承してるんだよ。そこまで酷い目 にあってまでやる馬鹿はいねえよ」 「そうですよね。でもまだ続くんですよね」 「ああ、下手な制限があるから、あいつらの歯止めがきかねえんだよ。も っと恥ずかしい事が待っているはずだ」 「・・・・・」僕は一瞬ドキっとした。今まで渡部さんを心配している僕 の裏側でその痴態を見てみたい僕の存在がわかったからであった。  そして先輩の言う通りまだまだ渡部さんの羞恥は続くのであった。


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