プログラム94「淫らな・・・(前編)」


 プログラム94 奇なる道具(前編) 「ん・・・?」  真っ暗な意識の状態から目が覚める。どうやらいつの間にか眠っていたようだ。 「ここは・・・?」  辺りを見回す。白いシートの敷かれたダブルベットの上に私はいた。 「何故こんな所にいるんだ?」  まだ朦朧とする意識の中で、何とか頭の中を整理し始める。 「え・・・? これって・・・?」  ふと、自分の腰の辺りのシートに目を移す。そこには、微かな血痕があった。そし て、その瞬間、私の身に降り注いだ不幸を思い出す。 「そ、そうだ。あいつに・・・処女を奪われたんだ・・・」  そう呟くと、目の前が霞んできた。涙がボロボロと溢れ出てくる。自分自身驚いて しまうが、溢れる涙は、堰を切ったかのように、どんどん溢れ出てきた。 「くそ・・・くそ・・・どうしてこんなことに・・・」  自分の不甲斐なさを呪う。しかもただ汚されただけでなく、淫らな誓いまでさせら れたのだ。私自身、気丈な性格だと思っているだけに、かなりの屈辱だった。 「よぉ、どうやらお目覚めのようだな?」 「な!?」  背後から突然声をかけられ、思わず身構えてしまう。 「き、貴様!!」 「ほぅ? 昨日牝になると誓ったのにまだそれだけの虚勢を張れるのか? たいした ものだな」 「く・・・それは、あの場合は仕方なく・・・」 「だったら、今度は心底屈するまでしてやろうか?」 「そ、それは・・・」  抱かれている間に快感に目覚めてきた私に、ヤツは絶頂の寸前で何度も推し留めて 誓いの宣言を迫ってきた。快感に目覚めて間もない私にとって、それは拷問に近い状 態で、つい、誓ってしまったのだ。その時にヤツが言っていたのだが、こうやって絶 頂の寸前で止めるのは、そうやって屈服させるのに効果的なようだ。実際、体験して いるから良く解るが、ヤツは今まで何度もこうやって女を堕としてきたらしい。 「どうする? また焦らしてやろうか?」 「んぁぁ・・・ダメ・・・く・・・焦らさないで・・・」 「だったら大人しく言うことを聞くことだな」  私の胸を弄りながら、下萄がそう言ってくる。しかし、今の私には成す術もなくい いなりになるしかなかった。 「さて、まずは食事を摂って貰おうか。今日の調教はそれからだ」 「食事?」 「あぁ、今は朝だからな、朝食ということになるな」 「もう、朝だったのか・・・」 「さぁ、とっとと食えよ」 「く・・・」  屈辱に震えながらも、下萄の差し出したパンとミルクを受け取る。 「安心しろ、毒は入ってないからな」 「・・・・・」  私は、そんな下萄の冗談を無視し、パンとミルクを口に含んでいった。 「くくく、しっかり食べておけよ? 体力が保たなくなるからな」 「・・・・・」 「ふん、これから嫌というほど喘かしてやるから覚悟してな」  今日も、何かされる。そう考えると辛いが、お嬢様達に逢うまで死ぬわけにはいか ない。私は黙々とパンとミルクを食した。そして、あらかた食べ終わった頃、下萄が 話を切り出してきた。 「今からお前の為に用意した調教部屋に移動する。そこで、余計な抵抗をさせないた めに身体を縛らせてもらう」 「うぅ・・・好きにしろ・・・」  また縛られる。そう思うと屈辱に打ちひしがれる自分と、期待に胸を膨らます自分 がそこにあった。 「まずは両腕を後に交差させろ」 「こ、こうか?」  言われるままに両腕を後に回す。下萄が背後に回ってきた。 「さぁ、縛るぞ」 「く・・・」  言葉と同時に、腕に縄を通す下萄。縄のざらついた感触に呻いてしまう。 「くくく、そう緊張するな。すぐに縄に縛られるだけで感じる淫らな牝にしてやる」 「そう簡単に、私が堕ちると思わないことだな」 「そう言って昨日は散々な結果だったな」 「う・・・それは・・・」 「ま、そのうち素直になるだろうからな、今はお前の無駄な足掻きが何処まで保つか 見届けてやるよ。・・・よし、これで縛り終えたぞ」 「う・・・んぅ・・・」  そう言われて、身体を動かしてみる。両腕が動かなくなっているのは解るが、股間 に通された縄が動くたびに食い込んでくるのが不思議でならない。あの短い会話の中 でどうやってここまで精密に縛れるんだ? 「くくく、どうやってこんな風に縛れたのか、不思議そうだな?」 「そ、そんな事はない」 「まぁ、俺ほどの熟練した調教師ならこれぐらい簡単な事だ。精々、縄に感じろ よ?」 「だ、誰が感じるものか!!」 「そう言って、昨日思いきり悶えたのはお前だが?」 「く・・・」 「まぁ、こんなくだらない事を言い合っている時間が無駄だな。さっさと行くとしよ うか。さぁ、早く立て」 「・・・解った」  腕の使えない状態で、何とか立ち上がった私に、ヤツはこう言った。 「お前は徹底的に苦しめぬいてやるからな、覚悟しておけよ」  と・・・


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