30・Rained Out -雨の日に…-(XC3)-前


 その日、夕方から雨が降り出していた。
 朝の天気予報では降水確率10%ほどだったにもかかわらず、夕方のニュースでは激しい雨が一晩中降り続けると言う。そんな言うことをころころ変えるラジオの電源を切ると、雨粒が車体を叩く音だけが明日香の周囲を包み込んだ。
 目の前の車の五台先では、信号が赤に変わったばかり。今の時間帯は車の混雑がひどく、例え信号が青になっても二台か三台分進めればいい方だろう。
 窓の外へ目をやると、急な大雨に傘を持ってこなかった人がずぶ濡れになるのを覚悟で走っていく姿が見える。明日香がハンドルを握る運転席の隣には誰もいない。後部座席も空席だ。三人までなら乗せることも出来るけれど、誰とも知れない相手の濡れた体を愛車のシートに乗せるつもりはない。
 ただ……それが知った顔なら話は別だ。
 今の家に引っ越す前に住んでいたマンションで、何度か顔を合わせたことのある少年が車の横を走り抜けていく。記憶の中では少年と言っても、後ろから前へと通り過ぎていった彼の背中はも立派に男性として成長を見せていた。その背中へ向けて、
「翔君でしょ? 良かったら乗って行かない?」
 青信号に変わり、明日香の車が信号の手前に進むと赤信号に変わる。ブレーキを踏み、助手席の窓を開けると、雨宿りしている少年へ今日は空っぽのシートを勧めるために明日香は声を掛けていた。



 この数日の片桐明日香の心中は複雑だった。獣医として勉強するために海外留学が決まったものの、女の体に変わってしまった恋人のたくやとの関係が微妙だからだ。
 本音を言うと、明日香は自分が戻るまでたくやには待っていて欲しいと願っていた。体が男だから女だからではなく、本当にたくやの事を愛しているからだ。
 だが、最近のたくやの様子がおかしいことにも気付いている……後輩の工藤弘二と肉体関係にあると言うことにも。
 そもそも、たくやを女に変える罠に嵌(は)めたのは弘二だ。その後の篭絡に手を抜くはずもない。明日香と違い、毎日顔を合わせる同じゼミであることを最大限に利用し、今頃は二人きりで残ったゼミ室で肌を重ね合わせていることだろう。
 けれど明日香が二人の関係を責めることは出来なかった。そもそも、海外留学をすると言ってたくやにショックを与えたのは、他ならぬ明日香自身なのだから。
 結果として置き去りにせねばならない相手に最愛の人だと伝えても、その言葉にどれだけの信憑性を持たせることが出来るだろうか? 弘二がたくやの心の隙をついたとしても、たくやの心が自分から離れているのを気付いている明日香にはどうすることも出来ない……いや、別れなければならない明日香は、何もしてはいけないのだ。
 臆病だと思う。本当にたくやのことが好きなら奪い返してでも好きだと言えばいいと何度も思うのに、たくやに明確に拒絶されることが怖くて、ただ見ているしかない。
 明日香の胸の中でたくやがいた場所に、ぽっかりと隙間が開いていた。今はただ、心がとても寂しかった。



 このの数日に小林翔の心中は複雑だった。友人の明の家庭教師、相原たくやに童貞を奪われ、何度か肉体関係を持ったものの、最近はその機会にとんと恵まれないていないからだ。
 父親との二人暮しで母親のいない生活を過ごしている翔は、悪く言えば女性に飢えていた。肉欲の味を一度でも覚えてしまうと、自分の手で性処理することがひどく味気なくなってしまった。どんなに扱いても、たくやの顔とSEXの快感を思い出すと、どうしても射精するまでに至れず、無尽蔵の“若さ”という性欲を日々募らせてしまうのだ。
 その一方で、明がたくやと性行為を重ねていることは見るからに明らかだった。一番の友人がぼんやりしながら頬を緩めているのを見るたびに、激しい嫉妬が胸を焦がす。自分もたくやの感触を知っているだけに、それを独り占めしている明に対して心の中で歯軋りしてしまうのだ。
 こう言っては何だが、翔は女子によくもてた。顔立ちも整っているし、ガキ大将っぽい性格はリーダーシップとして周囲の目に映っていて、告白されたことも一度や二度ではない。今は受験も迫り、明と距離を置くために塾通いをしているが、そこでも勉強そっちのけで近づいてくる女子がいるぐらいだ。
 そんな女子を相手にSEXしたこともある。けれど性欲を発散させる相手を求めているだけの明と、興味本位で初体験しようとしている女子とでは、思い描いているSEXがあまりに異なっていた。特に発育のいい美少女を選んだものの、たくやの身体とは雲泥の差。しかも有り余る性欲をぶちまけようとすると、そのあまりの激しさに耐え切れずについには泣き出されてしまった。
 それ以来、面倒ごとを避けるために同級生には手を出していないが、泣いて許しを請うた女子は今でも翔に付きまとっていた。噂を聞いて翔に興味を持つものも増えた。
 しかし、翔の目には周囲の女子はあまりに子供過ぎた。今の翔には、翔の行為と性欲を全て受け止められるような年上の女性こそが必要なのだ。
 翔の股間はたくやのような女を求めて飢え狂っていた。熱く煮えたぎった精液が、出口を求めて暴れていた。



「――へえ、宮野森を受けるんだ。私も宮野森だったんだよ」
「明日香姉ちゃんも? オレは友達に付き合って受けるんだけどさ……成績が結構キツくって」
「それで塾通い? 大変ね……そう言う私も、最近は留学の準備であれこれと忙しいんだけどね」
「留学!? それって海外だろ。英語喋れるんだ。いいな〜……あ〜あ、オレ、外人だったらよかったのに」
「英語が苦手なんだ」
「苦手なんてもんじゃネーよ。何で日本人なの野外国の言葉を勉強しなきゃいけないんだよって感じ」
「ふふっ、そう言う事を言う子って何処にでもいるものね。でも、今やっとかないと後で大変よ?」
「ゲ〜……やっと塾から解放されたってのに先生みたいなこと言わないでよ」
 そう言って翔が疲れ切った顔で舌を出すと、明日香が小さく吹き出し、続いて翔も照れ臭そうに表情をほころばせる。
 車の進みは急な大雨も手伝って、ひどくゆっくりとしたものだ。街には夜の帳が下り、道路脇の店舗の看板にも明かりが点り始めたけれど、明日香と翔は薄明るい車内を気に留めることもなく、何気ない雑談に花を咲かせていた。
 以前、同じマンションに住んでいた時には口を聞いたことなど数えるほどしかなかった。せいぜい、すれ違う時に挨拶をする程度。――言い換えれば、それだけの関係でしかなかった二人がこうも楽しげに話していられるのは、お互いに相手に自分の考えを悟られないように演技している部分が大きいためでもある。
 ―――この姉ちゃん、ずいぶんと色っぽい格好してるよな。やっぱり遊んでたりするのかな……
 今日の明日香の格好はチューブトップの上にジャケットを羽織り、下はミニのタイトスカート。ただでさえ青少年には刺激の強すぎる服装だが、ハンドルへと腕を伸ばしているせいか乳房は普段よりもボリュームが増して見え、クラッチとアクセルを踏みかえるたびにスカートの裾から艶かましい太股が付け根ギリギリまで覗けている。
 たくやが女になっていると比較されて貧相に思われがちだが、明日香も均整の取れた素晴らしい体つきをしている。確かに量感に置いてはたくやに劣るものの、ギア操作するとDカップの形よい膨らみがプルッと弾んで弾力を主張し、横に座る翔の視線を吸い寄せていた。
 普段から他人の視線を意識した服装をしている明日香だけれど、今にもかぶりつきそうな眼差しで見られた経験はさすがに少ない。平静を装っていると思い込んでいる翔自身は気付いていないかもしれないが、隠し切れないほどの熱を帯びた視線は無遠慮なほどに明日香の身体を嘗め回している。溜まらず太股をキツく閉じ、ジャケットを引き寄せて胸を隠そうとするものの、
 ―――あァ……この子、アソコをあんなに大きくしてる……
 信号で車を停止させ、翔へと顔を向けると、その膨らみはイヤでも明日香の視界へと飛び込んでくる。ズボンのチャックを弾き飛ばしそうなほど盛り上がったその場所は、翔が純真無垢な少年ではなく、明日香を性欲の対象としてみている一匹のオスなのだと宣言しているようなものだ。
 翔は年下ではあるけれど、体の大きさはもう明日香とさして変わらず、ひいては明日香の恋人のたくやとも変わりはしない。けれど青少年の性に飢えたガツガツとした眼差しは明日香にとっては初体験に近く、何日も、何週間もたくやに相手をしてもらえていない身体は恥ずかしさを必死に押し隠しながらも、体の奥に熱いものを広がらせつつあった。
 ―――どうして私、この子を車に乗せたんだろう……
 浮気するつもりなんてない。ただ、助手席に誰もいない寂しさを紛らわせて欲しかっただけなのに、たくやにしか許したことのない身体は急速に翔へ異性を感じ始めていた。
 明日香は処女でもないし、SEXの初心者でもない。けれど、たくやの代用品のような目を翔に向けることがはばかられ、そんなふしだらな思いを断ち切るように視線を正面に向け、ハンドルを握る。
「ねえ、明日香姉ちゃんはSEXしたことある?」
 アクセルを軽く踏み、ギアを操作して車体がスピードに乗り始めると、突然翔はストレートにそう切り出してきた。
「オレ、明日香姉ちゃんとしてみたいんだけど」
「え……!?」
 真っ直ぐ走っていた車が、驚きで一瞬左右に蛇行する。
 それはまだ大人になりきれていないからこその怖さ知らずの無邪気さが言わせた言葉だった。明日香をどうこうしようと言う思惑はなく、ただ純粋に明日香を女と見てSEXをしたいと、子供らしく、そして一人のオスの本能に従った一言だ。
 この時、明日香が“大人”らしい対応をとっていれば、この後の展開も異なっていただろう。しかし、たくやとの仲に迷いを覚え、狭い車内で股間を滾らせた少年と二人っきりと言う状況に恋人がいる身では考えてはいけない“期待”を感じていた明日香は、翔の言葉に無言を貫くことしか出来なかった。
 ―――しょ、しょうがないよね。男の子って、このぐらいの頃はみんなエッチな事ばかり考えてるって言うし……
 胸をバクバクと跳ね上がっている。暗い車内では顔色まで分からないと思うけれど、翔の一言で明日香の顔は真っ赤に火照っていた。飾り気のない真っ直ぐな性欲の対象として見られたことで目眩(めまい)がしそうなほどの恥ずかしさを感じるけれど、今は車を真っ直ぐは知らせることのほうが大事だ。
 何か一言でも口を開けば、ずっと抱えている感情が暴走して、自分でもどうなってしまうか分からなくなっている。導火線に火がついた爆弾のような、胸のうちに困惑だけが大きくなるが、そんな明日香の太股に翔の右手がすっと伸びる。
「だ、ダメ……ッ!」
 車はいつしか、混雑する場所を抜けていた。それでも窓から覗き込まれる可能性が、翔は明日香の太股に指先を滑らせ、ぴったりと閉じ合わせられた内股をなぞり上げるように短いスカートへと入り込んでいく。それと同時に、
「ほら見てよ、これ。明日香姉ちゃんのせいでこんなに……」
「え……翔…くん……?」
 翔の左手がズボンのチャックを下ろし、窮屈な思いをさせていたペ○スを内側から引きずり出す。運転中に脇見をするわけにはいかないが、チラチラと盗み見るだけでも、
 ―――た…拓也のより大きい……
 ずっと年下だと思っていた少年が見せた、恋人よりも雄々しい生殖器。まさかその恋人が女の体で童貞を奪ったペ○スとは露とも知らず、明日香はただ驚き、困惑し、ショーツに包まれた恥丘を撫でる指先に腰を震わせるしかなかった。
「んっ……やめ…ンッ……ダ…ダメ……」
 女の体を知ってはいても、愛撫に慣れてはいない翔の指に、明日香は過敏に……むしろ貪欲なほど反応し、刺激を求めてしまう。拓也との肉体関係がご無沙汰であることに加え、翔を押しとどめるだけの余裕がないせいでもあるが、ショーツ越しに淫裂を揉みしだかれ、布地を食い込ませた縦筋に中指の腹を押し込まれると、座席に乗せたヒップを艶かましくくねらせてしまう。
 どんなに隠そうとしても狭い車内、鼻からこぼれる甘い吐息は翔の耳にも聞こえてしまう。年上の女性が自分の指で快感に炙り焦がれていく様は、経験した回数自体が少ない翔には得も言えぬ興奮を呼び込み、むき出しにした淫茎をビクビクと力強く脈打たせながら明日香の秘所を擦りたててしまう。
「あァ……はっ、はあぁ……誰かに…見られ……んっ! やめて……こん…な……あハァ………」
「大雨が降ってるのに、誰も車の中を覗いたりしないよ。それよりさ、この先のコンビニに車を入れてよ。あそこは広いから……さ」
 言わんとしている事は明日香にも伝わっていた。そのコンビニの駐車場で、翔はSEXしようと明日香に言っているのだ。
 いくらなんでもそんな言葉を聞き入れられるはずがない。しかし不意にスカートの中から翔の手が引き抜かれると、
「明日香姉ちゃんのここ……こんなスゴいことになってるよ」
「あ………ッ!」
 雨の冷たさを含んだ空気が翔の手と入れ替わりに内股とショーツの表面を撫で上げるのを感じながら、明日香の視線は引き抜かれた指先を伝う愛液へと向いてしまう。
「これでもまだ嫌がるの? 結局一度だってオレの手を振り払わなかったのに」
「それ…は……」
 車を運転していたからハンドルから手を離せなかった……そんな言い訳が頭をよぎるけれど、どうしてもイヤなら、車を路肩に停めてでも股間をまさぐる手を止めていたはずだ。それでも弄ばれるがままに甘んじていたのは、欲求不満の体と心が翔との触れ合いを求めてしまったからではないかと、快感に溺れかけていた自分を擁護し、肯定しようとする気持ちが湧き上がってきてしまう。
「なあ、一体どっちなんだよ。SEXするの? しないの?」
「……………」
 一秒でも早くSEXしたいのだろう。脈ありと見た明日香へ追い詰めるように問いを投げつける翔。だが明日香は唇を噛み締め、無言のまま車を走らせる。そして翔の言ったコンビニが近づくとウインカーを点灯し、店先の明かりも届かないような駐車場の端に車を停める。
「………一度だけ……だからね」
 明日香の貞操観念が、少年との肉欲を前にしてゆっくりと崩れ落ちていく。
 エンジンを止めると、途端に車体を打つ雨粒の音がやけに大きく二人を包み込む。シートベルトを外し、どちらからともなく身を寄せ合って唇と舌とを絡めあわせると、翔の左手が明日香の股間へと滑り込み、明日香の右手が翔のペ○スを握り締めた。
 ―――う…わ……スゴい……本当に……年下なの?
 初体験を済ませ、急速に成長した翔の肉棒には、少年だった頃の面影は残っているものの明日香を驚かせるのに十分すぎるほどの大きさと硬さを兼ね備えていた。手の中で脈打つ感触と熱さとに、拓也しか男性を知らない明日香がふしだらな衝撃を覚えていると、ショーツの中へと滑り込んだ翔の指がぬめる淫裂を上下に擦り上げ、恋人以外の男の指を嬉しそうにギュウギュウと締め付ける膣口に人差し指と中指を押し込まれる。
 ―――あ…ああァ……拓也だけだったのに……私…拓也のことが好きなのに……どうしてェ………!
 愛とSEXはそれほどまでに別物なのか……二本の指に膣の内側から粘膜を押し上げられると、明日香の脊髄で隠微な刺激が爆発した。肉棒の先端から溢れ出る先走りを手指に絡ませ、膨れ上がった亀頭を押しつぶすように扱きたてながらも、ジュポジュポと抜き差しされる指の感触に背筋の震えが収まらない。翔とこうして抱き合うことが拓也への裏切りだと分かっているのに、一度火がついた体は痺れるほど乳首を硬く尖らせている乳房を服越しに相手の胸へと押し付けている。
 ―――私、そんなに軽い女じゃ……!
 もしだれかに今の二人の姿を見られたら、どこにも言い訳の余地などない。涎を溢れさせながら舌を絡め合わせる濃密な口づけ一つだけで、明日香が年下の少年と快楽に溺れようとしているのは明らかだった。
 ―――違うの……これは……私が悪いんじゃない……私を放ってる拓也が……拓也が……!
 別の男――そう呼ぶにはまだ幼いが――と互いの唇を絡め合わせながらも、脳裏に拓也の姿が思い描かれる。それを振り払うかのように明日香の手は翔のペ○スを強く握り締め、ズチュズチュとカリ首を抉りたてると、弾けるように翔の頭が後ろへ仰け反った。
「そんなに擦られたら、で、出ちまうよ……!」
「あ……ゴメンね。少し強すぎた?」
「べ…別にこれくらい、どうって事はないけど……」
 虚勢を張る翔だけれど、明日香の手の中で肉棒はせわしなく脈動を繰り返している。そんな上と下とで態度の違う少年を前にして幾分余裕を取り戻した明日香は、それならばとシートに左ひざを乗せて大きく身を乗り出し、助手席に限界を迎えつつある翔の体を押し付ける。
「だったら……続けてもいいよね」
 先走りをとめどなく溢れさせている鈴口を小さな縦筋に沿って親指の腹でなぞり上げる。短く悲鳴を上げて翔がノドを反らすと、明日香は整った顔立ちをしている少年の股間へ顔を覆いかぶせ、そそり立つペ○スを髪の毛を掻き揚げながら頬張ってしまう。
 ―――んッ……匂いも味もキツくて……だけど拓也のより………
 口付けの際に翔の唾液で濡らされた明日香の唇が、それほど使い込まれていない少年の肉茎をなぞり上げていく。顔を上下に動かすたびに涎まみれにされていく肉棒を舌の上に滑らせ、余韻を残すようにゆっくりと吐き出しながら翔の先走りを啜り上げていく。
「あ……スゲッ……やっぱり………」
 翔の震え喜ぶ声に目を細め、亀頭に舌を絡ませる。少年の先走りの味を舌先で掬い取って心行くまで味わうと、唾液と混ぜ合わせてノドの奥へと流し込む。
 ―――ちょっと……しょっぱいな……
 以前は拓也を相手に何度も味わった男性の味……久しぶりの味わいに胸を震わせた明日香は、カリ首に唇を纏わりつかせて小刻みに扱きながら、根元を指で締め上げ、脈打つペ○スの中に溜まった透明な淫液を絞り上げていく。
「あぁ……ダメだ。そんなに激しくされたら……出る、出る……ゥ!」
 切羽詰った声を上げても明日香は顔を振りたてるのをやめようとしない。甘い鼻息を洩らしながら精液が射精口のすぐそこまでせり上がっている肉棒を深く根元まで咥え込む。
「あ……はっ……くゥ………!!!」
 亀頭が膨張し、カリ首の傘がブワッと開く。出る……口内で祖感じたその時、明日香の頭が上から押さえつけられ、肉棒を吐き出す間もなく、若くて熱い精液がノドの奥へと叩きつけられる。
「んっ…んんゥ……」
 形のよい眉が八の字に歪み、柔らかい唇の隙間から口の中に溢れかえる精液がドロッとあふれ出してくる。その雫をこぼさないように懸命にすすり上げると、肉茎の表面に唇をネットリとスライドさせ、射精を終えてもまだ震え続けている先端の敏感な粘膜を舌でこそぎ上げていく。
 ―――口の中に……こんなにいっぱい………
 翔の精液を一滴もこぼさずにペ○スから口を離した明日香は、舌の上でプルプルとゼリーのように震えている濃厚な精液を、出した本人がどうするのかと見つめる前でゴクリ…ゴクリ…とノドを鳴らして飲み下していく。けっして飲精が好きなわけでもない。ただ、拓也よりも大量の精子を明日香の口に出してくれた翔への愛おしさから、むせ返りそうなほど青臭い精液をノドの奥へと流し込んでしまう。
「は…ァ……ふふッ………ちょっとだけこぼれちゃった……」
 白い体液が一滴だけ、一息をついた明日香の唇の端からアゴの先へと滴り落ちていく。それを拭いもせずにぼんやりとしている翔へと視線を戻すと、明日香はジャケットを脱いで肩と胸元を大胆に露わにしたチューブトップをさらけ出す。
「明日香……姉ちゃん……」
 一人で処理する時よりも、同級生の女子を抱いた時よりも、何倍も凄まじかった射精の興奮が収まりつつあるのに、翔のペ○スは痛いぐらいに勃起していた。そして蜜の匂いに引き寄せられる昆虫のように明日香へと手を伸ばすと、助手席から生唾を飲んで見つめていた乳房をグッと力を込めて揉みしだく。
「あ………」
 たどたどしい手つきで乳房が揉みしだかれるほどに、ぴりぴりとした刺激が明日香の神経を刺激する。艶のある声は雨音にかき消される中、服越しに乳首を探り当てられ、もどかしい感覚に体を震わせながら翔を抱きしめてしまう。
「ねえ……私とSEXしたいんだよね……」
 耳の奥をとろかせるような声で囁くと、胸に鼻先をうずめた翔がコクンと頷く。本番が近づくにつれ、徐々に緊張を増していく年下の男の子の頭をやさしく抱きかかえると、拓也に身も心も預けたときとは異なる興奮の昂ぶりに、少年のペ○スを欲しがってしまっているヴァギナからグチャリと生々しい音を響かせた―――


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