「張型平次」その1


 オープニングテーマ   男だったら女にかける♪  かけて溜まったモノを抜く♪  誰が呼んだか、誰が呼んだか張型平次。  責めの手管は八百以上!  今日もきめ手の、今日もきめ手の汁が飛ぶ♪   お江戸の朝は早い。  スズメが鳴き交わし始めると同時に町人達は仕事の準備を始める。  そんな朝の空気を切り裂くような勢いで疾走してきた若者が、一軒の長屋の板戸をぶちやぶらんばかりに開いて  飛び込んできた。 「てえへんだぁ! 親分! てえへんだぁぁぁぁっ!」  土間に転がり込むような勢いで駆け込んできた若者は、閉じられた奥の障子に向かってゼェゼェ言いながらも叫ぶ。  細面のなかなかの美系で、まだ少年といっていい年頃なのだが、ちょっとすさんだ雰囲気がある。その悪っぽい所が、  彼の場合は妙な愛嬌になっていた。名を助次郎という。 「なんでぇ! 朝っぱらから…ちょっと待ってろ! あとちょっとで…このっ!」 「あああんっ! そこぉぉ! もっとグリグリしてぇぇ!」  パンパンという湿った肉の打ち合う音に混じって女の切れ切れのよがり鳴きが聞こえてくる。どうやら朝っぱらから一  戦交えているらしい。聞こえてくるよがり鳴きと、腰が打ち合う音、湿ったものが激しくこねまわされるような音が  次第に激しくなっていく。  障子一枚隔てて行われている生々しい交合に助次郎の若い股間が疼き始めた。 「親分! それどころじゃねえんですよぉ! 大店の一人娘が天狗党にかどわかされたって知らせが!」  少し前かがみになりながら若者は叫ぶ。 「なにいいいっ! うっ! ・……………はぁぁ…良かったぜ、お篠…」  しばらくごそごそと身づくろいの音がした後で、障子が蹴り開けられた。  むっとするような淫臭が土間にいる若者の所まで漂ってきて、股間の圧迫感をさらに強めた。  障子を荒っぽく蹴り開け、ふんどし一張の姿で現れたのは、男盛りの年齢の二枚目だった。ややひげの濃い精悍な  顔立ちと、筋肉質の身体を持った大柄な男である。  野性的な風貌で、その身体のあちこちには古い刀傷が残っている。たくましい身体はさっきまでの情交の汗でてか  てかと赤銅色に輝いていた。 「詳しく聞かせろ」  男…平次という名のめあかしはそう言うと上がり口に置かれた座布団にどっかりと腰を降ろす。 「へぇ……さらわれたのは大店の中でもとびっきりの大金持ち、新富屋の一人娘、千沙ってこれまた器量良しの  可愛い子でして。昨日の晩に天狗党の連中がいきなり現れて、あっという間にさらっていったらしいんで……」  障子の向こう側にいるであろう女の様子をちょっと気にしながら、若者は説明した。  平次は独身のはずだから、お篠と彼が呼んだ女は情婦ということになる。どんな女なのか気になって仕方がない。 「おい! もっと詳しく話せ。天狗党の仕業だってのは間違いねえんだな?」  平次は話の続きをうながす。  天狗党とはここ最近、江戸の町を騒がしている美女専門の人さらい集団である。どうやら忍び崩れの一団らしく  体術と潜入術にたけており、誰にも気づかれることなく獲物の住まいに忍び込み、あっという間に目当ての人物  をさらって姿を消すのである。人さらいと同時に金蔵も破り、一切合切持ち去るのでさらにたちが悪い。  さらわれるのは決まって美少女であり、背後には大きな人買いの組織の影がちらついていた。 「へぇ。襲われたのは明け方のことだそうで、三人いた用心棒どもは一瞬で当て落とされ、千沙は声一つ出せずに  さらわれちまったそうです。で、用心棒の一人が、天狗面をかぶった男の姿をチラッと見ていたらしくて……」  助次郎はそこまで一気に言うと、土間の傍らに置いてある水がめからひしゃくですくった水を一息に飲み干していた。 「ふうむ。天狗党か、最近随分好き放題してくれるじゃねぇか。よし、それじゃあ聞き込みに行くとするか」  平次はそう言っておもむろに立ち上がった。そういうちょっとした動きでも、体さばきに無駄がないのが素人同然  の助次郎にもわかる。    街外れにある廃寺の本堂の中には妖しい香りを放つ紫煙が立ち込め、その中を少女の切れ切れのよがり泣きが流れ  渡っていた。  少女は奇怪なからくりに拘束されて淫らな責めを施されている。  鉄棒を複雑に組み合わせた籠のような仕掛けの中に下帯のみの姿で革紐によって拘束され、その脇腹を羽箒のような  からくりがゆっくりとくすぐっていた。  最初はたまらないくすぐったさに身悶えした少女だったが、しばらく続けられているうちに未体験の甘い疼きが成熟  途上の身体の内に沸き起こるのを感じて困惑する。  それを待っていたかのように、周囲に待機していたからくりも蠢き始めた。  割広げられた股間をお手玉を束ねたような突起の付いた棒が擦りあげ、可愛くふくらみ始めた胸乳に毛足の長い筆が  円を描いてくすぐり責める。たちまちのうちにぷっくりとしこり起った桜色の乳首と、お猪口を伏せたような乳輪の  周囲を回転する筆先が這い回る。  下帯越しに敏感な姫割れを擦られている腰がもじもじと蠢き、ジンジンと沸き起こる熱い疼きに少女の裸身を羞恥の  色で染め上げる。 「あひぃ! ひっ、いやあぁぁぁぁっ!」  それまで誰にも触られた事のない秘め所を奇怪な仕掛けに嬲られ、少女は喉の奥から絶叫して身悶えた。  そんな痴態を眺めているのは、天狗面をつけた数人の黒装束姿と、手足を縛られた少女である。白絹の寝巻き姿で  床に伏し、自分と同じ年頃の少女の嬌声を聞かされているのが大店の一人娘、千沙である。ほっそりとした色白の  美少女であった。  硬く目を閉じ、口をつぐんで目の前の一切を遮断しようとしているが、次第に甘い響きを帯びていく少女の声は  否応なしに鼓膜に飛び込んできて、千沙の幼い性感の琴線を掻き鳴らす。 「いかがですか、千沙殿。この仕掛けは淫ら籠といいましてな。けがれを知らぬ娘に淫らの楽しみを教え込むために  作られたものなのです」  天狗面をかぶった男の一人が声をかけてきた。その声に千沙はまなじりを釣り上げて目を開き、言葉を発した  天狗面を睨みつける。  その気丈さはただの大店の娘とは思えぬ迫力に満ちていた。 「何故です!? どうしてこのようなひどいことを!?」  千沙の言葉に、天狗面は喉の奥で小さな笑い声を上げていた。 「若く、血筋のいい娘はいい商品になるのですよ。そう、あなたのように大大名の側室の娘なら特にね」  その言葉に千沙ははっと顔を上げた。 「なぜ、そのことを?」 「調べはついております。さあ、百万石の大名の娘、いくらで売れますかな?」  天狗面は楽しげな声を出した。  続く


その2へ続く(作成中)