僕の会社−度胸試しは裸で− 前編


「おい、聞いたぞ!お前、あのピンク会社の内定取ったのかよ!く〜、落 ちた俺にとっては羨ましい限りだぜ」と悪友の周に聞かれたのは、専門学 校卒業前の頃だった。  その言葉に自分がバカにされたような気がして、「そんな変な会社じゃ ない」と怒り声で反論した。  いやまあ、同じようなことを他の友人にも聞かれたんだけれど、常に否 定の言葉を返していた。  これでも僕は何回か内定をもらった会社を見学してるし、自分なりにど んな会社か、調べもしたさ。  とりあえずブラックな会社ではなかった。それは間違いない。  が、僕の会社の色は残念なことに知れば知るほど、限りなくピンクっぽ いようだ...  だけど、業績も悪くないし、美人のOLも多いし、見た目は普通の会社 なんだと思う。  そ・それに同期で一緒に入った渡部 結樹子(わたべ ゆきこ)さんが ピンク会社と噂されるところにわざわざ推薦でくるわけないだろう。  渡部さんを第一印象で言うなら清廉潔白な大和撫子。  私立の名門女子高から推薦で採用されており、学校がピンク会社と知っ ていたら薦めるわけがない。  僕と渡部さんは会社の入社前説明会で出会い、その時は内定者の顔合わ せだったので、お互い相手の顔と名前を覚えた程度で終わったんだけど、 そのあと何回か偶然の再会を繰り返している内に仲のいい友達の関係とな っていた。(コホン、まあキスぐらいは済ましている関係かな)  渡部さんはとても明るく、僕はいつの間にか彼女の事を好きになってし まい、今から行く新人研修の時にでも思い切って告白することを決めた。  ちなみに内定者は男性が35人、女性が15人と、この不景気時にこれだけ 採用があるということは業績が良い証拠でもあろう。  こんな僕の意見に今日も悪友の周が反論をしてきた。 「いやいや、女の方は全員知ってるんじゃねーか?お前って結構、名門女 子高に幻想を抱きすぎてるぜ。まさか、その渡部さんって**女学院?」 「…そこまでは聞いてないよ」僕はこいつが碌な話をしてくる予感がきて 知らないフリをした。その通りって言ったら調子に乗りそうだからだ。 「そっか、まあ**女学院ってエロいネタが多いから、よく夜のおかずに してるんだよな」「って、それ単に学校名語ってるだけだろ?お前の方が 騙されてるんじゃないか?」「ふふん、俺も最初そう思ったんだぜ」  どうやら、悪友はお宝であることを自慢したいだけであり、幾つかの事 柄を立証しつつ、「お前だけだぞ見せるのは」とお宝写真も見せてきた。 「…すげーと言いたいけど、ここまでやらないだろ?」「いや!やる!」  教室の黒板に”今日は全裸で授業受けます!”と全裸で書いてる女子の 写真だが、顔も写ってないし、その後の校庭で全裸で走るのもAVっぽい し、これどっかの女子高生風のAVの映像写真じゃないのかな? 「全裸で校庭走るなんて、AVでよくあるやつじゃないか?」 「いや違うね!この校舎は**女学院だし、この子って違う日も校庭全裸 で走ってんだぜ!ほら」「そう言われてもな..」 「そんなに疑うなら、惜しい気もするが、この女子の数々の秘蔵写真をお 前にプレゼントとしてやんぜ!何と全部、無修正だぞ、無修正っ!」 「いや、そもそもお前がどうしてそんなに持ってるんだ?やっぱ金か?」 「ちげぇよ。ほんの数回だけ、俺の露出リクエスト受けてくれたんだよ。 その報酬みたいなもんで金なんて一切出してねーよ」 「露出リクエストって..ますますAVっぽい感じだな。お前の事だから 変なの要求しただろ」 「してねーよ!つい最近も実行したみたいで、写真はないけどプールで全 裸ポロリしたそうだぜ」「いや、そもそも写真ないんなら嘘のような..」 「ちっ、お前は疑い深いやつだなぁ〜。まあピンク会社で勤めるお前に恩 を売っておかねーとな。いつか報酬3倍でくるのを待ってんぜ」 「…会社の方で拡散OKなら、お前にいの一番で送ってやるよ」 「そうこなくちゃ!なら、お前に全部送ってやるか..俺だけのお宝もあ るけど..ええいっ!お前になら送ってもいいか!」  直後に僕の携帯の着信音が鳴り続け、いっぱいあった容量も残量少な目 になってしまった。こいつどんだけ送ってきたのかよ.. 「これで送信完了〜!そうそう、例の渡部さんとやらが同じ学校なら、こ の子のことを聞いてみてくれよな!」  そんなこと聞けるか!!まあ、その..お宝は有難く頂戴しておこう。  しかしながら、採用された同期はどれだけピンク会社のことを把握して いるのだろうか?きっと女子の中にはいやらしいことをされるのを承知し て入社するピンク社員がいるのも分かる。  まあ、僕もそんなに清廉潔白というほど真面目じゃない。どこにでもい る普通の健全な男だ。ピンク会社で起こるエッチなことを密かに期待して いるところもあると思う。  本当に真面目な奴だったら、ピンク会社と噂されただけで敬遠するのだ ろうし、女子にしてみたらもっと嫌なはずだ。  来週、行われる新人研修でおそらく..いいや、ここで、ピンク会社だ と思い知らされる気がする。  そして、新人研修を受ける日が訪れた。  僕は凍える寒さで目が覚めたので、暖かい布団から出られずにいた。  嗚呼、外はもっと寒いはずだ。風邪気味の身体に鞭打って行くほどの価 値はあるのだろうか?どんどんと弱気になっていく僕の携帯から着信音が 響き渡る。 「渡部さんからだ..2人席に一緒に座ろうね」とパジャマ姿の笑顔の写 真を送ってきて、僕を元気づけてきた。  下は膝上に大き目のクッションを乗せて生足を伸ばしており、ショート パンツのせいか、見かたによっては穿いてない風にも見える。 「いかんいかん、変な妄想はダメだ!それにしてもパジャマ姿も清楚だな ぁ〜。似たようなパジャマでも渡部さんが着ると全然違うよな〜」と以前、 悪友の周から貰ったお宝写真からパジャマ姿の写真を画面に映した。  こちらは身体のみでおっぱいを捲って出してるパジャマ写真で、下は何 も着ていないので、おま●こが丸出しだ。  部屋の様子は似ているけど、女子高生の部屋は皆、こんな感じなのだろ う。同じ学校と言ってたけど、やっぱ悪友の方が騙されてるよな。 「って勃起してる場合じゃないな!急いで支度しないと!」  軽めの朝食を摂りつつ、研修の支度を済ませた僕は玄関を開けて集合場 所の駅へ向かう。  外は凍てつく冬風が吹雪いてる。うう、3月はまだ冬だろう。近くの駅 まで自転車で行かなきゃいけない僕の身になってほしい。  まあ、渡部さんの顔を久々に生で見れるんだから、これぐらいは我慢し なくちゃいけないか..  新人研修は伊豆の旅館で3日間(二泊三日)で行うんだけど、厳しいも のではないらしい。  これから始まる社会生活の緊張をほぐすのが趣旨であり、観光しながら 先輩社員との親睦を深めてもらいたいみたいだ。  けれど、私服でなく背広で参加しなければいけないので旅行気分は出な い僕だった。  まずは僕ら新入社員は朝早く西武新宿駅に集合して、そこから貸切バス に乗って研修先へ向かうことになった。  貸切バスは3台で、新入社員が乗るバス、指導役の先輩社員が乗るバス、 役員等のお偉いさんが乗るバスに分かれており、リクルートスーツに包ま れた僕たち新入社員は同じバスに乗り込んだ。  席は自由に座って構わないということで僕は渡部さんを誘って前から3 列目の2人席に一緒に座ることができた。  嬉しさいっぱいでたまらないんだけど、1つだけ気がかりなことがあっ た。実は、このバスに同乗している新入女子社員の中から必ず1人はピン ク社員として色んな辱めをお披露目する旨が男子社員たちに通達された。  まずはこの新人研修でとんでもない度胸試しをやらされるみたいだ。 (度胸試しって..この会社は何を考えてるんだ..まったく〜)  僕はなるべく、そういう変なシーンを渡部さんには見せたくないと思っ ている。きっと渡部さんはまだ自分がピンク会社に入った事実を知らない はずだから。  そんなことを考えながら、近くのスターバックスコーヒーのホットを2 つ買ってバスに乗り込むことにした。  1つは渡部さんの分で、車内の寒さで少し震えてる身体にはちょうど良 く、渡部さんがすごく喜んでくれたので嬉しい。  けれど、熱々の紙コップは失敗した。渡部さんは猫舌らしく、時々フタ を開けながら冷ましながら飲んでいたのだけれど、ちょうどフタを開けた 時にバスが急停止して、コーヒーが綺麗な生足にかかってしまったのだ。  僕は急いで冷たいおしぼりを渡部さんに渡し、足を冷やすように言った のだけど、白い柔肌に赤いあざが付いてしまった。 「わ・渡部さんっ!ごめんっ、僕のせいで」 「たっくん(僕の愛称)が謝ることはないよ。こぼしたの私なんだし」 「で・でも、揺れるバスでコーヒーを買ってきたのは僕だから」 「私も熱々のコーヒー飲みたかったし、たっくんは悪くないよ」 「でも..あざが..」 「すぐに冷やしたから大丈夫よ。2・3日経てば、あざも消えるから」  と渡部さんは心配ないとにっこりと微笑んでくるけど、僕としては綺麗 な生足にあざが出来てしまうことに悲しい思いでいっぱいだ。  罪悪感でしょんぼりとしている僕を気遣うように渡部さんが別の話を切 り出してきた。 「ねえ、たっくん。そろそろ、サービスエリア止まるみたいだけどたっく んはどうするの?」 「う〜ん、トイレは大丈夫だから、ブラブラ美味い物を探そうかなと。良 かったら渡部さんの分も買っておくよ」 「ありがと、たっくん」  さっきのコーヒーの失敗を取り返さないと、渡部さんが喜ぶ美味しくて 怪我しないものを買って汚名返上しないと。  それにしても、サービスエリアが近づく毎に渡部さんの顔が赤く、足も モジモジしている。  もしかしたらトイレを我慢しているのかも知れないが女性にそんなこと を聞くわけにはいかない。  ここは見て見ぬフリをして早くサービスエリアに着くことを願うしかな い。  サービスエリアにバスが着くと、渡部さんは慌てて乗降口へ駆けていく。 スカートが少し捲りあがって水色レースが縁取りされたパンティが見えて いたことは僕だけの秘密にしておこう。 「じゃあ、私先に行ってるから..」 「うん、僕はお土産の方をまわってみるよ」(それにしても店が少ないな)  少しさびれたサービスエリアへ降りた僕は店が殆ど無いことに溜息をつ いた。もう少し先に行ってくれれば大きいサービスエリアに着くのに、何 でわざわざこんな人気のないところに停めるんだと..  ほとんどの女子社員は一直線にトイレに向かい、もう行列が出来ている。  男子社員は数少ない店を見ながら時間をつぶしており、僕も店でフレッ シュジュースとたこ焼きを2人分買って、バスに戻ることにした。  が、バスに戻る途中、駐車場の方で人だかりが出来てることに気づいて 何事かと走っていった。  そう、この時になってようやく、ここのサービスエリアにバスを停めた 意味が分かったのだ。  僕の会社の男子社員たちが大歓声をあげながら喜んでおり、とある破廉 恥な行為を堪能していた。  それはストリーキングであり、1人の女子社員が顔をサングラスと帽子 で隠しながら、広い駐車場を素っ裸で走ってまわっていたのだ。 「うひょぉ〜、今年の度胸試しはたまんねーな!最高だぜ」 「ぶるんぶるん揺れるおっぱいがたまらんな。おま●こも綺麗だな」 「おい、手で少しでも隠したら帽子とサングラス没収だぞ〜」 「っていうか、おま●こにピンクのガラケーぶっ込んでるのかよっ」 「誰か、あのガラケーに連絡入れてやれよ。きっとブルブル振動すんぞ」 「新入男子社員ども〜。お前らもじっくり見ておけよ」  何て会社だ。こんな公然のサービスエリアでストリーキングを女子社員 にさせるなんて..  それも、これが度胸試しなんて辱めすぎるだろ!  が、これよりも衝撃的な映像が僕の目に映った。 「えっ!あ・足に..赤いあざが..そ・そんな、まさか!!」  顔を隠して裸で走っている女子社員の足に、赤いあざがくっきりと出て おり、偶然なことに渡部さんがコーヒーをこぼした場所と一致していた。  いや、渡部さんがストリーキングするはずは絶対ない!  僕はそう信じて、裸で走ってる女子社員と渡部さんの違いを探すことに した。(背や胸の大きさは合ってるけど、渡部さんがおっぱい丸出しで走 るわけがないっ!絶対ちがうっ、ちがうはず..なんだ..)  僕は心の中で叫びながら必死で否定できるものを探す。  だけど万が一、渡部さんだったら..と思うと僕は激しく動揺した。 「・・・わ・渡部さんが..素っ裸で走るはずは..えっ、渡部さん?」  一瞬だけ裸で走ってる女子社員が渡部さんに見えてしまい、不謹慎なこ とに僕の股間は膨らんだ。  情けない、きっと心のどこかで悦んでいる僕がいるのだろう。僕は渡部 さんが辱められるシーンなんて望んでないのだ。こんなところを渡部さん に見せちゃいけないと行動しなくちゃならないのに立ち止まっている。  でも、丸出しのおっぱいやおま●こが渡部さんのものに思えてくるとま すます股間が勃起した。  何て最低な野郎じゃないか、僕は。あの破廉恥な女子社員と渡部さんを 重ねてしまうのはどうかしている。あざだけで決めてしまうのは下愚だ。  けれども勃起ははげしくなっていく。しかも渡部さんへの疑いが晴れず に興奮してるのが悔しい。  あれは絶対渡部さんじゃない!と信じて、ストリーキングを楽しめばい いのだろうか、そんな簡単に割り切れない。  次の瞬間、僕はツイッターで渡部さんに場所を問う3回ほど、渡部さん 宛にツイートした。電話した方が早いのに反応が遅い方を選んでしまった。  が、裸で走っていた女子社員の股間から..いや、おま●この中から振 動と通知音が響いたのを知って、慌ててツイートを削除した。  偶然の一致には間違いないけど、これ以上の偶然は見たくないと思って 渡部さんへのツイートはしないことにした。  もちろん、渡部さんからの反応は一切なかったのであった。


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