第十一章「賢者」04


「奇遇だな。温泉からの帰りか?」
 宿へ戻る一本道の途中で、綾乃は漁村のほうから歩いてきた留美とばったり出くわしてしまう。
「こんにちは。今から温泉ですか?」
「ああ、以前この村に立ち寄った時にも入ったがなかなかのものだったのでね。……確か綾乃と言ったか。改めて自己紹介しておこうか?」
「そ、そんな、私もお名前はお聞きしていますから……」
 丁寧に頭を下げて挨拶した綾乃は、意外にも留美が自分の名前を覚えていたことに驚き、慌てて手を振って留美に自己紹介させるのを留めさせる。
「どっちかって言うと留美さんのほうが冒険者の大先輩なんですから。むしろ私のほうからご挨拶しなきゃ」
「いや……あまり大先輩と言われるのもな。自分が老いたように感じられて困る」
「あ……す、すみません! 決してそんなつもりで言ったんじゃないんです!」
「わかっているとも。けれど…そうだな、私を呼ぶときは先輩などではなく“先生”と呼んでもらえたほうがしっくりくる」
「留美先生……ですか?」
「そうだ。これでも昔は弟子を取って勉強や魔法を教えたりしていたのでね。今はしがない一人旅だがな」
「魔法を教えてらしたんですか? スゴいなぁ……私もそんな風に慣れたらいいんですけど……」
 言って、綾乃は護身用にと持ち歩いている魔法の杖を握り締める手に力を込めてしまう。
 ………うらやましいな。こんなに綺麗な人なのに、魔法も使えて……私には何にも自慢できるものなんてないし……
 自分と留美を比較すると思わずため息がこぼれてしまう……そんな自分の恥ずかしい考えに心が少し重くなってしまう。
「ふむ……何か悩み事か?」
 綾乃の心中をわずかな表情の変化から見て取った留美は、おもむろに手を伸ばすと綾乃の首筋に指先を滑らせる。
「ひゃん!」
「変わった魔力をしているな。……赤、そして黒。炎と闇の二重属性か」
「え!? 見ただけで分かるんですか!?」
「私を誰だと思っている?……と言っても、詳しい自己紹介はしていなかったのだな」
 そう言って小さく笑みをこぼすと、留美はたくやにも負けないぐらいにたわわに膨らんだ胸の前で腕を組み、アゴに指をかけ、冷たくすら感じるほどに鋭利さな視線で綾乃の身体を上下に眺め回した。
「二重属性だけでも珍しいと言うのに、さらに片方は闇属性。炎の属性もいささか光寄り…“陽”か。なるほど、杖を持っているのを見ると魔法使いのようだが、魔法の発動率はあまりよくないのではないか?」
「は…はうぅ……」
「図星か……すまないな。あまり歯に衣を着せてしゃべるのは得意でなくて」
「いえ、気になさらずに……本当の事ですし、私、魔法のことはほとんど諦めてますから……」
「諦める? それはもったいない。これだけ稀有な才能を秘めていながら、諦めるの早すぎるのではないか?」
「稀有な…才能?」
 留美の言葉に「まさか」と思わずにはいられないほど、綾乃には「才能」と言う言葉は縁遠いものだった。料理や掃除は自分の努力次第で上手にもなるが、剣や魔法など本当の意味で素質が重要視される物事では綾乃は何も出来ない。体力的に他人よりも劣り、親もそれゆえに魔法を学ばせたのだろうけれど、
 ―――二つの魔力が交じり合ってるせいで、どんな魔法も思うように使えなくて……
 最近になって、一ヶ月に一度だけ股間に生えるペ○スから精液を搾り出せば闇属性の魔力が吐き出され、少しだけ魔法が発動しやすくなることを知ったけれど、それもほんの数日のことだ。しかも自分の手では自慰で射精することもままならず、そのたびにたくやに迷惑をかけることになってしまう自分に嫌悪感を抱くこともある。
 だから、
「そんな……ただ珍しいだけじゃダメなんです。私は……先輩のお役に立てないから……」
 両手で握った杖が小刻みに震えている。知らず知らず強く握り締めすぎていたのだが、その手を包み込むように留美が自分の手を重ねる。
「いい事を教えてやろう。一人の人間が別の属性の魔力を得ようとするなら百年以上を修行と研究に費やさなければならない。しかし綾乃、君はその百年を必要とせず、しかも闇属性と言うレア魔力の保有者だ。これを稀有な才能と言わずして何と言う?」
「でも……役に立たないんならあってもなくても一緒です……」
「違うな。持たざる者と持て余している者とでは天地の違いがある。どうだろう、今夜一晩だけでも私の“授業”を受けてみないか? その才能を埋もれさせていくのは、あまりにも惜しい」
「ほ…本当に、私の中に留美先生の言うような才能があるんですか?」
「信じられないか? だが安心するといい。他の誰もがダメでも私なら……」
 綾乃の手を握り締めていた留美の右手が肩に移る。そして引き寄せられるままに身を預けた綾乃はアゴを指先で持ち上げられて上向かされると、すぐ目の前にまで迫っていた留美の顔を見る。
「え……あ、あの、もももしかして留美先生、そういう趣味が……!?」
「趣味と言うほどではないが嗜む程度には……な。そういうつもりは無いが、綾乃が望むのなら今夜はそう言う“授業”をしても構わないが?」
「いえ、わ、私、先輩の、あの……んムゥ!」
 留美に誘われた瞬間、綾乃の脳裏にたくやの顔がよぎる。けれど慌てふためく綾乃の断りの言葉を最後まで聞くことなく、年上の女性の唇は綾乃の唇と重ね合わさり、口内に舌が差し込まれる。
 ―――んッ……ダメ、先輩……ィ!
 呼吸が止まり、強張る身体に震えが走る。突然の口付けにどう反応していいのか分からずに苦しげに鼻を鳴らす綾乃。その腰に手を回した留美は小柄な処女の身体をさらに自分のほうへと引き寄せると、肩に置いた手を頭へと回し、逃れられぬようにしてから自分の舌に乗せた唾液を上向かせた相手のノドへと流し込む。
「ん〜〜〜〜……ッ!」
 留美の腕の中で、綾乃が飲涎を拒むように身体をよじる。そんな初々しい反応を楽しむように目を細めた留美は、密着した唇の端から溢れ出るほどに大量の唾液を次々と綾乃の口内へと流し込み、ついに呼吸が続かなくなった綾乃はその唾液をノドを大きく上下させて飲み下してしまう。
「………ふむ、なかなかの美味だった。授業料として頂いておくよ」
「……ッ、…ァ……んぁ………」
 口内にたまった唾液を何度も飲み下し、やっと留美の唇が離れた頃には、軽い酸欠で綾乃の視線は定まらなくなり、じぃん…と痺れるような感覚が頭の奥に刻み付けられていた。口内をたくや以外の女性に貪られたショックもあるけれど、それ以上に唇を割り開かれた濃厚な口付けにこみ上げてしまった興奮が、いまだ未成熟な綾乃の心を激しく揺さぶってしまっていた。
「ふむ……少し刺激が強すぎたかな? それならもう少しマイルドな方法がよかったか……つッ!?」
 乱れた呼吸がすぐには収まらず、留美にキスされた唇を押さえて頬を赤らめる。動機を沈めようとしても耳のすぐ傍で留美に囁かれるだけで心臓の鼓動が跳ね上がってしまうが、その留美の声の様子が突然変わり、指先を押さえて突然飛び退る。
『キシャ―――――――!』
 留美による綾乃への接触を、護衛をたくやから託されていた蜜蜘蛛が襲撃と判断した。綾乃の身体を駆け上って留美の右手に非力なアゴで噛み付いた。
「モンスター? その形状……もしや新種か!?」
「ち、違うんです! 蜜蜘蛛さんも落ち着いて、さっきのはなんでもないですからァ!」
 目を覚ました綾乃がなだめると、いきり立っていた蜜蜘蛛も落ち着きを取り戻し、吐き出しかけていた糸を引っ込める。だが、その様子を見た留美は以前にも増して目を輝かせ、噛み付かれたばかりだと言うのに今度は蜜蜘蛛に顔を寄せて観察し始める。
「スゴいな、モンスターに言うことを効かせられるのか。昆虫型モンスターに調教と言うこともあるまい。魔法か? それとも精神感応か何かで―――」
「あの、それも違うんです。この子は先輩から私の身を守るようにって言われただけで……ほら、なんだかこの村、様子がおかしいですし、それで一人じゃ危ないからって……」
「先輩とは……たくやと言う女性のことか?」
 綾乃がうなずきを返すと、蜜蜘蛛の形状観察を中断した留美は「ふむ…」と考え出すと、少しして、息を吐き出しながら組んでいた腕を解いた。
「ま、このような場所で一度にあれこれ聞くのも無粋と言うものか。出来れば綾乃の先輩であるタクヤさんにも夜に来てもらえるとありがたいな」
「あの……わ、私、その件は一度ゆっくり考えさせて欲しいんですけど……」
 いきなり唇を奪われて、警戒するなと言うほうが無理だ。留美が思案にふけている間にじりじりと後退さっていた綾乃は、出来れば夜の“お勉強”は無かったことにする方法で誤魔化そうと言葉を紡いでいた。
「ああ、今すぐ返事はしなくてもいい。私の魔力が身体に馴染むまで時間もかかるしな」
「え……?」
「ふふ…すぐに分かるさ。では私はこれで失礼するよ」
 そう言い残すと、留美は綾乃に背を向けて宿の方へと歩き始めた。
「………えと、さっきの事、先輩には黙っててくださいね?」
 離れていく留美の背中を見ながら、未だ警戒を解かない蜜蜘蛛へ綾乃は人差し指を唇に当てて“内緒”のジェスチャーを取る。しばし悩んでからたくやに知られたくない女心を理解した蜜蜘蛛が頷くのを見て、ようやく少しは胸を撫で下ろせた綾乃は、ふとあることに気がついた。
「………留美先生、お風呂に入りに行くんじゃなかったの?」



 一方その頃―――



「大介、あんたなんでここに!?」
「それはこっちの台詞だぜ、たくやちゃん。ここは男湯だぜ〜♪」
 背後から抱きつかれて驚きながらも首だけ振り返ると、視線の先にいたのはなんと大介だった。
 温泉の心地よさに油断していた……自分が男湯と言う危険な場所でのんびりしている事をすっかり失念していた。綾乃ちゃんがいなくなった女湯に移っていればこんな事にはならなかったのにと後悔しながらも、大介を払いのけようと身体を揺さぶらせる。
「ちょ、どこ触ってるのよ、やめてったらァ!」
「どこ? そんなもん、たくやちゃんのオッパイに決まってるじゃんか。たまんないなァ、この揉み心地は!」
「なっ、やめ……んふぅぅぅ…!」
 竪琴の音を聞こうと岩場へ身を乗り出していたのが災いした。滑りやすい足場に気を取られ、温泉の縁に岩に手をついてしまうと、大介の両手の指は海に向けて突き出されたあたしの乳房を掴み、柔らかい乳肉を形が変わるほど揉みしだき始める。温泉で火照っていた体は抜けた顔立ちからは想像できない大介の巧みな圧搾に痺れるような愉悦を覚えてしまう。
 ―――ああぁ…大介なんかに……んんッ! 感じちゃうなんて……はぁ…さ、さきっぽには…触らないでェ……!
 あたしと同じように大介も当然全裸。腰に手ぬぐいを巻いてもいない。あたしと肌を擦り合わせるように密着して興奮を昂ぶらせたペ○スを、お湯で湿ったヒップの谷間に往復させられると、否が応でも犯される恐怖感に身体が反応してしまう。
 ………それに……随分とご無沙汰だったし……
 街道工事の護衛で性欲むき出しの男性に囲まれながら一週間ものテント暮らし。その前の期間も含めると、もう十日以上もエッチなことはご無沙汰だ。そのせいで感度は炎の様に燃え上がり、いやらしい手つきでも見たてらえた乳房は一気に膨張してしまう。相手は大介なのに、嫌悪感を覚えるどころか、指が食い込んで乳房を絞り上げられるほどに甘く鼻を鳴らして快感に悶え、海からの風邪になで上げられている巨乳の先端を硬く尖らせ始めてしまう。
 そしてそんな先っぽを、
「んうァああああああっ!!!」
 大介の指は目ざとく指で摘み上げ、ギュムギュムとこね回す。途端に形よい乳房を快感がつき抜け、たまらずあたしは張り裂けんばかりにノドを震わせてしまう。
「いい声で鳴いてくれるよな、たくやちゃんは。フジエーダじゃ胸だけだったけど、今日は下のほうでどんな子を上げるか聞かせてもらうよン♪」
「大介……い、いや……そこに…触らないで……」
「まあまあ、たくやちゃんも満足させてやるから……さ!」
 弾むような弾力で谷間に挟まったものを締め上げるお尻の谷間から腰を離した大介は、代わりに反り返った背中の曲線を撫で下ろした左手の指先を這い回らせる。そして膣と菊座を結ぶ会陰部をくすぐって悲鳴をこらえるあたしを弄ぶと、肉付きのよい太ももの付け根へ指を、しかも三本もグチュリと音を響かせてねじ込んてきた。
「ああ、あぁあああっ、ああああああああああッ!!!」
「すッげェな。こんなに締め付けてくるのに入っちゃうよ、三本。温泉に入りすぎておマ○コまでふやけちゃったのかァ?」
「ぬ、抜いてェ! 指、多すぎるゥウウウッ!」
「そんな事ないだろ? 先っぽだけだし、たくやちゃんのおマ○コも泣いて喜んでるじゃん」
「ひィン! 動かしちゃ…あ、んァああァァァ………!!!」
 大介が手首をひねるだけで強引に押し広げられてねじれた膣口から愛液が掻き出される。自分の股間から湯気で満たされた空間に響き渡る卑猥な愛液の爆ぜる音に耳を塞ぎたかったけれど、崩れ落ちようとしている身体を支えるので両手はいっぱいだ。それに幾度となく犯されてしまった経験を持つヴァギナは膣壁を保護するために蠢くヴァギナの奥からさらに大量の愛液を溢れさせると、むしろ泣いて喜んでいるかのように、股間を嬲る大介の三本の指を締め上げてしまっている。
「んいォ! あッ、あムゥン! だ…大介ェ……後で…絶対にひどいんだから……ァ!」
「なにが? オレは男湯に入ってるいけない痴女さんを懲らしめてるだけだぜ」
「あんただって……あ、あたしが男だって……知ってるくせにィ……」
「知ってるけどさ、こんなにドロドロにされたおマ○コ見せられたからどうにかなっちゃったよ、オレ。だから今から確かめてみようかと思ってさ」
 乱暴な愛撫で温泉のお湯に負けないほど熱い愛液を滴らせていた花弁から大介の指が引き抜かれる。その最後の瞬間まで下腹部をうねらせながら一糸まとわぬ全身を緊縮させていたあたしは、腰に手をかけられて膣の入り口にペ○スを先端をあてがわれながらも、手をついていた岩の上にぐったりと倒れこんでしまう。
「い…や……入れたら……許さないん…だからァ………」
 誰にも冒険者らしくないと言われる細い肩を上下に震わせながら言葉で拒絶するけれど、亀頭になぞられ、挿入前に丹念にほぐされる割れ目からは留め止めとなく愛液が溢れ、温泉へと恥ずかしい雫を滴り落としてしまう。
 ………どうして…大介なんかにこんなに……恥ずかしいのに……なんでェ……!
 クチュクチュと股間から鳴り響く音に顔を真っ赤にして唇を噛み締めていると、こみ上げてくる快感に勝手に震える身体が岩肌に乳房を擦り付けてしまう。入浴客が怪我しないように滑らかな岩肌ではあるものの、それでも硬くザラザラとした感触に乳首が擦れると、頭の奥で真っ白い火花が飛び散り、泣き叫びながら後ろへ突き出しているお尻をみだらにくねらせてしまう。
「そんなに待ちきれないのかい? だったら……そろそろお望みどおりに犯してやるよ。他の男どもが来る前にな」
「ふ、ああァ! ダメ、やめて、いや…いやぁ………!」
 あたしの腰を引き寄せながら大介が腰を突き出すと、あの大介の持ち物とは思えないほど太くて逞しい肉棒が膣口を押し広げてジュブリとヴァギナへ挿入されてしまう。口では色々と言っても、快感にだけは雌犬よりも従順に尻尾を振ってしまうあたしの身体は、膣粘膜を擦り上げる大介のモノの固い圧迫感に、まだ挿入は半ばにも達していないと言うのに唇をわななかせて軽いオルガズムに達してしまう。
 ………こんなの…全部入れられたらどうなっちゃうのよぉ……どうして今日はこんなに…やっぱ…ひ、久しぶり…だからぁ…んんゥ! ふあぁ…あ、ああァ……!
 ペ○スを押しとどめようと収縮するヴァギナを大介の股間の形に押し広げられるのを感じていると、もうこのまま快感を受け入れてしまってもいいとさえ思えてくる。脳髄がとろけるほどに身も心もSEXと言う官能に溺れながら、それでも湿った髪の毛を必死に振り乱していると、
 ―――た、竪琴の音色……まさか、あたしの声が弾いてる人に聴かれてる!?
 まだ大介と二人きりならばよかったのに、そこへ第三者を示す竪琴を爪弾く音色が聞こえてくると話は変わってくる。途端に膨れ上がった羞恥心に顔を跳ね上げて大介を押しとどめようと唇を開くけれど、
「ふ…あぁあああぁぁぁぁぁ……! お、おっき…ぃ…の……んんんッ、だ、だめ、当たる、奥に、奥にィィィ!!!」
 ヴァギナを押し広げられながら子宮口をノックされ、脳天にまで苛烈な快感が突き抜けると、開いた唇からは泣き喘ぐ声しか放つことが出来ない。
 竪琴の音は止まらない……淫らにイき狂うことを責めるかのようなたどたどしい演奏を意識しながら、あたしは抗えない女の悦びに戦慄くヴァギナを締め付け、深く繋がりあってしまった大介のペ○スを絞り上げてしまっていた……


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