7明日香・言えない夜に・・・(3)


「明日香ちゃん、これ三番のテーブルにお願いね」
「はい。お待たせしました、ビール三本におつくりの盛り合わせになります」
「お姉ちゃん、こっちに冷酒ちょうだい」
「一品追加〜〜」
「は〜い、少々お待ちください。今行きますっ!」
 小料理店の中に客からの声が響くたびに私はあわててテーブルへと駆け寄り、料理を運んでお酒を運んで、時間が空けば食器を洗って下ごしらえを手伝って……もう目が回るような忙しさだ。
 たくやが女になった。もう何度目かは思い出せないぐらいで恋人としてはこめかみが痛くなる思いだけど……それでも私も何かしてあげたい。そう思ってたくやに内緒でアルバイトを始めたんだけど、少し考えが甘かった。
 私と同じゼミの子の紹介してもらったのは美人の女将さんが一人で切り盛りしている料理店だ。小さいけれど奥の方には畳を敷いた席もあって雰囲気もよく、いかにも日本美人な感じの女将さんも優しい人だったのでここに決めたんだけど……
「ようよう、明日香ちゃん、和服が似合ってるね。かわいいよっ!」
「どうもありがとうございます。はい、冷奴に枝豆です。どうぞごゆっくり〜」
 そう言ってテーブルに料理を並べる私の姿は紺色の着物に白いエプロン姿だ。「これがうちの従業員の制服です」と言われて着せられているものだけれど、あまり和服になじみのない私には着て歩くだけでもかなりの重労働だ。それほど重いわけではないけれど、帯の締め付けや歩幅の違いから歩き方一つでもいつもと勝手が違い、その戸惑いが疲れとなって日々体に蓄積されていくのを自分でも感じていた。
 でもたくやだってなれない女の姿のままで毎日家庭教師やウエイトレスのアルバイトで頑張ってるんだから、私だけ弱音なんか吐いていられない。

 けれど……前日に徹夜をした日ぐらいは無理せず休むべきだった……

「さぁさぁ、遠慮せずに飲みなさいって。おじさんの奢りだ、グイッといっちゃってぇ!」
「え…でもまだ仕事がありますからおさけは……」
 こういうお店に多いのが悪酔いして絡んでくるお客だ。いつもの私なら肩に手を回してきた時点で殴り倒しているけれど、バイト店員の立場でそうそう暴力を振るうわけにもいかない。それで助けを求めて女将さんに目を向ければ――
「いいじゃないの、一杯ぐらい。こんなお店じゃ勧められたお酒を飲むのもお仕事のうちよ」
「ほぉら、女将もああいってるじゃん。グラスもって、ビール注いで、ほ〜れグイッとぉ!!」
 わっわっわ、泡がこぼれる、こぼれるっ!……しょうがない。この一杯だけ。お客さんの機嫌を損ねるわけにもいかないし。
 これも仕事だ、そう割り切った私は白い泡がこぼれ出ているグラスに唇をつけると、苦味の強く辛くさえ感じる刺激のビールを喉へと流し込む。
「んっ……!」
 暑い……一杯しか飲んでないのに体が……
 出来る限り早くこの場を切り抜けたかったのでグラスの三分の二を一気に飲み干す。すると勉強とアルバイトとで疲れていた体に一気にビールが染み渡っていき、ドクンドクンと大きくなっていく胸の鼓動に合わせて気持ちの悪い汗が肌からにじみ出してきた。
「あ〜とちょっとぉ、あ〜とちょっとぉ、あほぉれ、あ〜とちょっとぉ♪」
 いつの間にか周囲に寄ったお客が手を叩きだし、グラスに中身を残したまま立ち去るわけにはいかない状況が作り上げられていた。
 あまりビールは好きじゃなんだけど……飲まないと開放してもらえそうにないし。
「………んっ!」
 半ばやけくそ気味にグラスの中身をあおると、周囲から歓声が上がる。
 ………熱い。体が熱い。
 妙な火照りは瞬く間に全身へと広がり、首筋を拭うと手の甲にはびっしょりと汗が付着している。
「あっ……」
 おなかを締め付けられる苦しさにたまらずふら付くとテーブルへ手のひらを突く。
 そんな私の目に映ったのは……嬉しそうな顔をして再びグラスにビールを注ぐ中年の姿だった。
「さて、んじゃ二杯目いってみようかぁ〜〜〜!!」
 再び沸き起こる歓声。まだ…私はビールを飲まないといけないらしい。
 女将さんにヘルプの視線を送っても微笑むだけで助けてはくれない。これでも…まだ仕事のうちなんだろうか。
「んっ……」
 大丈夫、まだ大丈夫だ。私はこれでもアルコールに強いんだからビールの一杯や二杯で酔っ払って倒れたりするはずがない。
 額から汗が伝い落ちる。それを拭いホウ…と一息つくと、これも仕事、たくやのための大事なお仕事だと自分に言い聞かせて、二杯目のグラスに両手を添えてグイッと傾けた――




――――ピチャ……ピチャ……ズズッ…ハァ……
 んっ……なに…この音……それに下半身が…寒い……布団を蹴っ飛ばしたのかな……あっ…な、なに…いまの……ふぅうん!
「な…なに……いまの……」
「おや、ようやくお目覚めかい。気持ちよすぎて寝ていられなくなったのか。くくく……」
 え………この人……確か常連の………こ、ここは!? なんで私の足の間にこの人の顔が…んっ!
 開いた瞳が捉えたのは木目が美しい天井だった。そして声に光れて目を向けた先――私の脚の間には、店の常連客である中年の顔があった。
 それが何を意味するのか……理解するよりも早く、私の目覚めにあわせて上がっていた男の顔が着物をはだけて左右に広げられた脚の間へと落ちる。そして…舌が……男の生暖かい舌が左右に割り開き、肉壁の中央で震えている膣口をいいように穿り、嘗め回し始めた。
「いやぁ―――――――――っ!!!」
 犯されている。
 一瞬にして錯乱した頭の中でその言葉だけがはっきりと脳裏に浮かび、男から逃れようと体を動かす。―――でも私の体の動きは異様なまでに鈍かった。まだアルコールが残って体がだるい上にここ数日の疲れ、もしかしたら何か薬を盛られたのかもしれない。重たい体は男を押しのけるほどの力を搾り出す事さえ出来ず、脚の付け根を男の舌にまさぐられるたびに店の奥の小さな座敷席の上で震えるだけだった。
「寝てられないのもしょうがないよな。ここをこんなにグチョグチョに濡らして感じてるんだ。寝たままイっちまうのかと思ったぜ」
「んんっ!」
 指が…ゴツゴツした指が…私の…膣内に……い、いやぁ!!
「処女じゃないのは残念だが、キツキツのいい穴じゃないか。彼氏は全然遊んでくれないのか? 俺の指を嘗め回してるぜ、明日香ちゃんよぉ」
 節くれ立った指が私の膣内をかき回す。乱暴ではあるけれど、もうどれだけ嘗め回されていたのか分からないほど蜜を湛えて熱を帯びていた秘所は、表面が硬い指を二本も突き入れられた圧迫感にビクッと痙攣はするけれど、抵抗する事無くそれを受け入れ、膣壁をなぞられると腰を何度も振るわせながら今にもイきそうな気配をみせてしまう。
 ―――たくやにしか触らせた事…なかったのに……
 想い人は女性になってしまっているけれど、それでも守りたかった……子供の頃からずっとずっと守ってきた想いを………それを土足で踏みにじるような愛撫だけれど、寝ている間に一方的に感じさせられていた体は愛液を垂れ流して悦び悶え、指が往復して膣壁をこすられると目覚めたばかりの意識を蕩かせるような強烈な快感に中年を間に挟んで投げ出された脚が小刻みに痙攣していた。
「もう…いやぁ……おねがいだから……やめてぇ………」
 涙が溢れそうになる瞳を下半身に、店では何度も会話した男に必死に懇願する。
 私の体は……今にも登りつめてしまいそうだった。
 たくやが女になってからSEXから遠ざかっていたこともある。女の弱いところを知り尽くしている拓也と肌を重ねる事に慣れてしまっていた体は、わずかな間とはいえ何もされない事に知らず不満を抱え込んでいた。
「あうぅ……ダメ、だめぇ…んっ……はあぁぁぁ……あはあああああっ……!!」
 違う……この人は拓也じゃない。拓也の触り方とも全然違う。拓也じゃない…拓也じゃないのに……
「はあっ、はぁあああああああっ!!」
 お腹が苦しかった。着物の帯が荒く繰り返されるお腹を締め付け、呼吸すらまともに出来ない。……それほどまでに私は感じてしまっている。男の指が膣の天井を擦るとズンッと重たい衝撃が腰から上に向けてお腹を圧迫し、一気に膨れ上がった性欲が震えるノドから熱い吐息になってこぼれ出す。その事に一拍遅れて気付くと、拓也への罪悪感や自分自身の体の罪深さに耐え切れなくなって顔を背ける。―――そして皮膚が硬くなっている上に間接がゴリゴリと膣壁に引っかかる指を抽送され、再び唇をわななかせながらヴァギナで指を食い締めてしまう。
「ああぁ…ん……たすけて…たく…や…んんっ……!」
「今は恋人の事なんか忘れて楽しもうぜ。おじさんがタップリ女の喜びってヤツを教えてやるからよ」
 そういうと男は私の中から指を引き抜いた。
 それに遅れ、満たされなかった快感が糸を引くように指を求めてヒクついてしまう……こんな事はいやだ、早く逃げ出したいと思っているのに、体は……私の体は………
「ほら、こっち見ろよ。これが欲しいだろ?」
「あっ……」
 体を引きずられ、一段低くなった床へと膝から下を降ろされると、私は大きく広げた股間を座敷の淵から突き出すような格好で男に見下ろされていた。
 中年の男は全裸だった。脂ぎって緩みきった体。………でも、股間にそそり立つモノは拓也よりも一回り異常大きく、浅黒い肉茎にミミズのように絡みつく血管と左右に張り出した赤黒い亀頭とが、まるで肉の棍棒のように私の目に飛び込んできた。
 ―――拓也のでもキツいのに……あんなのでかき回されたら…こ…壊される……でも……
 目を逸らすべきだった。けれど一度その逞しいものを目にしてしまった私は、魔法を掛けられたみたいに視線をはずす事が出来なくなる。
「ほれほれ、入れて欲しいんだろ? チ○ポを突っ込んで欲しかったら、おじさんにおねだりしてみろ。そうしたら優しく抱いてやるから」
「わ、わたし……」
 たくや……私、どうしたら……体も動かないし、もう逃げられないよ………助けて、たくやぁ……
「まあ、ねだられなくても突っ込むんだけどな」
―――ジュブッ
「んぎぃ!!!」
 そんな、私……まだ答えてないのに!!
 例え私は受け入れても拒んでも、最初から犯すことには変わりなかった……それなのに…それなのに……
 蜜に濡れた花弁を割り開いて進入してきた太い幹は私の中に溜まっていた愛液を押し出しながら膣内を埋め尽くし、降りてきていた膣の奥、子宮の入り口をゴリッと容赦なく突き上げる。
「うっ、あっ、い、いやっ、抜いて…ひゃあっ! ふ、深…いぃぃぃ!!」
「おうっ、おうっ、嫌がってる女の子を犯すのはたまらないね。キツキツマ○コで、締め付けてくる。もう出ちまいそうだ」
「!? そ、それは、膣内だけはいやっ!! いや、いやあぁぁぁ〜〜〜!!!」
 私の腰の下へ手を回し、想像以上に逞しい力で私の下半身を抱えた中年は、突く事が出来ずに宙へ浮いた足先がぶらぶらと揺れるほど大きく、そして勢いよくペ○スを突き入れる。アレほどたくましいものが根元まで私の中へと埋め込まれ、膣内でビクビクと脈打つモノを赤い粘膜を巻きつけたまま強引に引き抜き、ぬらぬらと愛液をその身に纏わり付かせたまま再び体重を乗せて腰を叩きつけてくる。
「ひあっ、あひゃあああああっ!! んっ…うっ、あぁんっ! んあっ、っあああああ!!!」
「さすが、現役女子大生! どうだ、俺のチ○ポは美味いだろう。そら、こんなにキツく締め付けやがって、美味いんだろうが!」
「は…はい…美味しい、美味しいです! だから抜いて、お願いだから抜いてぇぇぇぇ!!!」
「そうかそうか。だったら遠慮せずに、おじさん頑張ってイかせてあげるからね!」
「ひっ…いやあぁああああああっ!!!」
 終わって欲しい一心で、何も考えずに言葉を口にすると、中年は私の右足を私の胸に付くぐらいにまで押し付けてきて、自分も窮屈そうに体を折り曲げて両足を畳の上に乗せると、宙吊りの鐘を揺らすみたいに小刻みに腰を振り、狂ったように子宮を連続して突き上げてきた。
「ああっ、あうっ、いやっ、ああぁん!! 壊れ、るぅ。いや、いやあぁ!!」
「壊れたらおじさんが一生飼ってやるさ。そら、おマ○コビクビクしてイきそうじゃないか。イきたいんだろう? 彼氏じゃなくておじさんにイかせて欲しくてたまらないんだろう?」
「そんな……」
 一瞬……ほんの一瞬、たくやの顔が脳裏に浮かぶ。―――けれどその姿は、窮屈な姿勢を取らされたおマ○コへおチ○チンを叩き込まれた途端に霧散してしまう。
「い……イく、わたしイくの、イっちゃうのっ! ダメ、もう我慢が……我慢が出来ない!」
「いいねいいねぇ。そら、明日香のマ○コに精液ぶちまけてやる。イけ、膣出しされながらイっちまえっ!!!」
 ここに来て男の動きが変化する。一際勢いをつけて私のおマ○コを穿ち、そのまま腰を擦り付けるように体を動かす。中年の濃い陰毛が皮から頭を出したクリトリスをちくちくと刺激し、オルガズムを前にして口を開いた子宮口に精液がすぐそこにまでこみ上げてきた射精口が執拗なまでに擦り付けられる。
「一滴残らず子宮に注いで妊娠させてやる。お前はもう俺の女だ。熱いのを今、ぶちまけてやる!」
「だめ、あたしもう、イっちゃう、やあぁん、イくッぅ、イく―――――――――ッッッ!!!」
 私が長い髪の毛を振り乱して登りつめたその直後、子宮にめり込みそうなほど押し付けられた男のペ○スから大量の精液が子宮の体内の奥深く目指してブシャッと解き放たれる。
「―――!?」
 不意に体の中を満たした熱い感触にどういう事態が起こったのかを察したけれど、もう何もかもが遅かった。
 男は私に抱きついて、唇を奪っている。その体を押しのける力は私のは残っておらず……子宮の内壁が火傷しそうなほど熱い精液が注ぎ込まれるのを、ガクガクと痙攣する体を空きでもなんでもない男にしがみつかせて、子宮の隅々に染込んで行くのを感じ取り続ける事しか出来なかった。
「んんっ……んんん…………」
 今日は大丈夫だったかな………興奮顔を引きながら冷めていく中でそんな事を考えるけれど……どうでもいい事だ。
 たくやの傍に…もう…いられない……
 体は熱いけれど、心は冷たく凍り付いていた。拓也ともう触れ合うことは許されないと知っても、その事でさえ、今の私にはどうでもいい事のように思えてしまう。
「さぁて、それじゃ早速二回戦に突入しようか。まだまだ夜は長いからな。これからが本番だ」
 唐突に男はピストンを再開し、射精したばかりの白濁液を押し出しながら私の淫裂へペ○スの抽送を繰り返す。カリがイったばかりで敏感になりすぎている膣壁に引っかかってゴリゴリと抉れていく。
「は……あは………あはははは………」
 もう……何もかもがどうでもいい……幼い頃の約束も、たくやが男に戻ろうとしている事も、そして私のこれからの事も、もう何もかもがどうでもいい。
 再び、私の膣に男の精液が溢れかえる。その事にあっという間に慣れてしまった私の体は精液を搾り取るように射精したばかりのペ○スを締め上げ、膣壁をうねらせる。
 そしてポツリと、畳の上に私の涙が零れ落ちた……




「んっ……ハァ……見ないで………んっ!!」
 着物の胸元をはだけ、形には自身のある乳房を左手で乱暴にこね回しながら、右手はローションにまみれた白いお銚子を蜜まみれの割れ目の奥へと繰り返し突き入れていた。
「ひ…あぁ……♪」
 私が恍惚とした表情を浮かべて喘ぎ声を上げると、座敷席の周囲に集まった七人の男性客が歓声を挙げ、挿入する順番を待つペ○スを全裸の股間に反り返らせる。
 これが私の本当のお仕事だ。
 あの日、この店の出資者の中年に一晩中犯された私は女将さんから全ての事情を聞かされた。
 この店の経営が不振である事。
 夜な夜な、常連の客を集めて性行為をし、それで何とか店を保っている事。
 そしてそれでもまだ返しきれていない借金の代わりに、私が差し出された事。
 あの中年は一目見て私の事を気に入ったらしい。そしてそれは女将さんも同様だ。私なら客に人気が出る、そう思って働かせてくれていたらしい。
 そして今、まさに女将さんの思惑通りに私は男性客の前でたくやにも見せた事がない痴態を繰り返し晒し続けていた。
「んっ―――――ッ!!!………ハァ……いっぱい…溜まってる……」
 見られながらイっちゃった私は、蕩けた表情で男性客を見回した。―――誰もがこの後の展開を待ち望んでいる顔をしている。その機体に答えるようにお調子を見やすいように膝を立てておマ○コから引き抜いた私は、子宮口寸前にまで届いていたお銚子の口を傍らのテーブルに置かれたコップへと近づける。
 中には茶色いビールが半分ほど入っていた。誰かの飲み差しだろう。………そしてその中へ、私の中へ注がれた白濁液と、私自身の穴からあふれ出た粘液とが混ざりながら落ちていく。
「一杯だけ……いただきますね」
 客に笑顔で断りを入れると、私はお銚子の代わりにコップを手に取った。
 この客の中の誰の精液かも分からない。もう…二順ぐらいしているから……だから気にせず飲めるのかもしれない。
「んっ………」
 生ぬるいビールと、濃厚な体液とが私の口へ流れ込み、コクッと、お腹へと流れ落ちていく。
「ふふふ……一気飲み…しちゃった………」
 男の人の精液なんて何回呑んだかも分からない。誰のだって同じだと、同じだから飲んでも同じだと、何もかも割り切ってこんな事をして―――
「次は直接飲ませて……ねぇ…いっぱい……何もかも忘れるぐらいに……」
 そう……余計な事を思い出したくない。忘れたのなら忘れていたい。だから今日も……
「私を……犯して………」
 着物の帯を解き、畳の上へ身を横たえると、男たちがゆっくりと近寄ってくる。
 愛なんていらない。愛なんて欲しくない。
 忘れてしまったものの分だけ、誰かが私を満たしてくれれば………忘れたものなんて、なにも必要ない。
「もっと…もっとして……これじゃ足らない…もっと……もっと行かせてよぉ………はうぅううっ!! チ○ポ、チ○ポで犯して、子宮の奥までかき回してぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!!!」
 今日も男に抱かれて体を悶えさせる………満たされない、これじゃ全然満たしてもらえない……



 そんなに大切な事……私は何を忘れたんだろう…………もう……思い出すことも出来ないなぁ……











「え〜っと……この辺のはずよね……あ、あれかな。まだ電気がついてるし」
 まったく……明日香ってばバイトを始めた事を何にも言わないんだもん。おかげで最近はすれ違いばっかり……もう。今日はいきなり押しかけて驚かせてやるんだからね。
 男に戻れる公算が付いた事も知らせたい。きっと明日香なら喜んでくれる……その笑顔を想像して笑みを浮かべると、はやりそうになる気持ちを抑えながら、お店の戸に手を掛けた。
「すみませ〜ん。あの、明日香はここに―――」


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