さて、とピンク覆面は佇まいを直し、
ぐったりと横たわる岬ちゃんを眺め、
ひとりごちた。
『とはいえ、このままじゃ続きが面白くないわよね』
んーとあたりをぐるりと見渡し、視線を止める。
そこには壁しか無かった。
『ああ、それなら、ちょっとは面白いかな?』
遠くを見るような面持ちでつぶやく。ピンク覆面は岬ちゃんに近づき、露わになっている腹部に手を触れると、
軽く押した。
「・・・?」
岬ちゃんはむくりと起き上った。
消耗した状態が嘘のように元気そうだ。
「あ、れ、?」
呆けてはいるが、その表情から淫らな感覚に囚われていないことは見てとれる。
岬ちゃんは周囲を眺め、自分の身体を眺めた。全裸どころか、下半身は開かれた上、愛液の水たまりだ。
「きゃ!いやぁああっ!!」
顔を赤らめ、身体を覆い隠そうとするが、
それは電磁拘束具に阻まれた。
「いやぁ、見ないでぇ!!」
奇妙な新鮮さに周りの観衆が見惚れている中、
岬ちゃんの表情が刻々と変わってゆく。
急速に今までの「追いかけっこ」のこと、晒された自分の痴態、催淫自白剤「女犯ごろし」のこと、
全て暴かれた自分の性嗜好と性感帯、等々が頭にハッキリと入ってきたのだ。
「ひいぃっ!い、いやあああぁぁっ!!」
岬ちゃんはぽろぽろと涙を流し悲鳴を上げた。
折れた
様に見えたが、ほどなくして泣き止む。
どうやら、中途退場は莫大な数の観客による際限ない輪姦という悲惨な末路が思い出され、
また、捕まえた瞬間、それを免れるというラジコンカー「パンドラ」の存在も彼女を踏みとどまらせた。
「ま、まだ、あきらめちゃ駄目…なの」
悲壮なつぶやきを漏らし、何とか顔を上げる。
不思議な事に、岬ちゃんのそんな思考の流れを周囲のスタッフ、観客、ピンク覆面の奴隷も
分かることができた。
ピンク覆面はそんな岬ちゃんを面白そうに見ながら言った。
『ああ、そうそう、岬のそのお薬ね、魔法使いのお姉さんが一旦檻から出してあげたけど、
まだ、檻は壊れていないわ。そうね、檻を壊すのはナイトの役目。んーそれとも妖怪?魑魅魍魎かしら。
ふふふふふ、処女はまだ残しといてあげるから
大切にしなさいなww、じゃあまたね』
そんな謎めいた言葉を残し、次の獲物を求め去っていった。
残された岬ちゃんは、多少の回復をはたしたが、すぐそこに次のハンターの影が迫るのであった。
この項終わり。