26・もうすぐ夏も終わるけど帰省ネタ-2


 気が緩んでいた……理由をつければ、そうなのだろう。
 子供の頃の思い出に刻まれた自然豊かな場所。あたしが女だからと言って好色の目を向ける男性は誰も……いや、ご高齢でありながらも精神的にまだまだ現役盛りな人が若干いたけれど、街中に比べれば微々たるもの。
 久しぶりに味わう精神的な開放感。それは何事にも変えがたい心地よいものであり、だからあたしは……思い出の中だけにいた相手に求められ、その唇を受け入れてしまったんだと思う。
 それは暑い夏がもたらした気の緩み……ゲンちゃんに求められるがままに抱き合う行為はただそれだけのことなのだと、口付けにうっとりと表情を蕩かせながら自分に言い聞かせなければいけなかった。



 ―――ん……ぁ……先っぽに……ああぁ………
 「痛いのはイヤ」と言うあたしの願いを聞き入れて、ゲンちゃんは自分が大岩に腰掛けて、その腰の上にあたしを座らせた。捲り上げたワンピースから露わになったあたしの股間と、大きく膨れ上がったゲンちゃんの短パンとを押し付けあうように体を寄せると、唇を触れ合わせるようなキスを何度も繰り返していた。
 抑えきれない性欲を必死に堪えるように、決してあたしを傷つけない控えめなキス。互いに相手を求めているのに、唇を境に越えてはいけない一線があるかのような求愛に心の中でクスッと小さく笑いを漏らすけれど、身体のほうはお預けが出来ていない……農作業でゴツゴツになった手の平がワンピースの膨らみを大きく揉み回し、指先でコリコリとブラに覆われていない先端への刺激を繰り返す。
「本当に女になったんだな。都会ってなんか……スゲェな、色々と」
「こ、こういうのはあたしの周囲だけなんだけど……ん、あんゥ!」
 大岩に背中を貼り付けて体に傾きを付け、あたしとの間に距離を作るゲンちゃん。そうしてから両手の指をいっぱいに広げて左右からあたしの胸に掴みかかるとワンピースにシワが出来るのにも構わず寄せ上げ、出来上がった深い谷間に鼻先を突っ込んで弾力と温もりとを顔全体で味わいに来る。
「性転換したって聞いたけどさ、全然女と変わらないんだな。詰め物とかしてるんじゃないんだろ? 本当に……あのタクヤのおっぱいが、こんなに柔らかいなんて……」
「あ…あたしは……こんな胸…邪魔で…しょうが……あ、あぁ……ん、や…やめ…あ…あああ……ッ!」
 手の平には到底収まりきらないバストを弄びながら、その他にまで顔を左右に小さく振る。十本の指は乳房を絞るように深く食い込み、痛みが疼きに変わって体の芯を震わせると、跳ねた下腹部が短パンを挟んで押し付けられた肉棒と擦れ、更なる呻きをあたしの喉から押し上げさせる。
「変な気分だよ……昔のお前はちゃんとチ○チンあったのによ。全然ないんだから……ああ、頭がおかしくなりそうだ。タ、タクヤ、挿れていいか……ッて、イテェ!」
 挿入を求めてきたゲンちゃんの額に、あたしは火照った顔をムスッと膨らませ、でこピンを食らわせた。
「そう言うことは女の子に訊くもんじゃないの! ちゃ、ちゃんと雰囲気で察しなさい!」
「じゃ…じゃあいいんだイテェ!」
「まだ始めたばっかりなのよ? ちゃんと愛してあげてからそう言う事を考えてよ………もう」
 強気の言葉を返すけれど、心の動揺は隠しきれない。
 挿れられる。抱かれる。挿入されて……子供の頃を見知った相手と一つに結ばれてしまう。そう考えただけであたしの心はいとも容易く平静を保てなくなり、背筋に冷たいものを感じながらも手指の感触を深い場所にまで刻み込まれた乳房は火照りを帯びていく。
 ―――ん……ッ………
 緊張でカラカラに渇いたノドへ気付かれないように唾液を流し込む。もし気付かれたら……込み上げる恐さの意味が分からぬままに男の腰の上で怯えていると、あたしの頬にゲンちゃんの手が触れてくる。
「お前……本当にタクヤなんだよな?」
「………さっきも同じような事を訊いたじゃない」
「分かってるけどよ……今でも信じられねーんだ。こんなに美人になってるなんて……考えてもいなかったから」
「………バカ。そう言うことも……女性には言わないものなんだから」
 大きな手の平に挟まれ、ゲンちゃんの身体から立ち上る太陽と土の臭いに包まれながら、あたしは体を前に倒してネットリと口付けを交わす。唇が触れ合うだけのキスでも押し付けるだけのキスでもない。豊かに膨らんでしまった乳房を逞しい胸板に押し付け、浅く開いた唇から突き出した舌を絡めあう興奮を昂ぶらせる愛撫のようなキス……唇から唾液が溢れてアゴがヌルヌルになっても気にしない。あたしはゲンちゃんの首に腕を回し、ゲンちゃんはあたしの背中に腕を回し、傍らから響いてくるせせらぎの音を掻き消すようにクチュ…ピチャ…と唾液の弾ぜる音を打ち鳴らす。
 ―――……ッあ! 手が……お尻に………!
 あたしの着ているワンピースはノースリーブではあるものの、大胆に肌を露出しているわけではない。ゲンちゃんの大きな手の平は、あたしの抱きしめ心地を確かめるように涼しげな水色の生地に覆われた背中を伝い降りてゆき、捲くれ上がったスカートの中に入り込んであたしのお尻を撫で回し始める。
 拒めない。
 絡まりあった舌が解けぬまま、お尻にざらつく手の平が這い回ると荒く鼻から息を漏らしてしまう。両の手の平に撫で回されるのに対してあたしは無言のまま、体重を分厚い胸板に預け、クンッと揉みしだきやすいように軽くお尻を突き上げる。
「ン………ンウッ!」
 太い指が尻タブを掴み、捏ね、大きく円を描くように揉み回した後、ショーツに覆い隠されたアナルにツンッと触れる。決して愛撫のためではなく、あたしのお尻の弾力や形を確かめるぎこちない手指の動きは女性に触れることに慣れていない……けれど唇を離して熱い息を吐き出すと、思いもかけず大きな反応を見せたあたしを驚きに近い表情で見上げているゲンちゃんの赤く腫れた額に唇を吸いつかせる。
「オレ……変態じゃないよな?」
 あたしが身体を起こすと、左手はあたしの太股を抑え、右手だけがまた乳房へと伸びる。そして青い衣服の下で張り詰めている膨らみを何度も何度もこね回し、あたしの顔ではなく膨らみを見つめたまま口を開く。
「タクヤが男だって分かってるのによ……頭の中がグチャグチャになってる。全身からスゲェいい香りがするしてかいだだけでチ○ポが収まらなくなるし、柔らかくて、温かくて、オレ、オレ……!」
 押し付けあっている股間からは力強い脈動が伝わってきている。それも仕方ないのかも……今はともかく昔のあたしをよく知っているだけに、心のどこかにブレーキがかかりっぱなしで一時的にストレスがかかってしまっているのだろう。もし最初にあたしが踏みとどまらせずに美女を前にして暴走する本能のままにSEXしていれば簡単に踏み越えられていたであろう抵抗が、時間をかけてお互いを確かめあっている内に勢いを失ってしまい、あたしとこのまま肌を重ねるのか否かの選択肢の間でゲンちゃんを揺れ動かせているのだ。
「………じゃあ、確かめてみる?」
 思わず口に出た言葉を再度耳が聞き取り、何度も頭の中で反芻してその意味を理解すると、唇を動かせてから少しタイムラグを置いてからあたしの顔は熱く火照っていく。
 幼馴染とも言える子供の頃の友人に、あたしは何を言った?―――何度も自問自答しながらも、あたしの手は30センチと離れていないゲンちゃんの顔の前でワンピースを肌蹴て白く輝く乳房をまろび出させる。
「お……おお…ッ………!」
「やんッ……息が…くすぐったいよ……」
 もう…あたしじゃあたしを止められない……荒く熱い呼吸を繰り返しながら、恥ずかしさから二つの膨らみを覆っていた両腕をゆっくりと解き、ブラをつけていない丸々と盛り上がった乳房を前へと突き出してしまう。
 ―――み…見られてるだけで……ァ……んクゥ……こんなに近い距離で、マジマジと見つめられて、ダ…ダメェ……早く何かしてくれなきゃ……声が…声が漏れちゃうゥ………!
 ゴクッと音を鳴らして唾液を飲み込んだ喉を反り返らせる。一度上を向いた視線を恐る恐る下へと向ければ、ゲンちゃんはピクピクと震えている乳房の先端の前で大きく口を開き、熱い湿り気を帯びた吐息をハァ…ハァ…と吐きかけていた。
「や……やっぱり…ダ………メェ!!!」
 今度の長い時間は、あたしの心を後一歩のところで下がらせようとする……だって、男の人が呼気を荒く乱していると、何度も何度も辱めを受けた記憶が蘇り、直前で素に戻りかけてしまったのだから。
 だけどそれも一歩遅かった。あのブラを抜き取ったおじいさんの血を引いているだけあってゲンちゃんも十分スケベ……大きく股間を脈打たせてあたしの恥丘に振動を送り込むと、たわわなバストへ顔をうずめるように吸い付いてきて、今度は衣服を挟む事無く直接、うっすらと滲んだ汗で湿った柔肌に指を食い込ませてくる。
「あっ…あああ……んぁあああ……ッ! さ、先っぽは敏感…なの……だから…もっと……や…さし…くゥン!」
「ンムッ、ンムムムムムムゥ!!!」
「喋るのダメッ、ダメッ、ダメェ――――――ッ!!!」
 柔らかい乳肉を吸い込むように頬張ったゲンちゃんの舌が、刺激を受けた途端に飛び出して自己主張を始めた乳首をコロコロと転がす。首を右に左によじるたびに吸引されたままの巨乳も引っ張られ、それでも口を離さぬまま鼻で乱れた呼吸をしながら鋭敏になりすぎている突起を執拗なまでになぞり上げ、嘗め回す。
「は…あっ、くふッ……!」
 右を吸えば左を吸う……そして唾液まみれにされた膨らみには下から掬い上げるように何度も何度もこね回され、それでも飽き足らずにかぶりつくように歯を噛みたててくるほどの暴走ぶり。決して痛みを感じないギリギリにまでゲンちゃんの固い歯が食い込むと、そのまま胸を噛み千切られるかもしれないと早合点した身体がビクビクと震えてしまい、そしてスッ…と離れられると、小さくも鋭い痛みが引くのと同時に、
「あ………ッ…………」
 緊縮していた全身の筋肉が一気に緩んでしまい、締め付け続けていなければならないアソコの筋肉まで一緒に緩んで……お漏らししたと誤解されてもおかしくないほどの愛液を膣口から溢れさせてしまう。そして、そのすぐ後に再び硬い歯がとても頬張りきれるものではない乳房の膨らみの上をすべり、硬質な感触で膨らみ中にゾクゾクと背筋を震わせる快感のラインを描かれてゆく。
「んッ……あァ……くすぐっ……はァ………!」
 ピクッと小さく頭を跳ね上げる。ゲンちゃんの両手があたしの乳房に張り付いたかと思うと、少しずつ少しずつ指先に力を加えて乳肉を絞り上げていく。当然出ない母乳の代わりの搾り出された乳肉に未だ興奮冷めやらぬゲンちゃんは再び口を開いて吸い付いてくると、あたしはゲンちゃんの頭を抱きかかえながら首と背中とを大きく反り返らせていく。
「ゲン…ちゃん……いい…よ……吸ってて……そのまま……はァん…♪ 胸が…胸が……、ッ――――――――――――!!!」
 指が食い込みすぎていびつに歪んだ乳房を震わせながら、子供の頃をよく知る相手の腰の上で芯まで十分に火照らされた全身をビクビクと小刻みに波打たせる。
 ―――んッ…んううううううゥ〜〜〜〜〜〜!!!
 声を上げたくない……軽いアクメに突入する寸前に反射的に心の奥底から沸きあがった感情が喘ぐごとを拒否してしまう。自分の右手で唇を塞ぎ、木漏れ日の差し込む枝葉の天蓋へ向けてどこまでも嬌声を迸らせたい欲求に駆られてしまうけれど……寸前のところで誰かに聞かれてしまうかもしれないと言う思いが勝ってしまったのだ。
「タクヤ………」
 あたしがイってしまった事を見て取ったゲンちゃんは、それ以上口を開かなかった……その余裕がなかっただけかもしれない。もう膝から下に力が入らなくなっているあたしを川原の地面に立たせると、自らの手でチャックを開き、大きく硬く充血した肉棒をズボンの中から引っ張り出す。それを見て、フラフラしながらもワンピースの裾に手を差し入れたあたしも、ゲンちゃんの視線を感じながらもショーツを脱ぎ落としてしまう。
「……確かめる必要なんて…ないよ…ね………」
 もたれかかっていた岩から身体を起こしたゲンちゃんは今にも崩れ落ちそうなあたしを抱きしめて唇を奪うと、体を入れかえてあたしに岩へ手を突かせる。
 言葉は要らない……二人ともお互いを肉欲の対象と完全に定めてしまい、ワンピースを捲り上げられるだけでも背筋が悦びで震えそうになる。そんなあたしの股間にゲンちゃんはいきり立ったペ○スを擦りつけ、何度も膣口の位置を確認してから、ズブズブとあたしの膣内へ亀頭を埋め込んできた。
「あ………!」
 胸だけでイかされた時には押しとどめられた喘ぎが、意外に思うほど大きくあたしの喉から迸る。
 ―――思って頼りも……ずっと大きいィ……!
 体を入れかえる前に目にした肉棒の大きさから覚悟していた快感よりも、何倍も強烈な快感が擦れあう亀頭と粘膜からもたらされる。身体を支える腕に力を込め、今にも抜け落ちそうな膝を何とか支えながらも、ズンッと重たい一撃が膣の奥に到達してしまうと、必死になって繋ぎとめていた意識が弾け跳んでしまいそうになる。
 ―――……違う……あたしのおマ○コが…し、締まりすぎてるから………
 キツく緊縮する膣内に埋め込まれたペ○スのくびれどころか血管の位置までわかってしまうほどに、お互いの性器は余す事無く密着していた。幼馴染のガキ大将に犯されてしまったと言うショックはないわけではないけれど、繋がってしまった性器をヒクッ…ヒクッ…と蠢かせるたびに、あたしの胸の鼓動は早鐘のように高鳴っていく。
 そして全身に波紋のように広がっていく胸の高鳴りは、あたしの体の奥にある“スイッチ”を入れ、舌を向いた乳房を小刻みに震わせ、飲み込んでしまったペ○スに吸い付くように膣壁を収縮させてしまう。
「ああぁ………」
 歓喜に震えるその声がどちらの唇から溢れたのか判らない。けれどゲンちゃんはカリ首を敏感な膣壁に引っかからせながら引き抜くと、グッと力を込めてあたしのお尻を引き寄せ、深々と亀頭を膣奥へと叩きつけてくる。
「ふぁああああッ! ま、待って、いきなり…は…激し…すぎるゥ……! く…あッ、そこォ…! 当たる…奥に……はッ…ふ、はァアアアアアァン!!!」
 ―――おチ○チンが……抜ける…抜け落ちちゃう……そんなにギリギリまで引き抜いておいて……んはァ! う、後ろから…一番深いところに、と…届いちゃうゥ! ゲンちゃんのペ○スが、あたしの奥に、おマ○コに―――ッ!!!
 前後に揺り動かされるヒップの上に、何度も暑い雫が滴り落ちてくる。―――雨じゃない。あたしもゲンちゃんも互いに全身から汗を噴き出しながら、離れ離れになっていた十年の間に感じられなかった温もりを求めて身体を激しくぶつけ合う。おマ○コからどんなに愛液が掻き出されても構わない。折り重なる肉ヒダを掻き毟るような激しいストロークにポルチオを突き上げられてビクビクと下肢を痙攣させながらも、根元から先端まで余す事無く締め上げ、愛おしさがあふれ出してとまらないゲンちゃんの肉棒を何度も何度も膣肉で味わってしまう。
「た…タクヤのおマ○コ……スゴくヌルヌルで……お前、本当に女なんだな…女に…なったんだな……」
「うん……あたし………“女”なの…ゲンちゃんに犯されて……滅茶苦茶にされて……それでも悦んじゃう、イ…イヤらしい“女”なの………」
 快感に声を震わせながら、頭の中が混乱したままなのに溢れる想いを乗せた言葉をそのまま口にしてしまう。
「だから……ゲンちゃんの好きに犯して? 今だけは……あたしがここにいる間だけは、あたし、ずっと、ずっと“女”でいるから……♪」
 思い出が愛おしさに変わり、そしてさらに“愛”に変わる……ほんの少しの時間だけ女になっているあたしの想いが、勘違いかも間違いなのかもしれないけれど、今はどうだっていい。一度アクメを迎えて過剰なまでに過敏になっている淫乱なメスの身体を震わせると、膣全体の粘膜を収縮させ、子宮口を付き上げてくるペ○スを吸い上げ、早く精液が欲しいとねだるように絞り上げる。
「オレも……タクヤが好きだ。一目見た時から……子供の頃から、ずっと、ずっと!」
「ちょうしばっかり…い…いいんだか…らァ! は…ッ、ふぁ、あ…ひ、ィ、ゲンちゃんの、ああッ、お…想いが、おマ○コに、あ…はあッ、ひ、ひぅんムウウウゥ〜〜〜!!!」
 喘いでいる最中に背後から抱き着いてきたゲンちゃんがあたしの首を強引に振り返らせ、唇を塞ぐ。グッグッと力強い押し込みで痙攣の収まらない子宮口を肉棒が擦りあげてくると、もう限界……乱暴にゲンちゃんの戒めを振りほどいてノドを反り返らせたあたしは、これまでずっと抑え込んできた衝動を全て解き放ち、木々が風に揺らされる音と水のせせらぎとが鳴り響く川原の真ん中で、身も心も一つになった相手に抱かれる喜びを声にして迸らせてしまう。
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!」
 もう誰かに気付かれたっていい……ゲンちゃんと繋がっているところを見られたって構わない。収縮がキツすぎて足元の砂利にまで愛液を飛び散らせるほど泣き悶えながら、絶頂へと何度も駆け上り、そのたびに頭の中に真っ白い火花を飛び散らせながら、熱く煮えたぎったヴァギナへさらに熱い精液を撒き散らされるのを感じとる。
「タクヤァアアアアアアア!!!」
「は…ひィ! お…お腹に…いっぱい………ぁ……流れ込んで……ゲンちゃんの…が…ぁ………!」
 抉るように子宮口に密着した亀頭は、ヒクついている胎内をたっぷりと満たすほど大量に精液を迸らせていた。愛液でヌルヌルだった太股にも結合部から溢れてしまった白濁液が伝い落ち、その量はあたしの身体が打ち震えるたびに量を増していく。
 ………あたし……男の人に抱かれて……どうしてこんなに嬉しいんだろう………
 長く尾を引く絶頂の余韻……むき出しの乳房を岩に押し付けるように身体を預け、まどろみの中で何度も考えても……胸の奥から、そして膣の奥から込み上げてくる悦びを説明できる言葉をあたしは一つも思いつけない。
 ただ、わかっている事は一つだけある。
「あ……まだ……抜かないで………」
 萎えようとしているペ○スを愛液と精液であふれかえった膣内から引き抜こうとするのを押し留めると、
「もっと……して欲しいの………あなたに………」
 涙で潤んだ瞳をそっと伏せると、肩越しに振り返りながら小さく唇を突き出す。それにゲンちゃんも応えてくれる。
 ドクンドクンと膣内で脈打ちながら勢いを取り戻していくおチ○チンが、あたしが元々男だったことも気にしていない何よりの証。……すっかり“女”になってしまったのか、かなりとんでもない事を考えているのに、触れ合う唇の舌には今にも溢れ出そうなほどの笑みが満ちている。
 ―――あたしは……いや、もういっか。
 何度も言葉にすることじゃない。言葉よりも雄弁に語るものがある………そんな口付けを受け入れながら、すっかり雄々しさを取り戻したペ○スを、あたしのヴァギナはスペルマにまみれた膣壁でキュッと締め上げた。
 ―――が、
「……え? ちょっと待って、なに…何?…こ、これって………!?」








「―――それじゃ父さん、気をつけて帰ってね。一人だからって寄り道しちゃダメよ?」
 小さな子供のように扱われて父さんが表情をしかめるけれど、ま、これもしばらく遭えなくなる娘からの気遣いだ。
 法事が終われば、夏休み中はこちらに残っている予定のあたしとは違い、一家の大黒柱として働かなければならない父さんはいつまでもこっちに残っているわけにもいかない。あたしを一人で残すのが心配ではあるようだけれど………父さんの中であたしはかなりのおっちょこちょいのドジっ子設定になっているらしい。
「義母さんによろしくね。お土産と洗濯物は宅配便で送っておくから。んじゃ」
 別れを惜しむ父さんをバスに押し込み、運転手さんに合図。するとかなり待ちぼうけを食わされていたバスはすかさず扉を閉め、エンジンをふかしてその場を走り去ってしまった。
「………ん〜! これでようやく羽を伸ばせるゥ〜〜〜♪」
 毎朝毎晩父さんと顔をあわせていると、今はもう一人の“女”になってしまったと言うのに、いつまで経っても今までのあたしから変われやしない。
 もっとも村中が顔見知りの親戚のような村だ。自分勝手に振舞いすぎて悪い噂を立てられて村八分にされるつもりもない。―――なにしろこの村は、父だけではなくあたしにとっても大切な意味を持つ故郷になるかも知れないのだから。
 既に一週間前になるゲンちゃんと性交している最中での体の異変………それはあたしの身体が完全に女になった事を示す証だった。
 一言で言うと、血が出た。判りやすく言うと、ついにあたしにも生理が始まってしまったのだ。
 この事を昔の恩師に相談したところ、過度のストレスから開放されたのが原因で、あたしの中で“女”としての機能が目覚め始めたのではないだろうかと説明された。まあ……相談と言う手前、昔馴染みの友達とエッチしてしまった事も話したのだろうけれど、生理の話とあわせて何か色々と気付かれてしまった様でもある。
 ―――でも、女でいることにそんなにストレスに感じていたなんてね……
 女である事を拒否し続ける事と、女である事を受け入れる事……言われてみれば、今の方が随分と身体が軽くなったように感じる。空気の良い自然に溢れた環境に身をおいたこともストレスを解消させて身体が女になる一助になったのだろう。
 そんなわけで、あたしは名実共に身も心も女になってしまったわけだ。
 女になってしまう薬の影響のせいか、それとも体の機能まで女に目覚めたせいか、今では男に戻ることへの執着も消えてしまっていた。このまま女として生きていくことへも何の抵抗もない。
 いずれ、今も大学で研究してくれている麻美先輩や千里にも相談して先の事を決めなければいけないだろうけど、今のあたしは……あの場所へ向かう事で頭がいっぱいになってしまっていた。
 ―――父さんが帰るこの日まで、落ち着いて考えてみようって二人で決めて……

 考えなければいけないことはたくさんあった。あの時、全てを振り切って勢いに身を任せてもよかったけれど、だけどあの日は身体を離してしまった。
 近づくほどに胸が高鳴る。
 踏み出すほどに身体の奥から火照りが込み上げる。
 足を止め、深呼吸を繰り返して心の中に出来た大きな壁をじっくりと見つめた一週間―――繰り返し、ずっと頭の中で自問し続けてきたけれど、あたしの答えは一週間前となんら変わることはなかった。
 海外に留学した明日香の事を考えても、男性と結ばれる事を考えても、あたしの胸を震わせる想いを変える事は出来なかったのだ。
 ―――車も通れる道から脇へと入り、川原へと降りる。
 サンダルで小さな砂利を踏みしめ、約束の場所へと近づいていく……自分の“女”を受け入れ、そして受け入れてもらえたあの場所へ。
 あたしの思い出は、今のあたしが作り出した新しい“思い出”に塗り替えられていく。
 後ろにではなく前に。過去にではなく未来にでもなく、今あの場所に。あたしを待っていてくれるあの人がいる。
 だからあたしは、その場で一度足を止めるとワンピースをその場で脱ぎ、セミの声がうるさくて、川の冷たい空気を含んだ風のくすぐったい“思い出”の川原で、生まれたままの姿をさらけ出してあの人のところへ近づいていく。
 ―――あたしはここから“女”になっていく………二人で。





 あたしの夏はまだ終わらない。
 この人の腕の中で抱かれるたびに、夏の暑さはあたしの身体を通り抜けていく―――


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