第十一章「賢者」21


 三十分……その長いようで短い時間の間に、あたしの膣内には誤解もマーマンの精液が注ぎ込まれていた。
 最初の一体だけでなく、残る二体のマーマンのペ○スも、最初は小さかったのに挿入を繰り返しているうちに膨張し、あたしの手首よりも太くなってしまった。
「ああああァン! あっ…あくっ……はァあ……ああっ…あっ…あッ―――………………!!!」
 犯されたのはヴァギナだけではない。「穴の奥に卵がある」と言う間違ったマーマンたちの認識のせいで、アナルファックまで強要され、前も後ろも、そして頭の天辺から爪先に至るまで、何処もかしこもマーマンの熱いザーメンミルクにまみれさせられてしまった。背中を覆うジャケットも股間に纏わり付く水着も、脱がす暇があれば穴に挿れたがるマーマンたちが脱がすはずもなく、あたしの肌と一緒に精液で白く染め上げられている。
 不幸中の幸いだったのは、マーマンのペ○スの大きさが溜め込んだ精液の量で変わること。自分たちでも肥大化するとは知らなかったマーマンの肉棒が、ヴァギナに挿れられたのと同じ太さにまで膨張されていたらと思うと……竪琴の音色で何も考えられなくなっている今のあたしは、むしろそれを残念に思うようになってしまっていた。
 そして―――
『あったけーだキ……こんなの味わったら…もう…これなしじゃ生きていけないキ……!』
「ん…んふゥ……」
『いろっぽい声だキ。チ、チ○ポ舐めるのが大好きだなんて、人間は……お、恐ろしくスケベだキ……!』
『人間ー、たくやー、大好きだキ―――! たくやたくやたくやァ―――!』
「うむっ! んんっ、むうッ、んッ! ふむ…ふム……ンふウゥゥゥ!!!」
 最初の膨張ぶりを失ったものの、三体のマーマンのペ○スは、三順はしたはずなのに未だに十分巨根と言えるサイズを保っている。それをヴァギナとアナル、それにノドへと捻じ込まれ、オナニーを覆えた猿のように腰を振り他来るマーマンたちの思うがままに犯されてしまっていた。
「んふぅうううぅぅぅ〜〜〜〜〜〜!!!」
 最初に昇りつめたのは口の中のペ○ス。岩場に仰向けに寝転がったマーマンの上で膣口と菊口を貫くペ○スのリズムに合わせて唇に頬張った白い男根を舐めしゃぶっていると、まつげや前髪から白い雫を滴らせている顔を股間へと引き寄せられ、ノドの奥にツルンとした肉棒の先端を押し込まれながら四度目となる精液を無理やり流し込まれてしまう。
 ―――やっぱり……量は少なくなっちゃったな……
 舌の上でプニプニとして張り詰めていた肉棒が勢いを失っていく。何度も腰を突き出し、根元まであたしの唇に押し込みながらポンプのようにあたしのお腹の中へ直接精子を送り込んでいると、四つんばいにさせられた下半身に突き刺さる二本のペ○スがここに来てさらに動きを加速させる。
『口よりおマ○コが一番だキ! 孕ませるキ、孕ませるキ、オレのチ○ポで何度だって孕ませてやるんだキ!』
『し、尻の穴の締め付けが…オおウだキィ!!! し、新発見、新触感、おおう、新たな扉が開かれたキィィィ!』
「んっ!? んんっ、ん〜〜〜!!!」
 薄い肉壁をはさんで、二つの穴に乱暴に押し込まれる二本の肉棒。膣内と直腸内で性欲のままに暴れ、跳ね回る二本の生殖器は、先に中出しされた自分たちのミルクをグッチャグッチャと卑猥に掻き鳴らしながら一番深い場所を突き回し、快感を送り込んでくる。膣壁を擦られ、腸壁をなぞられ、狭い肉穴の中で弾力のある肉棒二本に内側からこね回される快感に続々と背筋を震わせると、うっとりと目を細めて口の中に溢れかえる精液を飲み下しながら下腹部をネットリと締め上げてしまう。
 ―――お尻もおマ○コも、どっちだって気持ちがいいのに……
 再三にわたって膨張する肉棒に無理やり押し広げられた性器と菊門。何度犯されても緩くなるどころか、快感に喘ぐマーマンたちのペ○スを包み込むように締め付けてしまう下腹部を大きくうねらせると、あたしは射精を終えていないペ○スを唇から吐き出し、腰を引き寄せて胸の谷間に挟み込む。
「気持ちいい場所はここにもあるんだよ……♪」
『は…はオウ……ッ!』
 鉤爪のついた手では傷つけてしまうからと、あまり揉みしだいてもらえなかった乳房で、ここぞとばかりにペ○スを揉みしだく。まだタップリと精液が残っていた肉棒はアゴの下から白濁液をたっぷりと打ち上げると、あたしはそのまま相手の腰にしがみつき、膣壁と腸壁を押し広げるピストンの振動にあわせて身体を小刻みに上下させ、真新しい精液にまみれだした乳房をまだまだ射精の収まらない白い肉棒へ押し付ける。
「あっ、あっ、ああっ、あっああッあッ――――――!」
 再び精液を蓄積し、ゆっくりと膨張し始める二本の肉棒が苛烈なピストンと共にあたしの中へと押し込まれる。呼吸することもままならず、それどころかまぶたも鼻も、唇さえも、胸の谷間から迸った精液に覆われ、内臓を押し上げられる苦しみと悦びに髪の一本一本に至るまで汚された頭を振り乱す。
「んッ…ン…ッ……んはァ! ふっ…ぅ……んんっ…あ…っ、ああっ、はあああっ!!!」
 ―――あたし……なんでこんな事を……
 時折脳裏をよぎる疑問は、快感がはぜると共に何処へともなく消え去ってしまう。どうしてここでマーマンに抱かれているのかなんて理由はどうだっていい。今はただ、直腸から裏側を押し込まれている子宮を戦慄かせ、頭なお中を真っ白にしてただただアクメを貪ることが、今のあたしに考えられる唯一つのことだった。
「あんっ、あんんッ、あんッああああァんんんゥ! ああっ…あッ、んゥ―――――――――!!!」
 今にも意識が飛んでしまいそうな凌辱の中、先に精液を迸らせたのは直腸に押し込まれたペ○スの方だった。続けざまにヴァギナにも精液が放たれ、二つの穴で精液を迸らせる肉棒がドクドクと力強く脈を打つ。
 あたしはただ、開けることもままならなくなったまぶたを逆にギュッと閉じ、穴と言う穴に放たれた精液の温もりとペ○スの脈動を噛み締めるように感じ取る。ヌルヌルに汚れた肌を痙攣させ、愛液と精液の混ざり合った白濁精液を二穴同時に噴出しながら、恍惚の表情を浮かべて顔の上をたれ落ちてくる精液をズルルルッと音を響かせてすすりあげ……そうして、不意に力が入らなくなってがっくりと首をうな垂れると、あたしの身体の舌にいるマーマンの上に身体を倒れこませてしまう。
「も……ダメ………ぁ…………んぅ………」
 もうヴァギナもアナルもグチョグチョだ。今ならきっと拳を挿れてのフィストファックでも……は怖いのでやめておくとしても、短い間に次々とイかされ続けた身体は、指の一本に至るまで鉛のように重く感じられるほど力が抜け落ちていた。
『な…なんだ、もう終わりキ? 人間は、だ、だらしないキー……』
『そんなこと言ってるけど、俺たち全員もうヘロヘロだキ……ダゴン様の元に一度戻ったほうがいいキ……』
『こ、この女も…当然…お…お持ち帰りだ…キ………その前に、干物になっちまいそうだキ……』
 マーマンたちも、初SEXで精根尽き果てていた。これでとりあえず一息がつけると安堵しながら身体から緊張を解く。―――すると、


「お、お前ら、なにやってんだ!?」


 あたしたち以外に誰もいない――どこかで弘二が気を失ってたはずだけど――岩場に、突然別の誰かの声が響き渡る。
 力を振り絞って声のした方に目を向けると、おそらくは村の見回りをしている村人が二人、手にした銛をあたしに――ではなく、村を襲うモンスターであるマーマンへと向けていた。
「畜生、冒険者なんて口だけかよ、高い依頼料とっといて早速やられてやがる!」
 ………いや、あたしは依頼受けてないんだけど……
 反論しようにも、声を出す気力も残ってない。―――そもそも、あの人たちは何でここにいるのだろうかと、さっきまで分かっていたことさえ次第に分からなくなっていく。
『キキキ……あいつら、お前を取り返すつもりだキ!!!』
 さっきまでの会話を聞く限りでは、あたしは村の人から文句をつけられてたはずなんだけど……とりあえず誤解が生じたらしく、あたしのアナルからペ○スを引き抜いたマーマンは立ち上がりながら大きく息を吸い、身体を仰け反らせて鉄砲水を噴き出す体勢をとる。
「―――………って、それはダメェ!!!」
 弓のように反り返ったマーマンの身体が勢いをつけて腰を引き、大きく口を開く。
 その瞬間、一瞬だけ我に帰ったあたしは、仰向けのままのマーマンの身体の上から転げ落ちながら、その勢いを利用して脚を伸ばす。
「こンのォ!」
 あたしの踵がマーマンの膝を内側に当たる。
 村の人にとって幸運だったのは、あたしとのSEXで足腰に力が入らなくなっていたマーマンが、軽く蹴られただけでバランスを崩したことだ。
 村の人にとって不幸だったのは、鉄砲水の勢いも弱くて狙いも逸れたと言うのに、驚いて足を滑らせて、転んで頭を打って気絶したことだ。
「あんたはいったい何やってんだ――――――!?」
『そう言うお前こそ何やってるキ――――――!?』
 気を失った村人はバカとしか言いようがないけれど、もう一人のほうは無事だ。とっさに攻撃を邪魔してマーマンの怒りを買ったあたしが殴り倒されて気を失う直前、手にした銛を投げ捨て、慌てて逃げて行く姿を視界に捉えることが出来た。
 ―――ピンチの女の子を放って逃げるってのはどうかと思うけど……
 だけど三対一で敵うはずもない。逃げてくれればマーマンが現れたことが村に伝わり、他の人が何とかしてくれるだろう……薄れて行く意識の中でそう結論を出すと、身体を包み込みマーマン精液の生臭さに鼻を曲げながら重いまぶたをそっと閉じ合わせた―――



『ええい、しまったキ。他の人間に子作りしているところを見られたキ!』
『マーマンの子作りは神秘の御技(みわざ)だキ。これはとんでもない大失態だキ!』
『と、とりあえず、あの村の人間どもは殺され犯されるキ。我らはこの人間のメスを捕らえて帰還するキ!』
 疲れていたこともあり、三体のマーマンたちは逃げた村人を追撃するより逃走することを選択する。
 そろそろ他のマーマンたちが村を襲撃する時刻でもある。村の側面から奇襲をかけるダゴンの策ではあったが、たくやとの性行為で極限まで疲労していては攻撃に参加するのは既に不可能だ。
 なにより、「人間のメスの卵は身体の中にある」と言う貴重な情報を一刻も早くダゴンの元に届けることもまた重要であった。仮に村で大勢の人間のメスを捕らえても、子作りの方法が分からなければ何の意味もなさないからだ。
『では、いざ帰還だキ!』
 気を失ったたくやを抱え上げると、三体のマーマンは海へと飛び込んだ。
 陸上の生物では生きてゆくことさえ出来ない、マーマンたち海棲モンスターが支配する深く静かな海中へと―――


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