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言えない。 第2回

作 れいな

「さぁ、始めようか。」

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玩具として落ちていく第一歩だった。

私の顔の直ぐ横に彼は腰掛けた。

「まずはさぁ、玩具としての喜びを教えてあげるよ。たっぷりと時間を掛けてね。」

口元を歪め、不気味に微笑む。
会社では見た事のない彼の表情だった。

身体が痛い。後ろ手に縛られるという無理な姿勢でいることが辛い。

 「あのぉ・・・手が痛いんです。自由にしてください!」
「そう?まだ駄目だよ。」
 「お願いです。身体を自由にして下さい。」

必死で懇願する。

「まだ駄目だよ。痛みはスパイスだからね。」

冷たい一言だった。
その時は、彼が何を言っているのか理解できなかった。
私の言葉など無視して彼の指先は乱れたシャツの胸元に伸びる。
ブラジャーのカップをゆっくりと下へずらす。
指先で乳首を軽く摘む。

「へぇ〜。可愛い乳首してるじゃん。」

突然投げつけられた言葉に羞恥する。
身体中の血液が逆流したように熱くなる。

 「いやっ!いやよ!やめてよ!」
「縄が似合いそうな身体つきだね。」
 「えっ?」

突然の言葉に呆然とする。
彼は口元に薄ら笑いを浮かべながら、舐めるような視線。
・・・・・・なに??彼は何を言ったの??
なわ???なわって・・・・・なわってなに?・・・・・・・・・
驚きで言葉が出ない。

「何を驚いているの?」
「縄で縛り上げらるのが好きそうな身体をしてる、って誉めてるんだけど?」
 「えっ??なわ??しばりあげるって・・・」
「わからない?わかりやすく教えてあげるよ。」

口元を歪め、不気味に微笑み、腰をあげる。
デスクの引出から一枚の写真を手にして戻ってきた。
目の前に差し出された写真には、全裸で全身縄化粧された一人の女性が写っていた。
真っ赤な縄に裸身が絡められている。

 「きゃぁ!」
思わず写真から目を背ける。
・・・・・なにこれ?・・うそぉ・・・・!いやよ!こんなのいや!
こんなこと、こんなことされたくない!絶対にイヤ!・・・・・・・

「どう?理解出来た?」
「好きだろ?縄化粧?気に入った?」

・・・・・この人、何をいっているの?・・・・・・・

「絶対、君は似合うと思うんだよね。」
「慣れてくれば縛られただけで気をやっちゃうんじゃないの?」
「自分から縛りをねだるようになるのさ。楽しみだよ。はははははっ!」

声を上げて彼は笑う。
頭の中が真っ白になる。言葉も出せぬまま、ただ呆然と・・・為す術などなかった

無言のまま、彼はゆっくりと人差し指と薬指で乳首を摘む。
指先で乳輪を、なぞっていく。乳房をやさしく、円を描くように包み込むように動く。
そして再び指先は乳首に、首筋に・・・

口惜しかった。
こんな状況に追い込まれ、何も出来ない自分が。
彼に何を言っても無駄。こんな状況を招いた自分が悪い・・・・
けれど・・けれど“彼の思い通りになんてならない!”絶対に。
何をされても自分を見失わない。
それならば・・ひたすら耐えるだけ。
そう自分に言い聞かせ、唇を噛み締め、怒りの眼差しを彼に向ける。
手の痺れに耐えながら。

彼は柔らかくソフトタッチに上半身の感じる全てに指を這わせる。繰り返し何度も。
ゆっくりと時間は過ぎていく。
手首の痛みも増していくが、段々言い知れぬ気分になってくる。

 「あっ・・・・ん・・・・。あっ・・・ふぅ・・・」

噛み締めたはずの口元から、かすかに言葉が漏れ出す。
なのに彼は一言も喋らず、口元に笑みを浮べたまま同じ事を繰り返す。
ゆっくりと優しく指を這わせていく。
身体の中の、奥深く、何かが、何かが溶け出している。
必死で抵抗しなくちゃ。。。。自分自身に言い聞かせる。
手の痺れと共に、言い知れぬ感覚が、徐々に身体を包む。 
漠然と自分の中で何かが変わり始めていることを感じる。
不安になる・・・・焦りを覚える。
そんな状況に我慢できなくなり、彼に思わず言葉を投げつける。

 「やめてよ!いつまでこんな事を続けるのよ!」
 「早く帰してよ!」

彼は私の言葉を無視したまま、無言で口元に笑みを浮べたまま同じように指を這わせる。
ゆっくりと。
言い知れぬ感覚が、実は甘美な感覚であることを意識し始める。
噛み締めたはずの口元からは吐息が・・・

 「あっ・・ぁあ・・ん!あっ・・・ふぅ・ぅっ・ん!」

身体の変化に動揺しながらも、甘美な感覚が身体を包み込む。
手首の痺れと共に・・・・・

 「あっ・・はっ・ぁあぁ・・・・・、ふっ・・ふぅ・・・・ぅ・・もぉ・・」
 「もぉぉ・・・・・・・もぉ・・・だめぇ・・・」

緩みきった口元からは、はっきりと甘い吐息が零れる。
思わず縋るように彼を見つめる。
彼は変わらず、無言で口元に笑みを浮べたまま休む事なく、指先を首筋から胸に。
胸から首筋へと繰り返し這わせる。
甘美に手首の痛みが混ざり合う。
手首の痺れも、痛みも次第に麻痺してくる。
緩やかに、徐々に与えられつづける快感に、身体は次第に追いつめられていく。
昇りつめたい。無意識のうちに身体は求め始める。
そんな気持ちを察したのか、彼は乳首口づけをする。
乳首を口に含み、ゆっくりと舌先でころころと転がす。
軽く歯をあて、噛み、舌をこすりつけるように舐めあげる。
ちゅぱちゅぱという隠微な音が、部屋中に響き渡る。

 「あっ・・・あっふぅん。んんぅっ・・・」
 「もぉ・・・もぉ・・だめぇぇぇ・・おっおねっがぃ・・お願いですぅぅっ・・・」

目尻に涙が浮ぶ。潤んだ瞳で縋るように彼を見つめる。
歪んだ彼の口元から、やっと言葉がでる。

「ふふふっ。何が駄目なのさ。」
「さっきまで唇を噛み締め、我慢してたんでしょ?」
「絶対、俺の思い通りになんかならない。そう心に誓ってたんじゃないの?」

えっ!何故?どうしてわかるの?
言葉に出していないのに・・・
自分が思っていた通りのことを、彼に指摘されたことに言いようのない不安を感じる。

「言い当てられたことが不思議?」
「ふふふっ。簡単なことさ。目を見ればわかる。さっきは反抗的な目をしてたからね。」
「明らかに敵対視した目つきで俺を睨んでいたさ。」
「絶対に俺なんかに屈服しないってね。」
「しかしね、今は・・・今は俺の足元にでも縋りつくような目をしてる。」
「淫靡な目で縋りつくようにね。はっはっは!」

恐かった。背中に水を浴びせられたようだった。
何もかも見透かされていそうで恐い。
こんな人に出会った事などない。
未だかつて感じたことのない、怖さを感じていた。
これが男?

 「あっ!」

突然、乳首を指で強く摘まれ、身体が踊る。
先程までのソフトタッチが嘘のように、右手で乳房を痛いくらい強く揉み始める。
空いている左手は乳首を責め立てる。
片手で胸を鷲掴みにし、爪をキリキリと乳首に立て、摘み上げる。

 「うっ、、、っぅ、、」

私は苦痛に顔をゆがめる。

 「あっつぅ・・・うぅっ・・・いっ、痛い・・・」
 「いっ・・いやぁ・・・ぁ。いたっ、痛いのぉ!やめて!やめてよ・・ぉ・・」

甘美に包まれていた身体は、一気に冷めたかのように思えた。
痛みを与えた彼に向かい、思わず睨みつける。

「ふふふっ。」

彼は口元を歪め、不気味に笑う。
無言のまま、再びゆっくりと指先で乳房を、乳首をなぞっていく。
そして指先は乳首に、首筋に・・・

痛みを与えられた事により、感覚が鋭敏になっている。
その状態で、さわさわと愛撫を与えられ、冷めたと思っていた身体は再び甘美な
感覚を呼び戻される。

 「あっ・・はっ・ぁあぁ・・・・・ぁん!、ふっ・・・ぅ・・」

直ぐに身体中が燃え出し、昇りつめることを願い始める。

 「きゃぁあああああ!」

優しく撫でられていた乳首に、再び爪を立てられる。
乳房は握り潰され、捻られる。再び痛みの底に突き落とされる。
そして再び、乳首にちろちろと舌を這わせながら指先で首筋をなぞる。
かと思うと、執拗に胸を揉みしだき、乳首に歯を立て強く吸い込む。
徐々に甘い感覚が体中に、心の中にまで拡がっていくことを抑えることは出来なかった。
憎いはずの男の手によって快感を与えられる。
そんな恥ずかしい自分に狼狽しながら、我が身の情けなさに泣き出したくなる。

甘美な快楽と背中合わせの痛み・・・・鞭と飴。
それは何度も繰り返された。

与えられる快感に抗いようもなかった。
乳房はじんじんと火照り、乳首は厭らしく硬くしこっていく。
秘唇からは熱い花蜜をトロトロと潤ませている。
彼の執拗な愛撫の繰り返しに逃げる術などなかった。
明らかに身体は隠微な刺激を受け入れていた。
身体が浮ぶような、目の前は霞がかった・・・そんな状態に・・
目を閉じ、だらしなく口を開き、喘ぎ、不自由なままの身体が仰け反る。

 「もぉ・・もぉぉ・・・・・・・もぉ・・・だめぇ・・・駄目なのぉ・・・」
 「ぁ・・はぁ・・・おねがい・・おねがいですぅ・・・」

感じたい・・・・イキたぃ・・・・・・
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