肉欲の罠(修正版)

沼 隆

おことわり この作品は、フィクションです。
      登場する人名、地名、団体名は、
      実在するものと一切関係がありません。

登場人物  上原真樹夫 〈蘭香商事〉社員
      深津 梨江 〈蘭香商事〉女子社員
      小菅 一樹 〈蘭香商事〉課長


(1) 真樹夫

相模大野の駅の近くに、その雑居ビルがある。
古ぼけて、家主が手入れを怠っている、おんぼろビル。
ワンフロアが、70平米、あるだろうか。
その4階に、上原真樹夫が勤める会社がある。
で、4階をさらに4つに仕切って、
社長室、応接室、総務課、営業課の部屋がある。
株式会社 蘭香(らんこう)商事。
名前だけ聞くと、いかにも会社っぽいのだが、
平日の午後だというのに、ひっそりと静まりかえっている。
社長は、外出中、
総務課は、社長夫婦の雑用を言いつかって、不在のことが多い。
営業課は、真樹夫をいれて、3名しかいないのだ。

真樹夫は、駅前のラーメン屋で腹ごしらえをして、出社した。
部屋には、深津梨江ひとりだった。
課長は、営業に出ていた。
「くそっ」
1時までに出社しろ、と課長に言われていたから、
あきらめてホテルを出たのだ。
「くそっ」
「どうしたの? 上原くん」
「いや、なんでもないよ」
真樹夫は、自分の席について、大きくのびをして、
窓の外を眺めた。

「上原くん、なに、にたにたしてるんだよ」
深津梨江が、言った。
「いやらしい、顔して」
「へへ」
「会社さぼって、何してたんだか」
「仕事は、ちゃんとしてるさ」
「へえぇ」
「何だよ、そんな言い方、ねぇだろうが」

真樹夫は、思い出していた。
午前中、町田のラブホテルで、したことを。
女と過ごした、楽しい時間を。
女の名前は、サオリ。
欲求不満がたまっている人妻、と思って出かけた。
女が、自分でそう言ったのだ。
実物が、写メと違うのは、よくあることだ。
ていうか、普通のことだ。
どんなおばさんが来るのかと思った。
年齢は、プロフィールと、違わなかった。
20歳後半で、プロポーションも、悪くなかった。
それに、セックス大好き女だった。
欲求不満がたまっているのは、本当らしい。
真樹夫の指が、女の感触を思い出す。
乳房の弾力、尻のひんやり感、
そして、淫裂のヌメリ。
女の熱い吐息、
ねっとりした舌の感触、
女の体のほてり、
そして、肉棒が女の肉穴の感触を思い出して、
もっこりと、ふくれあがる。
「コーヒー、飲んでくる」
真樹夫は、立ち上がる。
深津梨江は、真樹夫を目で見送った。

自販機で缶コーヒーを買って、ビルの屋上に上がった。
貯水タンクわきのベンチに、腰を下ろす。
ICレコーダを取り出した。
イヤホンをつける。
かさかさと、シーツがこすれる音が続く。
早送りをする。
きぇっ、きぇっ
かん高い鳥の鳴き声に似た音が聞こえたところで、
ノーマルスピードに落とす。
女のあえぎ声が、はっきりと聞こえる。
真樹夫は、目を閉じた。
町田の女、サオリとのセックスを、録音しておいたのだ。
女のあえぎ声、よがり声を聞いていると、
真樹夫は、女の淫らな姿を思い出すのだった。

右手の人さし指と中指が、
女のヌルヌルを思い出す。
真樹夫は、思わず指のにおいをかいだ。
女のにおいが残っているはずもないのに、
鼻は思い出している。
真樹夫は、それを深く吸い込むように、
深呼吸をした。
この次は、
女の休日にあわせて、仕事を休む。
(今度は、ナマでさせてくれよな、
 ゴムの袋の中でなく、
 子宮に、精液をださせろよ)
肉棒は、すっかりふくれあがっている。
先端からにじみ出した先走りが、パンツを濡らしている。
そして、その肉棒が、あの女の肉穴のしめつけ具合を思い出している。
くいっ、くいっ、くいっ、くいっ
くぃっ、くぃっ、くぃっ
(しまりのいい、おマンコだったぜ)

真樹夫は、マスを掻きたくなった。
(ビルの屋上で、陽射しを浴びて、気持ちよくなるか・・・)
レコーダの再生は、続いている。
女の、淫らな、いやらしい声。
女は、ベッドで、何度もイッた。
その、最初にイッたときの喜悦の叫びが、
真樹夫の頭の中に響き渡った。
「あああああっ! いいいいいっ!」

真樹夫は、ベンチに、浅く座り直して、
伸ばした両足を開く。
ベルトをゆるめた。
ジッパーを下げ、肉棒を引きずり出す。
明るい陽射しの中に、いきり立った肉棒が、
ビュインと突きだした。
目を閉じて、
女の声を聞きながら、
しごく。
(ああ、いいきもちだ)
亀頭の先っぽに、粘液が漏れ出している。
それを指先につけて、
ヌルヌルで、カリをこする。
亀頭が、ぎんぎんにふくれあがっている。
まぶたの裏側に、人影を感じて、目を開けた。
深津梨江が立っていた。

(2) 梨江

「なにやってんのよ」
梨江は、缶コーヒーを持って、真樹夫を見下ろしている。
真樹夫は、肉棒をしごく手をゆるめた。
ミニのタイトスカートから、太ももが伸びて、
梨江は、真樹夫の前に立ちふさがるように、
両足を広げて、たっている。
「キモチ、いい?」
「ああ」
真樹夫は、レコーダを止めて、イヤホンを外した。
「そうなんだ」
「ああ」
ブラウスに包まれた乳房が、挑発的に突きだしている。
梨江の顔が、生意気そうで、
真樹夫は、むかついた。
「最近、やってないの?」
「ん?」
「聞こえてるくせに」
「ああ、聞こえたよ」
「どうなの?」
「やってねぇよ」
「かわいそ」
「けっ」
「奥さんから、電話、あったよ」
「ん?」
「携帯、ドライブモードだって」
「ああ」
「どうしてますか、って」
「ちっ」
「営業に出てますって、返事しといた」
「そか、さんきゅ」
「今夜、遅くなるってさ」
「ふん」
「奥さんと、うまくいってないの?」
「そういうわけじゃないけど」
「ふうん」
「梨江こそ、カレシとどうなってるんだ?」
「うん、まあね」
真樹夫の視線から逃れるように、梨江は真樹夫の左に座った。
「カレシ、仕事、忙しくてさ」
「そか」
梨江は、真樹夫の右手を見つめている。
真樹夫は、親指で亀頭をこすり続けている。
亀頭がはみ出していて、紫色にふくれあがって、
てらてらと、いやらしいツヤを見せている。
「やったげようか?」
「あん?」
「やったげる」
梨江は、右手を伸ばして、
真樹夫の手から肉棒をあずかると、
しごき始める。
真樹夫は、目をとして、ベンチの背もたれに寄りかかる。
梨江は、指を、手のひらを、たくみに動かす。
絶妙なにぎり方で、
きゅぅっとにぎったかと思うと、
手をゆるめ、
きゅぅっ
きゅぅっ
きゅぅっ
にぎりながら、手を上下させ、
亀頭から、根もとへ、そして亀頭へ、
ゆっくり、ゆっくり、しごいていく。
真樹夫は、キモチよさが高まって、
ふううっ
と深呼吸をした。
「キモチ、いい?」
「ああ」
梨江の髪が、真樹夫の顔をなでた。
いい匂いだ。
目を開けると、胸元に梨江の頭があった。
(フェラチオ、するのか?)
真樹夫のアテは、外れた。
梨江は、口にためただ液を、真樹夫の亀頭にとろりと垂らしたのだった。
梨江のだ液は、ねっとりと亀頭にからみつく。
梨江の指が、再び亀頭を、肉棒を、もみはじめた。

真樹夫は、梨江の尻をなでた。
「だめよ」
いたずらっ子をたしなめるように、梨江が言う。
真樹夫の指が、ミニスカートにもぐり込む。
「だめよ、そんなことするなら、やってあげないよ」
「ひでぇよ、ここまで、キモチよくさせといてさ」
「だぁめ、そこは、だぁめ」
真樹夫が、パンティの上から梨江の性器に触れたとき、
「だめだってば」
梨江は、肉棒から手を離し、上体を起こすと、真樹夫をにらみつけた。
いかにも拒絶するという顔に、真樹夫は、
闘争心をかき立てられた。

「やりたい?」
梨江は、真樹夫の股間をじっと見つめる。
肉棒は、いきり立ったままだ。
「ああ」
真樹夫は、肉棒をむき出しにしたまま、立ち上がった。
「やりてぇよ、おまえと」
「いやよ」
「ふん」
真樹夫は、梨江を抱き寄せた。
「いやっ」
梨江は、真樹夫の腕から逃れようと、からだをよじる。
乳房が、真樹夫の腕をこすり、
肉棒が梨江のふとももをこする。
「いやよ!」
真樹夫は、ブラウスのすそから手を差し入れて、
ブラジャーをたくし上げた。
そして、乳房を、
ぎゅうっ、
とつかんだ。
「やめてよっ」

スカートのフックを外す。
ジッパーを下げる。
真樹夫の指は、素早かった。
ほんの一瞬で、やってのけた。
両腕で、梨江をしっかり抱き寄せる。
両手は、梨江の尻に滑り降りて、
パンティの上から、
ぷりぷりした両方の尻たぶを、わしづかみにする。
梨江は、抵抗した。
逃れようとしながら、真樹夫に抱きしめられていた。
腰に張り付いたタイトスカートが、
よじれて、押し下げられ、
脱がされた。

パンティが、むき出しになった。
真樹夫は、梨江の股間に手を差し込んだ。
梨江は、その手を押し返そうとする。
真樹夫は、力をゆるめなかった。
真樹夫の指が、
パンティのまた布を引きはいで、
じかに性器に触った。
「こんなに濡らして」
「いやっ」
ビッ
「いたいっ」
真樹夫は、パンティを引きちぎった。
「いれてやるよ」
「いやっ」
「おれの、ちんぽ、いれてやるよ」
「やめてっ」
「ふん」

梨江は、梨江を背後からしっかりと抱きしめた。
梨江のむき出しの尻に、肉棒が、何度も突き立てられる。
真樹夫は、抱きかかえた梨江を、ベンチに押しつけた。
ひざが、ざらざらしたコンクリートの床でこすれる。
「あっ、いたいっ」
「ふん」
「いたいってば!」
「知るかよ」
真樹夫は、ズボンを脱ぎ捨てた。

真樹夫は、容赦なく梨江に埋め込んだ。
ずぶずぶずぶずぶ
「あうっ」
《碁盤責め》の姿勢で、交わった。
この体位だと、しっかり奥まで突ける。
梨江のブラウスは胸まで跳ね上げられ、
ブラジャーは、首までずり上がっているのだった。
「ああっ、ああっ」
真っ昼間、ビルの屋上で、
ひと組のオスとメスが、
けもののように交わっている。
「んんっ、んんっ、んんっ」
女のうめき声が、風にかき消される。
真樹夫は、梨江の乳房を
ぐいっ、ぐいっ、
と、もみしだく。
バックで、ぶっすり 挿入されて、
梨江は子宮を突き上げられる。
乳房と、子宮と、同時に激しく攻められて、
梨江は、体の芯から吹き上がる快感に、
尻をわなわなと震わせる。
じゅぼっ
真樹夫は、肉棒を引き抜く。
梨江は、いいところで、抜かれたので、
いぶかしそうに振り返った。

「どうしたの?」
真樹夫の肉棒は、いきり立ったままだ。
でも、ぐっしょぐしょに、濡れている。
「出したの?」
「いいや」
真樹夫は、ベンチに尻をおろした。
「来いや」
梨江の手をつかみ、引き寄せる。
「またがれ」
梨江は、意味がわかった。
真樹夫が、何をしたいのか、わかった。
梨江は、靴を履いたまま、ベンチに上る。
またを広げ、真樹夫に、抱きつくような姿勢で、
中腰になっている。
「来いや」
梨江は、股間をのぞき込んだ。
肉棒の位置を確かめるように。
ゆっくりと腰を沈めていく。
股間に隠された肉の割れ目が
ぱっくりと開いていった。
真樹夫は、右手で肉棒をかまえる。
肉棒の先端が、淫裂にふれる。
狭いベンチの上で、体が近づきすぎて、
亀頭が、淫裂を外す。
梨江は、右手をのばして、肉棒をつかみ、
自分の肉穴に導いていった。
亀頭が、もぐり込む。
ぶじゅっ
「あああっ」
梨江の淫裂からあふれ出した蜜が、
真樹夫の肉棒の付け根をぐっしょり濡らす。
肉棒が、梨江の淫裂にもぐり込んでいく。
真樹夫は、それをじっと見つめる。
梨江の陰毛に、淫水がしずくとなってついている。
つやつやとした陰毛が、きらきらと、光っている。
《抱き地蔵》の姿勢だと、結合は浅くなる。
けれど、真樹夫は梨江の乳房をすわぶりたかった。
真樹夫は、乳房に吸い付いた。
「あうっ」
梨江は、真樹夫の頭にしがみついた。
真樹夫の鼻腔は、梨江の乳房に押しつぶされて、
息ができなくなるほどだ。
真樹夫は、乳房をおもいっきり吸った。
肉穴が、肉棒をギュウウウウッとしめつける。
真樹夫が、腰を少し動かす。
梨江は、自分から腰を動かし出す。
この快感が、もっともっと
強くなるように
尻を上下させていくのだった。
ベンチが、きしむ。
ぎぃっ
ぎぃっ
ぎぃっ
「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ」
真樹夫は、梨江の表情が見たくて、顔を上げた。
青空がまぶしくて、目を閉じた。
肉棒に神経が集中して、
真樹夫の快感も高まっていく。

かすかに、足音がした。
梨江は、気がついていないのか、
あえぎながら、腰を振り立てつづける。
行くところまで、行ってしまうしか、なかった。
(今さら、誰に見られようと、かまうもんか)
そう思うと、真樹夫は、踏ん切りがついた。
すぐそばに、人の気配を感じながら、
目を閉じたまま、梨江と交わり続け、
やがて、肉棒の付け根、玉袋の奥に緊張がはしり、
そのときが、訪れた。
熱い精液が、肉棒の狭い管を噴き出していき、
梨江の体の奥に、噴き上がった。
そのとき、梨江にも絶頂が訪れていた。
精液をほとばしらせる肉棒の脈動に、
肉穴の粘膜をくねらせ、うごめかせて、
イッた。

「いい眺めだ」
真樹夫は、目を閉じたままでいたが、
声の主は、わかった。
「おまえたち、こういう関係だったのか」
梨江は、悪びれる風もなく、
尻をゆっくりと持ち上げてゆく。
おおきくM字に広げた股間から、
真樹夫の精液が流れ出し、
ぽとぽと、真樹夫の太ももにしたたる。
梨江は、ベンチから降りた。
太ももにからみついた、パンティの破片を脱ぐと、
腰をかがめて股間をぬぐう。
さすがに、梨江は、ふたりの男に尻を向けた。
前屈みになって、突きだされた梨江の尻を、
真樹夫と、もう一人の男は、じっと見つめる。
それは、このうえなく淫らな、姿だった。
スカートを着け、
ブラジャーを整え、ブラウスをなおした。
真樹夫は、ポケットティッシュで太ももをぬぐう。
だらりと垂れ下がった肉棒を、
ひきあげた下着のなかにしまいこみながら立ち上がり、
しわだらけになったズボンを拾い上げ、
はくと、ジッパーを引き上げ、ベルトを締めた。

(3) 小菅の誘い

「おまえたち、こういう関係だったのか」
小菅一樹が言った。
にたにた笑いながら、目は鋭い。
梨江は、悪びれる風もなく、
真樹夫が引きちぎったパンティで、股間をぬぐった。
太ももを流れる精液も。

「アオカン、気色いいだろうけどよぉ」
小菅は、たばこに火をつけた。
うまそうにくゆらす。
「向こうのビルから、丸見えだぜ」
向かいの雑居ビルの窓際にいた人影が、
あわてて引っ込んだ。
真樹夫は、精液まみれの肉棒を、
そのまま下着の中に押し込んでいた。
(ちっ)
ヌルヌルして、気色が悪いのだ。
「梨江、おまえ、下に行ってろ」
小菅に言われて、梨江は、階段室に向かっていった。

「梨江とは、いつからだ?」
「いつからって……」
「なあ、上原」
小菅の目に、いやらしい気配があった。
「なあ、上原さんよぉ」
小菅が、繰り返した。
「梨江のこと、おまえの女房に言ってやっても、いいんだぜ」
「よしてください、課長」
「ふふ、上原さんよぉ、
 女子社員と、真っ昼間に、会社の屋上で、おまんこしたって
 嫁さんには、知られたくないってか?」
「課長、野暮なこと、言わないでくださいよ」
「なにぃ?」
「課長だって、東横物産の女の子と」
「ちっ」
「おれも、内緒にしておきますから」
「バカ野郎!」
「お互い様じゃないですか」
「何が、オタガイサマだよっ」
ちっ、ともう一度舌打ちをして、小菅は、真樹夫をにらみつけた。

「なあ、上原さんよぉ」
小菅は、舌をぺろりとなめた。
「スワッピング、やろうぜ」
「えっ」
「なあ、そうしよう、上原さんよぉ」
真樹夫は、小菅が本気で言っているのか、
確かめるように、小菅を見つめた。
「結婚生活が10年も続くと、夫婦生活もマンネリなんだよ」
「ええっ」
「おまえんところも、そうなんだろ?」
「そんなこと、ないですよ」
「うそ、つけ!」
小菅は、ふん、とせせら笑う。
「浮気相手は、梨江ひとりじゃないだろ」
「浮気なんて、してませんよ」
「嘘つきは、ドロボウの始まり、っていうんだよ、上原さんょぉ」

「嫁を取り替えるって言うんですか?」
「ああ」
「おれの嫁を抱かせろって?」
「ああ、そうだよ、おまえは、おれの嫁とやれよ」
「そ、そんな」
「なあ、上原、おまえ、おれの嫁、知ってるよな」
「はい」
「そんなに、悪くはねぇだろ?」
志穂とか言う名前だった。
取引先の、マルト商事の社員だったと言うことで、
小柄で、そこにコンプレックスを感じているらしいが、
ぽっちゃりした唇が、男を誘っているように思わせる顔立ちだった。
真樹夫は、応えずに、小菅を見つめている。
「おれはよぉ、上原、夫婦のマンネリをなんとかしてぇんだよ」
「奥さん、賛成するんですか?」
「ああ、志穂のやつ、
 やりてぇような、やりたくねぇような、
 まあ、相手次第ってことなのさ」
小菅は、たばこを吸った。
うまそうに、紫煙をはき出す。
「おまえが相手なら、志穂も不安がらずにすむわけさ」
「おれが、抱いても、いいんですか?」
「なあ、上原、おれは、志穂がおまえに抱かれているところを見たいんだよ」
「本気ですか」
「ああ、本気だ」
「じゃあ、3Pに、させてくださいよ」
「はあ?」
「3Pなら、いいですよ」
「てめぇ、この野郎!」
「おれは、彩美を引き込むつもりは、ありませんよ」
「嫁さん、抱かせられねぇってか?」
「何、言ってるんですか」
「へぇ、そうかい」
「無理ですよ」
「梨江と、マンコしてる写真、撮っておくんだった」
「なに、言ってるんですか」
「いいだろ、上原」
「・・・・・・」
「ま、今すぐ決めなくてもいい」
「だめですよ、課長」
「嫁さん、説得するんだな、上原」
そういうと、小菅課長は、階段室に歩き始めた。
振り返ると、
「あんまり長くは、まてねぇぞ」
と、真樹夫に向かって、大声を出した。

梨江は、女子トイレで股間を洗う。
ブラウスとスカートにしわが寄ったのは、どうしようもない。
ぼろ切れになって、精液にまみれたパンティをゴミ箱に捨てた。
けれど、ノーパンでいるわけには、いかない。
(パンティ、買ってこなくちゃ)
真樹夫にパンティを引き裂かれるとき、
無理矢理、されている気分がして、
犯されている気分がして、
ぞくぞくした。
梨江は、無理矢理、というのが、好きなのだ。
抵抗しながら、やられると、すっごく、いいキモチになる。
財布を持って、パンティを買いに、町に出て行った。
進む

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