21これも愛?一歩間違えばストーカー?(XC2)後編


「んふぅぅぅ……!」
 舌を女の縦筋へ滑らせるたびに、頭上からは甘ったるく鼻を鳴らす音が聞こえ、絡み付いてくる愛液の量が増していく。
 ―――ここまで濡れやすい女も初めてだな。
 滑らかな肌触りの女の両脚を肩に担いで撫で回しながら、ふっくらと盛り上がった女の秘所にむしゃぶりつく。溢れ出る愛液をピチャピチャと音を立ててすすり上げ、キュッと窄まったままの膣口を入念に突きほぐすと、しとどに濡れる股間や電車の中で俺の肉棒にむしゃぶりついてきた淫乱さとは裏腹に、女は切なげに喘ぎながらもどこか硬い反応を見せていた。
 ―――自分でパンツを咥えるような女に、何を考えてるんだか。
 いくらすすっても尽きる事のない愛液の泉から顔を上げると、俺は女の淫裂に指を二本揃えてあてがった。指先で陰唇を割り開き、膣口をトントンとノックすると、上げた視線の先で自分の股間から脱いだ紐パンを唇から垂れ下げている女と視線が合う。
「フッ……ぅぅぅン………」
 電車の中で余計な声を出さないため……と言う理由はわかるが、自分の手でミニスカートをめくり上げて俺にクンニをせがむような女が、丸めて口へ捻じ込まれるでもなく、下着の一片だけを唇に挟んでいる姿は、どこか間の抜けた頭の悪い女にしか見えない。―――が、
「んぅうん……!」
 ―――そうやって喘いでくれる姿がたまらない。
 キツく締め上げている膣口へズリュッと指を押し込むと、女の頭が跳ね、それに合わせて口の下着も紐の先端を跳ね上げる。どんなに快感を堪えようとしても、口にしている下着の紐がセンサーのように女のわずかな身動ぎにも反応する。
 蜜壷の奥へ指を侵入させて肉壁を擦ると、紐の先端は激しく揺れ、ふいごのように激しく鼻を鳴らして腰を蠢かせた。明日香では恥じらいが強すぎて愛撫の反応は最初の方は未だにぎこちないが、この女のように愛撫の一つ一つに反応してくれる方が俺にとっては好ましい。赤く火照った顔に苦悶にも似た表情を浮かべ、必死に我慢しているのに泡立った愛液が指へ絡みついているのは隠しようがなく、このまま指だけでイき狂わせて見たい欲求がふつふつと沸き起こってきてしまう。
「んうッ、くゥ〜〜〜………!」
 けれど今は電車の中。周囲に気を使いながら責め立てている上に時間制限つきだ。不意にすぐ後ろの座席にいるサラリーマンが目を覚ましはしないか、それとも他の誰かに気付かれはしないかと言うスリリングな状況に興奮を隠せないでいるこの女を時間をかけてゆっくりとイき狂わせてみたいけれど、今日のところはそうもいかない。
 ―――まあいいさ。だったらここで俺の事を忘れられなくして、お楽しみは次回にでも……
 考えただけで、跪いた脚の間でおっ立っているペニスに震えが走る。女にさせるのならともかく自分が局部をさらけ出して喜ぶような性癖は持っていないはずなのだが、ヴァギナの中で軽く折り曲げた指で濡れそぼった蜜壷の内側を擦り立てると頭上から聞こえてくる荒い鼻息を耳にしていると、熱く焼けた鉄の棒のように熱を帯びた男根が疲れも忘れて充血していくのを抑えられなくなってしまう。
 ―――まだだ。せめて一度、この女をイかせてからじゃないと……!
 股間が脈打つほどに下腹部に広がる痛みに急かされる様に、俺はクリトリスに吸い付いた。そして大量の蜜にまみれた指を抽送しながら舌と唇を使ってクリトリスの皮を向き、ツルッとした肉の真珠を嘗め回す。
「んぅうぅ…! ん、むぅぅ……んふぅぅぅん……!」
 俺は電車の一区間の間でイかされ、それなのに攻守を入れ替えて既に二区間を過ぎてもこの女をイかせられないでいる。明日香と犯ってきた後でイきにくいと言うアドバンテージを持ちながら、やすやすとイかされて傷つけられたプライドを癒すためにも、多少乱暴にしてでも、電車の中で嬉しそうにおマ○コをヒクつかせているこの女をイかせなければ気がすまない。
 だがそれもあと少しだ。自分のパンツを口にしている女の顔からはメガネがずれ、俺の指を突き立てられているヴァギナをうねらせながら熱い愛液を大量に噴き出している。痙攣する陰唇には白く泡立った淫液が纏わりつき、ヒーターが入って暖かい座席には大きな染みまで作っている。
 このまま一気にイかせてやる……興奮したと息を女のクリトリスへ吐きかけながら、俺の手は直線的な動きでヴァギナを攪拌する。手首をひねり、指先で膣壁を抉り、垂れ下がった下着の紐が一番揺れる―――この女の一番感じる膣天井の一点を執拗なまでに責め立てた。
「んウッ! んッ、ふゥ、んんッ、ん…んゥゥゥ――――――ッ!」
 女の身体がギュンと反り、自分でノーブラだと言った乳房を大きく前へ突き出してくる。女が震わせる腰の動きに座席が軋みを上げ床にひざまずいた俺の足の上に淫汁を撒き散らしながら、指を食いちぎらんばかりにヴァギナが指を締め付けてくる。
 ―――ちょ……なんて締まりだよ。今チ○ポを突っ込んだら、どんな感じなんだよ、これ……!?
 恥骨の裏側を摩擦しながら、ペ○スにズキンと痛みが走る。差し入れた指全体から伝わる感覚が股間へと伝わるや否や、目の前で股間を振りたてている女へ挿入した時の事を考えてしまい、反り勃つ肉棒が一気に膨張して我慢汁が射精に先走って込み上げてくる。
 明日香のヴァギナと比較するまでもないほどの名器振りを目の前にし、口の中にたまった女の淫液と共に唾を飲み込むと、俺は―――
『次は□△駅〜』
「―――――――――!?」
 夢中になって淫乱女の股間を嘗め回していた俺の耳に、車内アナウンスの声が飛び込んでくる。あと少しで目の前の女をイかせてしまえると言うのに、俺の舌と手は電車が減速するのに合わせて動きが鈍くなってしまう。
 ―――クソッ、またかよ……!
 進行方向へと向けた背中に、人に見られるかもしれないと言うプレッシャーがかかると、後一歩と言うところで何も出来なくなる。人に見られるかもしれないという緊張の中で相手を昇りつめさせるのがどれほど興奮を昂ぶらせるのかは知識としては知っているけれど、目の前でヒクヒクと震えるおマ○コがあっても、それ以上弄ぶ事が出来ずに膣内を擦りたてていた指も引き抜いてしまう。
「……も〜、またなの? あとちょっとでイけそうだったのにぃ〜」
「う、うるさいな。ちょっとタイミングが悪かっただけじゃないか」
 電車がホームへ滑り込む頃には、俺は一旦立ち上がって女の向かいの座席へ座り直していた。カチカチに硬くなった肉棒はズボンの中にしまう事が出来ず、自分のカバンで窓の外から見えないように隠すが、口に咥えていた下着を離した女は非難の眼差しを隠そうともしない。
 ―――これじゃ俺が意気地なしみたいじゃないかよ!
 気持ちを奮い立たせようとするけれど、電車が止まるまでに窓の外に一人二人と人の姿を見つけてしまうと、接着剤で貼り付けられたように尻が座席から離れない。俺たちのいる車両には誰も乗ってこなかったが、まさに犯しごろのいい女が目の前にいるのに歯軋りしながら視線をそらせる事しか出来なかった。
 ―――ホテルのベッドの上なら、今ごろ何度もヒィヒィ言わせてやってるのに……!
 電車の中での行為に怖気づいている自分を否定するように、暗い室内でのSEXでこの女を舌と指だけで何度もイかせてしまう妄想にふける。けれど現実には、俺の方がお預けを食っているみたいにカバンの影で赤く腫れ上がったペ○スが脈動を繰り返していて、なんとも情けない姿を晒していた。
「そんなに恥ずかしいの? 見てる人、だ〜れもいないのに」
「………! だ…だったら今晩、俺に付き合えよ。泣いて許してって言わせてみせるぜ」
 自信はある。今までに明日かも含めて何人もの女で遊んできた経験から、この清純そうなかわいらしい外見とは裏腹に感じやすくて濡れやすいメガネ女を何度もイかせてやれると、そう確信を得ていた。……だが実際には、
「パス。お兄さんと楽しむより、友達と遊ぶ方が気持ちよさそうだもん。今ここであたしを満足させてくれなきゃ、付いてってあげられないな〜」
 ―――弄ばれてるのは、俺の方なのかよ!?
 女は楽しそうにクスクス笑いながら、ノーパンを恥らう様子もなく座ったまま足を伸ばし、俺の股間を爪先でまさぐり出した。さっき口でイかされて十分ほどしか経っていないのに、靴を脱いだばかりで温もりを帯びた女の足の指先がズボン越しに股下をくすぐられると、情けなくも震えの駆け抜けたペ○スから透明な汁が噴き出そうになってしまう。
 ―――何考えてるんだよ、この女!?
 再び動き出した電車が暗いトンネルに入っても、女の足は俺の股間をまさぐる事をやめなかった。このまま足でイかされるのではないかとも情けない想像が脳裏によぎるが、いくらなんでもさっき口でイかされたばかり。童貞でもあるまいし、そんな簡単にイかされはしない……と思う。
「ふふふ……出したばっかだけど、もう十分精液はたまってるみたいね」
 ―――俺をからかって楽しんでるのかよ。だったら、俺にだって考えが……!
 怒りもあったと思う。けれどそれ以上にメガネのレンズ越しに女が向けている視線に背筋を震わせるほどの興奮を覚えてしまった俺は、なけなしのプライドを守る為に勢いよく立ち上がろうとして……先に立ち上がった女に視界をさえぎられて立てなくなってしまう。
「準備が出来てるみたいだからもう少し楽しませてもらうわよ。もちろん、あなたの彼女さんには内緒でね♪」
 女がその場でクルッと回転し、俺にミニスカートに包まれた形の良いヒップを向ける。
 一瞬手を伸ばしていいものかと迷っていると、太股の上に置いてペ○スを隠していたカバンを引き剥がされる。空気に敏感になっている局部を撫でられて下半身を震わせる暇もなく、女は中腰になると今まで自分が据わっていた座席に上半身を倒し、こっちに向けて突き出した尻の谷間をいきり立っている股間に擦り付けてきた。
 ―――パイズリならぬ尻ズリか!?
「んっ…ふぅ……入れるのは…NGだもんね……あ、はぁ〜……♪」俺のペ○スと女の尻の谷間が擦れあうとすぐに、女の唇から満足そうな甘い声が漏れる。
 ―――けど、これは俺のほうも……ただ擦られてるだけなのに……!
 亀頭の裏筋とアナルの窄まりが互いの溝を絡ませるように擦れあうたびに、快感を押さえ込もうと全身を緊縮させる。心臓の鼓動がペ○スの脈動がドクンドクンと強まる中、クンニリングスで谷間へ滴ってきた愛液と大量の我慢汁を潤滑液にして女の張りのあるヒップは滑らかに上下運動を繰り返す。明日香では望めなかったパイズリだが、スカートの下でペ○スに吸い付くような質感を持つ二つの膨らみにペ○スを擦られる快感はそんな不満を何処かへと吹き飛ばしてしまい、気付けば俺は自分の据わる座席に手を突いて腰を浮かせ、より密着してこすれあう角度に肉棒を突き出していた。
 ―――待てって……ここまできたら、普通は入れさせるだろ!
 ヒップの膨らみが左右からカリ首を締め上げ、不覚にも声を上げそうになるが、全理性を総動員して何とか飲み込む。女の腰が下がるたびに射精口をくすぐるスカートの布地にどれだけの先走りをくっつけているか分からなくなるほどに、甘い快感は俺の意識を蝕み、このまま尻の谷間に射精したいという誘惑に囚われていく。
 ―――ここまで来て、そんな情けない終わり方が出来るか!
 急速に高まる射精衝動を男の意地と噛み締める唇の痛みで無理やり押さえ込むと、大量の粘液のおかげで心地よい摩擦をもたらしてくれるヒップから大きく腰を引き離し、スカートの下から姿を現したペ○スの先端を女の割れ目へと擦りつける。
「んああッ! ダ、ダメだってば。彼女、いるんでしょ? そっち入れたら浮気になっちゃうぅ…!」
 ここまでしておいて浮気も何もあったものじゃないと思うが、魅惑的なヒップをくねらせるこの女を犯せるのなら浮気でも痴漢でもしていいと思うほどに、噴き出るギリギリまでにまで精液が込み上げてきている。
 そもそも明日香とも身体がメインの関係だ。大学で他の女を抱いている俺からすれば、今さら浮気も何もあったものじゃない。勃起を握り、スカートをめくり上げて下半身をむき出しにしてやった女の膣口へ亀頭の先を押し込み始めた今になっても罪悪感はなく、むしろヴァギナを割り開いて少しずつ肉棒をねじ込んでいく感触に、胸が震えるほどの征服感で首の後ろが痛いほど興奮の火照りを帯びていく。
「ダメだって…言ってるのに……イヤじゃ…ないけど……悪いから…って、ああ、それ以上はダメだってばァ!」
 ダメと言われて、男はそうそう止まれるものじゃない。亀頭を膣粘膜に包み込まれただけで射精して、女の膣内に精液を撒き散らしてしまいそうだった。女を初めて知ってからのここ数年、味わったことのない快感と興奮を味わっていると、不意にチュポンと音を立ててペ○スが蜜壷から抜け落ちてしまった。
「そんなに気持ちよくなりたいなら……もっと気持ちいいことしてあげる……♪」
 身体を預けていた座席に手を突いて体を起こし、俺の腰と女のおマ○コとの間に距離が作られる。一瞬の事でどうしてペ○スが抜けたのか理解できない間に、腰を浮かせてさらにヒップを高く持ち上げた女は頭を大きく下げて両脚の間から俺のペ○スを見つめ―――
「はあうッ!」
 先端に女の膣内の感触の残る肉棒を突然太股に挟み込まれてしまい、たまらず口から情けない声が迸ってしまう。
 ―――す…素股か……!?
 太股と股間とで三方から締め付けられた肉棒が膣内にいない事は確かだった。女に左手を添えられて左右から張りのある太股に締め付けられると、ヴァギナとはまた異なる圧迫感に息をするだけでイってしまいそうなほどペ○スが痙攣してしまう。
「こっちだとあたしもコリが擦れちゃうの……ねえ、あたしのこと、イかせてくれる?」
「そ…そしたら、イかせたらお前のおマ○コに入れてもいいか?」
「う〜ん……しょうがないなぁ。一回だけなら。でも彼女さんには内緒よ?」
 だったら話は決まりだ。
 尻の谷間よりも締め付けがあると言っても、所詮素股は素股だ。大きく深呼吸をして射精欲求を落ち着かせると、女の背中に覆いかぶさるように身をかがめて女が横向きに頭を押し付けている座席へ両手を突く。
 ―――少し窮屈だけど、動けないほどじゃ……
 早く早くとせがむ女を余所に呼吸を整えた俺は、ローション代わりに大量の愛液にまみれている女の股間からズルッとペ○スを引きずりだし、そのまますぐに太股の間にペ○スを打ち付ける。
「クっ……うぅぅ………ッ!」
 想像をあっさり上回る快感だった……5センチほどの短いストロークでのピストンなのにすさまじい快感がペ○スを駆け巡り、一度は落ち着いたはずの射精衝動が急速に沸きあがってくる。柔らかさを感じさせるヒップの谷間よりも太股の内側の張りは一際強く、腕の三倍といわれる脚の筋力はヴァギナより強くカリ首を締め上げてきた。ペ○スの上側に吸い付く陰唇からあふれ出る愛液で滑りがよくなっているはずなのに、そのあまりの締め付けの為に腰を引く事さえおぼつかない。強引に腰を引こうとすればカリ首から先が持っていかれてしまいそうな密着感と圧迫感は、締まりがいいと思っていた明日香のヴァギナよりも上を行っている。
 そこへさらに女が添えていた左手が亀頭を中心に這い回る。素股では肌となかなか触れ合えず快感の薄い亀頭の先端へ指先をあてがい、射精口を擦りたてて裏筋をなぞってくるのだ。
「あっ、あっ、クリ、引っかかる、おチ○チンにゴリゴリ引っかかってるぅ〜……もっと、ねえもっと速く動いて、おチ○チンで、あたしのをゴリゴリ擦ってよぉ……♪」
 射精したいのを歯を食いしばって堪えている俺へさらに鞭打つような言葉が甘い声で囁かれる……が、動けば動くほど、股の間を突けば突くほどに、まるでさっきの言葉で催眠術にかかったかのように腰が勝手に激しく動いてしまい、電車の中である事も忘れて女の股の間を擦り上げてしまう。
 ペ○スを挟み込む充血した陰唇を乱暴に摩擦し、膨れ上がった亀頭のカリが包皮からむき出しになったクリトリスを掻き毟る。俺の腰へヒップを突き出す女の身体にはピクピクと震えが走り、鼻を鳴らして次第に荒げられていく小さな声には絶頂が近い事を感じさせる色を帯びていく。
 けれど同様に俺の方も限界が近い。ペ○スの先端から股下までの人繋がりが引きつるように緊縮し、押し止めている精液が射精感を破裂させんばかりに膨れ上がって巨大な圧迫感になっている。辛うじて射精を堪えられているのは、やっと訪れた相手を屈服させるチャンスを手放したくない一心によるものであり、例え誰かに気付かれようが電車が駅に到着しようが、女の割れ目を擦るのを辞めるつもりは毛頭なかった。
「ハァ…スゴい、ビクビクしてるおチ○チンが、クリに引っかかって、あたしも、イっちゃいそう、気持ち、いいよぉ〜……♪」
 快感に震える声を漏らしながら、また一段と女の太股に力が込められる。ただでさえ限界が近かった俺にとって、さらに増した密着感と肉圧は堪え様もないほどに甘美な快感をもたらし、カウントダウンを止められなくなった射精の瞬間に向けてがむしゃらに腰を振りたてる………が、
「―――!?」
 突然視界が明るくなる……電車が地下鉄を抜け、駅のホームへと滑り込んだのだ。
 背中から前へ、照明に白く明るく照らし出されたホームの光景が視界の端に流れていく。幸い誰もホームにはおらず、一瞬のためらいを感じた後には羞恥心を振り切って、女の丸々としたヒップに擦り付けるように股間を突き、太股の間を掻き回す。
 ―――出す…ぞ。電車の中で、このまま、女の股に……クソォ、何で俺、こんなに興奮してるんだよ!
 今にも俺の胸と女の背中が擦れあいそうなほどに身体を屈め、体重を掛けて女の股の間を貫き、クリトリスを掻き毟る。明日香の膣内にベッドの上で出し捲くり、組み伏せている女の唇に搾り取られ、最後の最後まで残って煮詰められた濃厚な精液が、ブレーキをかけて止まろうとする電車とは真逆に動きを加速する肉棒の内側を駆け上っていく。
「んッ、んっんうゥ……イくの? イっちゃうんでしょう? あたしはもうちょっとなのにぃ……そんな我慢できずに出しちゃうエッチなお兄さんには、罰としても〜っといい事してあげちゃおっかなぁ〜…♪」
「なッ……うあ………ッ!」
 女の横顔に背筋が震えるような淫蕩な笑みが浮かんだ瞬間、俺のペ○スはよじれた足の間にカリ首を締め上げられ、一瞬で頭の中が絶頂快感で真っ白になる。
 右へ、左へ、ブレーキ音が響く車内でグチャグチャとペ○スと太股の擦れあう音が響くほどに、女は狭い空間と腰とを巧みに使って、やや単調だった素股の快感に強烈過ぎるほど新鮮な刺激をもたらし始める。強弱をつける絶妙な締め付けは精液を搾り取るように肉棒を絞り上げそのあまりにも極上の摩擦に耐え切れなくなって俺はついにアゴを突き出して身をのけぞらせてしまう。……その瞬間、
『ヒッ………!?』
 停車した電車の外側に、残業の帰りなのだろうか、OLらしい一人の女の姿を見つけてしまう。立っているのは俺たちのすぐ横。最後に一際強く腰をぶつけ、肉棒の先端から堪えに堪えてきた精液を撃ち放った、その瞬間の事だった。
 ―――やべっ……とまら、ない……!
 こんな状況じゃなければ視姦していたであろう美人に見られながら、太股に挟まれたままの男根から二度、三度と濃厚な精液を車内に撒き散らす。ガラス越しとは言え、すぐ傍で見知らぬ美人に見られているのに、射精は収まるどころかますます勢いを増していく。
 どこにそれほどの精力が残っていたのかと思うほどにペ○スは脈動を繰り返し、見られ続けるほどにますます股間が滾ってしまう。窓の外の美人の信じられないものを見たという風な驚きの表情をかすむ目で見つめながら、俺は血管が脈打つペ○スを愛液で濡れそぼった脚の間からズルッと引き抜いた。
「あン………♪」
 最後までクリトリスが亀頭に引っかかる。それでも強引に腰を引くと、淫核が弾けるのと同時にグッタリしている女の口から快感に打ち震える蕩けた声が漏れ、それを耳にしたからではないが勃起をまだ維持しているペ○スがガラスの外へ逞しさを誇示するようにビンッと頭を跳ね上げた。
『……………!!』
 ―――何やっているんだ。完全に変質者だぞ、チ○ポを見せて喜ぶなんて……露出狂じゃあるまいし!
 けれど心中とは裏腹に、女性の目を釘付けにしている俺の自慢の息子は、今にも萎えそうなほど疲れ果てているはずなのに大きくそそり立ったままだ。そして衝動に突き動かされるがままに、愛液の染み込んだ肉茎を尻を突き出したまま動かないメガネの女の尻の谷間へとこすり付けている。
「ッ……ぅ………!」
 食いしばった歯の間から声が漏れる。さすがに脚ほどの筋力はないものの、この女のヒップの張りと吸い付くような柔らかさは絶品だった。一滴余さず射精しつくして痙攣を繰り返すペ○スには溶け合うような心地よさがあまりにも心地よく、次第に俺は窓の外にいる女性のことも忘れて谷間にズリズリとペ○スを往復させていた。
「ふふっ……そんなにあたしのお尻が気にいった?」
 どれだけそうしていただろうか。既に電車が暗いトンネルの中を走っていることにも気付かずに萎えて硬さを失ったペ○スを鷲掴みに下ヒップへ押し付けていた俺は、女の声を聞いてようやく我に戻った。
「けど残念だったな〜。彼女さんといっぱいエッチしてきたお兄さんなら、あたしを満足させてくれるまで腰を振ってくれるって思ってたのに。あともうちょっと……だったね」
 ―――ウソだろ?
 恥じらいの表情を浮かべて身体を起こす女にダメ出しされて自分の耳を疑ってしまう。てっきり相手も満足してイっていると思っていたのだけれど、俺も初体験の素股の快感で我を忘れていたので、さすがに絶対にイったとは言い切れなかった。
 だったらもう1ラウンド……と挑みたいところだが、さすがにもう限界だ。目の前にこれだけ極上の美少女がいても、他人に見られることで勃起を保ち続けていたペ○スも今はダランと垂れ下がってしまっている。必死に勃起しようと時折ビクッビクッと脈打ってはいるが、一休みしなければ……と思っていると、
「それじゃまたまた攻守交替ね。今度はあたしがお兄さんで楽しませてもらおッかな♪」
 興奮と恥じらいで赤く染まった顔にトロンとした表情を浮かべ、女は座席に腰掛けている俺の上へと跨ってきた。とっさに言葉を放とうとした俺の口はノーブラだと自分で言っていたあの巨乳に押し塞がれてしまい、まだ萎えたままのペ○スを握り締められて湿った割れ目へ押し付けられても何も抵抗できなかった。
 ―――ちょ、ちょっと待て!
「あ……はァああああああぁん♪」
 ―――挿入するのは浮気じゃなかったのかよぉ〜〜〜〜〜〜!?
 心で叫んだ精子の言葉は当然女には聞こえはしない。それどころか、俺の腰へ跨って座席の背もたれから頭を出しているはずなのに、女は声を抑えるどころか車内中に響き渡るほどの大きさで喘ぎ声を迸らせた。
「あっ、あッ、おチ○チン、柔らかいままだよ。ほらァ……早く硬くしないと、あたしのおマ○コで、押しつぶしちゃうんだか…ら…あああぁ……♪」
 言われるまでもなく、女のヴァギナに扱かれて刺激を受けたペ○スは体力に関係なく次第に硬度を帯びていく。だが……硬くなるほどに、俺は女の胸にうずめた口から苦悶に近い声を溢れさせてしまう。
「ああァん、届いてる、子宮のゴリゴリしてるの、おチ○チンが、おマ○コの奥に当たってるのォ〜〜!!!」
 ―――さっきの素股より……明日香のおマ○コよりも………くあああっ!!!
 ペ○スを包み込んだ甘く激しい快感に、一度は力尽きたはずの勃起が天を突くように硬くなっていく。締め付けは言うまでもなく、肉ヒダの一枚一枚に至るまでペ○スに吸い付いてくるようで、まるで無数の舌先に同時に嘗め回されているような快感に、精液を吐きつくしたはずの股間の奥にまで痺れが突き抜ける。
 ―――こんな名器の女……今までに、あったこともないぞ!
 明日香も含めて今まで抱いてきた女と比べても、今貫いているヴァギナの感触が群を抜いていた。女の全体重が結合部の一点へと圧し掛かるたびに奥へ奥へと吸い上げるようにヴァギナが蠢動してペ○スを受け止める。俺の耳をくすぐる甘い声で、そのたびに女がどれだけ感じているかは手に取るようだ。けれど顔をうずめている乳房の柔らかさとは違って力強く肉棒を締め上げる蜜壷に、声も出せないまま快感に背筋を震わせてしまう。
 ―――今までで……間違いなく最高のおマ○コだ!
 服越しに華へと流れ込んでくる胸の谷間の汗の香りを胸いっぱいに吸い込んだ俺は、無意識の内に女のヒップに手を伸ばしていた。そして女の腰の動きにあわせてペ○スを突き上げ、一気に興奮して膨張していく亀頭を女の膣奥へと叩きつける。
 目の前の女に溺れようとしているのに、惚れている筈の明日香への罪悪感は微塵も感じない。両手で指を食い込ませるようにヒップをこね回し、先端の感覚しかなくなってきたペ○スを根元まで突き入れておマ○コの奥をこね回しても、明日香の顔どころかさっきまでこの腕に抱きしめた体温さえ思い出せなくなっていた。
「………好きだ。愛してる、愛してるよ! だからこのまま―――!!!」
 このまま犯させてくれ……そう最後まで言葉を発せないほど感極まってしまった俺は、腰を大きく振りたくっていた女の身体を両腕で抱きしめ、そのまま身をよじって電車の通路へと倒れこむ。
「きゃうンッ!」
「ハァ、ハァ、最高のおマ○コだ、俺のチ○ポを締め付けて、なんてイヤらしいおマ○コをしているんだ!」
 もう誰に見られようが構わない。変態扱いされても構わない。仰向けになっても形の崩れる事のない巨乳に再び顔をうずめると、狂ったように腰を振り、何度も何度も、目の前の女を俺だけのものにするのを邪魔する壁だとでも言いたげに子宮口を暴れ狂うペ○スで突き上げる。
「はぁあああぁぁぁ!!! ダメェ、そんな、激しいのォ!!! そ、そんな、突かないでェ……力、抜けて……イっちゃう、電車の真ん中で、イっちゃう、イっちゃうぅ〜〜〜〜〜〜!!!」
「俺も、このまま中に……お前のおマ○コに射精して、妊娠させて、う、あぁあああああっ!!!」
 女を抱きしめる腕に力を込め、ヒクヒクと震えている射精口を絶頂へと突入した女の子宮の入り口へと密着させる。押し込み、放たれる精液全てが女の胎内に流し込んで妊娠させる……男が女の征服するもっともシンプルな方法を本能に従って選択した俺は、抉らんばかりにペ○スをヴァギナへと押し込んだ。
 そして、
「―――――――――――――――――――――――ッ!!!」
 女に覆いかぶさったままペ○スが脈動する。股間からペ○スへと引き攣るように緊縮し、女の肉壁に包み込まれたまま絶頂へと昇りつめる。
 抜く事なんて考えない。避妊なんてする必要もない。極太の快感に背筋を伸び上がらせた俺は破裂しそうなほど震えるペ○スにグッと力を込めて突き刺し、体中がバラバラになりそうな恐怖からすがりつくように女を抱きしめた。
 ―――だが、射精は出来なかった。
「あぁあぁぁぁ……スゴい…彼女さんには毎晩こんなに激しいエッチしてあげてるんだぁ……ふふふ、合格点♪」
 何で射精できなかったのか、いつまでも昂ぶったままの性欲を噴き上げて発散する事が出来ずに俺が悶えていると、女は胸にうずめていた俺の顔を両手で挟んで持ち上げ、メガネが当たらないように額へ唇を押し付ける。
「子宮でペ○スを感じちゃった……このキスはそのお礼とご褒美。それじゃあね〜♪」
 ―――え、ちょ、待てよ。何で俺……イけなかったんだよ……行くなよ、俺、お前の事が好きなのに……
 女は未だに射精できずに痙攣を繰り返している俺のペ○スを腰をずらしてヴァギナから抜くと、何事もなかったかのように立ち上がる。ようやくこの手に抱きしめたと思ったのに、あまりにドライに離れていく名前も知らない女に手を伸ばすけれど、その手は届くことなく、空しく宙を掻いただけだった。
「残念でしたぁ♪ あたしに中出ししたかったようだけど、今日は玉切れになっちゃったみたいね。持久力と精液に難有りかな?」
「そ…んな……クソッ、そんなはず、俺がたったの二回や三回で……!」
 ―――ちくしょう……最初は俺の方が肉体関係だけだって、遊ぶだけだって思ってたはずなのに!
 立ち上がって追いすがろうとするけれど、痛みを訴えるほどの射精のない絶頂に腰の力が抜け落ちてすぐには動けなくなっていた。それでも座席の手すりにすがり付いて身体を起こそうとしていると、電車がまた別の液のホームへと滑り込んでいった。
「それじゃあね、あたしはここで降りるから」
「なっ……ま、街まで行くんじゃなかったのか!?」
「あたし、そんなこと言ったっけ? 今日はね……ふふふ、言ったら怒られそうだから教えてあげないよ〜だ♪ ま、楽しむだけなら別に街まで出なくたって……ね?」
 女の言葉が意味するところは察しがつく。SEXするのはホテルだけではなく、誰かの部屋でもいいと言うことだ。
 だがいっそ、そんな事実に気付かない方がよかったのかもしれない。せっかく最高の女に出会えたのに、それを他の男に弄ばれる事に激しい嫉妬を覚えてしまい、自分の事を棚に置いて怒り狂ってしまいそうになる。
「エッチは浮気じゃなくても、本気のキスと中出しはダメ。それじゃあね♪」
 座席にすがりつくように身体を起こすと、ちょうど電車がまた別のホームへと滑り込む。まだ繁華街に出る駅ではないが、女は服の乱れを直すと俺に背を向け……そして振り返った。
「最後の本番はするつもりなかったんだけど、出しつくしたっぽかったし、中出しされなかったら浮気じゃないし。だから次合う時に本気じゃなかったらまたしてあげる」
 ―――こっちはもう本気になってるのに……そんな約束できるかよ。
 けれど俺の股間は正直だ。もう勃起するだけの余力もないのに、女に微笑まれて“次に…”と言われただけでビクッと大きく脈打ってしまう。
「ふふふ……気持ちいいだけのエッチ、お兄さんとだったらしてあげてもいいな……♪」
 ゆっくりと静香に停車する電車の中、俺を見下ろしていた女は俺の目の前に屈み込むと、いつの間にかポケットの中にしまいこんでいた紐パンを俺のむき出しの股間へと掛け被せる。
「これはその時に返してね、お気に入りのパンツなんだから。んじゃ、彼女さんを大切にね♪」
 最後に、チュッと唇を押し付けた人差し指を俺の唇へ押し付けると、ほんの二十分ほどで俺を虜にした女は立ち上がりながら身をひるがえす……その拍子に膝上のミニスカートが浮き上がり、その下からあの形よく最高の感触だったヒップを俺の目の前にさらけ出した。
「………む、見たでしょ、このスケベ。ベ〜ッだ!」
 見たのは不可抗力だったのだけれど、女は浮き上がったスカートを手で押さえ、可愛らしい仕草で俺に向けて舌を出すと、電車の扉が閉まる前にホームへと飛び出していった。
 ―――あの女……次にあったら、絶対に朝まで………!
 何とか座席へ腰を降ろすと、しばらくは立ち上がれそうにない。窓の外で手を振る女を見えなくなるまで目で追いながら残して言った下着を握り締めると、いつの間にか乗客が俺一人しかいなくなった電車の中で、思わず目にしたスカートの下を思い浮かべ、股間を痛いぐらいに疼かせていた……









「ええ〜〜〜!? 明日香、彼氏と別れたの!? てか、彼氏できてたの!?」
「声が大きい!」
 思わず叫んでしまったあたしの顔の安中に明日香の拳が突き込まれる。……これはちょっと、女の子にはあんまりな仕打ちじゃないですか?
 昼休み、あたしは朝から機嫌の悪かった明日香をなだめすかし、何とか事情を聞きだしていた。直接被害にあっているのがあたし一人とは言え、クラスの実力者でもある明日香の機嫌が悪いと周囲も緊張しっぱなしで体に悪く、それゆえ幼なじみのあたしが猛獣に素手で餌をやるような一番危険な役を押し付けられる事になったのだ。
 ………まあ、別れた事を大きな声で叫んじゃったんだから、今回は殴られても仕方ないか。けど華が、いたたたた……
 幸い、あたしの声は思うほど大きくなかったようで昼食の喧騒にまぎれて霞み、教室の角席だったこともあって他の誰にも気付かれてはいない。情報魔の由美子あたりは聞き耳を立てているのかもしれないけれど、遅かれ早かれバレるのだ。そっちは気にしないでおこう。
「………で、何で別れちゃったのよ。あたしには明日香の悪いとこなんて思いつかないんだけどなぁ……」
「私だって知らないわよ……ただ、最近の彼、変だったから……」
「変って?」
 声を小さくして明日香に顔を寄せると、歯に衣着せぬことの多い幼なじみには珍しく言いよどむ。それでも顔を赤らめ、教室にいるクラスメートを気にしながら、あたしと体が触れ合うぐらいに耳へ口を寄せてくると、
「あの……回数が………ね」
 とだけ言葉を搾り出した。
「回数って……?」
「だからその……エッチの………こういうこと言ったら、たくや、気分を悪くしない?」
 なるほど、言いよどんでいたのはあたしに遠慮してたわけか。そりゃまあ、明日香の元彼ではありますけど……ううん、ちょっと微妙だ。他の男に明日香がされてる話を聞かされるなんて……けどここは、我慢、しなくちゃいけないんだよねぇ……
「あたしは、まあ大丈夫だから、恥ずかしがらずに話してみ」
「うん……えっとね、その彼なんだけど、会える回数も少なかったんだけど、会っても全然してくれなくなって、してくれても上の空って感じで……そ、それにね、迫ってきてくれたと思ったら、で、で、電車でしようだなんて言うのよ。お母さんにも内緒なのに、外でって、そんなの………!」
「明日香落ちいついて、どうどう」
「わ、私、そんな変態じゃないもん、一生懸命してあげてたのに、恥ずかしいことも、好きだから頑張って、そ…それなのにィ〜………!」
 涙をにじませるほど感情を昂ぶらせ、それでも必死に抑えた声で明日香が愚痴を漏らす。これ以上喋らせたら本気泣きされそうだと感じたあたしは、話はここで終わりだと明日香の肩を叩く。
「気にしない気にしない。明日香にだったらすぐに新しい恋人が出来るって。なんだったらあたしが紹介してあげようか?」
「………それはちょっと複雑なんだけど」
 うわ、なんかものすごく微妙な顔されてる!
「たくや、最初の彼氏が性転換しちゃった私の気持ち、本当に分かってる?……はぁ〜、何で私ってこんなに男運がないんだろ……ま、その気持ちは嬉しいんだけど素直に喜べないわ」
「み、耳が痛いです……じゃあ今日は二人で買い物に行ってパ〜ッとカラオケにでも行って遊ぼっか。美由紀さんやケイトも誘ってさ」
 でもって、
「考えようによっては、そんな変態男と別れられてラッキーだったかもしれないじゃない。明日香がよければさ、新しい恋人探し、あたしも手伝ってあげる。女になっちゃったんだもん、街でいい男を捜すなら一人より二人でしょ♪」
「いいわよ別に……そんなにすぐに恋人なんて……まだ気持ちの整理もついてないのに……」
「ま〜っかせなさい! 明日香が前の男を吹っ切れちゃうようないい男、元彼の名誉にかけてあたしが見つけてあげるから♪」
 胸を叩いてそう宣言する。……なにも根拠のない自信でそう言っている訳じゃない。その証拠に、机の横に引っ掛けたカバンからメガネケースを取り出し、最近作った伊達メガネを掛けて見せる。
「どうこれ、この秘密兵器? 松永先生の見立てで作ってもらったの」
「どうって……何を言えばいいのか、私にはわかんないんだけど……」
「分かってないな〜。メガネをかければ魅力度アップは当社比120%! このマル秘アイテムでどんな男だって誘惑してあげちゃうんだから♪」
 データと経験に裏付けられた魅惑アイテムのメガネに、たまたまこちらに目を向けた男子たちから「オオッ」と歓声が上がる一方で、明日香はさらにビミョ〜ッな表情を浮かべた。
「もういい。あんたに話した私が馬鹿だった。あんた一人で好きなだけ男の人を誘惑してきなさい、そのメガネでね、フンッ!」
「あ〜、怒らないでよ。幼なじみじゃない、元彼じゃない、愛してるわよ明日香ぁ〜」
「あんたみたいな元男の幼なじみの助けなんて誰が借りるもんですか! 私は自分で、女になったりしない彼氏をちゃんと見つけるんだから!」
「さみし〜こといわないでさぁ、もっと頼ってぇ〜。……だから今日は私服に着替えてからあたしのバイト先に集合ね♪」
「か、勝手に決めるなぁ〜〜〜!!!」
 ………ま、何はともあれ、明日香も元気になったし、めでたしめでたしかな?



 悪者になるのはあたしでいい。
 明日香があたしの事を忘れて幸せになってくれるのなら、それが一番だと思う。それが明日香と別れてしまったあたしへの罰だとも思う。
 だから今は、明日香が明日香らしく笑っていてくれるように、あたしはあたしでして上げられる事を何でもしてあげるのだ。
 いつか来るその日まで、明日香に一番近い場所でずっと、ずっと……


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