『その6、3日目午後。寺田』(2)


キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン… 遠くで鳴っているかのような6時限終了の鐘。 終わった…終わったんだ… 「たく…相原。シャワーを浴びたら教官室へ来い」 「…」複雑な表情を浮かべるたくや。黙ったまま俯いている。 「相原!」「は、はい」「聞いてたか?」「はい…判りました」 そう云って道場を後にするたくや。俺は教官室へ行き、自分の机から青いラベルの小瓶を出す。そして たくやを待った… 「失礼します」 「うん。…相原、三日間、その、なんだ、酷い事しちまったな…」 「ほんと。ひどいですよぉ。こんなの犯罪ですよ、普通」 そう云って笑うたくや。…いや、相原だな。相原のいうとおり犯罪だなこりゃ。男に戻るんだから、少し ぐらいって思って…いや、言い訳にもならん… 「ご主……先生?」云い直し、俺を見る相原。そう、もうゴッコは終わりだ。俺は…一応教師だ。 「すまん。ボォ〜っとしちまった。…じゃあコレが薬だ。で、戻る瞬間をすまんがビデオに撮らせてくれ。 薬の提供者の依頼でな」 「提供者…ねぇ」何かしら思案しているたくや。まぁこんな薬作る奴は限られてるからいずれバレるかも しれんが、俺は提供者の名前は云わなかった。 「さぁ、飲め。三日間ご苦労だった。ちゃんと単位も取った事にしておくから」 そう云って瓶を渡す。相原はそれを受け取る…そう確かに受け取ったはずだった…のだが。 ガチャ〜ン!…床に散らばるガラス片。広がる薬液… 呆然とそれを見つめる俺…なんだ!?何が! 「おい!これ!く、薬、これ、これしか、な、無いんだぞぉ!佐藤も作るのに時間がかかるって…」 「えへっ、手が滑っちゃったみたい…ふ〜ん、やっぱり佐藤先輩か…」 「落ちついてる場合か!相原ぁ!お前、男にしばらく戻れないんだぞ!」 「先生、落ちついて」「これが落ちついていられるか!急いで佐藤に連絡…うむ!?」 相原が俺に抱きつきキスをしている。予想外の出来事にパニックになる。 「落ちついて。そこに座って、先生」 何がなんだか。黙って云われた通りにする。 「そこで見ててくださいね」 そう云うと相原は、録画中になっているカメラに向かってとんでもないことを云いはじめた。 「あたし、相原たくやは、寺田先生をご主人様と呼び、ご主人様に飽きられて捨てられるまで、ずぅ〜っと ご主人様に従順なメス奴隷として仕える事を誓います」 「な、な、な…」声が出ない。 「お、お、お前、な、何云って…」 「ダメ、ですか?」上目づかいで微笑むたくや。 「ダメですか、って、お前、戻らないつもりか?」 「…男のあたしって、ウジウジしてはっきりしない…自分でも嫌いな奴なんです。でも女になると、なんか 積極的になれるし、物事を前向きに考えられるし…それに」 「それに…なんだ?」 「イカつい、中年の変態教師が…なんか可愛いし」 「な、ば、馬鹿!何云ってんだ!」たぶん耳まで真っ赤になってるだろうな、俺。 「ご主人様もカメラに誓ってください。『飽きるまでたくやの主人でいるぞ〜』って」 「な、なんだと!?」 「もし誓ってくれたら…もっと凄い事しても、イイんですけど…」 …切れた!頭の中の何かが切れた。もう悩まん!俺は! 「よし、誓ってやる!『俺はずっとたくやのご主人様だ!飽きる事など無いぞぉ〜!』…はぁ、どうだ?」 振り向くと黙って俺の肩に手をまわすたくや。キスしようとした俺の唇に指を当てこう呟く。 「うれしい、です。ご主人様…じゃあこれからあたしの家に来てください」 「な、なにぃぃぃいいい!!」さっきから驚いてばかりだ、俺。 「だって『女のままでいる』って両親が納得します?そこでご主人様が登場、『俺が一生面倒みる』って 云ってくれれば親も安心!」 「…」絶句。そ、そんな簡単にいくか? 確かにご主人様宣言しちまったが…これではどっちが主人か判らんぞ… 結局、頷きながら…俺はまたたくやをその場に押し倒していた… 完
すんません!長いっすよね。しかも後半、あきらかに寺田じゃなくなってるし(苦笑)どちらかというと、 たくやちゃんにこうなって欲しいという俺の分身かも…ほんとはマジでたくやちゃんマゾ奴隷になるまでと ことん、って感じで書き始めたんですが、オチが無いなぁ…と思ってオチ考えてたら、純愛(?)ものに なっちゃいました。シチュ板も少し参考にさせてもらってたんで、またシチュ板みながら次回作考えよう かな、と。今、真っ白状態です。 それではさようなら〜〜〜〜


<完>