第12話


女性がほどいた結び目。 当然ですが、タオルは力をなくした生き物のように、床に向かって落ちていき ます。 はら…。 それは私には、スローモーションのように感じました。 走る沈黙。 その直後、大歓声が響きました。 「おおーー!」 「スッポンポーン!」 「身につけてるのは、イヤリングと、チビザルだけだぜー!」 「わははは!」 「やーーー!」 私は叫びます。 私の前面には、チビザルが張り付いています。 それこそ見方によっては、全裸で抱き合っている状態です。 といっても彼の方が小さいので、赤ちゃんを抱いている母親のようにも見えま す。 「ちくしょう、チビザルの頭がジャマで、おっぱいよくみえねー!」 「変わりてぇー! なんであいつばっかり!」 「肝心なトコも、チビザルのケツでよくみえねぇじゃねえか!」 そうです。 それこそちょうど水着のように、彼が私の体を隠していました。 でも男子生徒たちはその状態でも十分に興奮するらしく、ほとんどが股間を押 さえ、真っ赤な目で私のことを見ていました。 「あらあら、手が滑って、タオル取っちゃった。ごめんなさい?」 女性はニヤニヤ笑いながら言います。 私は思わず、キッとにらみました。 すると女性は、それ以上の迫力で、私の方を見て冷ややかに笑いました。 私は、思わず目をそらします。 「ちなみに、床に着かなければOKよ? 壁やイスなら大丈夫だから」 「ふふふ。がんばって」 「さぁ、どっちが勝つかなぁ?」 女性たちは好き勝手に言います。 私はヨロヨロとよろけます。 さすがに彼の体重を支えながら、立っていることはできません。 「とっ…。とっ…!」 私がバランスを取るたびに、男性たちから歓声が響きます。 「もっと足あげてー!」 「こっちにお尻むけてよー!」 その言葉に反応する余裕もありません。 突然に、グラッと揺れる体。 私は思わず、両手でまえかがみになり、そのまま壁に手をつき、前傾姿勢にな りました。 「おおおーーー!」 瞬間、歓声が響きます。 それこそお尻を突き出すような格好で、壁にもたれかかる状態。 さらに私の足と壁の間、ちょうど上半身の真下には、チビザルがブラ下がって います。 そして体重がかかっているため、私はつい足を開き、中腰になってしまいまし た。 チビザルの足は私の腰骨くらいに回り込んでいるので、お尻は丸見えです。 「ケツ、ぷりんぷりん!」 「それにあそこも丸見えだぜー!」 私はそういっても、体を動かすことはできません。 すると女性が私の後ろに回り込んで、お尻をパンパンと叩きました。 「ほら、みんな。記念撮影しておかないと!」 全員がそれにカメラを構えます。 無機質なシャッター音があたりに響きました。 「あぁ…。あぁぁ…」 私はただ屈辱に体を震わせながら、前傾姿勢のままチビザルの体重を支えてい ました。 すると突然、私のお尻の交点部分に、冷たい感触が走りました。 「みんな、さすがにここまでは見たことないんじゃないかな?」 まさか。 そう思うまもなく、女性は私のアソコに手を掛けます。 「この子、ヘアも薄いから、丸見えねぇ」 そしてそのまま、説明を始めます。 「これが、大陰唇っていってね」 その瞬間、たくさんの男子生徒たちが、私の後ろに回り込みます。 みんな目をギラつかせながら、私のアソコに視線を集中させています。 「この、ちょろっと出てるのが小陰唇。ピンクでかわいいよね」 全員、まんじりともせずに見つめています。 後ろから荒い息を感じました。 「綺麗でしょ? こういう子は、経験が少ないんだよ。みんなに彼女ができた ときも、見てみてね」 「まぁ、この解説してる女が、こうだったのはもうはるか昔だけどね」 「そうそう、いまはもうかなり色素沈着して…って何言わせるのよ!」 「あはははは! 色素ー!」 女性たちは笑いあいます。 生徒たちは、その言葉にすら反応しているようでした。 「じゃあ、ここからが本番ね…」 「みんなよく、覚えておくのよー?」 「まさか…。やめてください。やめてください…」 私は言います。 しかし女性は構わず言葉を続けます。 「はいっ!」 女性はそのまま、私の小陰唇を思いっきり広げました。 「いたーーーい!」 「ご開帳ー!」 「うおおおおおおおおおお!」 「すっげええええええええ!」 あらためてハッキリと見た、女性のあそこ。 男子生徒たちから、いままでで最大級の声が響きました。 「ほおら! ボクたち、写真に撮っておきなよ!」 「普通に生きてたら、めったに見られない、女のむきマンだぞー?(笑)」 「この豆みたいなのを、クリトリスって言うんだよ。よく覚えておこうね」 「こんな明るいところで全部見せてくれる女って、普通いないから。みんなラッ キーだったね!」 「この女も、見てもらえてラッキーだったんじゃない? 露出狂だし」 ひどい。 最悪な言葉が、私の胸に突き刺さりました。 でも、そのときです。 「…あれ…?」 「あら………」 「ちょっと、これ、まさか…!」 いままでにこやかに笑っていた女性たちが、私のあそこを見て、言いました。 「もしかして、これさぁ…」 「うん………」 その瞬間です。 サウナのドアが、ドンドンドンドンと叩かれたのです。 (つづく)


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