千里編 ―カガクハヒトノタメニアルー その1


『あっ…! あっ んっ! んんっ!』
 PCのスピーカーから聞こえてくる甘い声にモニター前の少女は、両端から垂らした黒髪の尻尾をゆらゆらと揺らし少々つり目がかった瞳を忌々しげに細め、不機嫌そうに画面の映像を眺めている。仕掛けたカメラとマイクからリアルタイムで送られてくる映像は、化学準備室を映したものだ。
『ん… あっ んっ! んん…んふん!!』
 化学部部長である相原たくやの制服からはだけた胸が男の突き入れに合わせてぶるんと揺れている。幅広の机にたくやを乗せて大きく開いた足の間で激しく腰を打ち付けているのは同じく先輩である工藤弘二だ。
 二人は制服のまま、必要な部分のみをはだけ、学校の教室で身体を重ねている。
(…サルですね…まったく…)
 二人の痴態をモニターで観察しながら化学部部員、河原千里が高校1年にしては未発達な肢体を脱力させ、椅子に身体を預けた。
『ダメ…弘二…声が…千里に…』
 吐息と共に切れ切れに言葉を発するたくや。強くなる弘二の動きに、隣にいる千里に気づかれる事を懸念したのだろう。
(何を今さら…)
『いいじゃないですか? 聞かせてやれば』
 弘二がたぷたぷと音を立ててゆれるたくやの両胸に手を伸ばす。どこまでも指が埋まっていく柔らかな感触を楽しみながら強めの力で双乳を揉みしだき、こりことした感触の乳首を手の平で転がす。
『ああ…先輩の胸…たまりません…ここもこんなに感じてくれて…』
 三本の指で隆起した乳輪ごと摘むと、持ち上げるように上に引っ張る。
『ダメぇ! おっぱい! 乳首を押さえないでぇえええ!!』
 釣鐘状に固定された乳房は先端を軸に、腰の突き入れに合わせ回転するように揺れる。ぴしゃんっと膨らみがぶつかり合い、乳房から送られてくる痛痒い快感に収縮した膣肉が肉棒を締め付ける。
「凄い…こごがこんなにおいしそうに…ボクのモノを食べていますよ!」
 弘二は仰向けになったたくやの足を大きく広げると、繋がったまま膝裏を掴んでお尻を持ち上る。視線の先には二人が愛し合っている証の結合部が丸見えだ。
『やぁ! 恥ずかしい!!』
 鼻息荒く自分の秘部を覗きこまれ、たくやがいやいやと首を振るが、身体に力が入らず抗えない。そのまま子宮口に届かせるように深く突き入れられる。
『あひぃ!!』
 ぐちゅぐちゅとした水音を響かせ、たくやは膣内のお尻側のお肉が張り出したカリに引っ掻かれる。弘二の肉棒が意図してその部分を何度も擦り、ごりごりと膣内を掻き回される強烈な快感に声を堪える事は出来ない。
『お肉ぅ! だめ! 削られて…弘二!!やめて!! 削ってるぅうううう!!』
『いいんですよ! 先輩! 先輩のお肉、僕の形に削りますから! 僕専用にしますから!! 僕だけの…お嫁さんにしますからぁああ!!』
「無茶苦茶なことを言いますね…」
 千里は肩をすくめて呟やくが、モニターの中のたくやは満更でもない表情を浮かべている。
『ああっ! くふん! あはっ! すごい! ごりごり…ごりごりって!! こう…じぃ!』
 愛おしそうに後輩の名前を叫び、その首に手を廻して身体を密着させる。蕩け合った表情で見つめ合い、唇を交わすと唾液と共に差し入れられた舌を受け入れ、口内で自分の舌に絡ませる。口角から唾液の線が走るがお構いなしに舌を動かす。
『先輩! 先輩ぃ!! いきますよ!! どこに! どこに出して欲しいですか!』
 たくやは激しいピストンに身体を揺らしながら、足を弘二の身体も絡めて密着する。中に出して欲しいとの意思表示だ。
『膣内ですね! いいんですね! ボクの子供を産んでくれるんですね!!』
 限界が近いのか、腰を震わせながらも一心不乱にたくやの身体を突きあげる弘二と、嬌声を上げながらも恥ずかしそうに頷くたくや。
「先輩…?」
 相原たくやは男である。不幸な事故に巻き込まれて女になってしまったが、元はれっきとした男性だ。それが心も身体も男性を受けいれているように見える。
(女性化が想像以上に進んでますね…)
 興味深そうにモニターのたくやを見つめると、その視線を感じたようにたくやが身体を大きく仰け反らせた。高感度のマイクがぐちょぐちょとした音と一際高い絶叫を拾う。
『くうんんっ!! ああっ! ぁああああぁあああ!!!』
『はぁ! は! あっ! イきます!! 先輩っつ!!』
 たくやの胎内に一際力強く押し込まれた肉棒がどくんと波打つ。限界を告げる弘二の声にきゅっと身体を緊張させ、熱い迸りに備えた。
『い…! イクぅうううううううううううう! あふんっ!! はぁあああああああああああああああ!』 
 絶頂と告げる二人の声が重なり、股間に脈動する熱さを感じてたくやが身体を震わせる。奥底に何度も灼熱の塊を受けその度に快楽の波が引くことなく押し寄せる。
『ぁああああんんっ!! …はぁ…はぁ…』
 ぐったりと汗にまみれた身体を重ね、荒い息が落ち着かせたくやと弘二はキスを交す。言葉無く満足気に見つめ合う二人…。
「終わりましたか? 先輩」
 がらがらと扉を開き、白衣をひるがえし千里が入ってくる。
 後輩に淫らな姿を晒し赤面するたくやと、むっとした表情の弘二。
「きゃあ! ち…千里!!」
 密室で息荒く、乱れた着衣の二人。慌ててズボンを上げながら弘二が「気を使えよ…」とぼぞっと呟く。
(気を使って終わるまで待っていたんです)
 口には出さずじろりと弘二を一蹴する。
「盛るのはかまいませんが…このところ毎日ではないですか?」
 両手でも隠しきれないたわわな胸を晒すたくやを尻目に千里が呆れたように肩を竦める。
(最初のころより胸が大きくなってますね…)
 どんどん女らしさを増すたくやの姿。実験の失敗で女性化してしまった頃からスタイルは良かったが、日が経つにつれ色気が増してきている。もともと発育にコンプレックスを抱いている千里が、うらやむ事さえ忘れる程だ。
「う〜…ほら、どうせ男に戻るんだし…せっかくだから何事も経験というか…知的好奇心と言うか…」
「知的好奇心ですか? 私には本能のままにしか見えませんが…」
「うっ…それは…ってなんで千里知ってんの!? ここ(化学準備室)ばかりじゃないのに!!」
「失言でしたね…そんなことどうでもいいのでは?」
「どうでもいい訳…あっ! こら弘二! どこ触って!」
「毎日って! ボクは昨日はしていませんよ!! 先パイ!! ひどいです! ボクは先パイ一筋なのに! 誰ですか! ボクのおっぱいに触れた男は!」
「バカ! そんなこと言ってる場合じゃない…ひぃんっ!!」
 弘二は胸を隠すたくやの手を掴み、無理やりその巨乳を曝け出す。露になった乳房の先端、充血しまだ硬いままの乳首に舌を伸ばして吸い付くと、たくやの口から甘い声が漏れた。そのままもう片方を乱暴に揉みしだき、残りの手をたくやの下腹へ伸ばす。
「ここも! ボク以外に触られて濡らしたんですか? こんなにたくさん受け入れてくれたのに…ぐちゃぐちゃにしてるのに! ボクだけじゃ足りないですか!!」
 ちゅく…と体内に精液を残したままの膣口を開き、侵入してくる2本の指の動きにたくやの腰が跳ね上がる。膣内部に残った精液をかき混ぜるように、指がそれぞれ別の箇所を刺激しながら膣壁に精液を塗りつけている。
「あっ!! ああん! こう…じ… んんっ! ばかぁ! ひいんっっ!! ちさ…! ちさとがぁ!! 見てるのにぃいいい!!」
「駄目です! 先パイはボクの事だけ考えてください!! あんなチビのこと…ひぎぃいいいいいいいい!!」
 刹那、雷に打たれたように痙攣する弘二。背後に立つ千里は先端から青白い電流をスパークさせた2本の電極を持ち、やれやれと頭を振った。
「埒があきませんので、このバカにはしばらく黙っててもらいましょう」
 そう言いながら千里は【タクヤ・レポート】と書かれたファイルを取り出す。
『事例1、○月×日 体育教師の寺田と体育教官室で後背位で強引に…抵抗するも3回の膣内射精』
『事例2、○月×日 世界史教師の佐野とトイレで、排泄を抵抗するも指での愛撫で強制失禁後、フェラチオにて1回の口内射精、便座を使用しての背面座位で1回の膣内射精』
『事例3、○月×日 一年生の永田舞子と自宅で一晩中』
『事例4、○月×日 二年生の工藤弘二と化学準備室で…』
『事例5、○月×日 三年生の渡辺美由紀と…』
 次々と読み上げる事例を読み上げる千里。
「…獣ですか? 相原先輩。全部読んでいたらきりがありません。男女の見境も無しですね」
「きゃあああああああああ!! なんでそんなことまで知ってるのよ…いくらなんでもプライバシーの侵害もすぎる!! それに見境の無いって…人を淫乱みたいに言わないでよ! ほとんどこっちが襲われてるの!! 被害者なの!!!」
 顔を真っ赤にして反論するたくやに千里はそこです!と人差し指を形のいい鼻の頭に押し付ける。
「相原先輩は襲われています…まぁ…抵抗は形だけと見えますが…。ならば何故先輩は襲われるのでしょう? 確かに! 私でもほんのちょ〜〜〜っとうらやましいと思う程女性的にはなっています。しかし、それだけでここまで襲われるのであれば世間はとっくに性犯罪で溢れているはずです!」
(あ…ヤバい。千里があっちの世界に言ってる)
 力強く拳を振り上げ力説する千里。が、力説すればするほど少なくとも周りの人間にはいい結果にはならないことをたくやは経験で知っている。
「仮説ですが私はこう考えます。相原先輩は性転換の影響か、何かしらの性的興奮物質…フェロモンを大量に放出するようになった…と。本来、異性のみを惹きつけるのですが、元が男性だから男性も女性も惹きつけてしまうのではないでしょうか?」
「でしょうかって言われても…ねぇ…自分ではそんな事わからないし…早く男に戻れればそれでいいし…」
「…このまま男に戻っても【たくや・フェロモン】が消えるとは限りませんよ? 男に戻っても…襲われたりする可能性は大ですよ…男に?」
「男に戻っても…男に…?!! いやぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」


「はぶっ…んんっ…ん〜〜…じゅ…じゅぶ…じゅぶ…ぐちゅ…」
 たくやの舌が目の前に突き出された男根の先端を舐め上げ、そのまま舌に沿って熱くいきり立った怒張を口内へと飲み込んでいく。ゆっくりと口内粘膜へ幹を擦りつけながらも舌を動かし刺激が単調にならないようにする。
(どうしてこうなったんだっけ?)
 椅子に座る男子生徒の前にちょこんと正座し、剥き出しの肉棒に奉仕するたくや。口一杯に収め唇で扱くよう頭を前後させると口内に溢れた唾液が口角からこぼれ、窮屈そうに盛り上がった胸元を濡らす。
 事の発端はあの夜。千里から【たくや・フェロモン】なる仮設を聞かされた日からだ。研究の為と言われてこうして放課後は誰とも知れない生徒に抱かれる日々が始まった。
「ついでに研究資金も稼げますし…相原先輩も知的好奇心を満たせます。これぞ一石三鳥です!」
 と、とんでもないことを発案した後輩はいつものように隣の準備室でモニターしている。
(けど…これって…ヤバくない…?)
すぼ…じゅ…じゅる…じゅぶじゅぶ…ず…ずずず…
 口内で肉棒と舌に撹拌された唾液の下品な音が頭の中に直接響くと、自分のしている行為がどれだけ卑猥がを思い知らされる。
(噂はどんどん広まっちゃったし……お金も取ってる…これって援交!?)
「うわっ…すげえ!! 相変わらずどんな動きしてんだ? こいつの舌は!!」
 いままで顔を合わせたこともない男子生徒の気持ちよさそうな声に唇を引き締め、頬がへこむほど吸い上げる。
「ずっ…ずっずずうっずぞぞぞぞぞっぞ!! ぷはぁ…」
 流石に鼻だけの呼吸で限界が来たので一旦口を離す。呼吸困難の為目元からこぼれる涙もそのままに、肺に空気を取り込みながらもつるつるした先端に舌を這わせるのを忘れない。舌先で肉棒に奉仕しながら支えていた手で幹を刺激する。
ぐちゅぐちゅ…じゅぶ…にちゅにちゅ…
 たっぷり絡んだ自分の唾液が立てる音はフェラチオとそう変わらない。泡立てられた唾液がなんとも言えない匂いを発すが、それすらも興奮のスパイスになってします。
「ねろ〜…んっぴちゅ…はぁ…んんっ…ちゅ……れおれろ」
(それに…一番やばいのは…)
 亀頭をくすぐる舌先が肉の膨張を捉え、幹を握った手に血管の激しい脈動を感じる。
「ぱくっ…んん〜〜〜〜ちゅ…ずぅ…ずずずずっずうぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞ!!!」
 震える肉棒を再度口内に迎え入れ、思いっきり吸引すると、男子生徒は喉をそらして限界を迎えた。
「んんっ!! んん! …んんんんん! ごく…んっ…ごくごく…んくん」
 頭を男子生徒の両手で固定され、容赦ない迸りを口内に受ける。喉に直接入らないよう丸めた舌で鈴口を押さえながら、くすぐるように舌先で射精を促す。内側から精液の青い匂いが口内と鼻腔に充満していく。何度も脈動を繰り返す噴出に嚥下が間に合わず、リスのように膨らむたくやの両頬。それでも懸命にゲル上の粘液を食道へと導く。
「こくん…こくっ…ぶはっ! …えほっ…げほっ…はぁ…はぁ…あぁ〜〜ん」
 わずかに口内から溢れさせた精液が顎を伝い喉元を濡らすが、飲みきった事を見せる為に荒い息を吐きながら男子生徒に向かって大きく口を開いて見せる。
「うわ…エロ!」
 そう呟いたのはたった今絶頂を迎えた生徒ではない。たくやを取り囲むよう見学していた別の生徒だ。4人の男子生徒は各々が大小様々な自分の男根をたくやに見せつけて、自分で扱くもの。ただたくやの奉仕に魅入るものと様々だ。
 視線に晒された中で意図的にごくん…と大きな音をたて、精液混じりの唾液を呑み込むたくや。
(私…この状況に…興奮している〜!!!)
 奉仕を始めた…いや、4人の男子に欲望剥き出しで囲まれた時から火照り始めた身体。下着から溢れ、内腿を濡らす自分の愛液は止まらない。千里はたくやが興奮すればするほどフェロモンが出ていると仮定していた。
「ちゅっ…ちゅううううううううう…」 
 他の生徒に見せ付けるよう、放出したばかりの肉棒に口付けをして尿道の中にたまった精液も吸い上げる。ねっとりと纏わりつく多数の視線を感じながら、唇を放すと舌を尖らせて肉棒全体を清めていく。
「はふっ…はぁ…ぺろ…ぺちょぺちょ…んんっ…れる…れ〜〜ろ…ちゅ…」
 精液を全て舐め上げた事を確認し、最後にもう一度先端に軽いキスをして満足そうに微笑むたくや。その姿に順番待ちをしていた残りの三人が一斉に、たくやの上気しピンク色に染まった肢体を貪るように押し倒す。
「あああ〜!」
 複数の手による愛撫は何時何処を触られるか予想もつかない。快楽を受け入れながら自らもそそり立つ男根へと手を伸ばす。すでに屹立した肉棒の熱さと硬さを確認すると、それがもたらす快感を想像して身体が奮える。
(四人かぁ…何回イかせてもらえるんだろ♪)


「ふふふふふふふ…」
 自分の計画があまりにうまく行き過ぎて、千里の口から可憐な女生徒とは思えない笑いが飛び出している。モニターに移る男女の痴態。最初に比べて人数が増えすぎた時はどうしよう?と考えたものだが順調にたくやは男子の相手をこなしている。連日連夜、信じられないほどの男性の精を受け止めて、たくやの身体とその雰囲気はますます淫靡なものに変わった。一度でもたくやを抱いた男子はリピーターとなり、決して学生には安いとは言えない金額を惜しげも無く化学部に【寄付】してくれている。
「これだけあれば…最新型の機器も買えますし…部室の壁も補強できます♪ この調子でいけば…いっそシェルターでも造りましょうか…そうすれば実験し放題…うふふふふふ」
 こみ上げる笑いを我慢できない千里。
「…しかし…でまかせだった【たくや・フェロモン】ですが…あながち的外れではなかったかもしれませんね…」
 男達は灯蛾の如くたくやに引き寄せられている。
「ちょっと…興味は沸いてきました。本格的に調べる価値はあるかもしれませんね」
 身体的にも性的にも未発達な千里ですら鈍く重い感覚を下腹に感じている。
「化学に身を奉げたこの私ですら…性的興奮を禁じ得ません…ちょっと興味が出てきましたね…」
 気を抜けば自らを慰めてしまいそうな火照りに身体を疼かせながら、千里は「うふふふ」と笑うのだった。


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