一章  『8:25』


朝、私が教室に入ると、さっそく姫慈が近寄ってきた。
私は無意識にスカートを抑える。
「おはよう。知華さん」
「……おはようございます」
そっけなくあいさつを返し、自分の席に向かう。しかし、姫慈が私のスカートを掴み、妨害してきた。
「ね、一緒にトイレに行かない?」
「一人で行けばいいんじゃないですか?」
「んー、そっか。ま、私はそれでもいいんだけどね」
そう言うと、姫慈は突然私のスカートの中に手を突っ込み、下着を掴んだ。
「ちょッ! なにするの!」
「何って、下着を脱がせようとしてるんだけど?」
「そんな当たり前みたいに言わないでよ! ちょっ、嫌!」
必死に抵抗するも、傍にいた姫慈の取り巻きに体を抑えられ、私のパンツは姫慈に取り上げられてしまった。
「それにしてもぉ、真夜原さんホントぉ胸大きいねぇ〜。Eカップはあるんじゃない〜?」
姫慈の取り巻き、如士月盾子(じょしづき じゅんこ)が両手で私の胸をまさぐってくる。爪を立て、下着と服の上から的確に乳首をいじってきた。
その指使いは絶妙で、数秒胸を揉まれただけだというのにすでに私の体は火照り初めていた。
如士月はそのおっとりとしたキャラとは裏腹にかなり大胆で、さらに真正のレズだという噂だ。数多の経験を得た彼女は女の子が感じるポイントを全て熟知しているという。そのためか、姫慈は私を相手にするとき、よく如士月と手を組んでいた。
「もう、やめて!」
私は必死になって如士月を振り払った。しかし、すぐに私の正面から如士月が抱きついてきた。どうしておっとりキャラの癖にこんなに素早く動けるのだろうか。
「まぁまぁ〜、あ、姫ちゃんに下着取られちゃんたんだねぇ〜、可哀相だから私が撫でてあげる〜」
そう言うと、如士月は私の抵抗をまったく気にせずに、スカートの中に手を入れてあそこを触ってきた。
先程胸をいじられたおかげで私のあそこは少し湿っており、クリトリスは少しだけ勃起していた。
その小さく腫れたクリトリスを、如士月は優しくいじってくる。
「んっ!」
触るか触らないかの位置で指を動かし、じらしてくる。
たったそれだけだったが、どうしてなのか異常なまでに私の体は火照っていた。
「や、やめ……」
「まぁまぁ〜」
必死に抵抗するが、如士月のクリトリスを愛撫する腕が、全く微動だにもしなかった。
終始触るか触らないかの位置を保っている。
やばい。このまま続けると本格的にそういう気分になってしまいそうだ。
その時、朝のチャイムがなった。ぼーっとしかけていた私の頭が、一瞬にして覚めた。
「おっと、そろそろ先生くるねぇ〜。じゃ、私はこれでぇ〜」
「あっ……」
そう言って、如士月はスカートの中から手を抜くと、そそくさと自分の席に戻っていった。
「……じゃ、知華さん。パンツはまた今度帰すわね」
すぐ近くで机に座って見ていた姫慈も、私が先程まで履いていた白いパンツを、指の先で回しながら自分の席に戻っていった。
私はそれを追いかけるでもなく、どうせ無駄だと諦め、ニヤついた顔で眺めていた男子を睨みつけながら、スカートを抑えてゆっくりと自分の席に戻っていった。


授業中、私は悶えていた。
先程の如士月の愛撫の余波が、今になって響いてきたのだ。
さらにノーパンという事もあって、意識が下半身に行ってしまい、今すぐにでもあそこを自分でいじりたい衝動に駆られる。
しかし、それだけはダメだ。そんな事をしてしまっては、姫慈の思う壺だ。
最後尾の席だから、こっそりオナニーをしてもバレないかもしれない。
そう思って、以前欲望に負けてオナニーをしてしまい、その後で激しい後悔と屈辱に襲われたのだ。
もうあんな事は繰り返さない。
私は決意を固め、前を見る。
黒板の前で、頭髪が著しく抜け落ちた地理の教師が、黙々と教科書を読んでいた。


つづく


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