第2話その2


 シャッ――  壁に背中を預け、右手で掴んだカーテンを放り投げると、小さな擦過音を立てて窓から入ってくる日光を遮り、 リビングは少し薄暗くなる。  これで家中のカーテンは閉めたし、戸締りもしたし……もう大丈夫よね……  仮に外から家の中を覗こうとする視線があったとしても、このカーテン越しでは様子を窺い知る事はできない ……筈だ。  光を裏側に浴びて輝いているように見えるカーテンの上から窓ガラスを締め、しっかりと鍵をかけたけれど、 あたしの心の中の不安は拭い去る事ができない。  こんな姿を誰かに見られたら……まだ正午過ぎで眠るにもお風呂に入るにも早い時間なのに、あたしは衣服を 一切身に着けていなくて、大きくて丸い乳房も、モジモジと擦り合わせている肉付きのよい太股も、その付け根 にある淡い茂みの奥で息づく女性器の割れ目までも全てさらけ出してしまっている。  誰かに脱がされてしまったわけでも、命令されたわけでもない…家の中に誰もいないのをいい事に、あたしが 自分の意思で全て脱いでしまったのだ……  ううう…なんでこんな事しようなんて思ったんだろう……今からでも遅くないから服を着ようかな……  そう思いはしても、あたしは自分の部屋に戻ろうとしない。いつも父さんが新聞を読んだり、みんなでテレビ を見ているリビングのフローリングを素足で一歩一歩踏みしめるように、ゆっくりと歩いてソファーにお尻を落 とす。  なんだか…アダルトビデオの女の人みたいよね……しかも外国の……物凄くエッチ…はうう……  安物のソファーの表面に汗ばんだ肌がぴったり張りついていく。いつの間にそんなに掻いたのか不思議なほど の汗にまみれた体はかなり熱く火照っていて、見ると水分でいつもよりもっちりしている肌はほんのりピンク色 に染まっている。  興奮…してるんだ……え〜〜ん、あたしはこう言う露出に興味ないって言うか、ノーマルタイプだと思ってた のにぃ〜〜〜!!  見られて感じたり、触られて感じたり、無理やり犯されて中出しされてしまってもいってしまうほど感じやす いあたしだけれど、変な性癖――精液を飲まないとイけないとか、露出度の高い格好で街を出歩いたりとか―― はないはずだった。女になったあたしが美少女だって言う事は自覚していたけれど、それを自慢した理とかナル シストっぽい事もなかった…筈だったのに……  寒いわけじゃない…だけど、胸の下で組んだ腕にはゾクゾクと痙攣している体の震えが伝わってくる。息を吸 うだけでも胸が膨らみ、張り裂けてしまいそうな感覚が疼きと一緒に全身に広がり、乳房の先端はツンと尖って いた。  あたし…あの時、鏡から目が離せなくて……自分なのに…自分の姿なのに……抱き締めたい…抱きたいって… …  こんな興奮は初めてだった。オナニーとも違う、男の人に全身愛撫されるのとも、さらけ出した肌を粘着的な 視線に晒されるのとも違う…服を脱ぎ去っただけなのに、あたしは今すぐにでも感じるところに手を伸ばしてし まいそうなほど興奮してしまっている。  自分を犯す……そんな事、実際に出来るはずがない。でも、何人の男の人があたしにエッチな事をしてくる… その気持ちが心だけは男でいるつもりのあたしにも理解できるような気がした……  大きく上下する胸の動きをまじまじと見つめながら、なんとも言えないソファーへ背中が密着していく感触を 我慢して背中を預けると、昨日まで日常を演じていたはずの世界が別世界のように見えてくる……エアコンの低 い音しか聞こえない、静かな部屋…まるで何かのステージの様に、部屋の全てがあたしの行動を待っているよう な気がし、一度目蓋を閉じて深呼吸をする。  けれどそんな事で熱くたぎった興奮が収まるはずもなく、腕を体の横にたらし、全身の力を抜いて胸一杯に冷 え始めた空気を吸いこんでも、張り詰めた乳房の苦しさも、入り口から子宮までピリピリと痺れていて今すぐ掻 きまわして欲しがっているおマ○コも、全然楽になっていない……  とうとうあたしの右手が動き出してしまう。指を立てて確実にワンサイズ大きくなってボリュームを増した乳 房の表面を軽く擦りながら真っ直ぐ乳首にまで到達すると、恐る恐る勃起したその部分を人差し指と中指、そし て親指の摘み上げてみる。 「ふっ…ううううううっ!!」  だめ、声が…声が出ちゃうっ!!  家の中にはあたししかいない……家賃の割りに防音対策がしっかり施されているこのマンションならどんなに 泣き叫んだって隣の人に声を聞かれる心配はないだろうけど、一抹の羞恥心は決して拭う事が出来ない。いや、 わざと恥ずかしがり、自分で自分の興奮を高めているのかもしれない……だって、乳首に電極を尽き立てられた ような強烈な刺激でソファーに沈み込んで一分もたたないうちに、今度は両手で二つの乳房の膨らみを揉みしだ き始めたんだから…… 「んっ、んっ…ああっ…!……ふぅ…んっ……イッ…!!」  到底手のひらに納まりきらない乳房をまるでゴムまりの様にギュムギュムと揉み込み、まるで故意しかと思う ほどコリコリしている乳首を根元からよりそそり立たせるように親指の腹でねじ上げる。  子宮がギュンッと強く収縮する。閉じ合わせた太股の境目に吹きかけるように愛液を解き放ち、ソファーの表 面をベットリと濡らす。これだけ大きければどれだけの母乳が詰まっているのだろうか…揉むたびに大きくなる 乳房を前に突き出し、それこそ搾るかのように指と指の間から乳首とその周辺の柔肉をはみ出させながら指を食 いこませると、反りかえった喉からくぐもった喘ぎが漏れ、ヴァギナどころか直腸までもが収縮を繰り返す……  んんっ…ち、乳首弱いのに……くぅ…も、もう下を弄っても………そういえば…前に大介が貸してくれたAV がこんなのだったっけ……あれは…あの時は…ソファーの上で……  あたしはアダルトビデオはあんまり見ない……男だった時は明日香としてたし、なんだか女性側の視点で見て しまうことがあるからだ。大介から借りたのもそんな一本で、眠り薬を飲まされたOL風の女性がソファーの上 で服を引き裂かれ、何人もの男性に輪姦されると言う物だった。  大介の進める流出物だけに、その時は激しく興奮した……まるで自分がその女性を犯しているような…そのう ちに引き込まれるように犯される女性の視点で見てしまい、慌てて再生をとめたことがあった。  あ…あの時…あたし……あのまま見てたら……ああぁ……  キツく閉じ合わさり、お互いに擦り合わせる事で秘唇に拙い快感を送り込んでいた太股をわずかに開き、その 間に右手を差し込む。予想される快感に絶えるために歯を食いしばり、ゆっくりと指を伸ばすと、莢をむき、そ の姿をくっきりあらわしているクリ○リスにすぐにいきついた。 「んんっ……!!」  できる限り優しく触れたつもりだった。それでも中指が触れてもいないうちに完全に勃起までしてしまった肉 芽に触れた瞬間、まるで体中の神経を引き抜かれるかのような衝撃に、背もたれから体を起こし、右手を刺し入 れたまま太股を閉じて体をくの字に折り曲げてしまう。  そんなっ! こ、こんなに感じるなんて…イッ、イくぅ!!  強烈な快感が局部を真っ直ぐ貫いていく。激しい収縮を何度も繰り返している肉壁がグチュグチュとイヤらし い音を立て、ソファーの端から愛液が滴るほど豊潤な愛液を解き放っていた。  内太股に小波のような震えが走り抜ける。  ヴァギナの入り口が音を立てて締めあがり、男の肉棒に貫かれていればザーメンを体の奥深くに導き入れるた めの運動でヌルヌルの潤滑液にまみれた肉ヒダがグチャグチャと聞くに絶えないほど淫らな音を止む事無く奏で 続ける。 「あっ…あああっ!!…ひゃああっ!!」  一度折れ曲がった体が何かのスイッチを入れたかのように一気に跳ねあがり、そのまま左へ――ソファーの肘 掛に頭を預けるように横へ倒れる。  そのことで指とクリットの密着がより強くなり、あたしは体を倒したままで弓なりに体を反らせる……が、唇 に糸切り歯を食いこませて快感を一瞬絶ち切ると、ネットリと愛液が絡みついて湯気を立てている指を太股の間 から抜き去ってしまう。 「くぅぅぅっ!! んぐっ……はぁぁ………」  イって…しまいたかった……  もしいつものオナニーだったら、こんな絶頂ギリギリのところで我慢なんかせずに上り詰めていたに違いない。 でも、いつも以上に興奮が高まっているあたしはその程度の絶頂じゃ我慢できない……もっと…もっと滅茶苦茶 にあたしを凌辱したい…凌辱…されたい……あのビデオみたいに……  代わる代わる挿入される肉棒。腰が浮き上がるほど勢いよく肉棒を捻じ込んで膣内におびただしい量の白濁液 を流しこみ…それを別の男の肉棒で押しこみ、掻き出す。十人以上に抱かれ、白い肌が見えなくなるほどザーメ ンを浴びせられて、それでもマ○コや尻に突き入れられて、子宮が精液で溢れかえるほど犯されたかった。  それは、あたしがあたしを凌辱したいからなのか…それとも、あたしが…そうされたいのか……  何故そのビデオの事が頭に浮かんだかは分からない。けれどあたしは体を仰向けにすると、少し白っぽくてネ ットリとした愛液がへばり付いているおマ○コを全開にするように、左足を背もたれにかけ、右足の膝から下を ソファーからフローリングに降ろす。これでどんなにあたしの体がヒクついても足は閉じない…閉じられない… …  目を閉じる……途端にあたしの回りに集まる男たちの視線……  年齢の割りに大きく育ってしまった乳房を舌なめずりして男たちが見ている……きっと肉棒を擦りつけ、谷間 に挟む事を想像しているに違いない……  おマ○コは何の準備をしなくてもペ○スを挿入できる……果たして最初の人は何分であたしの中に注ぎ込んで くれるだろうか…… 「――き…きて……」  そう呟くと、あたしは二本そろえた右手の指をヒクついている膣口に当て、その上から左手を添える。  これは…おチ○チン……ううん、肉棒…あたしをあたしをレイプする肉棒なのっ!!  目蓋の向こう側で一人目の男は大きく開いたあたしの足の間に体を入れ、パックリと左右に開いたおマ○コか ら覗く赤い粘膜を見ながらペ○スをそそり立たせているに違いない。  今すぐにでも入れたい……でも、あたしの手は既にあたしの意思じゃどうにも出来ない……完全に想像の中の 男に主導権を握られたあたしは、自分の指が挿入される瞬間を今か今かと待ちわびる。  お願い……早く…入れて……もう…気が変になりそうなの……  目から涙が零れ落ち、膣からはゴポッと愛液が溢れ出してお尻の谷間に流れていく……  もしこのまま放置されたら……犯される事を待ち望む姿を見つめられる恥ずかしさに唇を噛み締め、腰を揺さ ぶるけど、心の中ではそんな不安が生まれ始める。  結局これはあたしの指。どんなに想像してもそれは変わらないはずなのに、目を開けてそれを確認してしまっ たら、何もかも終わりのような気がしてならない。そう、すべてが…… 「……お…おねがい……」  あたし…誰に喋ってるんだろう……これは…全部妄想なのに……  遂に堪えきれなくなったあたしは、誰もいないはずの空間に向かってたどたどしく口を開く。  恥ずかしさが込み上げる。男に股間を突き出し、その上、レイプをねだる言葉を口にするのだ……男を知って はいても、この処女のような恥ずかしさは抜けきらない……けれど、その最後の堤防も、すぐに瓦解してしまう …… 「お…おかして……犯してぇぇぇ!! 犯して、犯して欲しいのぉ!! おっきいおチ○チンをおマ○コに突っ 込んで、壊れるぐらいに掻きまわしてぇぇ!! 早く…早く入れてぇぇぇ〜〜〜!!!」  その瞬間、頭とお尻でブリッジをするように体が弓なりになり、股間からは小水のような愛液がドバッと噴き 出して添えられていた右手に大量に浴びせ掛けられる。そしてそれで呪縛が解けたかのように、真っ直ぐ伸びた 指があたしのおマ○コに深深と突きたてられた。 「いいいいっ!! イく、イくうううぅぅぅ!!!」  自分自身の妄想にさえプライドを捨て、懇願したあたしの声が木霊するかのようにリビングに響き渡る。  けれど…まだこれは最初でしかない。 「イくの、イっちゃうのぉ!! スゴい、これスゴいぃぃ!! イくわ、イく…んぐああああぁぁぁぁぁぁ!! !」  指をおマ○コのおなか側――ザラッとしたGスポットに押し当て、前後左右に擦りたてると、間欠泉の様にお マ○コから潮が噴き上がり、エクスタシーの声が迸る。あっという間に下半身とソファーが汁まみれになるけれ ど、それでもまだまだ絶頂汁は放たれつづける。  けれど、あたしの待ち望んだ物は来ない……子宮の中に熱い精液が……  そうしてあたしは、妄想の中の一人目の男に、腰を振り、お尻を振って、延々と犯される事になる……誰もい ない家の中で、誰に止められる事無く………


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