42 - 「お正月から愛を込めて(後編)」


 ―――そんな……先輩が、ボク以外の人とあんなに乱れるなんて……
 普段から愛用しているパーカーは変わらないけれど、その下にはたくやより一回り豊かなふくらみに胸元を押し上げられたセーターと、今にもお尻が覗けてしまいそうなほど短いミニスカートという出で立ちで、“こうじ”は佐野に犯されているたくやの姿を見続けていた。
 今日の二人で初詣という約束だった。ただ、たくやは晴れ着を着てくるため少し遅くなるので、神社の鳥居前で待ち合わせをし、こうじだけ先に来ていたのだけれど、
 ―――ちょっと離れてる隙に先輩がきてて、ボクが声をかける前にあの男が……
 参拝客でごった返す神社周辺では、特に女性のトイレには時間がかかる。何かの拍子に飛び出してしまいそうな女性の尿意は、ペ○スがある分だけ尿道が長くて我慢の効いた男の時とは勝手が違う。行列の出来ていない男子トイレへすぐにでも飛び込みたい衝動をこらえつつ、それでもなんとか最悪の事態だけは免れて待ち合わせ場所へと戻ってみれば、晴れ着に身を包んで和風な美しさを醸し出しているたくやが、佐野に肩を抱かれて参堂の方へと連れて行かれるところであった。
 けれど、初詣で賑わう参道で、人の流れを無視して急いで前へ進むことも簡単ではなく、賑やかな雑踏が呼びかける声もかき消してしまう。それでも必死に追いかけたものの、参道から脇道に入ったところで佐野とたくやの姿を見失ったこうじが、自分の直感を信じて“青姦の名所”である神社の裏手を探し回った末に二人を見つけたときには、もう―――
「ん…ふゥ……んぅ………せんせぇのセーシが…奥に……射精(で)て…る…ぅ……♪」
「これでもう…五度目だよ。純真可憐で天使のようなキミからは……想像できない乱れようだね」
 まるでこうじに見せ付けるかのように、木の幹に背中を預けた佐野は、恍惚の微笑を浮かべて白い息を吐きこぼすたくやを後ろから手を回し、その右ひざを抱え上げていた。大きく開かれた着物の合わせ目からは白い体液の溢れ出る結合部が露わになっており、こうじだけでなく、アダルトビデオよりも激しい行為を繰り返していた教師と着物美人の野外プレイを盗み見ていた全員の視線が太い肉棒を咥え込んでヒクヒクと打ち震えているその場所へ集中する。
 ―――五回も……そんなに身体を許したんですか? だって今日は、ボクと、ボクと初詣する約束だったじゃないですか……
 その後で、クリスマスから一週間になる今日、やっとこうじは男の身体に戻してもらえる……そんな“お年玉”をたくやからもらえるはずだった。もちろん、今夜はたくやと一晩中愛し合うつもりだった。それなのに、その前に、どんなに望んでも抱くことの出来なかったたくやの身体が、よりにもよって宮野森時代にあれほどたくやが嫌悪していた教師によって穢されていたのだ。
 ………違う。先輩は、先輩はそんな女じゃない。きっと無理やり犯されたんだ。ボクが……ボクが待ち合わせ場所を離れてたから、あんなヤツにレイプされて……!
 右手で服の胸元を握り、軋むほどに奥歯をキツく噛み締める。
 悪いのは自分……そう言い聞かせなければ、気が変になる。
 ―――今すぐ佐野に殴りかかりたい。佐野を○○してやりたい。それだけでは飽き足りない。あの男は八つ裂きにしたって物足りない。ボクの一番大切な人を汚して、傷つけた罪は、百万遍○○したところで許されるものじゃない。
 だけど、それほどまでにどす黒くて深い憎悪がこうじの胸には湧き上がっているのに、身体の方は木の陰に身を潜めたまま、先輩を助けに飛び出そうとはしなかった。
 ―――どう……なってるんだよぉ……
 こうじの身体は今、怒りで煮えたぎっている頭の中とは別の熱さで興奮していた。
 両腕の間で、男の身体には似つかわしくないほどたわわに膨らんだ乳房が激しくうずく。ブラジャーはしていない。HやIなんてサイズの下着はそうそう売っていないし、先輩にいつ可愛がってもらってもいいように……そんな理由で下着による拘束を拒んだこうじの胸は、真の部分からジィン…と痺れさせながら、先端部分を硬く尖らせてしまっていた。
「そんな…あ…ああぁ……ぼ…ボク………」
 視線の先では、佐野先生との結合部にのぞき見ている人たちの視線を浴びたたくやが、長い絶頂の余韻を何度もぶり返させて、着物に包まれたその艶かましい肉体を打ち震わせている。その姿から目を放せないまま、口の中にたまった粘つく唾をゆっくりと飲み下したこうじは、塗れた唇を浅く開いて白い吐息をこぼしながら、しきりに擦り合わせてしまっている太股の付け根へと手を伸ばしてしまっていた。
 ―――身体が……熱い……先輩を助けに行かなきゃいけないのに……まるで……ぼ、ボクが……
 呼吸が荒くなるのを抑えられない。服の下ではたわわ過ぎる乳房がしきりに甘い疼きを放ち、今にも硬くなった乳首を飛び出させようとしている。クリスマスイブから毎日のようにたくやに揉みしだかれ、重力に負けることなくそのボリュームを支え続ける弾力を得てしまった膨らみをふるふると震わせ、スカートの内側に指を忍び込ませると、佐野先生に貫かれた先輩の股間を凝視しながら……湿り気を帯びた下着の上からツンッと尖った部分に触れてしまっていた。
 クリトリス……男の亀頭以上に敏感な淫核に、まだ一度も女の身体でオナニーしたことのないこうじの指が―――
「ああああぁぁぁッ!!!」
 腰が跳ねる。鋭くて強烈な快感が腰の奥に突き刺さった。
 下着の上からなのに、たくやを何度もクリトリスをいじってイかせた経験があるのに、指を押し返すほど硬くなった淫核を指先で擦り上げたこうじは、加減を知らないその一撫でに大きく背中を反り返らせ、木の幹にすがり付いて何度も全身を波打たせる。
 ―――せ、先輩って、ボクに触られて、こんな感じ方…して……!!!
 奥歯をカチカチと噛み鳴らし、激痛と紙一重の女の愉悦に頭の中が焼き焦げていく。反射的に手を引っ込めたのに、尾を引く初タッチの余韻に肩が震え、ジィンと股間の一点から広がる痺れに全身の力が抜け落ちてしまいそうになる。
 オナニーなんて……たくやに愛されて女の喜びを知るばかりで自分を慰める術を一度も体験したことのなかったこうじには、恥じらいも刺激も強すぎる。自分自身の敏感な身体への無遠慮な触り方に、今までなんて乱暴に先輩に触れていたのかを思い知らされるとともに、ここが外で、周囲には覗き魔が大勢いる状況に、
 ―――は…ハズかしいよォ……
 たくやと身体を重ねるためなら時も場所も選んでこなかったこうじとは思えない感情が、胸の奥からこみ上げ、恋人を助けにも行かず、ただただ、もう自分の手では触るまいと硬く決意をしてスカートを下に引っ張り股間を隠す。
 快感を与えることだけを目的にしたバイブに処女を捧げた秘所が、理解できない興奮に侵されるままに愛液をにじませて入り口を強く締め付けているけれど、理性がこの場にとどまり続けていることを拒否している。このままここにいるとおかしくなると、そう言っているかのように。
 ―――ごめんなさい、先輩……もう…どうしようもないんです!
 悔しさと興奮で熱く潤む瞳の見つめる先では、後ろ向きに首をねじって佐野先生と舌を絡ませながら、たくやの股間に緩やかに肉棒が押し込まれている。それを見た瞬間に胸を大きく高鳴らせながらグチャリと…それはとても自分の内側から奏でられたとは思えないような下品な粘着音を響かせると、こうじは木の影から自分の身体を引き?がすように勢いをつけて踵を返す。
 ―――そして、たくましい胸板に自分から飛び込んでいた。
「グフフ……やっぱり工藤か。女になったと噂は聞いていたが、まさか本当だったとはな」
「寺田…先…生……?」
 たくやと自分自身のことに夢中で、後ろに忍び寄られていたことに気づけなかった。そこにいた宮野森学園の体育教師、寺田のゴリラのような太い腕に身体を抱きしめられたこうじは、状況を飲み込めないまま、嫌悪していた教師の名前を呆然と口にしていた。
 ―――なんでこいつがここに!?
 こうじは、宮野森学園の教師の中では寺田を特に嫌悪していた。なぜならたくやに何度も手を出した教師だからである。
 たくやにとっては初めての男。きっと忘れることの出来ない初体験を、自分ではなく、こんな類猿人のような男に奪われたなんて、思い出すたびにはらわたが煮えくり返る思いだ。正月の寒空の下だと言うのに半袖シャツ姿だし、何人もの女生徒に手を出しているという噂だし、たくやのことがなかったとしても不誠実なその存在をこうじは受け入れられなかっただろう。
 そんな唾棄すべき相手に抱きしめられていることを頭が理解した途端、弘二は寺田の腕から逃れようと必死に身をよじる。これがまだ男のときなら逃げられた――それ以前に抱きしめられることもなかった――が、非力な女の細腕では寺田の腕力にかなわず、今まで身を潜めていた木に背中を押し付けられると、
「きゃああああっ!?」
 寺田の手が柔らかい膨らみを揉みしだき、全身に駆け抜けたおぞましい刺激にこうじのノドから悲鳴が迸っていた。
「や、やめろォ! 人を、人を呼ぶぞォォォ!!!」
「なんだ、見られながら犯されるのが好みなのか? このあたりには何十人とスケベな男どもが集まっているからな。さっきの声を聞きつけて……いや、その前から、こんな森の中に女が一人でいるから、襲っていいものか迷った男たちが回りに集まっていたんだぞ?」
「う、嘘だァ!!!」
 寺田の言葉を反射的に否定したものの、こうじと寺田の周囲には、女性が犯されそうになっているのに助けるどころか興味津々の顔をした男たちが集まってきていた。そのほとんどが、青姦のメッカとして知られる神社裏の森で覗き行為に励んでいた男たちで、中にはビデオを回したり、寺田の次の順番をジャンケンで決めるものまでいた。
「それに、声を出してもいいのかぁ〜? あっちで犯されてる相原に気づかれるぞ? んんん〜?」
「くっ……くぅうぅぅぅ……ッ!!!」
 ここに自分がいることをたくやに知られたくはない……もし気づかれれば、助けに入らなかったことを、そして同時に、こうじが佐野に抱かれて淫らに感じているたくやの姿を見たことまで知られてしまう。恋人を守れなかった罪悪感が寺田の一言でこうじの身体の自由を奪ってしまうと、体育教師は下品な笑みを口元に浮かべ、そのゴツゴツした両手で二つの巨乳を鷲掴みにしてきた。
 ―――ちくしょう……ボクは、こんなヤツに犯されるのか。先輩を助けられずに、こんな……こんな最低の下衆野郎に……!
 悔しさに涙がにじみ、奥歯から軋む音が鳴る。―――だが、現実派より残酷に、さらにこうじを追い詰めていく。
「ふッ……んぅ、あっ……んんうッ、んッ…うクゥ……!」
 寺田の乱暴な手つきで、こうじの乳房がまさにつきたての餅のように次々と形を変えていく。服の下で荒々しくこね回されるほどに、先ほど淫核に触れたときに似た強烈な快感がその身を震わせ、そして強過ぎだったはずの快感にいつしか神経が慣れてしまったのか、絞り上げられるほどに力強くこね回されてわきあがる耽美な快感に、柔らかい曲線を持つ身体がビクンビクンと痙攣を繰り返す。
 それはたくやに愛されているときとはまったく違った快感だった。乱暴に扱われて感じるなんて……理性が今の自分を懸命に否定するものの、たくやを乱暴に犯していた経験を頭のどこかで今の自分へと当てはめたその瞬間、寺田の指がこうじの乳房の先端を捉えていた。
「くあァん!!!」
「ん〜、どうしたぁ? ずいぶんと可愛らしい声で鳴くなァ、ここがそんなに弱いのかぁ〜?」
「くゥウううううっ! は、離せ、離してぇぇぇ……!」
 皮膚の硬くなった指先が乳輪ごと乳首をはさみ、捻り上げると、柔らかい膨らみをプルプルと震わせながら、こうじの喉の奥からか細い悲鳴が搾り出される。
 ―――こんな……こんなの嘘だ、ボクが……こんなゴリラ相手に…男に胸を揉まれて感じ…感じる……なんてぇぇぇ……!!!
 宮野森学園で寺田に犯された女生徒は一人や二人ではない。異性を愛するのではなく弄ぶための野卑な手つきに、こうじは乳房がこね回されるほどに膨張していくのを感じていた。
 とめどなく湧き出てくる唾を反り返りそうに鳴る喉の奥へと流し込み、たくやに気づかれまいと懸命に快感を拒否し続けるが、硬くなった乳首をグリグリと押し揉まれ、張り詰めきった乳房に荒々しく指が食い込んでくると、たまらず細いアゴを突き出し、震える唇から可憐なあえぎ声をこぼしてしまう。
「はう……あ…あああ…ァ……!!!」
「ずいぶんと気分を出してるじゃないか。工藤、お前、これからはずっと女のままの方がいいんじゃないのか?」
「そんな…い…いやに…決まって……」
「だったら女でいたくなるように、タップリと教育指導してやるか。ずっと乳首を勃ちっ放しにしたままノーブラで出歩く淫乱にキツ〜いお灸をすえてやるのも教師の役目だからなァ」
「―――――――――!」
 寺田がこうじの服の襟首に手をかける。無防備になっていた喉元に触れられた驚きでこうじが目を見開いたその直後、豊満な乳房を覆っていた布地が断絶音を響かせながら左右に引き裂かれた。
「――――――………!?」
 初詣に来た参拝客たちの声が遠くに――そして耳を澄ませばそこかしこから野外で犯される興奮に女性が上げるあえぎ声の混じる――空気を悲鳴で引き裂こうとしていたこうじの口が、寺田の手でふさがれる。
「お楽しみはこれからなんだ。悲鳴を上げて相原に気づかれると、台無しになるだろうが」
「………っ! ―――――!!!」
「お前は在学中の頃からずいぶん反抗的な目で俺のことを見ていたな。そんな俺に犯される気分はどうだ?―――そう言えば、“膜”はもう失ったのか、ああァん?」
「んんッ………!?」
 たくやの言うがままに履かされていた、今にも下着が見えそうなほどに短い丈のスカート。こうじの大切な場所を守るのに何の役にも立たないその布地を寺田の手がめくり上げたかと思うと、
「んんんんんんんんんぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 無遠慮に下着をずり下ろされ、太股の付け根の中心に太い指がねじ込まれた。
「ちっ、さすがに玉無しの相原でも膜はもって行きやがったか。だが、面倒くさくないか。位置から快感を教え込まなくてすむ分、犯しやすいからな」
「んっ、んっんんッ、んゥうゥゥゥ!!!」
 愛するたくやに犯されるのならまだいい。初めての時は抵抗があったけれど、今ではバイブでも、ディルドーでも、たくやの行為を全て受け入れられるほどに女の快感をこうじは既に経験し、恋人の腕の中で何度も女の身体に生まれ変われた喜びを噛み締めてきている。
 ―――それなのに、どうして、こんな男に……こんな男にィ……!!!
 唇を塞ぐ手を引き剥がそうと必死にもがきながら、こうじはキツく閉じ合わせた瞳からポロポロと大粒の涙を流す。―――けれど、たくやが犯される姿を除き見て、隅々まで興奮に侵されていた身体は下腹部から突き抜ける快感美に全身を締め上げていた。
「んん、んんんんぅ、んっ、んグゥ――――――!!!」
 直線的に抽送され、熱く濡れそぼったこうじの膣内を擦り上げる寺田の指。細かいテクニックなど何もない。けれど、先端の角質が硬くなった角ばった指先は、やさしく愛されることしか知らなかった膣肉を掻き分け、擦り上げるだけで、目の前に火花が飛び散るほどに鮮烈な衝撃をこうじに与える。
 耳元で生臭い息と一緒にイヤらしい言葉をささやかれているが、こうじの耳には届いていない。理性は必死になって感じてはいけない快感を押さえ込もうとするけれど逆に圧倒され、ヴァギナを深々と抉りぬかれて子宮口に触れられるたびに意識が飛びそうになってしまって、耳に入ってくる言葉の意味を理解している暇なんてない。
 指が往復するたびに、少しでも摩擦を少なくしようと愛液が次から次へと湧き出し、寺田の指にまとわりついてグチャグチャとより盛大に卑猥な音を響かせる。
 ―――いっ、やめ、そこは……ヤあっ! 離せ、この、もう、やめて……いや、たすけて、先輩たすけてぇぇぇ!!!
 助けなければいけないたくやへと心の中で懸命に助けを請う。けれど今は、そのたくやも佐野に犯されている真っ最中だ。
 周囲にいるのは、女性が犯されている姿を覗きにきたスケベな男たちばかり。どれほどこうじが寺谷乱暴に侵されても、興奮こそすれ助けに入りに来るなんてことは万に一つもありえない……が、それでもこうじは泣きもがかずにはいられなかった。
「ん――――――――――――――――――――――――――ッ!!!」
 寺田の手は万力のように弘二のアゴを掴んで離さない。その手首を両手で握り締めながら、こうじの膣口は寺田の指を渾身の力で絞り上げる。
 膣の天井が、幾重にも重なる膣の内壁が、摩擦熱で燃え上がりそうなほどに熱くなり、ビクビクと激しく戦慄いている。震えは膣内から太股に、そして膝にまで伝わっていた。
 イきかけてる……その事実を否定しようにも、抗う意思も、膝をよじり合わせていられるほどの力もこうじには残されていない。スパートをかけた寺田の指先が恥骨の裏側を乱暴なまま念入りに擦り上げてくると、ヴァギナ全体が壊れたかのように脈動し、もう閉じていられなくなった足の間へ失禁するように愛液の飛沫を撒き散らしてしまっていた。
「くくくっ、どうだ、好きな女を寝取られてるそばで自分自身も犯されている気分は」
「んっ……く…うゥ……!!!」
「気持ちよすぎて声もだせんのか。お前も相原に負けず劣らず、スケベな素質を持っているようだな。これは教師としてタップリ教育してやらねば」
「んクウゥん!!!」
 こうじのヴァギナのもっとも敏感な場所――Gスポットを指先が捉えると、全身が伸び上がり、逆Xの字に突っ張った両足の痙攣がいっそう激しくなる。まだ潮吹きまではしたことはないけれど、ヴァギナから太い指先で尿管を刺激されると、寒空の下で沸き起こる尿意を押さえ込んでいた括約筋がビクビクと震え、腰が息んでしまう。
「うッ……んむゥ……!!!」
 自分が男であることを忘れそうになる快感の連続。身体の奥に眠る快感を目覚めさせようとするたくやの“愛”と違い、弘二が壊れることなどお構いなしの乱暴な寺田の愛撫にもたらされるオルガズムの大波に、何もかも飲みこまれそうになり……そして不意に、寺田は絶頂へ向けて一直線に駆け上りかけていたこうじの膣内から躊躇いなく指を引き抜いた。
「んんぅ、んっ……んっ…ふ…うゥぅぅ…ん………んゥ……」
 あまりに唐突に快感を中断され、木の幹に押し付けられたままこうじの腰がはしたなく恥丘を突き出してバウンドする。ようやく開放された唇をふいごのようにせわしなく喘がせ、体内――いや、胎内で爆発寸前担っていた官能の塊を覚まそうと身体は必死になるけれど、薄く汗ばんだ肌に元日の寒さを感じると、むしろ男にイかされようとしていた身体の火照りをいっそう強く感じてしまう。
 ―――こんなヤツに……ボクは……先輩だけって…決めてたのに……
 触られるどころか姿を見るのも声を聞くのも嫌な寺田に身体をまさぐられ感じて、濡れてしまっていた……まだ股間の奥では掻き回された膣肉が寂しそうに蠢いてグチャ…グチャ…と小さく音を鳴らしている。そんな音を奏でる自分の身体に、ただただ悔しさがこみ上げて唇を噛み締めるけれど、寺田との行為はこんなところで終わりはしない。―――何度となくたくやを犯してきたこうじならそのことを知っていたはずなのに、このときは喘いで冷たい空気を取り込むのに夢中で、今が逃げ出す最初にして最後のチャンスだと言うことにさえ気づけないでいた。
「お前だけ気をやってどうする? そら、これからが本番だ。これでタップリとお前のおマ○コをかき回して、男のよさというのを教え込んでやる」
「ひ……いっ!?」
 足に力が入らず、背中を木の幹に預けたまま崩れ落ちたこうじが目にしたのは、自分の眼前に突き出された寺田の醜悪な肉棒だった。
 宮野森学園で大勢の生徒から――特に女子から――嫌われているはずの寺田が、欲望のままに何人もの女子生徒に手を出しながらも一度として訴えられたことはない。それは趣味の合う校長と結託し、共犯関係にあったこともひとつの要因だが、もうひとつの理由はこうじの眼前にある使い込まれた肉棒にある。浅黒い肉の凶器は何人もの乙女たちの淫水をタップリと吸ってきただけあって、凶悪なほどの威厳を漂わせている。大きさでは弘二のモノも負けてはいない。けれど、たくや一人としか経験がない分、経験値が圧倒的に違う。やや上反りの肉棒の先端を向けられた途端、さらけ出された乳房を抱きかかえたこうじは蛇ににらまれた蛙のように恐怖で身動きが取れなくなってしまっていた。
「さぁて、お楽しみタイムだ。タップリ楽しませてもらうぞ?」
「っ………」
 まだ立っていれば走って逃げ出すことも出来たけれど、震える膝ではもう一度立ち上がるのに時間がかかる。そうこうしている間に寺田の手がこうじの足首を掴んで引き寄せ、落ち葉の降り積もった地面の上に仰向けに引きずり倒されると、下着は剥ぎ取られ、
「あ、ああああああああああ……っ!!!」
 先端が押し付けられると、黒々とした肉棒は吸い込まれるようにこうじの膣口へ飲み込まれ、ズリュリュリュリュっと子宮口まで一気に穿ち抜いていた。
「うあっ、いやだァああああああっ! 抜け、今すぐ引き抜けぇぇぇ!!!」
 もうたくやに気づかれるとかどうとかの話ではない。寺田の剛直の破壊力を子宮で受け止めた途端に沸き起こる嫌悪感が全身を埋め尽くし、こうじは大きく背中を反り返らせながら森の中に大きく悲鳴を響き渡らせていた。
「グフフフッ、その声だ、その声でお前が泣き叫ぶところを聞きたかったんだ。でも残念だったなァ、相原はもう、佐野のヤツとどこかにいっちまったぞ?」
「え? え? せ、せんぱ、イィィィ!!!」
 寺田が腰を振れば、湯気が立ち上るほどに熱くドロドロに濡れそぼったこうじの膣内が、大きく張り出したカリ首に掻き毟られる。
「ンアッ、アアッ、やめ、たすけてぇ! 先輩、助けてぇええええええっ!!!」
 むっちりとした太股を抱え込まれ、連続してペ○スとヴァギナが激しく擦れあう粘着音が鳴り響くたび、おおきく開いたこうじの口からは涙声で悲鳴が迸る。だけど周りにいるはずの覗き魔たちどころか、たくやが助けに来てくれる気配もない。こうじの声が聞こえれば、寺田に犯されている事に気づいて何か声を上げるはず……それなのにその声さえも聞こえないことが、寺田のペ○スを膣内にねじ込まれたこうじを更なる絶望のどん底へと叩き込む。
「ほれほれほれ、もっと泣き叫べ。俺に犯されるのがいやなんだろう? これだけマ○コの肉をきゅうきゅう締め付けてきておいて、今にもイきそうなぐらい感じてるに俺のことが大嫌いなんだろ!?」
「感じてなんか、ボク、感じて、感じてなんかぁぁァ〜〜〜!!!」
 大きく左右に開かれた両脚の付け根、その中心からズルッとカリ首まで肉棒が引き抜かれ、やや上を向かされたヴァギナへ叩きつけるように突き入れられる。
 それは、女の身体になってからひそかに望んでいた拓也に抱かれる願望とはまるで違う。どんなに下腹部に力を挿れて拒んでもお構いなしに強引に膣肉を割り開いて押し込まれる肉棒は、単に力尽くなだけではない。
 膣の奥で亀頭が上下左右にうねって子宮の入り口を掻き回す。
 深く、浅く、浅く、浅く、浅く、浅く、そして深く深く深く―――こうじの意思とは裏腹に急速に“オンナ”に目覚めていくイヤらしい肉体は、焦らされれば腰をくねらせて子宮をうずかせ、ねだるように膣肉を蠢かせ始める。その頃合を見計らって根元まで寺田の巨根をねじ込まれれば、むしろ自分から進んで挿入を受け入れ、射精口と子宮口が激しく擦れあうヴァギナの奥から煮えたぎった愛液を間欠泉のように噴出させる。
 ―――感じてなんか、感じてなんかァ!!! こんなの嘘だ、悪夢だ、寺田に抱かれるなんて、感じるなんて、そんなわけ、あるはずない、ないんだからぁぁぁ!!!
 イきたくないと強く心に念じても、子宮をつぶさんばかりにゴリゴリ肉棒を深く強く突き刺されては、男のプライドもかなぐり捨てて涙を流して悶絶してしまう。
けれど寺田は一切手加減せずに、むしろさらに腰を加速させて馬身馬身とこうじの恥丘へ腰を叩きつけ、
「そぉら、お待ちかねのザーメンタイムだ。相原は孕みにくいようだな。だが工藤ぉ…お前はどうだぁ〜?」
「ヒッ――――――!?」
 寺田の獰猛な笑みを目にして、何を考えているのかを察した弘二が短く息を呑む。
「いや、いやあああああっ! 抜け、お目外だから抜いてぇぇぇ! 孕みたくない、お前の子供なんて、そんなの、そんなの嫌ァァァ!!!」
「グフフフフ、なかなか良いおマ○コだしな、た〜っぷり種付けしてから相原に返してやる。女になった自分の子供が他の男の種を仕込まれたって知ったら、どう思うかなァ!?」
「許してぇ! なんでもします、だから、だから妊娠は、子供だけはやめてぇ! こんなの、い、いや、離せぇええええええっ!!!」
 最後の気力と体力を振り絞ってもがくけれど、寺田の両腕がこうじを抱きしめて自分の腰の上へと抱きかかえると、
「は、離して、何をす……んんっ!? ん、んむゥウウウ……っ!!!」
 向かい合った姿勢でつながりあったまま、頭の後ろへ手が回され、そのまま強引に唇を奪われる。太いナメクジのような寺田の舌がこうじの唇を割り開いて口内に潜り込むと、身体と躯の間で乳房を押しつぶされながら、発狂したくなるほどの嫌悪感とついに訪れるオルガズムを前にした幸福感とが同時に高鳴る胸を締め上げる。
「ん、ふぅ、んむぅ!!!」
「さあ、出すぞ、工藤。俺の子を孕んだら……クックックッ、その時は毎日犯してやるぞ、おなかの子供が生まれるまでなァ! 出産費用はお前の爆乳を他の男にもませて稼がせてやる!!!」
「許して、許して許して、いやだ、そんなの、ボクは、いや、ァ―――――――――――――――――――!!!」
 イキタクナイ、こんなヤツの精液でなんて……けれど子宮口にめり込むほどに強く真下から肉棒を突き上げられたその瞬間、こうじは自ら寺田の首に腕を回してすがりつき、胸に負けじと豊満なヒップに十本の指先を食い込まされながら、生まれてはじめて自分の身体の奥深くへ熱い体液を注ぎ込まれる快感に泣き濡らした顔を蕩かせ、だらだらとだらしなく涎を滴らせていた―――


 ―*―


 ―――ったく。こうじのヤツ、いったいどこほっつき歩いてんのよ。探し回るこっちの身にもなってよね!
 さすがに八発も搾り取れば、スケベな佐野先生も根を上げる。途中からこうじを待たせているのを思い出し、場所を変えてこっちから積極的に攻め立てて佐野先生の精魂疎宇部手を搾り取ったあたしは、着付けに四苦八苦して着物の乱れを直してから、ずっとこうじを捜し歩いていた。
 待ち合わせの場所にもいない。参道にも、本殿にも、それから佐野先生に犯された裏手の森にも……なんか野外プレイしてる人が大勢痛んだけど、痴漢バスと言い、あたしんちの近所はこんなのばっかりなの!?
「帰っちゃったのかな……でも、電話にも出ないし……」
 時間は既に7時を過ぎている。さすがに少なくはなったものの参拝客はまだ結構いて、この中からこうじ一人を探し出すのはまだまだ骨が折れるだろう。―――と言うか、もう何時間も探してるのに見つからないし、携帯電話をずっと鳴らしてるのに返信が来ないのは、何かあったということなんだろか?
 ―――せっかく今日は、弘二をいじめていじめてエムの気質に目覚めさせてあげようと思ってたのに……
 はっきり言って、女の子になった弘二は男のときと違って受身体質だ。あたしのように女の身体に慣れていないのも原因だろうけど、乱暴にされるほどに男のときのプライドやら何やらで一際敏感になってしまうようだ。
 だから今日はその手のラブホテルで徹底的に苛め抜いて、最後は久しぶりに男に戻ってこうじを逆レイプ(?)するのも面白いな〜って計画を練っていたのに、当のこうじがどこにもいないのでは話にならない。
 ―――しょうがない、もう一度だけグルッと一周してこよう。それでも見つからなかったら一度家に帰って、それから……



 だけど結局、こうじを見つけられはしなかった。
 翌日、そしてさらにその翌日、お正月の間、あたしは何度も部屋と神社とを往復し、こうじを捜し歩いた。そのときに見つけた佐野先生にも「レイプしたことを教○委○会に訴え○ゃいますよ?」と脅迫して色々と手伝ってもらったものの、やっぱりこうじは見つからず……そして失意を感じながら部屋に戻ると、いつの間にかこうじの私物が全てなくなっていた。
「これからは女として幸せに生きていきます」
 そう書かれた手紙を読んだあたしは、既に手遅れであることを悟る。
 あの初詣の日に何があったのか……あの“森”に足を踏み入れたあたしには、そして同じように女としての道を選んだあたしには、何が起きたのかたやすく想像できたからだ。



 不思議と、あれだけ愛おしいと思っていた弘二のことは、冬休みが終わった頃には吹っ切れていた。
 さすがにいまさら男に戻って昔の彼女とよりを戻そうなんて気は起きない。これからも女性、相原たくやとして生きていく。―――その運命を選ばせた“男”の名前は決して忘れられはしない。



 一ヵ月後には、新しい恋人があたしと同じベッドで眠っていた。
 明日香たちと遊びに出ていた街中でなんとなく知り合って、その後で何回かメールをもらって、何回かデートをして、付き合うようになった。すっごく普通に、だけどあたしにとってはものすごく特別な“初恋”をして、今は何もかもが満たされている。怖いぐらいに幸せだ。
 忘れられないと思っていた男の名前は、もうあたしの中で整理されて、アルバムの中に保存されてしまった。そしてそのアルバムも、この新しい人との思い出でやがて埋め尽くされていくだろう。
 そして―――ある日、突然DVDが送られてきた。



『おら、カメラが回ってるんだ。失神なんてしてるんじゃねえ』
 ―――それは、画面越しにも感じるほどに、精液の臭いが溢れかえる部屋だった。
『ァ……ん…ぁ………』
『まったく……あ〜あ、マ○コも開きっぱなしでザーメンたらしまくりじゃねえか。後できちんと掃除しとけよ』
 ―――脱いだ衣服、カップ麺の容器、生活力のある人間が住んでいるとは思えない室内。
『は…はい……わかりました…ご主人…さま……』
『帰るところがないって言うから置いてやってるんだ。まったく役にたたん』
 ―――雨戸が締まった室内は時間が分からない。ただ、薄暗い室内の真ん中で、汚い布団に仰向けに寝そべった“女性”がこちらへ股間を向けている。
『店からマ○コの締りが悪くなってるんじゃないかって言われたが、頭の方が先に壊れてきたようだな。よし、これからは精液便所として売り出すか』
『あは……ありがとうございますぅ……おチ○ポぉ……いっぱい…ボクにぶち込んでねぇ……♪」


 その最初だけを見たあたしは、ズキズキしだしたこめかみを指で揉み解しながら停止ボタンを押していた。
 ―――お正月にとんだお年玉をもらっちゃったみたいね。
 目にしたかつての恋人の痴態に呆れたと溜息をつく。そしてそのままDVDをデッキから抜き取るとゴミ箱に投げ入れた。
 ―――こうじ、お幸せに。あたしにはもう関係のないことなんだから。
 初詣の日に分かれた恋人は、とても遠くにいた。
 ただ、あたしの手の届かないところではあるものの、あたしとは違う“オンナのシアワセ”に手にいれたことを知れて、安堵と引き換えに完全に過去として割り切れてしまっていた―――


43-三十路たくやプレ版「たくやの新生活」-前編へ