15 一日遅れのホワイトデー(3)−前編


AM 7:14 五条ゼミ・ゼミ室

「―――いいだろう。細かいところの詰めがまだ甘いが着眼点は面白い。これなら受理してやろう」
「や…やった……やっと終わったぁぁぁ………」
 留美先生に書き終えたばかりの論文を提出したあたしは机にすがりつくようにその場へ崩れ落ちた。
 ゼミ室に泊まり込んで三日……弘二のセクハラ妨害に耐え、綾乃ちゃんの入れてくれる暖かいココアに励まされながら寝ずに書き上げて、もう何もかもが尽き果てた。なんかもう入稿直前の漫画家の気持ちを味わったのは何時間ぶっ通しになるのやら……
「けど……これで………」
 そうだ、あたしはまだ倒れる事は出来ない。なぜなら……今日は三月十四日。世間一般ではバレンタインデーにもらったチョコのお礼をしなければいけない日なのだ!
 今年はかなりの豊作……と言うか貰い過ぎた。毎年恒例の明日香の本命チョコに加えて、目の前にいる大人の魅力満点の留美先生から、いつも優しく妹のように接してくれる綾乃ちゃんから、今年大学を移ってきた麻美先輩から……と、実に四人もの女性からチョコレートをもらっちゃっていたりする。
 もしこれがほとんど義理チョコならあたしも悩みはしなかった。―――が、手作りだったり豪勢だったり……そのどれ一つとっても、くれた人の想いが詰まっているようで、おろそかには出来ない、いや、しちゃいけないのだ……
 ホワイトデーのお返しといえば三倍返しが暗黙の鉄則。ウェイトレスと家庭教師をかけ持ちして必死になってお金を貯め、提出しなければならないレポートを缶詰で書き上げ、これで準備万全! 後はそう、デパートに行ってプレゼントを買い、今日中に渡す事が出来れば何の問題も無く一大イベントを乗り切ることが出来るのだぁ!!!
「それで相原、ホワイトデーのことなんだが……」
 頭の中では完璧なスケジュールが組まれている。それにしたがって行動すればみんなの気持ちをおろそかにする事無くホワイトデーを乗り切れる……そんな出鼻をくじくように、留美先生が声を掛けてきた。
「わ…わかってます。プレゼントは今日中に必ず用意しますから」
「? 何を言っている。相原があまりにも思いつめているようだから気に病むことはないと言っているのだ。片桐が留学する事になって色々と複雑な心境を抱えているだろうが、お前にとっても今は将来を左右する大事な時期なんだ。忘れていたからといって誰もお前を責めはしないと思う」
「忘れてたって……やだなぁ、ホワイトデーの事は忘れてませんってば」
「そのホワイトデーの日にちを忘れているんじゃないか。今日は三月十五日。ホワイトデーは昨日だ」
「―――え?」
 そ、そんな馬鹿な……留美先生ってば人を驚かせるのが好きなんだから。ちゃんと確認してるもん。携帯のカレンダーで昨日は三月十三日。だから今日は三月の十四日のはずなんだから。
 この目で見た記憶に自信はあるけれど、「本当に大丈夫か?」と言う目であたしを見ている留美先生の様子に不安が秒単位で加速して膨張していく。
 なにか嫌な汗があふれ出してくる。あたしは固まった笑みを浮かべたまま手をポケットへ。そして二つ折りの形態を開いて画面に目をやると―――電源が落ちていた。
「あ………そういえば弘二がしつこく励ましメールを送ってくるから電源切って―――」
 切った時には十三日だった。けど……それから何時間、携帯を見ていない? そもそも……あれから何時間経ったか、まったく思い出せない。さっきの事か、数日前の事か、極限状態に陥って時間の感覚が曖昧だったあたしには、そのあたりの感覚が綺麗さっぱり抜け落ちている。
 恐る恐る電源をオン。一応時計は七時台だ。朝だ。部屋が明るいからそれは間違いない。―――けど日付はしっかり「3/15」と表示されていた。
「―――――――」
「おお、そういえば佐藤は昨日から泊り込むと言っていたな。誰かさんの薬を作るのに頑張っているな、あいつも」
「―――――――」
「高田も昨晩は遅くまでお前の傍にいたが、パソコンの画面に食い入っていた誰かさんは気付いていないのだろうな。バスや電車がなくなる前に返したが、今日は朝食用の弁当を作ってくると言っていたか」
「―――――――」
「片桐も心配して電話をかけてきていたな。この数日、ろくに顔をあわせていないのだろう? 一度お前の様子を覗きに来てからはさっぱり掛けてこなくなったけれど……相原、携帯を貸してみろ」
 固まって動けないあたしの手の中から留美先生が携帯を持って行く。そしてメール受信の操作をすると、そのメールの一覧をあたしの顔の前に差し出して、
「工藤のメールの中に一通だけ、片桐からのメールが入っているな。論文に夢中になるのはいいが、日常をおろそかにしてはいけない。特にお前は周囲の人間に日頃から迷惑をかけてばかりだしな。こういうときこそ冷静に―――」
「い、今からプレゼント買ってきますぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
 留美先生からあたしの携帯をひったくると、あたしは部屋から駆けだそうとする。
「私のチョコの事は気にしなくてもいいぞ。なに、たいしたものではないからな」
「是非プレゼントを買いに行かせてくださいっっっ!!!」
 ゼミ室へ戻ったあたしは放り捨ててあったジャケットを引っつかみ、財布を確認。―――よし、軍資金は問題なし。
「すぇんぷぁ〜い、おっはよ〜ございま〜す♪ まだ誰も来てないゼミ室で先輩と二人っきりになれるなんてこれはもう僕たちは結ばれる運め」
「邪魔だぁぁぁ!!!」
 戸口にいた「何か」に開いたばかりの扉を叩きつける。そしてそのまま廊下へ駆け出した。

「先輩……何故か冷たくされても僕の心は燃え上がる……ガクッ」



AM 7:32 薬学科・研究室

 まずはホワイトデーをすっぽかしていたのを謝らなければいけない。
 けど綾乃ちゃんの携帯は繋がらない。明日香の携帯は何回鳴らしても無視されっぱなし。そうなると謝るなら構内に残っている麻美先輩から行くしかない。………が、こっちも携帯電話に出てくれないし。
「先輩が怒ってたらどうしよう……」
 ただでさえ千里との「どっちが早くあたしを戻すか対決」で気を悪くしちゃってる時にこれだ。謝罪で下手をすれば、これはもう……男に戻る望みは捨てないといけないかもしれない。
 正直、今すぐ山の中にでも隠れてしまいたい気分だ。けれど謝らずにそのまま放っておくわけにもいかず、あたしは先輩のいる薬学科のゼミ棟へとやってきた。
「先輩のゼミ室は……ここだ」
 まだ朝早く、誰ともすれ違わない廊下を歩いてゼミ室前へとやってきたあたしは、ほんの少しだけ扉をあけて中の様子を伺った。
 先輩……残っていたらいいんだけど……あ、あの背中は……
「く〜……す〜……く〜………」
 眠っているらしい。部屋の中には他に人がおらず、こちらに白衣を着た背中を向けて、先輩は寝息を立てている。
「………失礼しま〜す」
 女の子が寝ているんだし、一応断りを入れてから中へ入り、扉を閉める。そんな気配に気付く事無く机に突っ伏して眠っている麻美先輩に、あたしはそっと近づいた。
「先輩…起きてますか〜〜…?」
「んっ………く〜……す〜……」
 ダメだ。あたし同様、ほとんど寝ずに研究してくれていたんだろう。それならここは起こさないで寝せてあげておいた方が―――
「相原……くん………好き……」
「―――!?」
 起きてたの!?……と、慌てて振り向いてみるけれど、寝言だったらしい。起きた様子は微塵もない。
「でも……夢の中であたしの事を……」
 やば。なんか…急に先輩の事を意識してきちゃった……
 学園の頃から科学部の先輩として、部長として、ずっと接してきた麻美先輩だ。初めて女になった時には先輩に想いを告白され、その時は明日香を取って……今はこうして同じ大学の構内で親しい友人として……
―――ゴクッ
 本当に友人として付き合ってるんだろうか……バレンタインデーにもらったチョコレート。いつも試験管とにらめっこして研究ばかりしている麻美先輩の心のこもった手作りだった。それはひょっとして、今でもあたしの事を想ってくれているからなんじゃ……
 疲れマラ、と言う卑猥な言葉がある。男ってね、男ってね………疲れた時ほど性欲が増しちゃう生き物なんです。悲しいけど、あたしもやっぱり男なのよね……
 しかもあたしの疲れは極度MAX。こういうところだけは男のままなのだと自覚しながら先輩の背後へ忍び寄り、その耳元に小さく囁きかけた。
「起きて……先輩、起きて………起きてくれないと…あたし………先輩に、エッチな事…しちゃますよ……?」
「く〜……す〜……」
 ―――いくら待っても返事がない。腕枕に横向きの頭を乗せた先輩は目を覚まさず、あたしの荒い呼吸に気づく様子もない。
「こんなところで寝てる先輩が……いけないんだから」
 そんないい訳めいた言葉を口にしたあたしは、もう一度大きくノドを鳴らすと、うつ伏せに体を折り曲げた体の下で呼吸にあわせて揺れている膨らみをそっと手の平で包み込んだ。
「ふぅ……んっ………」
 いつも着やせしている大きな、そして中身の詰まった見事な巨乳にあたしの指が食い込んでいく。すると眠っているはずの先輩が短い髪を揺らして甘ったるい鼻息を漏らし始めた。
 眠ってても感じるなんて、先輩も結構感じやすいんだ……けど、この感触はもしかして……
 白衣を羽織っているので先輩の背中の様子はいまいち分からないけれど、ブラが胸に密着していない。たぶん寝る前に苦しいからとホックをはずしていたんだろう……
「先輩……こんなことしてたら、襲ってくれって言ってるもんですよ」
「あっ……はぁ……はぁぁ………」
 あたしが手を動かすたびに麻美先輩の表情がなめかましくなっていく。服の下ではブラが次第にたくし上げられ、乳首が露出する。―――あたしは先輩の髪に鼻先をうずめて白いうなじに舌を這わせると、まだ勃起しきっていない二つの突起を左右同時に人差し指でクリッと転がした。
「んんんッ………!!」
 うなじから耳の裏、そしてわずかに覗く肩へと何度も舌と唇を滑らせる。滑らかな肌は舐め心地がよくて、あたしは夢中になって舐め、吸いまわし、唾液まみれにして自分のものであるとマーキングしながら服に包まれた乳房を徐々に激しくこね回していった。
「はぁ、はぁ…あうぅ……んむっ……んっ、んんっ………!」
「そろそろ目を覚まさないと大変な事になっちゃいますよ。あたし……やめる気なんてありませんからね」
「ん〜〜〜〜〜〜〜………!!!」
 麻美先輩がどんな顔をして目を冷ますか見てみたい……反応のいい耳たぶを食みながら胸の敏感な突起を弄び、張りのある膨らみをこね回す。
 それでも先輩は目を開けてくれなかった。円を描くように二つの膨らみを揉みしだき、先っぽもコリコリに硬くなったと言うのに、麻美先輩は唇を腕に押し付けて声を漏らさないように必死に耐えている。乳首を乳輪の中へ埋め込んで乳房の内側からグリグリと刺激しても、ビクッビクッと体を震わせるだけで、いっこうに目を開けようとしなかった。
「ふぅん……じゃあ、ここもそろそろ……」
 いつまでも揉みしだいていたい膨らみから右手を話したあたしは、その手を閉じ合わせられた先輩の膝へと伸ばす。
「……………」
 膝から太股が形作る谷間をくすぐるように撫で上げて行くと、先輩の体が緊張して行くのが伝わってくる。小刻みに震える背中にあたしは自分の胸の膨らみを押し付けて覆いかぶさると、スッと、焦らすように動いていた指を不意に早く動かしてスカートの奥へと滑り込ませた。
「―――ダ、ダメェェェ!」
 下着に指が触れた途端、麻美先輩の唇から拒絶の言葉が放たれる。けれど同時に乳首をつまみあげて恥丘を撫で上げてあげると、先輩は頭を仰け反らせて悩ましい喘ぎ声を迸らせた。
「だめ、あっ、んんっ!……相原君、あっ、あんっ! んっ、んはあぁぁぁ!!!」
「もう……起きてたんなら早く言ってくれたらいいのに」
「だって…は…恥ずかしいから……あっ、バカァ! こんなところで…そんな…とこをいじったら……あ、ああああああああああっ!!!」
 必死に快感の飲み込まれまいとしている麻美先輩だけど、声を出した時点でそれはもう無理。ショーツの中で秘裂をまさぐると暖かい愛液が次々とあふれ出し、緊張と弛緩を繰り返す体からは甘い体臭が立ち上り始める。その香りをかぎながら、あたしはクリトリスへ指を滑らせ、まだ指を拒もうとする二枚の花びらを開くボタンとしてグリッと押し込んだ。
「あ――――――――――っっっ!!! ダメ、それはダメぇぇぇ!! 私、まだ、そんな事されたら、恥ずかしくて…ああ、相原君、相原くぅぅぅん!!!
 あたしの名前を呼びながら何度も体を揺さぶらせた麻美先輩は、目に涙を浮かべながらオルガズムを駆け上って行く。その最中も胸と股間を同時に責め立て続けると、先輩の声はますます大きくなり、ショーツでは吸いきれないほどの愛液がとどまる事無くあふれ出す。
「はあぅ、はっ、だめ、あああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
 普段は知的な自信に満ち溢れている麻美先輩の達する顔をいつまでも見ていたい……学園時代よりも数段大人びた美貌に心奪われながらも、余韻で体を震わせながら荒い呼吸を繰り返す先輩をそれ以上責めたてる事ができず、あたしは愛液まみれになった右手を先輩の股間から引き抜いた。
「うわぁ、手首までとろとろになってる。先輩ももしかして溜まってたんじゃ……」
「もう……馬鹿。相原くんがこんな変態だったなんて……馬鹿……」
 体を離したあたしへ首だけ振り返らせた麻美先輩の目元で涙が光る。胸を両腕で庇い、しとどに濡れた股間を隠すように両足を閉じ合わせた先輩にこれ以上は……
「先輩……続き、して欲しくありませんか?」
「なっ、何を言ってるのよ! ここは研究を行う場所なのよ。そんなところでこんな事…許されないわ!」
「でもあたしも、ホワイトデーを忘れてた謝罪もしたいし……受け取ってくれませんか? あたし…謝る代わりに、先輩と……」
「え……?」
「今だけは……先輩だけを愛してあげる……♪」
 頭の中では思考回路が停止してる。もう麻美先輩を押し倒したいと言う本能を正しいかどうかも理解できないまま、あたしは先輩を抱きしめて立ち上がらせると、上に何も置かれていない机の上へと突き飛ばした。
「先輩はもう準備十分だよね。……あたしも、このままじゃ終われないの」
 乾いた唇を嘗め回し、あたしは自分のスカートの中へ手を差し入れる。
 麻美先輩があたしを見ている……おびえた様でもあり、なにかを期待してもいる視線に胸震わせたあたしは
下着のサイドに指を掛け、するりと下へ脱ぎ降ろしてしまう。
「続き……して欲しいなら先輩も脱いで。女同士でも一つになれるって教えてあげるから……」
 丸いドーナッツ状になった下着を放り捨てると、あたしは先輩の前へ。
「これがホワイトデーのお返しって言うんなら、ものすごく乱暴だと思うんだけど……」
「だって、麻美先輩がスゴく魅力的だから……」
「……一日遅れた分、ちゃんと…愛してよね……」
 恥ずかしさで顔を赤く染めた麻美先輩は机の上で両足を掲げてあたしに向けてお尻をさらけ出す。くっきりと秘唇の形の浮かび上がる股間の膨らみに目を奪われたあたしの前で、ショーツのラインが滑らかそうなヒップの曲線をなぞり、蜜に濡れた割れ目を露わにした。
「麻美先輩のアソコ、おしっこ漏らしたみたいに濡れてますよ。先輩って……そんなにエッチな人だったんですね」
「ば……馬鹿ぁ! もう知らない、相原くんの事なんか嫌いになっちゃうんだからぁ!!」
 そう口で言うけれど、あたしが机に乗って先輩に近づいても逃げようともしない。全身が緊張しているのは見て取れるけれど、あたしが何をするか不安でも心待ちにしているようで、いやがうえにもあたしのモチベーションは高まっていく。
「それじゃあご開帳ぉ〜〜♪」
「きゃあ! あ、相原くん、何をする気なのよぉ!」
 一旦下りた千波の脚を右側だけ抱えて加担押せたあたしは、左足をまたぐように腰を前へ。こうするとお互いの股間同士が近づいて……
「んっ♪」
「あああぅ!!」
 いわゆる貝合わせ。あたしと麻美先輩の秘所がお互いの粘膜を加えるように絡み合い、密着したまま腰を動かせば、腰が跳ね上がるほどの快感が股間から全身に突き抜けて行く。
「先輩の、おマ○コ、ヌルヌルで…き、気持ちいいよぉ……」
「はァん、ハァん!! これ…感じすぎちゃう……相原くんと擦れて…」
「気持ちいいんでしょ。ほら、先輩のおマ○コからこんなに音がしてるもん。ほら、ほらぁ♪」
 畳み掛けるように腰をこすりつけると、愛液にまみれた割れ目同士の擦れあうイヤらしい音が研究室に響き渡る。
「くぁあああっ!! クリトリスが、相原くんと、んんんっ!! イっちゃう、私、こんなに気持ちいいの、はじめてぇぇぇ〜〜〜!!!」
「あたしも、あたしもおマ○コで麻美先輩と、んっ、ハァ、腰が、とまんない、麻美先輩、好き、好きぃぃぃ!!」
 充血したクリトリスがお互いに引っかかって、弾けるたびに愛液が増す。一番感じる場所で相手の秘所を責め立てあい、何度も絶頂を迎えながらそれでも腰の動きを止められない。あたしがイけば先輩が、先輩がイけばあたしが、いつしか粘度の高い白濁液でまみれた股間を押し付けあって、終わりのない快感を貪りあう。
「んあッ…あッ…! 信じられない…オナニーより、気持ちよすぎちゃうぅ!! スゴ…い……相原クン、これ、これ…ぅあああッ!!!」
「ずっと研究ばっかりしてるんだもん。これからは、あたしが先輩を研究しちゃおうかな……こんな風に」
「ああっ、あああああっ!! いいから、相原くんとならずっとこうしてていいから、だから…だからぁ!!」
「ええ……あたしも…もう……もう、んッ、んんん〜〜〜〜〜―――――!!!」
 吹くとは食いに包まれた先輩の乳房を手で押しつぶし、愛液が噴き出る股間を密着させたまま擦り上げる。熱を帯びたその場所からお湯よりも熱い飛沫を飛び散らし、すべすべの太股にニーソックスを履いた脚を絡ませあって身悶える。そこから溶けて先輩と一つになっていくような錯覚に陥りながら蜜の音を響かせていたあたしは前へ重心を掛けると、何度も擦られて皮が根元まで剥け切ったクリトリスを先輩のクリトリスへ押し付ける。
「あっ、それ、ダメッ、ダッ――――――んぁあああああああああっ!!!」
 先輩が拒むよりも早く、あたしたちの股間でクリトリス同士の摩擦が起こり、視界が真っ白い火花に覆われたあたしは先輩の脚を抱えたまま体を反り返らせた。先輩もまた、乳房においたあたしの手を強く握り、普段は試験管やビーカーで埋め尽くされている机の上で、顔をあわせることの無かった数年の間に綺麗になった体を繰り返しヴァンプさせて二度目のオルガズムに突き上げられていく。
「んッ――――!!!」
 けれど絶頂は一度で終わりじゃない。身動ぎするたびに音を立てて擦れあうクリトリスは終わる事無く強烈な疼きを発し続けてしまい、あたしは先輩に覆いかぶさりながらノドを震わせ、愛液を股間で弾けさせてしまう。
「ハァ……ハァ……相原くん………ひどいわ。こんな事するなんて……」
「でも……激しくイっちゃう先輩もかわいかったですよ。また……しに来てもいいですか?」
「……………三倍返しなんだからね」
「ええ。あたしの三倍イかせて上げますから」
「そう言う意味じゃ―――んっ!」
 麻美先輩を相手に口で勝とうなんて思っていない。先輩の唇を自分の唇で塞いだあたしはまだ余韻の残る先輩の体を抱きしめる。
―――キィィィィ……
 それは突然に、あたしたちが行為を終えたばかりの室内に響き渡った。慌てて体を離して音が聞こえた方へと顔を向けたあたしは、研究室の扉が開いて、そこに人が立っているのに気づく。
 それは……綾乃ちゃんだった。
「あの………わ、私……先輩が、朝ごはん……まだだろうって思って……それで………」
「探しに来てくれたんだ……ありがとうね、綾乃ちゃん」
 言葉を上手く発せないでいる綾乃ちゃんに、あたしは優しく語り掛ける。―――もっとも服を着たままとは言え、女の子の大事な場所を擦り合わせている今の姿では何を言っても説得力がないんだけど……
 どうやってこの非常事態を乗り切るか……麻美先輩もイったばかりだし、突然の綾乃ちゃんの出現に戸惑いが隠せないでいる。何とか口を封じなければいけないけど、どうやって……と考えていると、あたしの目が綾乃ちゃんの足元を見て、そこで止まる。
「綾乃ちゃん……いつからそこで見てたの?」
「それは………」
「逃げちゃダメよ。ちゃんと答えて」
 机から降り立ち、パンツも履かずに綾乃ちゃんへ近づいたあたしは彼女の首筋へと指先を伸ばす。
「………!!」
「ずっと見てたんでしょ。こんな……お漏らししちゃうぐらいに興奮して」
 身をすくめた綾乃ちゃんを廊下から研究室へと引き入れる。そして、興奮のあまりに漏らしたのか、それともショックでそうなってしまったのか、タイルの床に広がる少量の水たまりをそのまま残して扉を閉め、今度はきちんと鍵を掛ける。
「せ…先輩……私、さっきの事は誰にも………」
「そういえば…綾乃ちゃんにもまだだったよね。一日遅れてごめんね♪」
「ん―――――!?」
 綾乃ちゃんの唇を吸う。さっきまでキスしていた麻美先輩の唾液のアジが残ってる唇で今度は綾乃ちゃんの……かわいい後輩の唇を舌の挿入付きで吸い上げる。
「綾乃ちゃん、かわいいわよ……今からタップリとかわいがってあげる。あたしとだけの秘密を作ってあげるからね」
 あたしの手が綾乃ちゃんのお尻を灰、長いスカートをたくし上げて、おしっこの熱気のこもった股間を露出させる。その脚の間へ膝を割り込ませ、前から、後ろから、まだ未成熟の香りのする綾乃ちゃんの体を楽しませてもらう。
「やぁ……こんなのって…酷いです……やめてください…相原先輩……!」
 そんな言葉、聞く気なんてサラサラない。何しろこっちは連日の徹夜で蓄積した眠気とホワイトデーを忘れていた事への責任感と罪悪感、その他数々の極限状態が混ざり合って盛りがついているのだ。綾乃ちゃんの弱々しい抵抗なんかじゃ絶対に止まらないし収まらない。
「ふふふ……女同士でも気持ちよくなれるって、綾乃ちゃんにも教えてあげるからね……」
「あっ、あッ、相原先輩……はぁ、はぁあああッ!」
 次第に綾乃ちゃんの体が反応を返してくる。その反応を味わいながら、あたしは華奢な綾乃ちゃんの体を壁に押し付けて服の中へ手を差し入れていく。
「この……相原くんの浮気者……!!」
 う……しまった。麻美先輩が後ろのほうでお怒りに……
 それなら仕方ない。後でもう一度先輩には「三倍返し」で満足してもらう事にいたしまして……今は可愛い後輩にホワイトデーのお返しをしてあげるといたしますか……♪


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