XCmas2010 たくやより愛(AV)をこめて-2


24日・早朝 撮影開始


「それじゃタクヤちゃん、今日と明日の二日間、結構ハードな撮影になると思うけどよろしくね〜」
「よ、よろしく、おねがい、し、します!」
「そんなに固くならなくていいって。まあまだ三本目じゃこのお仕事にも慣れてないと思うけどさ、ボクたちの方でもキチンとフォローしていくのでね、タクヤちゃんにはこのビデオを見てくれるおっきなお友達に股間をギンギンに硬くしてあげられるエロエロをプレゼントしてあげてくださいね〜」
「は、ははは……あんまりエッチなのは得意じゃないけど精一杯……」
「みなさーん、嘘ですよ〜。このタクヤちゃんはね、可愛い顔してベッドの上ではものすっごく淫乱ですからね。期待してくださいね〜」
「いきなりなに言ってんですかァ!? あ、あたし、淫乱なんかじゃありませんからね!!!」
「それはこの後のないよう次第で明らかになると思いますので、請うご期待と言うことにしましょう。ボクといたしましては、今すぐ車の中で濡れ場を始めてしまいたいんですよ。なにしろ「あのタクヤちゃんとやれる!」って聞いてこの仕事OKしたんですから」
「………お、お手柔らかにお願いします」
 とほほ……あたしは撮影ワゴンの後部座席に座り、自分に向けられるカメラのレンズに向けて必死に愛想笑いを浮かべながら、せっかくのクリスマスにアダルトビデオの撮影をしなければならない自分の境遇を思い浮かべ、心の中でため息を突いてしまっていた―――


 あたしの出演するAVの撮影は、これで早くも三本目。
 最初に出演した――と言えるかは分からないけど――「ナンパ輪姦強制中出しカーSEX」シリーズはアダルト掲示板で話題を呼び、シリーズ内でも最速のDL数の伸びを記録し、今朝の時点で歴代三位。二本目のDVD発売も間近に迫っているので、年内にさらにもうひと伸び加わって一位に躍り出るのは確実と言われていた。
 ………正直言うと、本当なら男のあたしが、男優としてならともかく女優として人気が出てもまったく嬉しいわけがない。けれどあたしをメインにしようと考えたAV作成会社により、本来なら企画女優(AV一本の中に大勢登場する女性の中の一人)扱いのところ、キカタン女優(企画単体女優・単体女優と企画女優の中間)と扱いが良くなり、おかげで出演料も増額されたのだから文句を言い辛い。
 二本目の出演作は、インディーズで活動しているAV製作会社の事務所を訪れて契約した、その直後に有無を言わさず事務所内でヤラれてしまった物だ。
 ―――話を聞いて契約するかどうかの場のはずなのに、カメラマンまでいるからおかしいと思ったんだ……
 最初はまあ、AV女優になるんだからと、出演の動機とか、スリーサイズとか、初体験とかお決まりのことに質問形式で答えていたのだけれど、この質問してきた人が曲者だった。ただでさえ、女性化してから普通のエッチよりトラブルに巻き込まれてなし崩し的にされてしまうあたしの体験談は、ただでさえ破天荒すぎるのに、その人は巧みに抱かれた時の気持ちに至るまで聞き出してくるのだ。
 気付いた時には、あたしはカメラの前で服を脱ぎ、下着姿を晒してオナニーまでしてしまっていた。「女優になるならこのぐらい出来ないと」と言われたのまでは覚えているけれど、嫌な思い出でしかないSEXの体験を思い出して異様な昂ぶりを覚えていた身体は、男性二人を前に恥じらいを忘れて昇りつめてしまい、そしてそのまま……
 ソファーの上だけじゃなく、事務所の入っていたビルの別フロアの拾いベッドルームでも抱かれたし、男優さんも次々と入れ替わってあたしの身体を弄び……最後には暗い地下室で拘束具に身を包み、牢屋越しにバックでヴァギナを貫かれたりしたのだけれど、それらの全てがカメラの中に納められ、またもなし崩し的にAVを撮影されてしまったのだった。
 ただまあ……問題が無かったわけではない。
 相手は百戦錬磨の男優さんだったので、あたしがいつもよりも早くイかされてしまうのと同様に、男優さんの方も予定より早く射精してしまう。あたしのアソコの締め付けも中のうねりも凄いらしいし、お口や手でするにしてもツボを心尽くしている。理性が残っている段階でならともかく、頭の中が官能一色に染め上げられて何も考えられなくなると、男優さんに求められるがままに気を失うまで次々と射精に導いてしまったらしい。


 そして今日が三本目。
 前の二本とは異なり、自分の意思で撮影場所に赴くのは初めてだけれど、この撮影を乗り切れば最低限必要なお金はだいたい貯まる。両親に負担を掛けないために一人暮らしを始めるための費用に来年分の学費。ただし、AV女優として出演した以上は北ノ都学園に戻れるかは分からないので、その時は学費分は麻美先輩や千里に渡す研究費や自分の生活費になるだろう。
 ―――これからあたし、どうなっちゃうのかな……
 AVに出たからといって普通の生活が送れないわけではないけれど、ビデオカメラの前で痴態を演じ、それでお金を稼ぐと言うのは、あたしの価値観を変えるのには十分過ぎた。
 バイト先のメイド喫茶でもカラオケボックスでも、人から視線を向けられるたびにAVに出演していたことを見咎められているんじゃないかとドキッとする。街中を歩いている時でもそうだ。声を掛けられてナンパされることは今まで何度もあったのに、声を掛けられた瞬間にはどうしても以前より驚きを覚えるようになってしまっている。
 ―――慣れれば……どうでもないことになっちゃうのかな……
 例え男に戻れたとしても、女として一生を過ごすにしても、この事は一生あたしの心に残り続けるだろう。
 それだけの事をして、あたしは今、お金を稼ごうとしているのだから。
 ―――でも、今は少しでもたくさんお金が必要だったんだし……ううう……ああもう! 今はそういうことは忘れるの。撮影に集中集中!……って、エッチに集中ってどうすればいいのよぉぉぉ!!!
 そんな葛藤で頭の中をしっちゃかめっちゃかに悩ませながらも、平面状は何事もない風を装いながら撮影は進んでいく。
 今回はクリスマス一色に彩られた街を背景に、24日から25日に掛けてクリスマスデートと言う形での撮影だ。企画物らしく、街中での撮影などバラエティーに富んだものになるそうだけれど、そもそも演技力でAV女優になったわけではないあたしには、むしろ驚きの顔が取れるからと台本や進行表など渡されていないので、何をするかもさっぱりの状態だったりする。
 ―――てゆーか、こういうのってクリスマス前に売りに出さなきゃ意味ないんじゃ……
 結構大手らしいけどインディーズだし、企画した人にも考えがあるのだろう。あたしは、不純ではあるもののお金のために、カメラの前で精一杯の自分を表現するだけだ。……やることはSEXでも。
 ―――けど、今回の男優さんって……よりにもよって、この人だしなァ……
 隣の座席に座っているのは富都杉(ふとすぎ)ユーヤ……彼の顔と名前は、あたしでも知っている、まちがいなく若手ナンバー1のAV男優だ。
 ジョ二ーズ所属のアイドルといっても通じてしまいそうなイケメンだけれど、整った顔立ちの印象とは裏腹に、先ほどのようなお馬鹿なトークもするのでやや三枚目よりになってしまってるけど、その分親しみやすいキャラで定着している。調べてみたら元々は若い頃から舞台俳優として活躍していたらしい。モデルとして雑誌のモデルを飾ったこともあり、演技力にも定評があったのに、いつの間にやらAV男優に転身。その理由が「芸能人じゃ好きなだけSEXできないじゃん」ときっぱり言い切ったのは有名な話。一説には、アイドルに片っ端から手を出したのが転身の理由とも言われているけれど、定かではない。
 そんな曰くを持つ人だけあって、出演する作品では女優さんを大抵骨抜きにしてしまっている。
 挿れっぱなしで二時間でも三時間でもやれる体力を持ち合わせており、性欲の方も絶倫。テクニックに関しても卓越していて、彼の手指で初めて潮を噴いた女優も数多い。さらに股間のモノにいたっては20センチオーバーと外人とためを張れる超巨根。
 そんな彼には、称えるように“SEXサイボーグ”“AV界の種付け馬”“ピストンマシン富都杉”など数々の異名が付けられている。あたしも富都杉さんの出演しているビデオを見たことがあるけれど……この二日間、あの時に見た女優さんのように乱れ狂わされるのかと思うと、真冬だと言うのに背筋に冷たい汗が流れ落ちてしまう。
 ―――しかもあたしとやれるからこの仕事をOKしたって言うし……これはもしかしたら初日の出は拝めないかも……
 ああ、恋人の明日香との甘いクリスマスをふいにしてまで、あたしは何でこんなところにいるんでしょう……そんな後悔が頭をよぎるけれど、もう遅いことがスルリと背中に回された手に教えられることとなった。
「ひゃうゥん! ちょ、ユーヤさん、何いきなり!?」
「隣にこんな可愛い子がいるのに、いつまでも話してるだけじゃ我慢出来ないよ。だからオッパイをちょっと味見♪」
「ダメですって、あ、やめ、ダメッたら、こらァ!!!」
 エッチなビデオの撮影に来たのにエッチな行為を拒んだ挙句に怒鳴りつけるってのは……まあいいとしても、思わず怒鳴り声を上げなかったら甘く鼻を鳴らしてしまいそうだった。
 ―――期待なんか…して…なかったんだから……
 それなりに気合を入れてきた服の上から隠しようもないほど豊満な乳房を、ユーヤさんは巧みな手つきで捏ね上げてくる。まるであたしの巨乳をカメラの前で強調するように、上から下へと大きく手を動かされると、溜め込んでいたものが一気に噴き出すように乳房全体の内側が熱く燃え上がり、押し込まれる指を押し返そうと一気に膨張し始める。
「んっ………!」
 下唇を噛み、懸命に声を押し殺す。抵抗はしない……いや、出来ない。何か言おうとして口を開いた途端に、レンズの前であられもない喘ぎ声を漏らしてしまいそうだからだ。
 ―――そんなエッチな揉み方……やめて…お、おねがい……ん、んゥ……!
 実を言うと……撮影日の今日まで、頭の中はずっとどんなことをさせられるのかと言う嫌悪感と、それとは真逆の期待感でいっぱいだった。
 前二回の撮影では、何もわからなくなるぐらいに快楽漬けにされ、そして三回目の撮影相手が富都杉ユーヤ。競演が決まってからと言うもの、彼のテクニックと巨根にどんな抱かれ方をするのかと考えない日はなかった。
 ユーヤさんの出演作を再生しながらのオナニーだって………冷静になって思い出せばほぼ毎日のように。それこそ恋する女の子のように、甘いマスクに凶悪なペ○スを併せ持ったAV男優さんに、ときめきと怖さを同時に覚え、だからこそ歯止めの効かない期待と興奮があたしの心の奥にたっぷりと溜め込まれてしまっていた。
 ―――あたし…イきたがってる……子のまま胸で…胸だけで……ユーヤさんの手で…イッ、いいィ……!
 プリプリと弾むような美巨乳がこね回されるたびに、静電気のようなビリビリとした疼きが乳房全体に広がっていく。声は押し殺しているのに、ユーヤさんは息を飲み、肩を震わせる程度のあたしのささやかな反応を確かめながら指先を乳房に沈め、こちらの意識を快感で蕩かせようとしてくる。
 それはむしろ、あたしの想像していた以上……もっと荒々しく抱かれると思っていたのに、精緻なまでの指使いにあたしの意識は翻弄され、いつしか乳首も固く張り詰めさせてしまっていた。ミニスカートから伸びる太股をキツく閉じ合わせているものの、ブラと服越しに先端をゆっくりなぞられるだけで、痙攣と共に力が抜け落ちてゆき、膝を開いて熱い湿り気が広がりつつある股間を曝け出してしまいそうになる。
 ―――このまま……抱かれちゃうの? また車の中で……せ、せっかく服だって頑張って……だ、だから期待なんか…してないのに………あたし、ああ、もう、やァあああぁ……!!!
 これ以上はダメ……助手席に座るカメラマンが息を荒く乱しながら撮影し続けているのに、もう服の上からでも勃っているのが分かるくらいに乳首は突き出ていて、今にも何もかも忘れて甘い声を上げそうになっている。
「我慢しなくていいんだよ。ほら、こんなに乳首をコリコリさせて……カメラの前だって言うのにこんなに固くするなんて、可愛い顔に似合わず……」
「ゆ…ユーヤ…さん……やめ…てぇ……」
 懇願するようなあたしの涙声にもかかわらず、甘いマスクのAV男優ははち切れんばかりの膨らみを思う存分圧搾し、全体のボリュームに反比例するかのような小さな乳輪を摘み上げては乳首ごと指で扱きたててくる。
「お…んおァ……!」
「声が色っぽくなってきたね……」
「やっ!? そ、そこはァ……!」
 乳房を離れた片方の手が、内股をなぞり上げるようにスカートの中へ忍び込んでくる。慌ててスカートの上から両手で押さえつけて奥への侵入を阻もうとするけれど、
 ―――んんんゥ! し、痺れて……やあ、ダメ、ああ、んはァああああああッ!!!
 耳の穴を舌先でくすぐられただけで、侵入を阻む手の力は瞬く間に抜け落ちていく。そうしてあたしの股間にまで辿り着いたユーヤさんの指先に淫唇を擦り上げられ、膣口につぷりと指先を押し込まれると、あたしはお尻を締め上げながらヴァギナを激しく戦慄かせ始めてしまう。
 ―――ダメ、イく、このままじゃ、中を、中をそんなにグチャグチャされたら、あ…ああ、ああッ、あんムゥううううう!!!
 まるで洪水のように押し寄せる絶頂の大波に抗うように顔をしかめるものの、カメラの前であたしは身体を弓なりに反り返らせ、後部座席の上で熱いと息を漏らしながら全身を何度も弾ませる。
 そして、

 ―――ブツンッ


「ひゃんんんゥ!!?」
 いきなり胸が弾けた……と言うよりも、服の中で弾け飛んだ。いきなりブラの締め付けから開放された膨らみは窮屈な服の内側で勢い良く揺れ回ると、あたしは恐る恐る背中に手を回し……
「ぶ、ブラのホックが……」
 ものの見事に壊れたようで、たわわな乳房が暴れないように押さえつけておくための下着は、まったく用を成さない代物と化してしまっていた。
「なになに、ブラがはじけちゃったの? おっきいとは思ってたけどタクヤちゃんのオッパイってスゴいよね〜……で、何カップぐらいあるの?」
「え、Fカップのつけてたんですけど……まあ、最近はちょっとキツいかな〜って感じで……」
「ダメだよ、カメラの前で見せるんだから、このオッパイにフィットしたのをつけてこなくちゃ」
「だって……下着に回せるほどの余裕がなかったから……」
 そんな余裕があったらAVになんて出てないし。―――それを言っちゃうと、この車の中にいる人全員を非難することになりそうなので口には出さないけれど、このハプニングにすっかりムードを壊されたのに、ユーヤさんはニコニコと笑みを浮かべながら、
「じゃまず最初は、タクヤちゃんに下着を選んできてもらいましょうか」
 そう言うのと同時に車は、まだ開店したばかりの高級そうなブティックの前で停まっていた―――


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