第1話「渡部さん」
僕の名は平田 滝輔、この崎長商事に入ってまだ1年の新入社員である。
今日はこの僕が体験したとんでもない話をしたいと思います。
あれは、丁度1年前桜が満開だった頃だと思います。
部内では恒例の花見の季節がやってきました。
この時期になるとなぜか先輩や部長の顔がにやついて来るのです。
あの時の僕はまだ入社したばかりで何もわからずただ変な感じ
しかしませんでした。
けど、もっと変な感じなのは女子社員の方でこの2・3日はあちこち
で内緒話が先輩OLの中でされているのです。
でも同期で入った渡部 結樹子さんだけは普段通りで僕に話し掛けてくる
のでほっとしていました。
「たっくん(平田の愛称)。おはよっ。」
「おはよう。渡部さん。」
「今日はお花見ね。天気も花見日和ねっ。」
「うん。そうだね...」
「たっくん?どうしたの?何か変だぞっ。」
そう、僕は一瞬、言葉を失いかけていた。それと言うのも渡部さんの胸が
気になったからであった。
別に、この前まではこんな事はなかった。むしろ、何か変なのは渡部さんの
方であった。
「たっくん。見て。蝶々飛んでるよ。」明るく窓の方を指差す渡部さんの
胸がぶるんと大きく揺れたのであった。
ドキッ!!そう、渡部さんはここ数日ブラジャーをしていないのであった。
渡部さんの胸はどう見てもCかDぐらいあり、ブラジャーをしなければ
誰がどう見てもすぐにわかってしまうのであった。
それだけではない..社服も薄いせいか日の当たり具合によっては胸の先まで
透けて見えてしまうのだった。
僕はここ数日、何とか注意しようと思っていた。でも、実際はなかなか口に
出せず困っていたのであった。
「・・・たっくん?もしかして変なとこ見てるでしょ?スケベ!」
「そんな事ないよ。あ・あの1つ聞きたいんだけど..そ・その..」
「ブラの事でしょ?ちょっと苦しかったから外してたの。」
「で・でも、それじゃ目立つし..苦しかったらサイズを..」
「ふふっ。ありがと。わかった。明日..明日はブラをするから..」
「ご・ごめん。余計な事、言ったみたいで...」
「・・・たっくんって真面目ね。他の男なんかみんな鼻伸ばしてたよ。」
「あ・あのー渡部さん?本当に苦しくて外したの?」
「えっ?なんで?」
「何か無理している様な..まさか誰かに?」
「ううん...そ・そんな事ないわ..うん。ないわ..」
渡部さんは僕の問いに急に視線を外した。そうか..やっぱり誰かが渡部
さんに...
僕が少し問い詰めようとした時、渡部さんは急に話題を変えようとした。
「そうだ。たっくん。昨日のドラマ見た。あれ面白かったよね。」
「うん。あのー渡部さん。そ・そのー」
「そう言えばたっくんってあの映画見た?ほら、ええっとあの俳優が出てる
やつ..」
「・・・・・**が出ている映画?」
「そうそう。あれ評判いいんだって。私も見に行こうかな。」
渡部さんはどうやら触れてもらいたくない感じだった。とりあえず今日は
花見だから、その時にでも聞くことにした。
「渡部さん。今日の花見、一緒に行かない?」
「ごめん。たっくん。今日の花見私少し遅れちゃうので1人で行って..。」
「渡部さん。用事?」
「ううん。先輩たちのお手伝いで遅くなるだけよ。」
「じゃあ、新人の女子は全員あとから来るんだ?」
「ううん。私だけ...私なんか先輩たちに妬まれてるから..」
そう、渡部さんは今この部の中で1番の美人で男子社員の1番人気の
女子社員であり常に回りからちやほやされてしまう存在になっていた。
その為、先輩OLからかなりの反感を買ってしまっている事も新人の
僕でもその空気がのめるほどだった。
今回のノーブラの件も何か関係しているのは間違いはなかった。
しかし正直言うと、回りのOLと比べるとつい面倒みてあげたくなる
ぐらいの容姿を持っているのである。
現にすぐぶっ切れで怒る鬼の課長も彼女に対しては仏の課長となる
ぐらいであった。
結局そう言う態度を取る男性社員のせいで彼女は先輩OLに妬まれて
しまったのであった。
「じゃあ、そろそろ私先輩たちの手伝いにいかなくちゃ。」
「渡部さん。妬みなんか気にしないで頑張って下さいよ。」
「うん。ありがと。」
渡部さんの去る後姿を見て僕はまたドキっとした。
そう、あまりにも失礼すぎて聞けなかったのだが、どう見てもスカート
のラインにパンティラインが浮かんでなかったのであった。
ここの会社の制服は下も薄く回りの女子社員を見ても下着のラインは
どうしても出てしまうのであった。
ただ、下だけはラインを見せない下着もある事からどうしても聞くこと
が出来なかったのであった。
でも、もし下も着けていなかったとなると事態はかなり深刻なものだと
僕は思っていた。
(今日は必ず理由を聞かないと..でも何か嫌な胸騒ぎがする..)
そう、渡部さんが遅れてくることに僕は何か嫌な胸騒ぎがした。
だがその胸騒ぎは僕の予想をはるかに上回っていたとは思ってもいなかった
のであった。
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