19火照るたくやのさらけだす興奮(3)−後編


「―――ありがと。ここまででいいわ」
 公園も新しければトイレも新しい。落書きだらけどころかペンキ塗り立てみたいな手入れの行き届いている公衆トイレの前まで連れてきてもらうと、あたしはもたれかかっていた男子学生の胸を手で押して体を離した。
「え……でも……」
 何かを期待していた――あたしからも期待させられていた――男の子は逞しい体つきとは裏腹に情けない声を上げる。どんなに強そうに見えてもまだまだ中身は子供なんだとわかると、そのギャップに笑みを浮かべてしまう。
「キミ、何か誤解してない? 女性がお手洗いに来たのに中にまで付いてくる気だったの?」
「それは……ちょ、調子が悪そうだったから……」
「歩けないほどじゃないわよ。君が支えてくれてたから十分休めたしね。それとも―――見たいの?」
 あえて「なに」とは訊かない。あたしも経験済みだけれど、このぐらいの年頃ならちょっと刺激してあげるだけで頭の中はエッチな事ばかりになってしまうのだ。
 ここまで来る間にも、あたしを抱き支える手には力がこもり、視線はシャツを大きく押し上げているあたしの胸へ釘付けになっていた。いっそ道から逸れて茂みの奥へと誘惑してしまえれば、この子も心置きなくあたしへ襲い掛かってきたのだろうけれど……いくら人が少なくても、見晴らしのいいトイレのまん前では、理性を突き破れるほど興奮を昂ぶらせるのは無理だろう。
「どうなの? もしかして……変な事を考えてる? ダメよ、そう言ういけないこと」
「でも……でも……」
 ―――ああぁ…こういう葛藤してる男の子って可愛いかも。あたしも女になる前はこんな感じだったのかな……
 宮野森の学生だった頃の自分を目の前の男の事を重ね合わせてしまうと、なにか堪らない気分が込み上げてきてしまう。誘惑して滅茶苦茶になるほど童貞のおチ○チンを弄んであげてしまいたくなるけれど、それはグッと我慢……今は、別のことで楽しむ為にこの場にいるんだから……
「ほら、友達を待たせてるんでしょ。あたしはもう大丈夫だから帰ってもいいわよ」
「ぅ………」
「くれぐれも言っておくけど、覗きは犯罪よ。イけないことなんだから、これから先はあたしについてきちゃダメだからね」
 あたしの見立てどおり、犯罪と言われてまで無理についてくるような性格ではないようだ。念を押すと何か言いすがろうとするけれど、結局何も言い返せず肩を落とし、その場にしょんぼり立ち尽くす。そんな彼の様子に背筋が震えるものを感じながら、あたしは未練をかんじさせないように背を向け、トイレへと向かい……そのまま、トイレの建物の横を通り、裏側へと回りこんだ。
 ―――ここなら適度に人目はないけど、回りから見えないわけじゃない……
 おそらくはトイレの建物を公園にいる人の視界から、意識して捜せば見つかる程度に隠すためだろう。裏手は背の高い木々と茂みとに囲まれており、夏の日差しも幾分さえぎられて薄暗くなっていた。それでも茂みの内側からは公園で憩いのひと時を過ごす人の姿を確かめられるほどに隙間が空いており、これからやろうとしている事を考えると、見られる可能性を拭いきれずに羞恥の心を抱いてしまう。
 ―――そういえばあの子……追いかけてきてくれなかったのかな……
 建物の影からトイレの正面のほうを覗き見るけれど、あの宮野森の学生の子はいなくなっていた。せめてあたしの後輩の十分の一でも押しの強さがあったら…と思わないでもない。
 ―――でもま、あたしの当初の目的はこっちなわけなんだし……
 茂みの中でリビドーを爆発させた年下の子に……なんて事を考えていたんだけれど、世の中、何事も上手く行くわけじゃない。そのことはきっぱりと忘れ、あたしは下半身を覆い隠すような高さの茂みの中で、ゆっくりとスカートをたくし上げていった。
 ―――やっぱり……スゴく濡れてる。こんなにドロドロになってるなんて……
 トイレの外壁に背中を預けて下腹部を露出させると、二度のアクメを迎えたその場所はネットリとした愛液に覆われていた。太ももの内側を伝い落ちるほどの濡れ具合に胸を詰まらせながら火照った吐息を吐き出すと、あたしは右手の指先で愛液をすくい、冷たいジュースの缶に擦られてすっかり硬くなってしまったクリトリスにたっぷりとなすりつけた。
「あう…んゥ……」
 家を出てからノーパンのスカートの中でずっとヒクヒクしていたクリトリスは、触れただけで甘美な電流を全身に駆け巡らせる。身をよじり、鼻を鳴らし、達してしまいそうな刺激に何とか耐え切ると、あたしは意を決して脚を肩幅に広げ、男の人の視線を引き寄せていたミニスカートをめくり上げる。
「ぁ……スゴ………」
 前へ突き出した下腹部は、二度のアクメを迎えているだけあって、見るからにぬめり、煮えたぎっていた。充血した花弁はネットリとした光沢のあるアクメ汁に濡れていて、今まだ、何かを噴き出そうと火山のように入り口をヒクつかせていた。
「んふっ…♪ 指……入れてないもんね……」
 人差し指で左の、中指で右の花弁を押さえつけると、秘唇はクパァ…と生々しく口を開ける。そして蜜を溢れさせている膣口に人差し指を押し当て、くすぐるように円を描くと、夏の日差しよりも火照る膣の奥から熱いモノが込み上げてくる。
「はぁぁぁ……こんな…いいィ……外で…こんなことして……あ、あぁ………!」
 出口を求めて下ってくるモノを押し止めようと、あたしの下腹部はキュンッと収縮する。けれど膣口を弄び、左手でクリトリスまでもいじり始めると、淫裂周辺の疼きは一層強烈さを増し、汗のにじんだ太股にまで震えが駆け巡る。
「あっ…ふゥゥゥ…! もう…我慢できないィ………!」
 入り口だけじゃ物足りない……根元まで淫蜜にまみれた指の先端を膣口へグッと押し込むと、頭を壁に押し付けたまま首を仰け反らせてしまう。
「ふわぁ…ぁ……んんんゥ………!」
 瞳は茂みの向こうの明るい公園を見つめたまま、指を一本…また一本と増やしていく。一番長い中指で子宮に触れ、人差し指と薬指とでひときわ敏感な場所を擦り立てると、三本の指を挿入した圧迫感と快感とで、絶え間ない露出の興奮に火照り震える膣壁からは留め止めとなく愛液が滲み出す。少し白く濁った大量の潤滑液にまみれた指は、あたしの意思とは関係なく本能のままに蠢き、指とは別の、緊縮した尿管を下ってくる圧迫感を膣の天井越しに押し込み抉りたてる。
「んんんぅ〜〜〜〜〜〜!!!」
 ―――ダメ……出ちゃう、漏れちゃう、溢れちゃうぅ……! お外で、こんな茂みの中で、あたし、あ……あ………!
 指でかき混ぜるほどにトイレの裏の茂みには恥ずかしいほどの蜜音が響き渡る。街中で人に見られながら達してしまった興奮を思い返しながら、宮野森学園の後輩の学生の前で缶ジュースを使ってオナニーしてしまった恥ずかしさに身を震わせながら、熱い圧迫感が出口に押し寄せて今にも放出してしまいそうになっていくのを感じてしまう。
 ―――ダメ…もう、も…漏れちゃ……んあっ! はぁ…お…あ……ん――――――ッ!
 両手で淫核と蜜壷を同時に弄ぶ野外オナニー。おチ○チンの代わりにパンパンになるほど勃起してジンジンと痺れているクリトリスのすぐ下で、膣口よりももっと小さな穴がぷっくりと盛り上がりだし、ヴァギナの奥にも重い痙攣が広がって……もうすぐ限界を迎えるという、そんな時だった。
「―――――――――!?」
 茂みが音を立てる。……それは汗ばんだあたしの肌を優しく撫でる風の仕業ではない。それは茂みの中にいる“何か”が動いた音だと察して目を向けると、そこには、トイレの前で別れたあの少年の頭が覗き見えていた。
 それだけではない。オナニーの快感を貪る事に夢中になって気付いていなかったけれど、いつしかあたしの周囲はいくつもの人の気配に取り囲まれていた。時折、小さなシャッターの音が響き、また別の場所では小さく草むらが揺れている……あたしを見ながらおチ○チンを擦っているのだろうか……
 ―――見られてる…何人もの人に、あたしのオナニーを…おマ○コを…全部、み、見られちゃってる……♪
 昼間の公園で下半身を露出してオナニーするなんて、とんでもない変態女と思われているのかもしれない。……けれどそんな視線を浴びている事を自覚した途端、背筋はこれまでにないほどゾクゾクと震え、弾力ある膣肉にもますます熱が灯ってしまう。
 ―――スゴく恥ずかしいところを見られてるのに……指…とまんない……あたし本当に女に…ううん、メスよね……こんなに変態行為して悦んでる…メス犬に…なりきっちゃってる……♪
「あ……わ…わん……わんぅ……!」
 犬の鳴き真似が唇からこぼれる。いっそ四つんばいでおしっこをしてみようかと、とても甘美な提案が頭をよぎる。……でもそれをするだけの余裕が、もう残されてはいなかった。
「〜〜〜〜〜〜っっっ!」
 膣天井を指先で抉る動きとクリトリスを攻め立てる動きとがシンクロし、あたしの脳裏で強烈な快感が火花になって弾け飛ぶ。ポタポタと愛液を滴らせるおマ○コを無数の視線とレンズの前に突き出し、唇を噛み締めながら痙攣硬直した身を大きくよじらせると、膣以上に緊縮した尿道を押し広げ、強烈過ぎる快感を伴って半透明の液体が勢いよく噴出した。
「クアッ、アッ、あっ、で…出る、出る…あ、あああああああああっ!!!」
 両手の隙間を掻い潜って、空中に放物線を描く液体……Gスポットを抉り噴き上げた絶頂汁に腰を弾ませるように揺り動かしながら、全身から汗を噴きださせて大きく膣を震わせる。両手は粘っこい射精液の飛沫で濡れ汚れ、それでも指先は体の奥に溜め込んだ性欲を搾り取るようにぷっくり盛り上がったGスポットをグリグリと圧迫し、それが発射スイッチであるかのようにクリトリスを揉みしだく。
「ら…らめェ……もう……と…とまんないぃぃぃ……!」
 愛液をダラダラと締まり泣く溢れさせ、放尿のように潮噴きしながら、あたしの身体は次なる噴出液の準備を始めてしまっている。
 缶ジュースで冷やしてしまったお腹にたっぷりと溜まったおしっこが……狂ったように射精し続けている尿道の奥から奥から込み上げてきて、大勢いる覗き魔たちの、そしてあの男の子の目の前で噴き出ようとしていた。
「ああっ、あああっ、やぁ…おしっこ……が、我慢できないの……トイレで、ここもトイレだから、だから……み…見ぃ……!」
 ―――見て欲しいのか、それとも見て欲しくないのか……そんなことさえ自分で分からなくなってる。
 恥ずかしさと露出の興奮がせめぎあい、今にも迸りそうなおしっこを必死に堪えながらおマ○コをかき回す。頭の中で何度も絶頂の火花が飛んでいるのに開放されない圧迫感と終わる事のない快感とに涙を流して頭を振りたくると、せめて恥ずかしさを弱めようと身体を回転させて壁へすがりつく。そして顔と胸の膨らみが見せられなくなった分だけと、一度ヴァギナから引き抜いた指を今度はお尻から回し、釣り針のように膣内で指を折り曲げて掻き毟り、おしっこに負けないほどの量の愛液を掻き出し飛ばした。
「ダメェ、ダメェ、出ちゃう、おしっこが、出ちゃうの、もう、もう、ダメェェェェェェ!!!」
 ―――プシャァァッ!
 茂みで息を潜めている人たちを直接意識しなくてすんだ途端、堪えていたものが堰を切って後ろに向けて勢いよく放たれてしまう。立ったままでの放尿は噴出する位置が高く、両脚の間に滝のように黄色い液体が落ちて行く。その量に、勢いに、そしてさらけ出している姿に、おしっこの香りに包まれながらむせび泣くと、身も心も疲れつくし、その場にへたり込んでしまいそうになる。
 ―――こんな姿を……見られた……あ……どうしてこんなに……あ…はぁぁぁ………♪
 さっきまであんなに……それこそ死んでしまいたいぐらい恥ずかしかったのに、腰をはず貸せて放出液の一滴に至るまで搾り出してしまうと、強烈な圧迫からの開放感か、心地よい震えが腰を中心に背筋を駆け上り、汗に濡れた全身を打ち震わせてしまう。
「は……ァ………」
 ―――クセに…なっちゃいそう……これからおしっこするたびに…思いだしてイっちゃうかも……♪
 恍惚とため息を漏らしながら肩越しに振り返ると、食い入るようにあたしの下半身へ魅入っている男性たちが茂みから頭を出していた。もちろんあたしが目をつけたあの子も……
「んっ………!」
 軽く身震い……本当の事を言うと、視線だけでまた軽くイっちゃった……
 あたしはまだふらつく足取りのまま歩き出すと、あの男のところへ近づいていく。するとその場所には、あたしがおしっこした場所とはまた別の、濃厚なオスの臭いが充満している……あたしの放尿オナニーを見て、地面へ真っ白い精液をぶちまけていたのだ。
「………ふふふ、あたしをオカズにしたかったら、また来て上げるからね♪」
 いっそ、この場にいる男性全員であたしを押し倒して欲しい……そんな願望を抱きながらひざまずき、声も出せないほど驚いている男の子の顔を両手で挟んで口付けを交わす。
 舌を入れ、唾液を流し込み、体だけ大きくなっている男の子には耐えられないぐらいに濃厚な口付け……唇を離すと唾液の糸が滴るほどのキスを終えてようやく満足がいったあたしは、男の子のカッターシャツの胸ポケットへ形態の番号とメルアドを書いた紙をしのばせ、その場から悠然と歩み去っていった―――



 ―――はぁ……なんか大満足って感じだったなぁ……
 勇気……と言うか無謀な勢いで押し倒してくれても、今日だったら受け入れてあげたんだけど、残念な事に家に変えるまでにそう言う男性には巡り会えなかった。
 まあ、それならそれで仕方ない。いくら女になってそれなりに長くなったし、ある程度割り切りもついたとは言え、そっちにはまだ抵抗がある。……その抵抗が興奮を否応無しに昂ぶらせてくれるんだけれど……
 ともあれ、家に帰ってシャワーで汗を洗い流したあたしは、バスタオル一枚を体に巻きつけて部屋へ戻った。そしてパソコンを起動させると、最近よく行くサイトへとアクセスする。
 ………露出報告。
 そこは街中で行った露出を報告したり、露出した写真を投稿したりする掲示板だ。以前、一度だけ書き込みをした途端、大勢の男性から返信を貰ってしまい、それ以来恥ずかしい行為を書き込んでは報告してしまっているのだ。
 そして―――
「あ……これってもしかして……あたし?」
 掲示板に貼り付けられていた十数枚の写真。目にはモザイクが掛かっているけれど、街中のオナニーからトイレの裏での放尿、噴水の淵に座って缶ジュースを股間に押し込んでいるところまで隠し撮られてしまっていた。
 ―――やだ……ちょっと、もう…ど、どうしよう……
 ここまで写真に撮られているとは思っていなかったし、その写真を自分で見るとは思わなかった。……そして同時に、この写真をオカズにしてオナニーをしている男の人がいるのかと思うと、冷水を浴びてようやく収まったはずの火照りがあたしの下腹部でゆっくりと頭をもたげ始めてきてしまう。
 ―――これに……あたしが書き込みしたらどうなるのかな……
 もう、自分で求められなかった。
 あたしはバスタオルを脱ぎ捨てて椅子に深く腰をかけると、左手を湿り気を帯びた股間に這わせながら、キーボードにも返信を書く為に指を滑らせ始めていた……


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