01「ご主人様、お許しを…」


「ふぅ……」
 湯船に仰向けに浮かんで手足を投げ出した高菱弥生(たかびし・やよい)は、湯気に覆われた高い天井を見つめていた目蓋を閉じ、気持ちよさそうに息を吐く。
 この湯浴みだけが彼女の日常の中で身も心も休められる唯一の時間だった。プールかと思うような広大な浴槽には彼女ただ一人しか入っておらず、水面に広がる金色の髪と日本人離れした抜群のプロポーションを見つめているのは大量の湯を口から滝のように吐き出しているマーライオンの瞳だけ。威嚇するように牙を剥く獅子の瞳ではあるが、弥生はむしろ余裕を持って見つめ返すと、大きな胸の隅々にまで熱い空気を取り込むように息を吸い、不意に身を回して水面に沈み込んでしまう。
 浴槽で泳ぐ事がマナー違反でも、彼女のためだけのこの浴室には当然ながら彼女以外には誰もいない。迷惑をかける相手がいなければマナーなど何も気にすることはない……けれど、お湯の中を優雅に泳ぐ彼女の姿を誰かが見ていれば、その優雅さをさながら人魚のようだと褒め称えたかもしれない。美を深く知るものであれば、劣情を抱くよりも先に崇拝にも似た感動が胸に溢れ、手の届く位置にいる彼女へ向かい、自らも湯船へと飛び込んでしまうことだろう。
 しかし今、この浴室は彼女だけの空間だ。浴槽の淵に辿り着き、全身を躍動させて水面から姿を現しても、その肢体を誰の目に見られることはない。最もそれは幼い頃から変わることのない日常的なことであり、今さらその事をありがたいともおかしいとも思いもしない。それが彼女にとっての常識である以上、考えるだけ思考の無駄と言うものだ。
「詩雨(しぐれ)、上がりました。タオルを」
『はい、弥生様。すぐにお持ちいたします』
 自分の全てをさらけ出せる時間ではあるものの、いつまでも湯船で泳いでいるわけにもいかない。湯船から上がり、濡れた大理石の床を踏みしめながら戸口へと向かうと、彼女を出迎えるために数人のメイドが姿を現す。
 世間一般で話題に上るメイド喫茶などのミニスカメイドではない。紺を貴重にしたメイド服で、袖は手首まで、スカートは足首まで覆い、ショートヘアの髪にカチューシャをつけたその姿は一部の隙も見当たらない。男性に媚びるためではなく、主人への奉仕の精神をそのまま形にしたかのような服装だった。
 詩雨と呼ばれたメイドは背後に他のメイドたちを控えさせ、手にタオルを抱えて深く一礼。これから主人の肌を拭わせていただく無礼を先に謝罪すると、無駄のない動きで弥生を取り囲み、弥生の肌を傷つけ不快な想いをさせないよう柔らかなタオルで、玉の肌に纏わりついている水滴を丁寧に、そして細心の注意を払って拭い取っていく。
「……………」
 その間、メイドたちは終始無言。足首から上に向けてタオルがすべり、ヒップの谷間にタオルをまとった指が押し込まれても、弥生は余裕を感じさせる笑みを崩さず、メイドに全てを任せて身を委ねる。ただ時折、くすぐったそうに身をよじるのは、女性であるならば仕方のないことではあるが。
「詩雨、外で何かありましたか?」
「は……いえ、なにもございません。いつもどおりです」
 湯に濡れた事で蜂蜜のような湿った質感になった金色の髪をタオルで挟み、余分な湿気を取っていた詩雨は突然の主人の質問に卒なく答える。だがその答えに目を細め、後ろにいる詩雨には見えない位置で意地悪く唇を吊り上げた弥生は自分に使えるメイドの股間に手を伸ばし、押さえつける。
「ひゃあっ! や、弥生様!?」
「わたくしにウソをつくのですか? この……いやらしい変態メイドが」
 スカートの上から弥生の下腹部を押さえつけた弥生の指先……そこで触れたのは柔らかいどことか硬い、円筒状の硬質の存在だった。握るにはちょうど良い太さのそれをグイグイと押し込みながら弄んだ詩雨は、幾重もの布地越しに円筒の側面にある小さな突起に爪を引っ掛け、カチカチカチカチと四段階、端から端へと突起を動かした。
 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ―――
「んぁああああああああああああッ!!! ヒッ、んクゥ……いッ、くあッ、あっ……あああッ!!!」
 浴室と言うにはあまりに広すぎる空間に、突如盛大な振動音が響き渡る。その源は詩雨のスカートの中。若く美しいメイドの太股に挟み込まれ、弥生の手で押さえ込まれた円筒上の物体から発せられていた。
「お…お許し…ください……わ、私が悪うございました……主人で…あらせられる……や、弥生様に、虚偽の…ほ、報告を……んあッ! あッあっ、あヒッ、今…動かされたら……ひはッ、あっ、弥生様、お許しを、お許しをォ〜〜〜!!!」
「はしたないわねえ、詩雨。許しを請う前に言うべきことがあるのではなくて?」
 自分たちの上司が弥生に下腹部を抑えられた途端に発し始めた激しい嬌声に驚き、他のメイドたちも思わず弥生の身体を拭く手を止めてしまっていた。そんな部下たちの視線に晒され、込み上げた恥ずかしさのあまり思わず膝を刷り合わせてしまうと、一際盛大な声を迸らせながら弥生の足元へ崩れ落ちてしまう。
「ッ…―――ッ…ん…ん―――……ッ!」
 メイド服の袖に顔を唇を押し付け、声だけは必死に押し殺そうとする詩雨。けれど胸の下で腕を組んで楽しそうに詩雨を見下ろしている弥生と顔を赤らめて手を止めている他のメイドたちの目には、紺色のスカートに包まれたヒップを切なげに震わせている弥生の姿がとてもいやらしげに映っていた。顔を赤らめたショートヘアのメイドはすぐに気付いてしまうものの、今なお続く振動音にメイド服の下で責め苛まれながら、弥生の爪先を見つめながら喘ぎそうになる唇を懸命に開く。
「た…ただいま……敷地内に入り込んだ不審者を……SPおよびSM(シークレット・メイド)が捜索、中で……くッ…くゥゥゥ〜……!」
「やっぱりね。どうも外が騒がしいと思ったもの」
 メイドたちが驚き、顔を見合わせる。
 今いる浴室には防音が施されており、外の事情を知っているメイドたちですら、建物の外で不審者狩りをしている物音はどれだけ耳を済ませても聞こえはしないからだ。湯気を外へ出すための天窓や換気扇は設置されているものの、弥生の憩いのひと時を邪魔さぬために屋外からの音が漏れないよう設計がなされいる。それでもなお、自分たちの主人である高菱弥生と言う人物は外での騒動に気付いたと言うのだ。
 詩雨からは「弥生様に無用な心配をおかけしないため」に口外しないよう申し付けられていたけれど、そのような心遣いなど杞憂でしかない己の主人に背筋が冷たくなるのを感じながらも、改めてその稀有なる才能を思い知らされ、心酔をより深くしてしまう。
「はあっ…はあ…ッ……弥生…様……申し訳…ございませんでした……」
「あら、第三メイド隊隊長のあなたがもう降参? もう少し耐えられるかと思っていたけれど、案外だらしがないのね」
「だって……ろ、六十時間も…弥生様に可愛がられてないから……イけないん…です……どんなに気持ちよくても…どんなに振動が強くても……」
 大理石の床に這いつくばった詩雨は、時折ビクッと身体を震わせはするものの、次第に反応は弱まってきていた。弥生への報告で力を使い果たしたかのように、瞳の焦点はぼやけ、耳障りな振動音を響かせているヒップを四つんばいになって支える事も出来ずにいる。そこまで苦しむのであれば詩雨自身の手で弥生に動かされた突起を元の位置へ戻して振動を止めればよさそうなものなのだが、主人が動かしたものを指示も命令もなく動かせはしない。
 詩雨に出来るのはただ懇願し、報告を怠った自分の罪を少しでも弥生に許していただく事だけなのだが、問題は自分の主人が泣いて懇願されれば懇願されるほどの相手をいじめてしまいたくなると言う性格である事を本能では気付いていて、理性では気づいていないことだった。
「そうね、許してあげてもいいけど……それよりも、あなたの股間から響いているこの音は一体なんなのかしら?」
 弥生が知らないはずはない。気付いていないはずがない。それでも詩雨は自分の口から音の正体がなんなのかを口にすることが恥ずかしくて、頬を赤く染めて弥生を見上げていた視線を反らしてしまう。
「どうしたの? 先ほどわたくしに隠し事をしたばかりで、許しを請うた舌の根も乾いていないのに、もう隠し事をするつもりなの?」
「ち、違います! 私はそんな…つもり…では………」
 反射的に誤解を解こうと顔を上げた弥生だが、その視線が弥生の股間に向いてしまうと、言葉から勢いがなくなってしまう。
 弥生の股間は髪の毛同様に金色の毛で覆われている。本来ならメイドが手にしたタオルで丁寧に湿り気を拭いとられているはずの薄い茂みは未だ濡れており、形よく膨らんでいる恥丘に張り付いていた。
 その光景に詩雨はうっとりと見とれてしまう。敬愛する主人の左右対称の美しい陰唇の形に金色の恥毛が纏わり付いているのを見ているだけで、詩雨の下腹部には熱く火照った血液がドクンドクンと流れ込んでしまい、、小さく鼻を鳴らして身体を力ませると、ついに弁明すらできずに身体をくねらせ、弥生から視線を反らしてしまう。
「そう……わたくしにも言えないことなのね。では仕方ありませんわ」
 わざと詩雨を突き放すように冷たく言い放った弥生だが、どこか楽しんでいるように周りのメイドたちには見えた。そしてそのメイドたちに突然弥生が顔を向けたかと思うと、
「あなたたち、詩雨を取り押さえて音の正体がなんなのかを探り当てなさい」
「え……お、お待ちください弥生様! そんな…そんなのあんまりです! せめて他のメイドたちを下がらせて―――」
「黙りなさい。詩雨、あなたは今日、二度も私へ言うべき事を言えなかった。あなたを第三メイド隊隊長から降格させるのには十分な理由ですわ。当然、わたくしの寝屋へ足を踏み入れることも、今後一切まかりなりません、よろしいですわね?」
「そ、それだけはお許しを!」
 降格……その言葉が意味する恐怖に一瞬で我に戻った詩雨は、不敬である事も忘れて弥生のお御足にすがりつく。
「弥生様のご命令なら何でもいたします。恥ずかしいのも我慢します。ですからお傍からはずす事だけはなにとぞ、なにとぞ!」
「言葉だけでならなんとでも言えるわ。詩雨……これ以上わたくしに言わせるつもりなのかしら?」
「ッ………」
 唇を噛み締め、恥ずかしさと忠節のは狭間でしばし逡巡。もう口で説明するだけでは弥生から許しの言葉をいただけない。ではどう“行動”すれば許してもらえるのか……そして結論に至った詩雨は結論に至ると、弥生の脚を離して体の向きを変え、顔を磨き上げられた大理石の床へ押し付けながら激しく音が鳴り響いている下腹部を後ろへ大きく突き出した。
「お…お隠しして申し訳ありませんでした……弥生様が…お、お気になされていたものの正体は……これに、ございます……」
 赤く染まった頬とメイド服の胸元を大きく押し上げて居る膨らみを床に押し付けながら、主人と部下たちの前で詩雨はゆっくりと紺色のスカートを捲くり上げていく。それは普段であれば、自分の感情を封じ込める心のカーテンの役割もなしているが、それを自分の手でめくって内側をさらけ出すと、色っぽい吐息が詩雨の唇からこぼれ落ちる。
「は……あ…ぁ……」
 直属の上司である詩雨、先輩メイドである詩雨、憧れの人である詩雨……弥生の傍にいるメイドたちが詩雨に抱く感情は様々ではあるが、詩雨があらわにしたスカートの内側を目にしたメイドたちは一様に息を飲む。
 紺色のスカートの下は白いシルクのストッキングにガーターベルト。一流のメイドらしく下着にも気品溢れるコーディネイトではあるが、その中心、女性にとって大切な場所である下腹を覆うべきショーツを詩雨は履いていなかった。
 それだけではない。
 ご主人様と後輩メイドたちに見られる恥ずかしさに打ち震える下半身の中心には、男根を模したバイブレーターが深々と突き立てられていた。振動音の原因であるバイブはあまりに小刻みで激しい振動のために、陰唇から突き出したグリップの部分の輪郭がぼやけて見えるほどで、既に詩雨のヒップや太股はグッショリとお湯とは別の生暖かい液体で濡れてしまっていた。
「弥生様…お許しを……わ、私はいやらしいメイドです……弥生様にお仕えしながら……ずっとこれを挿れて慰めておりました……」
「ふふふ、いやらしいわね、詩雨。第三メイド隊隊長の要職にある者が、そのような下賎な道具でひそやかに快感を貪っていただなんて」
「お許しを……弥生様、お許しをォ……」
 バイブを入れていた事を白状したのだから、バイブのスイッチを切る許しを欲しい……しきりに腰を揺すり、太いバイブを飲み咥えた秘所を左右に蠢かせて主人に懇願する詩雨ではあるが、その背筋には甘い痺れが駆け巡っていた。弥生に蔑まれる事に喜びを感じているらしく、バイブを飲み咥えている花弁から溢れる蜜の量が目に見えて増し始めていた。
「はっ…ん、ああ……ああっ……」
「詩雨、気持ちよさそうね。だったらあなたはそこで雌犬のようにその太い尻尾を揺りたくっていなさい。好きなだけよがり泣いているといいわ」
「そんな……あ、あんまりです……私は…わたし……」
 バイブを挿れていたのは弥生様がお命じになられたからなのに……そう叫んで自分へ向けられた淫乱の汚名を晴らしたかったのに、弥生への忠誠心が強すぎて口にすることが出来ない。それどころかバイブの振動を押さえつけようと必死に締め付けている膣道のわななきが激しくなり、秘所に感じる後輩メイドたちの視線に羞恥心をあおられながら、はしたない、いやらしいと罵られながら吐淫を繰り返してしまう。
(見られてる……こんな恥ずかしいところを、全て―――)
 詩雨が大きく身をよじる。
 顔は逸らせても、股間とお尻を弥生と後輩メイドたちから逸らせない。それなのに膣肉は振動を繰り返すバイブを嘗め回すように絡みつき、全身に広がっていく快感に悶えながら熱く湿った吐息を唇から溢れさせてしまう。
「ん…ふっ……んはあッ………」
 メイド服に包まれた豊かな膨らみを浴室の大理石の床へ擦りつけ、中心を疼かせる甘い痺れを紛らわせる。弥生ほどではなくとも87センチのEカップの詩雨の乳房。その膨らみを押しつぶすように這いつくばっていると、ヒクヒクと緊縮を繰り返しているアナルを向けてしまっている弥生が口を開く。
「あなた、深露(みつゆ)といいましたね」
「は……あ、わ、私ですか?」
「あなた以外に露と言う名前のメイドがいるのかしら?」
「い、いえ、はい、私、私が深露です!」
 体を触れさせていただくことでさえ恐れ多い弥生から名前を呼ばれた新入りのメイドは、何故自分の名前を知っているのかと言う困惑で頭を混乱させたまま、慌てて直立不動の姿勢を取る。
 髪が長く手入れが行き届いているものの、美しいというよりも可愛らしいという形容が似合う少女だった。まだうら若く、胸の膨らみなど弥生はおろか詩雨とも比べ物にならないほどなだらかではあるものの、それゆえに歴史と格調を感じさせるメイド服を着こなしているとも言える。
 そんな彼女を吟味するように爪先から頭の天辺までじっくりと見つめまわした弥生は、手を伸ばすと彼女の顎に指をかけ、顔を近づける。深露の鼻腔に弥生の身体から立ち上る甘い香りが流れ込むと心臓が張り裂けそうな勢いで全身に熱い血液が流れ込んでゆくけれど、その苦しみを吹き飛ばすかのように……弥生の唇が深露の唇へ押し付けられてしまう。
「んっ、んゥ〜〜〜〜〜〜!!!」
 主人に唇を奪われるなんて想像する事さえ恐れ多い……それなのに現実として、若いメイドのファーストキスは美の女神のように眩い美しさの弥生の唇によって奪われてしまい、舌と舌とを絡めあわされると、あっという間に理性が麻痺して何も考えられなくなってゆく。
「なかなか可愛らしいわね。合格よ」
「んあァ……ごひゅひん…はまァ………」
 弥生が唇を離したときには、既に深露の顔は蕩けきり、不意に終わりを迎えた至上の快感を名残り惜しむように舌を突き出している。回りのメイドたちからは羨望のと嫉妬が入り混じった目で見られていることにも気付かずにホウゥ…とため息を突いていると、その深露の唾液で濡れる弥生の唇が耳元へと近づいてくる。
「あなたの先輩が苦しんでいるわよ。あの震える棒……あなたが抜いてらっしゃい」
「わたしが……ですか?」
 うっとりとした目を詩雨へと向けると、深露は改めて先輩メイドの股間に深々と突き刺さっているバイブレーターをマジマジと観察する。
「んゥ……くふゥ……ハァ…ァ……ゥあああ………」
 “それ”がどのような用途に使う道具であるかは深露も聞き及んでいた。年頃の女性である。職業が少々特殊でも、雑誌の広告やネットなど、目にする機会はそれなりに持ってしまう。ましてやメイド隊と言う女所帯では、そういった話題で盛り上がるどころか実際に所持しているメイドもいるぐらいだ。まだメイドになって日も浅い新米の深露ではあるが、知識はそれなりに有していた。
 それに加え、膣内で振動に暴れまわられている詩雨が壊れたように全身を打ち震わせ、快感を訴えているのをこうして目にしてしまうと、「抜け」と言うきわめて簡単な命令にすら背筋が冷たくなるものを感じてしまう。未だ自分が経験した事のないものへの恐怖もあるけれど、それ以上に、他人の痴態を前にして目を逸らす事も許されない今の現状が深露の薄い胸を張り裂けんばかりに突き上げてしまっていた。
「深…露……弥生様の…ご、ご命令だから……早く…早く実行なさい!」
「でも……先輩…でも……」
「いいから……私の事は…どうなってもいいから……どうにかなる前に、早く、お…お願いィ〜……!」
 そろそろ限界が近づいているのか、詩雨の声が高く弾む。このまま何も手を出さずにいることがむしろ詩雨にとっては辛い責め苦になるのではないかと感じた深露は、口内に溜まった唾液をゴクッと飲み込むと、唇を緊張でキュッと引き結んだ表情のまま、詩雨の突き出したヒップの前にひざまずく。
「あああァ……深露……そんなに…み、見ないでェ……」
 見るなと言われても、表情の固まった深露に目を閉じるだけの余裕など欠片も残っていない。振動と言う言葉すら生ぬるく思えるほど震えているバイブを根元まで飲み込んでいる秘所と生々しいメスの臭いを撒き散らしているヒップにはどうしても目が向いてしまう。
「深露……せめて一思いに……弥生様の前で…こ、これ以上の痴態を晒すのだけは……」
「わ、わかりました。じゃあ、あの………失礼します!」
 詩雨の懇願に安請負したものの、どう引き抜いてしまえばいいのかまで深露にわかるわけがない。割れ目から突き出しているバイブの柄を深露が半ば無我夢中に握り締めると、激しいとは言え一定のリズムを刻んでいただけのバイブが膣内でグリュンと動いて子宮口を擦りあげてしまい、途端に今まで堪えていた快感が一気に粘液ごと膣口から噴出してしまう。
「うあ、うあ、んぁあああああああああっ!!!」
 磨き上げられた大理石の床に必死に指先を立て、バイブにたったひと擦りされただけでビリビリと激しく戦慄き始めた子宮から大量の愛液があふれ出す。広すぎる浴室の隅々にまで響き渡るほどの絶叫を迸らせながら、抜いてもらいたがっているはずのバイブを食い締める膣口から熱い淫汁を飛沫のように撒き散らしてしまう。
「ひうっ、や、イヤぁあああああっ! こんなとこ、見ないで、ダメ、ひあ、んぁあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
「はわわわわ!? ま、待っててくださいね、今すぐ抜きますから。えい!」
「んァ―――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!」
 チュポンと音を響かせて、詩雨の淫裂からバイブが引き抜かれる……それと同時に、“栓”を失った蜜壷からヴァギナの奥で煮詰められていた愛液が真後ろにいた深露のメイド服目掛けて撒き散らされてしまう。
「あ……ひふッ…………お…ぁ………はー……はー……フぅ……んッ………」
「あの、えと、その、あの、は…はわわわわァ!!?」
 “貞淑”たるメイドの矜持の篭っているはずの深い紺色のメイド服をまとった身体を大きく反り返らせ、むき出しのヒップをビリビリと詩雨がグッタリと浴室に横たわると、先輩メイドの達する様を前に呆然としていた深露も我に帰り、握り締めたままだった愛液まみれのバイブレーターを思わず放り投げてしまう。
 その様子に弥生は小さく笑みをこぼすと、他のメイドたちが用意したバスローブに袖を通しながら浴室の扉へと向かう。
「詩雨、いつまでもそこで横たわっているつもり? 自分の失態を挽回したいのでしたらすぐに仕事へお戻りなさい」
「は…い……ん、んゥ………」
 弥生の言葉を聞くと、詩雨はまだ唇と秘唇から涎を滴らせたまま、気だるい身体を起こし、濡れたままのメイド服をそのままにヨロヨロと立ち上がる。それでも深呼吸を繰り返して無理やりにでも表情を引き締めると、まだ困惑したまま腰を抜かしている深露の頭にポンと手を乗せる。
「あなたも早く仕事へ復帰しなさい。当家の敷地内に侵入者がいるのです。やれる仕事はいくらでもあるはずですよ」
「は、はい。でも、その……ううう……」
 優しく建つ事を促してくれる詩雨に対し、座り込んだ深露は顔を上げる事も出来ない。足先を外へ向けてすり合わせている太股の付け根にスカートを押し込むようにして、赤らめた顔を俯かせている。
(も…漏らしたなんて言えません……先輩に聞かれるのも恥ずかしいし、それに今だと弥生様のお耳にまで……終わりです。お仕えする弥生様の専用浴室で粗相をしたなんて、もう私のメイド人生は終わってしまったんですゥ……)
 お尻の下に生温かい感触が広がるほどに落ち込み度合いを増す深露だが、スカートの中の参上を察し得るほどの余裕をアクメ直後でフラフラしている詩雨が持ち合わせているはずがない。ただいつまでも立ち上がらない後輩メイドをキョトンと見つめていたのだが、そんな彼女の隠しポケットの中で突然通信機が音を立てる。
「こちら詩雨……はい……はい、わかりました。では弥生様にお伝えします――――――弥生様」
「侵入者が捕まりましたか? 建物の外が随分と静かになったようですし」
「はい。第四メイド隊隊長の蓬(よもぎ)が捕獲したそうです。ですが……その者、弥生様の通われておられます学園の生徒だと言うことです」
「ふぅん……それではわたくしが直々に取り調べた方がよろしいですね」
「そうおっしゃられるだろうと思い、既に賊をこちらへ移送中との事です」
「いい手回しです。―――では参りましょうか」





 高菱弥生―――頭脳、運動神経、容姿、性格、ありとあらゆる面に置いて他者より秀でたパーフェクトな才能を持つ彼女は、葉桜学園に通う女子生徒であると同時に、世界有数の権力を有する高菱グループの総帥でもある。
 そんな彼女の住まう家は町の高台に建つ膨大な敷地を有する豪邸であり、数多くのメイドとSPが彼女に傅(かしず)いている。
 そこは現実とは異なる世界。
 そこは高菱弥生と言う一人の女性がルールの世界。
 そこに今夜、何も知らない一人の人間が足を踏み入れる―――“常識”と言うルールから乖離した、“高菱弥生の世界”へと……



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人物紹介その1

・高菱弥生(たかびし・やよい、♀)
 高菱家頭首にして頭脳明晰・眉目秀麗・才色兼備のパーフェクトお嬢様。
 ゴールドブロンドのロングヘアーでGカップ。容姿においても威厳すら感じさせる美しさを誇る。
 普段は誇り高く他者を寄せ付けない雰囲気をまとっているが、胸の内には誰かに依存することを望んでいる。

・詩雨(しぐれ、♀)
 弥生付きメイド部隊。その中でも特に弥生の身の回りのお世話に従事している第三メイド隊の隊長。
 紺色のシックなメイド服に白の下着やストッキングを愛用。Eカップ。様々な薬草に通じ、エッチ以外では常に冷静。
 弥生にいじめられるのが好きな露出M。しかし逆に弥生や他のメイドを言葉巧みにコントロールする面も…

・深露(みつゆ、♀)
 第三メイド隊の新入りメイド。弥生に崇拝に似た憧れを抱いている。
 弥生に負けないほど長く腰にまで届く黒髪。胸はBカップ。
 少々慌てモノで、ドジ多し。出番はここだけ。


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