隣人の妻 U 最終回

作 沼隆(ヌマ・タカシ)

登場人物
  岡下 美咲
  四方 郁恵  美咲の友人
  江木  亘  郁恵のセフレ
  郷田 軍治  岡下夫婦の隣人


(1) 郁恵の企み

〈ふふ〉
電話の向こうで、郁恵が含み笑いをする。
〈なによぉ、ふふ、って!〉
美咲は、郁恵の憎たらしい笑いが目に浮かぶ。
このところずっと、郁恵にバカにされっぱなしなのだ。
〈ワタルったらさ……〉
ワタルというのは、郁恵のセフレである。
〈郁恵さんのお友達と、エッチしたいな、って言うんだ〉
〈……?〉
〈美咲と、エッチしたい、って、言ってるんだよ〉
〈えええっ!〉
〈そんな、変な声出さないでよ〉
〈だって、そんなこと、言われたら……〉
驚いて当然でしょ! と美咲は思う。
〈郁恵さんのお友達、とってもセクシーだって、ワタルが言うの〉
〈変なこと、言わないでよっ!〉
〈私も、そう思うよ〉
〈えっ?〉
〈美咲、セクシーだよ〉
〈そんなこと、ないよ〉
〈自分で気がついてないのか、
 気がついていないふりをしているのか……〉
〈ひどいっ!〉
美咲は、郁恵の話に驚いているが、
セクシーだと言われて、悪い気はしない。
郷田とセックスすることで、
美咲の体の芯に眠っていたモノが、
目覚めてしまった。
ただ、郁恵の提案を、即座に受けるには、抵抗がある。
郁恵のカレシと、寝るなんて……
なんなの?
どういうことなの?
と、美咲は思う。
〈ね、美咲〉
郁恵が、プッシュしてきた。
〈お向かいの人、どうなってるの?〉
〈どうって……〉
〈セックス、楽しんでる?〉
郁恵は、エッチと言わずに、セックス、と言った。
〈セックス、してる?〉
じつは、ちょっと、ご無沙汰なのだ。
この2週間、郷田と寝ていない。
郷田は、仕事が立て込んでいるらしい。
〈ワタルと、セックスしてみなさいよ〉
〈……〉
〈迷うこと、ないよ〉
〈郁恵は、平気なの?〉
〈ん? なにが?〉
〈私が、ワタルくんとエッチしても、平気?〉
〈アハハハ、そんなこと、気にしてたの?〉
〈だって……〉
〈ワタルが美咲とセックスして、
 美咲のセックスがどんなだったか、
 聞き出すつもりなんだ〉
〈ええっ!〉
〈ふふふふふ〉
そうだよね、と美咲は思った。
美咲も、郁恵がワタルとどんなエッチをしているか、興味がある。
郁恵は、年下の男と、どんなセックスをしているのだろうか。
〈いいよね〉
郁恵は、美咲の背中を押すように、強い調子で言った。

(2) ときめき

夕食を食べ終わると、息子のタカシは、
自分の部屋に行ってしまう。
《パズドラ》に夢中だ。

宗男が背後から抱きしめてきて、
「おい、今夜は、どうした?」
と、言う。
「な、なによ! やめて!
 邪魔するくらいなら、手伝ってよ!」
宗男は、普段は後片付けの手伝いもしないで、
テレビを見ているのだが、
今夜は、どうしたというのだ?
美咲はにらみつけたのだが、
宗男には通じない。
にやけた顔の宗男が言った。
「おまえ、今夜、どこかヘンだな……」
「なによ!」
「なんか、うきうきしてるだろ」
「……」
図星だ!
明日のことを思うと、
キモチが浮きたって抑えきれないのだ。
「なんか、最近、色気が出てきたっていうか……」
「バカなこと、言わないでよ!」
美咲は、どきっとした。
退屈で、何一つときめくことがなかった毎日が、
今は、変わってしまった。
明日は、ワタルくんと会う。
10歳年下の男と、ラブホテルでセックスするのだ。
ときめきは、あふれ出して、隠せないのか。
鈍感な宗男が、見抜いたのだ!
「浮気してる、ってこと、ないよな」
「なに言ってるの! 無いに決まってるでしょ!」
「おいおい、そんなに大きな声出すなよ……
 タカシがびっくりするだろ?」
「あんたが、バカなこと、言うからよっ!」
宗男の指が、美咲の尻をなで始める。
「やめてっ!」
「おい、おい、やめて、は無いだろ……
 夫婦なんだぜ、オレたちは」
「したいの?」
「ああ、したいさ……」
「タカシが、眠ってからにしてよ」
「へへ、今したいんだよ、美咲……」
宗男の股間が膨らんでいる。
「バカ、言わないで!」
「しょうがねぇなぁ……」
宗男は渋々テレビの前に戻り、
憂さはらしに、大きく放屁した。

翌朝、宗男が出勤していくと、
美咲はシャワーを浴びた。
乳房や、下腹部、そして股間を丹念に洗う。
昨夜、宗男がなめ回した場所、
精液を出した場所。

それから、紫色の下着を着け、
下着姿のママ、化粧をした。
デートに出かける前の、どきどき感。
すっかり忘れていた、ときめき。
宗男のことは、頭からすっかり消えていた。

(3) 江木亘

美咲が、待ち合わせの場所に行くと、
ワタルは郁恵と一緒に来ていた。
郁恵は、
「いいでしょ?一緒に行って」
と切り出した。
「ええっ! なに言ってるの!」
「美咲、おっきな声、出さないでよ」
「そんな……いやだよ」
美咲が、ワタルとエッチするところを、見るというのだ。
「美咲が、ワタルとどんなセックスするか、見たいし」
と、郁恵が言った。
「それにね、美咲、ワタルも、あたしに見てくれって言うんだ」
「……」

ラブホテルのベッドで、美咲はワタルと交わった。
郁恵が、ソファに座って見ている。
郁恵の視線を意識して、美咲は大胆に振る舞った。
始めてしまえば、引き返すことはない。
美咲は、絶頂に向かって、アクセルを踏み込む。

(4) 郷田軍治

「ご無沙汰したね」
と郷田が言った。
「仕事が忙しかったもんやから」
郷田にわびられて、悪い気がしない。
美咲は、すねて見せた。
「美咲ちゃんと、したくて、たまらんかったよ」
「ホント? 琴音さんと、してたでしょ」
「おいおい、琴音の話は、なしにしてくれよ」
それから郷田は、美咲の口をすいながら、
尻をなで回した。
美咲のカラダはとろけ、芯が疼く。
「んっ」
美咲の甘い吐息が、郷田の口に注ぎ込まれる。
美咲が、自分から舌を絡ませてきて、
それから、下腹部を郷田の股間に押しつける。
「チ●ポ、堅くなっとろう、ン?」
「うん……堅い……すっごく、堅いよ」
「チ●ポの先っぽが、濡れとるよ」
「そぉ?」
「ああ、美咲のオメコに、はいりたがっとるよ」
「あたしも、入れて欲しい」
「オメコ、したかとね?」
「したい」
「そうね」
「うん、おチ●ポ、欲しい」
「ああ、そうだね、オメコ、濡れとるばい」
「ああん……」
「俺の指、美咲のマ●コ汁で、びしょ濡れたい」
「チ●ポ、入れて」
「ああ」

「味が、良うなっとるね」
「ん?」
「オメコの味が、良うなっとる」
「どんな味?」
「味いうのは、ハメ心地のことたい」
「ハメ心地?」
「美咲のオメコ、オレにチ●ポに吸い付いてくるよ」
「ん?」
「美咲のオメコに、オレのチ●ポがしゃぶられてる、言うてるんや」
「そうなの?」
「ああ、クイクイ、締め付けてくるし」
「……」
「マ●コ汁が、とろとろあふれ出してくる」
「……」
「チ●ポ、ずぶ濡ればい」
「もぉ」
「おいおい、そんなに締め付けるなよ」
美咲は、郷田の肉棒を締め付ける。
くいっ、くいっ、くいっ
そうやって、郷田の肉棒の太さと堅さを味わっている。
「おおっ」
郷田がうめいた。
「俵締めかっ!」
「???」
「クイクイ、締めつけやがるっ!」
郷田が、うめく。
「キモチ、いい?」
「ああ。美咲、たまらんよっ!」
「あたしも、いいっ!」
美咲の肉壺が、イソギンチャクのように蠢いて、
郷田の肉棒をヌチョヌチョとしゃぶっている。
美咲は、郷田の肉棒の太さと堅さを楽しんでいる。
そして、激しく動けば動くほど、
快感が高まっていく。
美咲と郷田は、2匹の獣のように、
快楽をむさぼりながら、絡み合い、攻めまくる。
郷田のカラダは、汗でしっとりと濡れていて、
「もっと、もっと、もっとよっ!」
美咲のはしたない叫び声に応えるように、
ゴウダは腰を使い続ける。
「はっ、はっ、はっ、はっ……」
郷田の息と、結合部がこすれる音が、
ジュブジュブ聞こえる。
「もっと、突いてっ!」
「ああ、突いてやるとも!」
「いい、いいよっ!」
美咲も、腰を突き上げ続けている。
郷田の肉棒を求めるように、
快感が高まっていき、
突き上げるリズムが早さを増して、
「いくっ!」
それから、
「ああああっ!」
悲鳴のような鳴き声を上げながら、
ぶりぶりと腰を突き出し、
尻をわなわなとさせて、
郷田の精液が、肉壺に噴き出す感触を、
絶頂とともに味わっている。
美咲は、頭の中が真っ白になっていった。

汗ばんだ郷田が、美咲の脇に体を横たえて、
美咲の口を吸う。
ふたりの唾液が溶け合う。

「あたし、イッたみたい……」
「そうか、イッたか……」
「イッたの、初めてだよ……」
「そうか……」
美咲の下腹部には、余韻が残ったままである。
郷田の精液が流れ出してきて、
体を起こして、ティッシュをあてがった。
そして
「もっと、して」
と言った。

美咲は、郷田とセックスしているところを
郁恵に見せたいと思った。
郁恵のセフレとセックスをして、
郁恵がそれを見ていたのだが、
今日の郷田とのセックスは、あのときとは比べものにならない。
郁恵に見せつけてやりたい、と思った。

「ね、相談があるんだけど……」
美咲は、郷田に言った。



2014/11/6 沼隆
戻る