11弘二、大学に合格する?の巻(3?)


「や…やった、受かってる、受かった、受かったぁ!!」
 遠くからでも見えるように高い位置に張り出された合格者の受験番号の一覧。周囲の熱気で暑ささえ感じそうな雰囲気の中で、弘二は必死に白い紙へと目を走らせ、自分の番号が載っているのを見つける。
 拓也が宮野森学園を卒業してから、弘二は穏やかな一年を過ごしていた。―――穏やか過ぎるといっても過言ではない一年だった。
 ただ一人の三年と言うことで拓也の後を継いで科学部の部長になったけれど、日に日にたくやへの思いだけが募り、千里がどんな大爆発を起こして部室を半壊させようとも憂鬱なため息をつかない日は一日も無かった。
 そんな日々が終わりを迎えたのは、夏休みを終え、秋深くなり始め、紅葉をまとった木々が色鮮やかに映える頃だった。半年以上も恋煩いで呆けていた弘二に突きつけられた現実は、学力の低下。だが、その事実を突きつけられた時から、弘二の中で完全にスイッチが入ってしまう。

「先輩と同じ大学に行くんだ!」

 塾に通い、補習を受け、ただただたくやに会いたい一心で受験戦争を潜り抜け、そして見事に大学に合格した……それこそ、たくやへの想いがなせる業だった。そして―――
「―――弘二、合格おめでと。頑張ったね」
 地面にひざまずき、むせび泣く弘二へ背後から声が掛けられる。
 普段の弘二なら、合格の喜びを優先してそんな声など耳に届く事は無い。けれど、その声だけは、この一年、どんなに聞きたくても聞けなかったその女性の声だけは別だった。
 夢の中にまで聞こえてくる優しい、まるで天子の歌声のように甘い、そして自分へと向けられた祝福の言葉。―――弘二の脳に声が染み渡るのに三秒かかり、自分の後ろに誰かの姿が困惑しながらも脳裏にくっきりと描き終わるのに十一秒……その永遠とも思える十四秒を終えると、バネ仕掛けのように勢いよく背後を振り返った。
「あ………相原先輩!」
 たくやだった。ずっと、ずっと会えなかったたくやが、座り込んでいる弘二に微笑みを向けていた。
「多分うちの大学を受けてるだろうなって思ってたんだ。それで合格発表を覗きにきたらやっぱりいて、おいおい泣いてるんだもん。もうびっくりしちゃった」
「せ、先輩……本当に先輩…なんです……か?」
 たくやには夢でしか会えないと思っていた。一年前と変わらない……いや、それ以上に美しくなったように思えるたくやを前にして、自分が白昼夢を見ているのではないかと弘二は自分の頬をつねりたい気分だった。
「む、たった一年であたしの顔を忘れちゃったんだ。……いいわよ別に。可愛い後輩を心配して来てあげた先輩にそんなこと言う奴は、こっちから願い下げよ、ふんだ」
「あ…ま、まって―――」
 言葉が癇にさわったたくやが背を向けて歩み去ろうとする。それを追いかけ、足をもつれさせながら弘二も立ち上がり―――
「―――――――――ッ!!!」
 唇が重なる。
 もう一度振り向いたたくやは弘二の首に腕を巻きつけ、自分のほうへと引き寄せると、自分たちの周囲に大勢の人がいることも気にせず口付けを交わした。
「―――んっ………ふふっ…これで夢じゃないって分かったでしょ、弘二?」
「…………(コクコクコク)」
 ほんのりと頬を赤く染めたたくやに顔を覗きこまれ、コクコクとうなずくことしか出来ない弘二。
 そんな男の唇へ人差し指を当て、からかうような上目遣いで戸惑う後輩の様子を眺めたたくやは、
「もう一回だけ言ってあげる。……合格、おめでとう」
 もう一度、弘二の唇へ自分の唇を押し付けた―――



「ここが大教室。弘二がどの学部を受けたかは知らないけど、この教室には何度も来ると思うから」
 学園の教室が5つか6つはすっぽり納まりそうなすり鉢状の教室へ足を踏み入れると、たくやは教壇の前で弘二を振り返った。
 正門前はまだ合格発表で泣き笑いの賑わいを見せているけれど、大学の敷地の奥に位置する教室棟には、その声もわずかにしか届いてこない。静かだけれど静か過ぎない、けれど自分たちだけが遠く孤立したような雰囲気の教室は、何処か弘二の胸を高鳴らせるものがあった。
「それでさ、プロジェクターとかもついてるのにその教授ってば全部手書きで、字も小さいのよ。だから板書を取るだけでも一苦労で―――」
「………先輩」
 カシャンと、扉に鍵をかける金属音が、二人だけが使うには広すぎる教室の中に大きく響き渡る。
「僕は……先輩に会いたくてこの大学を受験しました」
「………うん……まあ、そんな気はしてた」
 それまで明るく――何処か無理して明るく振舞っていたたくやの声が急に小さくなる。踊るように教壇前のスペースを弘二を振り向きながら歩いていた足がピタリと止まり、弘二に背中を見せて口をつぐんでしまう。
「先輩……」
 そんなたくやを背後から抱きしめる。
「僕は……先輩を抱きたい」
 一年間―――
 その間に、弘二の背はたくやより高くなっていた。
 その間に、たくやはより女らしくなっていた。
 しばらく会わない間に二人とも変わってしまい、二人の間に知らない時間が流れていた事を自覚させられてしまう。
 だから―――その空白を埋めたくて、弘二はずっと溜め込んでいた感情を一気に解き放ってしまう。
「………その…ホテルとかじゃ…ダメかな……」
「イヤです。今すぐ、今すぐ僕は先輩を抱きたいんです。もう一秒だって我慢できません」
 スカートの上からでも分かるほど形のよいたくやのヒップに、ズボンを大きく盛り上げる弘二のこわばりが押し付けられる。
「あっ………」
 ジャケットから覗くうなじに鼻を押し付け、立ち上るたくやの体臭を胸の隅々に行き渡るほど吸い込むと、双尻の間に収まりが付かなくなったペ○スを滑らせる。スカートやズボンを挟んではいても、一年ぶりに味わうたくやの柔らかさに勃起したモノがはちきれんばかりに充血し、力強い脈動を繰り返す。
「弘二の……スゴく固いのが…押し付けられてる……」
「わかるでしょ……僕がどんなに我慢してきたのか……どんなに先輩とこうする事を待ち焦がれていたのかを」
「でも…今日は……」
「明日までなんて待てません! 今、僕は、僕は……!」
「違う……違うの、弘二」
 弘二の腕の中で身を揺すっていたたくやが戒めから逃れる。
「今日は……弘二が合格した日じゃない」
「だから!」
「そう、だから………今日は…あたしがしてあげたいの」
 潤んだたくやの瞳が弘二を見つめる。―――こうなる事を十分考えて、二人きりになれる大学の中を案内していた。待ちきれないのは……たくやも同じだった。
「―――そういえば、この教室の出入り口って一箇所だけじゃないって…知ってる?」
「あ……」
「大丈夫………あたしが、鍵を掛けておいたから……誰も入ってこないから……」
 たくやはその場にひざまずくと、弘二のベルトに手を掛ける。
 カチャカチャと音が響く間、恥ずかしいのも襲い掛かりたい衝動も全て押さえ込む。たくやにしてもらえるという、嬉しい合格祝いを前にして犬のように己の感情を制御しようとしているのだが……体の一箇所だけはそんな理性を振り切っていた。
「うわ……弘二……すごい………」
 ズボンとパンツが下ろされると、腹を打ちそうなほど反り返った弘二のペ○スが姿を現し、ヌチャヌチャに濡れた先端をたくやの鼻先へ突きつけた。
「一年前よりずっと大きくて……太くて……それに………」
 外へ飛び出させられ、寒さに震えるように脈動しているペ○スへたくやの細く、しなやかな指先が優しく絡みつく。その途端、大きく脈を打った肉棒はさらに一回り大きくなり、先端の小さな縦筋から透明な雫を滴り落とす。
「熱くて……固い………」
「ずっと…ずっとこうして先輩に触ってもらえるのを……夢見ていましたから……」
「でも…これは夢じゃないよ。―――ん……んむぅ……」
「せ、先輩!」
 今にも射精しそうな弘二の肉茎を軽く扱いたたくやは、大きく唇を開いて膨らみきった亀頭だけを頬張った。そして舌先を先走りが溢れる射精口から裏筋へと何度も往復させ、執拗に亀頭の先端部分だけを嘗め回して刺激を与え続ける。
「先輩…そんな……最高…です……先輩の口の中は…最高の気持ちイイ…ああっ!」
「んん…弘二の…まだ大きくなってく……だしたかったら…何回でも出して良いんだから……」
 弘二の様子に満足すると、たくやは少しずつ、肉棒を口の奥へと含んで行く。頬をすぼめ、舌と上あご、そして頬の内側とで包む込みながらノドの奥へと導き、ジュルジュルと音を立てて溢れる唾液をすすると、亀頭だけを残して唇から吐き出していく。
 たくやの唇に加えられた経験はあまりないとは言え、一年前とは比べ物にならない巧みさだった。何度もたくやの口内へ頬張られるたびに、身も心も蕩けそうな快感と興奮が弘二の体に広がって行く。―――たくやに口奉仕を教え込んだ誰かに嫉妬しながら。
「先輩…イくッ、イきますッ!!」
「んっ…んんん〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
 腰の奥から震えが込みあがってくる。一人で慰めたときには感じたことの無い、強烈な射精への欲求だ。それを限界まで溜め込み、たくやのノドの奥に亀頭が触れるのを見計らって頭を押えつけた弘二は、一年間の想いを濃厚な精液に乗せてビュルビュルと撃ち放った。
「んむっ!?」
 たくやの顔が苦しげに歪む。けれど肉棒を吐き出しはせず、根元を指で上下に扱きながら舌の腹で裏筋をくすぐると、味も臭いもキツい弘二のザーメンはさらに勢いと量を増してたくやの口内へと放たれ、写生中で過敏になりすぎている部分を舌と粘膜とで責め立てられた弘二は身をのけぞらせて何度も体を痙攣させた。
「んっ…いっぱい…出たね………そのまま動かないで……あたしが…綺麗にしてあげるから……」
 こぼす事無く、口内の白濁液を何回かに分けて飲み干すと、たくやの舌は動きを変え、まだ射精の余韻が残っている亀頭を包み込むように舐めまわす。そして射精と似た感覚を弘二に与えるように射精管に残った精液の残滓をズルズルと吸い上げる。
「あ…ああ……先輩…先輩が……僕の精液を………」
「ん…チュ……弘二のザーメン…美味しかったよ……ジュル……んん………あんなに出したのに……まだこんなに……溜まってたんだね……」
 チュポンと音を立ててたくやの口の中から肉棒が吐き出されると、唾液にまみれたペ○スはしゃぶられる前となんら変わることの無い威容を保っている。しかし弘二自身は想像以上のたくやの口淫の刺激に涙を流し、何かに耐えようとキツく目を閉じ合わせていた。
「弘二、どうしたの? まだ始めたばっかりなのに……」
「僕は……僕は……」
「もう……男の子がそんなに泣いてちゃダメじゃない」
 立ち上がり、まだ興奮さめやらない弘二の額を軽く指で突付いたたくやは、背を向け、壇上にあるため身長よりも高い教壇に手を突いた。そしてスカートを捲くり、薄いブルーの下着を太股まで引き下ろす。
「一年間待ってたのは……あたしだって一緒なんだから」
 右手の指でXの字を作ったたくやは、両の太股と下着とで三角形を形作っている股の間から手を伸ばし、形よく盛り上がっている恥丘を中央から左右へと割り広げる。
 そこはもう、洪水といっていいほどに蜜を溢れさせていた。芳醇な愛液を湛えた淫裂は赤く腫れ上がり、弘二の目の前にさらされたことで一気に緊縮活動が活発になる。
 久しぶりに会う後輩にお漏らしをしているといっても過言では無い濡れ方をしている股間を見られ、強烈な羞恥心を覚えてしまい、服の舌で乳房も張り詰めている。一年ぶりの逢瀬に弘二だけでなくたくやの敏感な体も疼き続けている。
「あたしだって欲しいの……弘二、あたしの中を…一年分の想いを全部満たして……」
「先輩……本当に…僕と……ああぁ…夢のようだ。先輩と結ばれる……もう…もう離しません!」
「それは……」
 そこで不意にたくやは言葉を詰まらせ、
「―――弘二次第かも、ね」
 と、意味ありげな笑みを股間へペ○スをあてがおうとしていた弘二へ向ける。
「女の体のままで一年を過ごして……あたしが男に何もされないほど、魅力が無いと思う?」
「も、もしかして……」
「スゴかったわよ……ふふふ……だから…ちょうだい。弘二のが…スゴく欲しいの……ここに……ここにぃ……」
「せ…先パァァァァ〜〜〜〜〜イ!!」
―――ズリュ!
 何処か泣いているようにも見えるたくやに、弘二は有無を言わさず覆いかぶさった。
「アアッ、ハアァァァ!! 弘二の、太い、太すぎるぅぅぅ!! あんっ、あぁあん、はあぁんっ!!」
 たくやの尻を強く掴み、教壇に押し付けるように弘二が腰を叩きつける。特に敏感なたくやはほんの数回突き上げられただけで意識を軽く飛ばしてしまい、たちまち蜜壷の中はドロドロにぬかるみながらも、激しく出入りする巨大な肉棒を根元から先端まで包み込むように締め付ける。
 だが一年間の想いをたたきつける弘二は、それでも大きく腰を引き、勢いをつけて収縮するヴァギナを突き、カリで擦り上げて、幾重にも重なり合った微細な肉壁を思う存分かき回す。
「先輩……やっぱり先輩です。僕は先輩でなければ…くうううっ!!」
「んあっ、はっ、ハッ、だめ、はん、はァン、こ…弘二……すごい…あたし…こんなに感じて…あうぅん!!」
 腰を後ろへ突き出していたたくやが、弘二のピストンに負け、教団へ張りのある乳房を押し付ける。豊かな乳房は木目調の教壇によって平らに押しつぶされ、体が浮き上がりそうな勢いで弘二の巨根に貫かれるたびに固く尖った乳首が板と胸の間で何度も転がされてしまう。
 その胸からの刺激を和らげようと教壇に突こうとした手が、弘二によって後ろへと引き寄せられる。ますます上半身は反り返り、たくやの尻と弘二の腰との密着がより激しさを増す。そして股間から愛液を飛沫かせるほど感じ出したたくやは、広い教室中に響き渡るほどの嬌声を放ってしまう。
「ああ、奥に…奥に届いてるぅ! 弘二、好き、大好きぃ!! 弘二のおチ○チン、はあうっ! んっ、あふっ、あふうぅぅぅ〜〜〜〜!!!」
「僕も、僕も先輩を愛してます!」
 不意に弘二がその場に尻餅をつく。ほとんど立位同然に交わっていたためにバランスを崩したのだ。―――そして繋がったまま再びたくやを教壇に押し付け、大きな乳房に指を食い込ませながら抽送を繰り返す。
「もう、離しません、離れません! 僕は…僕たちはずっと一緒です!」
「う、うれし…んっ! あっ、あっ、あっ、そ…そんなに強く……だめ、あたしもう、もうイっちゃう、弘二、弘二、来て、あたしのおマ○コに、あん、ああん、ほ、欲しい…弘二の熱いの、熱いザーメンが欲しいのぉ!!」
 愛おしい後輩の精液が欲しく、声を震わせるたくやの想いに、弘二は答えた。Gスポットを抉りながらコリコリと先端に触れる子宮口へ波打つように脈動している肉棒を押し当てると、
「うあああぁぁぁぁぁ!!!」
 獣のような咆声をあげながら、たくやの胎内に熱い精液を流し込んだ。
「あ…あつぃ……あ、ああっ、ふぁあああぁぁぁぁ――――――――――ッッッ!!!」
 跳ね上がったたくやの髪から季節外れの汗の熱気が立ち上り、我を忘れた弘二は信じられない量の射精を続けながらたくやのうなじに顔を押し付け、汗をすすった。そして……射精が終わり、たくやの中が弘二の放った白濁液で満たされると、トドメを刺すように、たくやの体を持ち上げて固さを失わないペ○スへ真上から落下させた。
「くつ………あああああ、んぁぁぁあああぁあああぁぁぁああああああああああっ!!!!!」
 あふれ出した愛液と精液で濡れそぼった結合部から、ごぶっと空気の漏れる音が放たれる。
 最後の一撃で全身を大きく震わせるたくやは、書店の定まらない瞳を天井に向けたまま、声にならない絶頂の声を上げ続けている。―――と、いきなり弘二はたくやを教室の床へ押し倒し、今度は正常位で肉棒を押し込んだ。
「くああああああっ!!! まって……や…やすませて……じゃないと……」
「イヤです。僕と先輩の一年は…この程度じゃまだまだ埋まってはいませんから!」
「んっ! ああっ! もう…また……あ、ああああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
 射精した直後なのにすぐさま再開したピストン運動で、たくやの中からそそがれたばかりの精液が一気にあふれ出してくる。一度登りつめたたくやの身体は、敏感なままで弘二の激しいストロークに翻弄され、左右に開かされた脚が一突きごとにビクッビクッとつま先まで反り返らせている。
「弘二、弘二ぃ、弘二ぃぃっぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「先輩……先プアァァァァァァァイ!!!!!」
 二人の意識が白く染まり、快楽が一気にあふれ出す。弘二の肉棒から精液が解き放たれ、たくやの胎内が濃厚な精液で満たされはするけれど、二人の体は放れることは無い。そして繰り返し、貪るようにお互いの身体を重ねあい―――――







「えへへへへ♪ 先輩のおっぱぁい…あはっ、あはっ、そんなに腰を振ったら…僕、我慢ができませぇん♪」
 机に突っ伏した弘二が椅子に座ったまま器用に腰を振る。そのたびにがたがたと音を立てる机の音は……その光景により一層の不気味さを付け加えている。
「せ、先輩、相原先輩、工藤先輩が…あの…あの………変です!」
「綾乃ちゃん……弘二が変な奴だってのは既存の事実だけど……もうちょっと言葉を選んであげようよ……バカとかアホとかこのトンマとか」
「あ…あはは……」
 まるで蛇がのたうつように動いたり、涎を滴らせた口から何度も「たくや」の名前が出ているところから、かなりいやらしい夢を見ていることは十分に予測できる。―――が、それを女だらけ(正確には約一名除く)のゼミ室の中で披露して良い様な醜態ではなかった。
「まったく……こいつにかけられる迷惑もいい加減何とかして欲しいわよ。大学に受かった日にはあたしの家に乗り込んで女になる薬を飲ませようとするし、大学に来たら来たで人の事を欲望フィルター越しにしか見やしない。まったく……あ〜もう! 思い出したら頭に来た!!」
「でも……工藤先輩は本当に相原先輩を愛していらっしゃるんですね。なんだか羨ましいです。そんな風に思える人がいる乗って」
「何が羨ましいのよ。いい? こいつは単なる変態、性錯誤倒錯者なんだから。ぜ〜〜〜ったいに間違えちゃダメ! 綾乃ちゃんも惚れられる男はきちんと選んだ方がいいわよ」
「えっと……そう言う人は普通は選べないんじゃ……」
 ―――とは言え、と前置きをすると、たくやは幸せそうな笑みを浮かべて眠りこけている弘二をチラッと振り返り、
「これはこれで、可愛いところがあるのかもね。………いい加減にもして欲しいけど」
 そう言って、弘二の座る椅子の足を思い切り蹴り飛ばした。


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