性獣の家 第5回

沼 隆(ヌマ・タカシ)

登場人物

丸岡 美利 美容師  稔の新妻
塩津由紀江 美利の母

赤峰 直紀 信用組合営業係

丸岡  稔 自動車修理工
丸岡  晋 稔の父 農業
丸岡 絹子 稔の母


(1) ムスコのために

黒井町のヘアサロン《コックス》
塩津由紀江(ゆきえ)の店で、従業員はひとり、
娘の丸岡美利(みり)である。
客が途切れて、ふたりが手持ちぶさたでいるところに、
黒井信用組合の営業、赤峰直紀(なおき)がやってきた。
直紀には、妻子があるのだが、由紀江とは不倫関係にある。
由紀江は、待ち焦がれていたうれしさを、
全身で表しながら、招き入れた。
美利がいなければ、抱きついて、
唇を求めるところなのだが。
由紀江は美利に店を任せると、
直紀と2階の寝室に上がっていった。

カランカラン
入り口のドアのが、客の来店を知らせる。
美利は「いらっしゃいませ」と言いながら、
入り口を見ると、
義父の丸岡晋(すすむ)が入ってきた。
「美利、儲かってるか?」
「はい、おかげさまで」
「そうか、それはいい」
「お義父さん、今日は、何のご用ですか?」
「稔は、相変わらずか?」
美利の夫、稔は、自動車整備工なのだが、
深夜遅くに帰宅する。
仕事が終わると、
**市にあるソープランドに通い詰めているのだ。
「はい」
「困ったやつだ」
ずかずかと、店の奥に入っていき、
2階に上がっていこうとする。
「お義父さん、困ります」
晋は、にやりとしていった。
「わかってるよ、美利、
 由紀江のところに、
 男が来てるんだろ?」
止める間もなかった。

「ナオさん、昨夜、奥さんと、したと?」
由紀江が、直紀のペニスをしゃぶりながら言う。
「しとらんよ。ずっと、しとらん」
「ホントね?」
「ああ、チ●ポ、ぎんぎんに勃っとろうもん」
「チ●ポ、奥さんの匂いのしとる」
「バカ言え……しとらん言うたら、しとらん」
「奥さんと、してほしうなか」
「せん、言うとろうが」
「ああん……」
「おまえも、よそん男と、マ●コしとらんやろうね」
「しとらんよぉ」
「ほんとか?」
「しらべてみてよ」
「ああ、マ●コ、調べてやる」
直紀は、由紀江の股間に顔を埋めて、
肉穴の匂いを嗅ぐ。
「ザーメンの匂いのしとるぞ」
「バカ……しとらんて」
「もう濡れとるやないか」
「ふふ」
「チ●ポ、欲しいか?」
「欲しいよ」
「よおし、挿れてやる」
直紀は、肉ペニスの根元を握って、
由紀江の股間に腰を沈めていく。
「ああん……」
「どうね」
「チ●ポ、入ってきとる」
突然ふすまが開き、晋がにやにやしながら踏み込んでくる。

「な、なんだ、あんたは?」
直紀が大声を出した。
「おっ、オメコ、始めたところだね」
「な、なんだよっ!」
「晋さん、出て行ってくださいっ!」
由紀江が叫ぶ。
「へへっ、あんた、信用組合だろ?」
「えっ?」
「わかってるよ、おまえらのこと」
「何だって、言うんだ!」
直紀が怒鳴る。
「まあ、そんな大声出さなくても、
 ちっこい家なんだし」
「晋さん、出て行ってください」
「由紀江、いいおっぱいしてるねぇ」
「妙なこと、言わないでくださいよ」
「待っててやるから、オメコ、済ませな」
「出て行って! お願いですっ!」
晋は、出て行く気配がない。
由紀江と直紀は、下着を着けた。
「おい、信用組合、チ●ポ、しぼんでるぜ」
「ば、バカにするな!」
「妻子持ちのくせ、しやがってよぉ」
「なんだとっ!」
「やるかっ?」
「やめて、二人とも、やめて……お願いです」
それから、由紀江は、
「直紀さん、今日は、帰って」
と言った。

「ちょっと、早すぎたな……しまった、しまった」
晋は、おどけた口調で言う。
「もうちょっと遅く来てたら、
 おまえらがオメコしてるところ、見られたのにな」
「変なこと、言わないで」
「ところで、由紀江よぉ」
ソープ狂いの息子を立ち直らせたくて、
と晋は話し始めた。
「風呂場、改装させてもらうよ」
改装して、ソープランド造りにする、というのだ。
「稔と美利が、ちゃんと夫婦になれるようにしてやるから」
「そんなことで、稔さんが戻ってくる、と言うんですか!」
「ああ、戻ってくる」
晋がきっぱり言うので、由紀江は、逆らえない。
「ソープの女より、美利の方が上等なんだから」
「そんな比べ方、しないでください!」

(2) 手ほどき

晋は、《コックス》の店の裏の小さな浴室を解体し、
不釣り合いに広い浴室を増築した。
由紀江も美利も、蚊帳の外。
工事は、晋が取り仕切った。
ソープランドの個室そのままである。
バスタブ、広々とした洗い場、
シャワー設備、
そして、浴室とつながったベットルーム。
洗い場には、奇妙な形をした金色の椅子、
壁には、銀色のエアマットが立てかけてある。

由紀江も美利も、
金色の椅子や、マットの使い方を知らない。
しかし、いかがわしさだけは、一目でわかる。
稔は、これと似た場所で、どんなことをしているのだろうか。
ソープ嬢を相手に、何をしているのだろう。
「オレが手ほどきしてやるからな、美利」
と、晋が言った。
「由紀江さん、あんたも、勉強しても、よかよ」
ヒヒ、と笑う。
「信用組合のあいつと、ここで遊んでも、よか」
「いえ、結構です」
「おもしろうないオナゴじゃなあ」

そこへ、絹子がやってきた。
「おまえ、何しに来たんだ?」
晋が、絹子に言うと、
「増築祝いに来たんよ」
と言って、浴室を眺め回し、
「ソープって、ただの風呂場じゃないの」
とつまらなさそうにいう。
「用が済んだら、さっさと帰れ」
と晋がせき立てると、
「追い返さんでも、よかやないね」
そして、
「ここで、どんなこと、するん?
 あんたや稔が夢中になるんやから、
 ただの風呂場やなさそうやね」
「わかった、わかった、もう、いい、帰れ」
「あんた、どんなことするんか、見せてよ」
「あほか!」
「なんが、あほね……あんた、見せられんこと、するん?」
ちっ、と晋は舌打ちをする。
「あんた、美利に手ほどきする、言うてたね」
「ああ」
「あんたのお手並み、見せてもらうわ」
「き、絹子、おまえ」
「あんたが、手ほどきにかこつけて、
 美利とやったりしたら、承知しないからね」
「バカ野郎」
腹の中を読まれて、晋は苦笑する。
「あたしは、ここで見ているからね」
「何、つまんねぇこと言ってるんだ」
絹子は、ベットに腰を下ろす。
由紀江は、いたたまれなくなって、出て行った。

「美利、始めるぞ」
美利に、服を脱げといい、美利が脱ぐと、
「何だよ、つまんねぇ下着着やがって」
美利の下着は、味も素っ気もない、白い下着だった。
「色気も、何にも、ないねぇ」
と絹子が言う。
「そいつも脱いで、素っ裸になれよ」
「いやです」
「逆らっても、無駄だよ、美利」
ソーププレイで、稔が戻ってくれることを願いながら、
美利は裸になった。

晋が裸になると、
「あんたが裸になること、ないだろ」
と絹子が言った。
「パンツ、はきなさいよ」
「パンツはいたまま、できるかよ」
「パンツはかなきゃ、させないよ」
晋は、渋々パンツをはき、
パンツをはいたまま、
肉棒を勃起させ、
美利に様々なテクニックを教えていくのだった。
晋は、本番なしの中途半端な状態のまま
手ほどきを終えた。

「今度は、あたしとだよ、あんた」
と絹子が言い、裸になる。
「ちっ」
と舌打ちしながら、晋は絹子と絡まっていく。
「パンツ、脱ぎなさいよ」
「なんでや!」
「あたしには、本気でせんと、いかんよ!」
晋は、パンツを脱いだ。
肉棒が、だらんと下がっている。
美利が出て行こうとすると、
「美利、見とかんね!
 稔を喜ばすために、
 どげんすればよかか、
 見とき!」
と、絹子が言った。

美利は、おぞましい光景に、あきれながら、
中年夫婦のマットプレイをぼんやり見ている。
「あんた、こんなキモチいいこと、しとるんね?」
「ああ、キモチ、よかろうが」
「もう、腹の立つ!」
「やめるね?」
「なに言うとるん! あたしば、いかせんね!」
ヌチュヌチュ、ローションまみれのカラダをこすり合わせていると、
晋の肉棒が堅くなる。
絹子は、上体を起こし、
仰向けに寝ている晋の腰に尻を沈めていく。
ずちゅっ
「ああん!」
絹子は、嫌らしいあえぎ声を上げる。
晋は、美利とは果たせなかったホンバンを、
妻の絹子とした。
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