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もうひとりの私

れいな

第1話


ピッピッ!ピッピッ!ピッピッ!
目覚ましの音で目が覚める。いつもと同じ朝。
そう、違うのは身体に残る疲労と甘い倦怠感。
休みたい・・・・・もっと、寝ていたい。
何も考えずに、ゆっくりと眠りにつきたい。
休めば休んだだけ仕事が溜まる。分かっていた。けれど・・・・
けれど、どうしてもベットから起き上がる気力がなかった。
迷い、悩んだ挙句、指が受話器を手にしていた。

  「すいません。永井ですが、風邪を引いてしまったようで、申し訳ありませんが、
    本日年休を取らせてください。すいませんが、よろしくお願いします。」

手短に告げると、受話器を下ろす。ゆっくりとベットから降りて冷蔵庫に向かう。
冷蔵庫の扉を開け、冷えたワインに手を伸ばす。
アルコールは殆どのものが好き。
常時、冷蔵庫には数種類のビール、ワイン、日本酒が必ず入っている。
私の冷蔵庫からアルコールが消えることはない。
辛いこと、嫌なことがあればアルコールに逃げる。それが習慣。
アルコールが消えることは不安を煽る。
白のシャブリに手を伸ばし、慣れた手つきでコルクを引き抜く。
もちろん、グラスの種類もアルコールに合わせるため、いろいろ集めてある。
その中から、お気に入りのピルスナ―グラスを手に取る。
グラスに氷を入れ、シャブリを注ぐ。
彼の部屋で飲んだときと同じ飲み方。
グラスを軽く揺らす。カラカラと氷が音を立てる。この音が好き。
キンキンに冷えたシャブリを煽る。冷たいシャブリが胃の中に染み渡る。
昨日の出来事が蘇る。甘美で、そして認めたくない出来事。
それを振り切るようにワインを煽る。グイグイと・・・・・
飲まずにはいられない。
酔って、昨日の出来事を思い出すことを拒否したかった。現実から逃避したかった。

「おいおい、何回イケば満足するんだよ。」
「まったく好き者だなぁ。」
「こんなに濡らして恥ずかしくないのかよ。」
 「あぁっん!くぅぅ、も、もう・・・いやん!」
「嫌だって口では言ってもさぁ、ま○こは、ち○こに喰らいついて離さないぜ。」
「どうしょうもない淫乱だよな。お前は根っからのマゾなんだよ。」
「男に犯されて、喜んでケツを振るようなマゾなんだよ。」
 「あふぅん・・・いいのぉ・・・・」

熱に魘されたように囁く。感じたい。考えることはそれだけだった。

「ほぉらぁ、一旦抜くぞ。」
 「あぁん。いやぁ・・だめぇ・・・・あっぁん!」
 「あん!抜かないでぇ。抜いちゃ、いやぁ!」
「ったく、仕方ねぇなぁ。雌犬らしく後ろから嵌めてやるからケツを突き出せ!」

彼は貫いていたものを引き抜く。イク寸前で止められた身体は堪らなく疼く。
恥も外聞もなく懇願する。イキたい!それだけの為に。

 「ぁあん!・・・あっ・・・ぁ。お願いです。変になってしまいそうです。」
 「お願いです。このままじゃ嫌ぁ。ぁあん!」

言われた通りに、四つん這いになる。
思わず彼を誘うように腰を振る。嫌らしく。
彼はお尻を両手で掴み、指で割り開き、ゆっくりと怒張をあてがう。

「玲子、嵌めてほしいか?」
 「ぁぁん!欲しいですぅ。嵌めてください。」
 「お願いです!はやくぅ!早く下さい。」
「だったらお願いしろ。玲子を貴方の奴隷として調教してください。ってね。」
 「はい。言いますから、言いますから、早く、早く入れてください。」
 「玲子を貴方の奴隷として調教してください。雌犬として飼って下さい。」
「くっくっ。忘れるなよ。」

彼は笑いを押し殺す。
あてがっていた怒張を差し込む。
秘唇がメリメリと裂けていく。

 「ぁあん!んっ・・ぅう・・・っ。」

怒張は子宮の壁を捉える。
彼はゆっくりと腰を動かす。子宮が女としての喜びを感じている。

 「あぁん!嬉しいですぅぅ!」
 「早くぅ!早く奥まで!奥まで突いてぇーーー!」

無意識のうちに、男に媚びるような言葉が口から出る。
その言葉に彼はほくそえみ、怒張をぐいぐいと押し付け、子宮を突き上げる。

   彼女は誰?何を言ってるの?
  あれは貴女よ。わかるでしょ?
  ち○こが欲しくて、腰をくねらせて彼を誘ってるでしょ?
   イヤよ!違うわ。あれは私なんかじゃない。
   私はあんなことしないわ。私じゃないのよ。
   玲奈じゃない。あれは玲子よ。
  何を言ってんのよ。あれは貴女よ。散々、濡れまくってたでしょ?
   いやぁあああああああああああああ!違うわ!
   どうして・・・・どうして・・そんな酷いことをいうの?
   ひどい!ひどいわ!
  なにを言ってるのよ。あれは玲奈。あなたよ。
  間違いなく貴女よ。
   きゃぁああああああ!いや!いやよ!あんな女、私じゃない!
   やめて!やめてぇーーー!
  いい加減に認めなさいよ。自分が淫乱なマゾだってこと。
  玩具にされて喜ぶような女だってこと。
  貴女はマゾなのよ。この世界から逃げられないのよ。
  今にわかるわ。いまに・・・・

いつの間にか眠りについていた。
夢を見て、うなされていた。気がつくと身体中汗をかいていた。
恐い夢だった。
いや。夢なんかじゃない。
あれは現実の出来事。思い出したくなかった出来事だった。
そう。淫乱なその女性は間違いなく自分だった。
確かにあの時は、彼に犯され、陶酔し、この身を委ねることに安らぎを感じた。
彼にめちゃくちゃにされることを願い、そうされることに酔った。
けれど目が覚めて現実に戻っている今、そんな自分の行動を容易に認めることなど
できなかった。
でも・・・身体に甘い痺れが残る・・・・・
恥知らずな自分を認めたくなかった。認めることなど出来なかった。
あれは私じゃない。あれは玲子。あの女よ。
あの女が勝手にやったことよ。
自分の中に別の自分がいる。そう思い込むようにした。
永井玲奈とは別人よ。必死で自分に言い聞かせた。
自分とは別な人間の行動。私に責任はない。
そうやって、自分を納得させた。
自分の意思で、自覚して永井玲奈とは別の自分を作り上げた。
卑怯な・・・そう、卑怯な方法で現実から逃避することしか出来なかった。

汗を流すため、シャワーを浴びに浴室に向かう。
浴室の鏡に映った身体には、赤い内出血の跡が点々と残っている。
その跡を見て、甘い疼きが蘇る・・・・。何故?

「おはよぉーーーー!玲奈!」
 「あっ。おはよう、葉子。」
「昨日はどうしたのよ。急に風邪で休んだりして。」
「玲奈としては珍しいわね。鬼の霍乱?」
 「いやだぁ!失礼しちゃう。」
 「私だって人間よ。風邪くらいひくわよ。もぉ!!」
「ごめん。ごめん。」
 「だってさぁ、玲奈が急に休むなんて珍しいから。」
「そう?」
 「そりゃそうよ。でも、元気そうでよかった。」
「玲奈に休まれると、何かと大変なのよ。」
「昨日も大変だったのよ。わからないことが多くて。」
 「もぉ!人の身体の心配をしてたんじゃないの?」
「えへへっ。風邪は大丈夫?」
 「取ってつけたように、感情が篭ってない言葉なんだから。」
「違うわよぉ。マジに心配してたって。」
 「ホント?」
「ホントだってばぁ。疑り深いなぁ。マジだって。」
 「仕方ないなぁ。勘弁してあげる。」
「きゃぁ!だから玲奈って好き!」
 「ホント調子だけはいいんだから。」

あはは!きゃはは!
いつもと変わらぬ日常の会話。変わったのは私・・・・
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