04「星華、夏侯淵に求婚される」


「星華殿、それがしと一生添い遂げてはもらえませぬか?」
 春の穏やかな日差しが降り注ぐ下で、夏侯淵妙才(かこうえん・みょうさい)は星華の手を取り、握り締める。
 細い手だ。戦場で一度は対峙した事のある相手の手とはとても思えない。大刀を振るうことも血に汚れることも似つかわしくない、白くたおやかな手指……何度見ても劉備の下で一群を率いているようには見えない優しい微笑をたたえた星華を前にし、夏侯淵の手にも力がこもる。
「星華殿……いや、遼原。お前を守るためなら私は天にすら剣を向けよう。お前が望むのであれば私は天下すら奪い取って見せよう」
「夏侯淵様……」
 何度聞いても、星華の声はなんと官能的なことか。つぶらな瞳を夏侯淵に向けて漏らしたつぶやきですら、魂を震わせるほどに魅惑的な色艶を帯びている。
(この女性を手に入れられるならば、他には何も欲さぬ……いや、星華こそが我が天下なのだ)
 長く艶やかな黒髪。母性の証のようなたわわな胸の膨らみを持ちながらも腰は細くくびれており、その身にまとう着物の上からでも他の女性とは一線を画す見事なラインを描き出している。
 春の命の息吹ですらその前では霞んでしまいそうな星華の美貌を前に、何度も唾を飲んだ夏侯淵は自身の下腹部が淡い疼きと共に急速に昂ぶっていくの感じてしまう。他の男に取られるぐらいならば、今この場で星華をさらい、誰も足を踏み入れられない険しい山に庵を建てて死ぬまで閉じ込めてしまいたい欲求に駆られるが、それでも夏侯淵は忍耐強く、一秒を一時間にも、一日にも、一年にも感じる心地で星華を見つめ続けていた。

 ―――が、

「申し訳ありません。今はお仕事が忙しいのでお断りさせていただきます。それでは」
 星華はニッコリと微笑んで夏侯淵の手から自分の手をするりと引き抜くと、ぺこりと頭を下げ、何事もなかったかのようにこの場を立ち去ってしまった。
「え…あの、ちょ―――――――――!?」
 手を伸ばすけれど、宮城へと急ぐ星華は気付かない。追いかけようにも断られるとは思っていなかった頭の中は大混乱に陥っていて、足を動かす命令が出せない。
 哀れ、夏侯淵の一世一代の大告白は星華の心を微塵も揺るがす事無く、泣けてくるぐらいにいとも容易くあっさりと終了したのであった。





 紆余曲折を経て呂布の助力を得ることに成功した星華は、曹操に占拠された濮陽の都市を奪還する事に成功していた。
 天下無双の豪傑と呼ばれる呂布の強さはまさに鬼神。率いる騎馬隊の先頭に立って突撃すれば、最強の歩兵と称される青州兵でもひとたまりもなく蹴散らされ、曹操軍の隻眼の将軍・夏侯惇、弓術に長けた夏侯淵の名高い二将でも呂布の武の前には赤子同然の扱いで、まともに太刀打ちできなかった。
 如何に精強な兵でも陣形を崩され、将を倒されれば脆いもの。呂布に陣形を散々に掻き回された挙句に、夏侯惇が負傷して敗走すると、星華は率いていた後軍を投入する。さらには劉備の直轄都市である平原から関羽・張飛が率いてきた援軍部隊が戦場に到着すると、曹操軍には劉備軍の勢いを止める手立てもなく、押し寄せる津波を前にしたかのように戦局は劉備軍に一気に傾いた。
 そのまま濮陽を陥落させた劉備軍は、間髪いれずに曹操の本拠地である陳留を攻める。
 星華を総大将に呂布・関羽・張飛とこれ以上望むべくもない豪傑三将を進軍させる。濮陽の敗戦から癒える間もなかった曹操軍は、熾烈な篭城戦の末に敗北。こうして乱世の奸雄と呼ばれた曹操の勢力は滅んだのであった。
 劉備軍は曹操を下して濮陽・陳留を得たことで、洛陽・長安へと続く中原への足がかりを得た。それは天下統一を窺うためには重要な一歩だったと言える。
 だが―――



「戦略・戦術を個人の武でひっくり返すなど、過去の戦のやり方だろう? 孟徳、俺はあんな力任せの戦など戦とは認めんぞ!」
「さすがに呂布と関羽と張飛の三人がかりでは防ぎようがなかったな……だが、武将の力量も計算に入れ、適所に配置し、こちらの弱い場所を破ることで自軍の被害を最小に抑えた星華の手腕は見事だったぞ、夏侯惇」
「何をのんきな事を言っておるんだ貴様は! 負けた相手の配下にされて、ちょっとは悔しいとは思わんのか、ええ!?」
「う〜む……星華の尻になら敷かれてみたいものだ。是非にと頭を下げてでもな」
「もーとくゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「夏侯惇、頭の血管が切れるぞ。ほら、茶でも飲んで落ち着け。でもまあ、夏侯惇が呂布並に強かったら戦い方もあったんだがな。お前の一つ目は子供を恐がらせるだけの伊達か、それ?」
「貴様ァァァアアアアアアアアア!!! 言うに事欠いてそれか!? お前の普段の行いが悪いから俺は、俺は―――――――――!!!」


 曹操孟徳、そして夏侯惇をはじめとする曹操軍の主だった武将は、そのまま劉備軍に登用されていた。
 それもこれも、この度の戦の総大将であった星華が劉備に曹操らの助命を請い、曹操もまた星華と劉備に服従を誓ったからなのだが―――
『言う事を聞いてくれないのでしたら、私のお尻を触った事を言いふらしちゃいますよ? 曹操様のお名前が“天下よりもお尻が大事なスケベ野郎”と同じ意味になってしまったら死んでも死に切れないですね、周りの人。きっと曹操様のお父様もお爺様もお悲しみになられるでしょうね〜』
 星華が曹操を説得する際の言葉……である。
 水関の戦いの折、曹操にアナルを弄り回されたのがよほど腹に据えかねていたのだろう、首を切れと言う曹操に対してネチネチと、微笑みを絶やさぬまま丸一日文句を言い続けたのだ。
 死んで名を残すのが武士の本懐なら、死んだ後に名前を汚されるのは我慢がならない。それならば泥水をすすってでも生き延びて汚名をすすぐ事を選ぶ……と言えば聞こえはいいが、曹操の場合、星華の「降っていただけますね?」の一言に魂の抜けきった生きた屍状態でカクカクと頷いてしまったのだ。
 当然、曹操の配下だった武将たちが怒らぬはずもない。そしてその後、回復した曹操が「まぁいいか」の一言で本当に劉備軍入りを決めてしまったことで、さらに怒りは膨れ上がっていくこととなった。
 だが、曹操を登用すること自体が劉備軍に内乱の火種を抱えるようなものであった。ただでさえ呂布と言う裏切りの代名詞のような人物が軍中にいるのに、野望を胸に秘めた曹操がいつまで劉備の元に甘んじるか……誰もがそう不安を覚えていた。
 その不安を裏付けるかのように、曹操と共に曹操軍に身を置いていた武将たちも多く劉備軍に仕官する道を選び、劉備軍の中に元・曹操軍と言う第二派閥が出来上がることになってしまったのだった。


 濮陽・陳留の二都市を支配下に収め、そこで新たに典韋や許チョ、満寵、楽進など有能な人材を次々と発掘・登用した事で、劉備軍は表面的には一気にその力を伸ばしていた。
 その中で星華は北海から曹操の本拠地であった陳留の太守へ転任となった。
 この転任は曹操を含めた劉備に反感を持つ武将たちをまとめ上げられるだけの人徳を持つ者は、劉備軍の中には劉備以外に星華しかいなかった。
 あるいは劉備の義兄弟である関羽であれば可能であったかもしれないが、平原の北では可北の雄・袁紹が弱小精力を飲み込んで戦力を貯えつつあり、その睨みとして関羽は欠かせなかった。同様の理由で張飛も動く事は出来ず、曹操たちの問題は実質、星華に一任される事となる。
 軍の再編、都市の再開発、人材の管理に発掘登用―――陳留に移った星華は、北海の都市を治めていたとき以上に持ち込まれる数多の業務に忙殺される日々を過ごす。そしてその一助を曹操が担うことになった。
 乱世の奸臣と呼ばれてはいたが、その別名は治世の能臣。程cらと並んで曹操は内政においてその才能を発揮し、また軍事面に置いても、武勇一辺倒の呂布の代わりに夏侯惇らが兵の補充や訓練を行っていた。
 結果的に、戦で負けた不満を任務で吐き出させることで曹操の溜飲を下げさせることとなり、また彼らの才を如何なく震わせることで、陳留は劉備の納める平原を遥かに上回る成長率を導き出した。
 そして翌年の頭、劉備が朝廷より中郎将に任じられたのを契機に軍全体が再編成され、これまでの功を認められた星華は濮陽・陳留を拠点にした第二軍団の軍団長に任じられることとなった。


 だが星華の配下の中に、曹操の元で有名を馳せた夏侯淵の名は未だどこにも存在していなかった―――





 星華に振られた日の夜、夏侯淵は星華に仕えている従兄弟の夏侯惇を呼び出し、陳留の酒場で延々と泣きながら愚痴をこぼし捲くっていた。
「わかってるさ……彼女が浪人やってる俺なんかよりずっとず〜っと忙しい身分だって事ぐらい俺だって分かってるんだよ! だけどさァ、そんな時だからこそ、隣りに助けてくれる力強い男性がいた方がいいと思ったんだよ! 惇兄ィ、俺は間違ってるか? 間違っているのか!?」
「さあなァ、間違ってるかどうかはわからんが夏侯淵、お前が星華殿にそう言う相手として見られてないのは確かだと思うぞ」
 劉備軍に下った当初はあれだけ不平不満を口にしていた夏侯惇も、軍団長としての職務をこなす星華を武将の一人として多少なりとも近くで見ているうちに、曹操のような大望はないものの、女将とは思えない政治的手腕や人徳を少なからず認めるようになっていた。
 だがその一方で、劉備軍入りを拒んだ夏侯淵はと言うと……すっかりダメ人間に落ちぶれていた。
 陳留が陥落した日、曹操が星華に下ったと聞いた夏侯淵は敗北した悔しさで決心がつかず、その時は開放されて野に下っていた。そして後日、戦場でまみえた見目麗しい女性武将が陳留太守となった星華であると知るものの、一度採用を断った身ではすぐさま仕官に赴くのは恥ずかしかったらしく、さりとて心を奪われた女性の傍からは離れがたくて、今までずっと陳留の酒場で無為な時を過ごしてきたのだった。
 その間、人材を広く募っていた星華が夏侯淵のような有能な武将を口説きに来なかったわけがない。忙しい時間の合間を縫って何度も夏侯淵の元に赴き、杯を交え、言葉を交え、そのたびに仕官の話を勧めてきたのだが、夏侯淵は星華を前にした緊張とハズかしさで断り続けてしまっていたのだ。
 今では星華も諦めてか、無理に仕官の話をすることもなくなった。街で出会えば話もするのだが、いつも仕事に追われていた星華には時間の余裕がそれほどあるわけではなく、夏侯淵は一抹の寂しさを感じてしまい……
「それが募り募ってのいきなりの告白か。下手すりゃそれ、“すとぉかぁ”って言うんじゃないのか?」
「う……ウォオオオオオオオオッ! なぜだ、浪人になっても俺は星華殿を密かにお守りしようとずっと陳留にとどまり続けたというのに! 俺の愛は彼女に伝わらなかったのかァ!!?」
「そんなもん、伝わるわけないだろう。むしろ嫌われてると思われてるんじゃないか? 何度も星華殿のお誘いを断ったのだろう? あの方がお前のために費やした時間、全部無駄にされたわけだし」
「あれは、だって、しかたないじゃないか、恥ずかしかったんだァ! 俺にだって男としてのプライドがあったんだぁ!」
「いい歳した男が恥ずかしいとか言ってるからタイミングを逃すんだよ。戦では突っ込んでばかりで考えが足りんと孟徳に言われていたお前が、何で最初から突っ込んでいかなかったんだか……」
「つ、突っ込むだなんて、い…いいいいきなり何段飛ばしちゃうんだ、それ!? まずは結婚が先だろう!?」
「飛んでるのはお前の頭の中身だよ、まったく……いい加減お前のバカ話に付き合うのにも飽きた。だから明日から宮城に来い。俺がお前を説得して仕官させたということで話をつけておいてやる。そうすれば星華殿もお喜びになるだろう」
「だ……ダメだダメだダメだダメだダメだ! 振られた翌日に彼女の元へ仕官するなんて、気まずすぎて俺は死ぬゥ!」
「気にするな。しばらくは兵所と屯所で今まで遊んでた分きっちり仕事をさせまくってやる。半年は訓練漬けだと思え。不甲斐無い根性は汗と共に搾り出してすっきりさせてやるわい」
「半年も星華殿に遭えないのか!? 惇兄、俺に死ねと言うのか!?」
「だったらどーせいっちゅうんじゃい!!!」
 最大限の譲歩と気遣いを訳のわからない理屈で断られて堪忍袋がプッツン切れた夏侯惇。酒瓶ごと卓をひっくり返して夏侯淵を下敷きにすると、従兄弟の上に乗っかってグリグリグリグリと入念に踏みつけた。
「貴様のような不甲斐無い男に惚れる女がいるわけないだろうが! いいか、今決めろ、さあ決めろ、ここで泥沼のような自堕落生活と見切りをつけるか、それともさっさと他の都市へ立ち去るか、おらおら決めろ、はよ決めろォ!!!」



(くッ……星華殿、不甲斐無いオレを許してくれ。あなたの事を思うだけで溢れ出そうになる俺の愛を知ってもらうには、もうこうする他に手はないんだ!)
 結局、夏侯惇の元でビシバシ訓練をやり直すことが決定されてしまった夏侯淵は、酒場を出たその足で宮城に向かうと頭にほっかむりをして忍び込んでいた。
 宮城に来る前に、街にある星華の自宅へ向かったが、帰宅どころかもう何日も帰ってきた様子がない。かと言って内政に負われている星華が街の外へ出かけていったとも思えない。考えられる居場所は城の奥、かつては早々も利用していた執務室の傍に寝所だろう。
 明日から兵所に軟禁状態にされるならば、想いを遂げるには今夜しかない。―――ならば忍び込むまで。ある意味、愛にとち狂った夏侯淵が決意を固めるのは、兵所行きを決意したのとは比べ物にならないほど速かった。
 幸い、今夜は月も出ておらず、元々曹操軍の支配下にあった陳留の城は、夏侯淵にとって勝手知ったる我が家のようなもの。加えて、現在は思考と行動が世間の一般的な常識から大きく逸脱している“アレ”な夏侯淵ではあるが、曹操が旗揚げしたときから付き従う宿将であり、各地を転戦してきた歴戦の戦士でもある。その才能をフルに発揮して衛兵の目を掻い潜ると、なんなく城の奥へと進んでいく。
(星華殿、待っていてください。今すぐあなたの夏侯淵がお傍に参ります! そして政務で疲れて机に伏されているあなたの肩にそっと着物を掛けて差し上げ、ふと目を覚ましたあなたと瞳と瞳で通じ合い、そのままお互いの気持ちが通じ合って……ア―――――――――ッ!)
 想像するだけでは罪にならないとは言え、突っ込みどころ満載の夏侯淵の妄想である。
 そうこうしながら身をくねらせて進む夏侯淵の姿は危ない人そのものではあるが、茂みから物陰へと闇の中を移動する姿は誰にも発見される事はない。意外なまでに影が薄いのか……実際には意外に衛兵の数が少ないおかでだったのだが、監視を潜り抜けてようやく寝所周辺に辿り着く。
 この辺りには激務をこなす星華の眠りを妨げないためにか衛兵もおらず、寝室をを探り当てるのにはそれほど警戒を必要としないだろう。だが、夏侯淵がコソコソと軒下から建物に入ろうとするその前に、部屋の一つの扉が開き、中庭に面した回廊へ星華の方から姿を現した。
(あれは……まさしく星華殿! し、しかもなんとあられもないお姿で―――――――――!!!)
 回廊の屋根を支える柱のところどころにともされた蝋燭の明かりが、素肌に着物を一枚羽織っただけの姿の星華の姿を淡く照らし出していた。胸元から太股の付け根まで大胆にあらわにした姿は、誰も見ていないと思うが故の大胆さであり、湯浴みをした後なのだろうか、しっとりと湿った肌が艶かましい輝きを放っている。
 もし夏侯淵が正面から見ていれば真っ赤な噴水を鼻の穴から迸らせたであろう。だが幸いと言うべきか、夏侯淵は少し離れた位置から首を伸ばしている。もしもう少し近ければ、武術の心得のある星華に気配を掴まれてしまっていた。
 ―――だが忘れてはいけない。そもそも夏侯淵は、星華に想いを伝えるためにここまで忍び込んできたのだ。
(が…我慢ならん。あんな、はしたない姿で、そ…外に出てくるなんて、星華殿、星華…せいかどのぉ〜!)
 着物の端から姿を見せそうで見せない乳房の先端が夏侯淵を誘惑した。回廊の桟に腰をかけ、夜空を見ようと背中をそらせながら着物から突き出されたおみ足のラインが夏侯淵の延髄を直撃した。蜘蛛に隠れた星が見えずに残念そうに髪の毛を掻き揚げる仕草が夏侯淵の脳味噌をガンガンガガガンと激しく揺さぶった。
 もう股間では衣服を突き破りそうなほど愚息が大きくなっていた。このまま星華を見ているだけで果ててしまいそうなぐらいに痙攣し、下帯に擦れすぎて早くも先走りが漏れ出している。慌てて帯を解き、軒下で男性器を露わにした夏侯淵はごくりと唾を飲むと、一気に星華の元に駆け寄るために身体を沈めて足に力を溜め込む。
「どうした星華、もしや俺を誘っているのか?」
「あ……呂布様、見ていらしたんですか? いやらしいですよ、もう……」
(呂布だと!? なぜヤツが、こんな時間に星華様のお傍に!?)
 一瞬、最悪の展開が夏侯淵の脳裏をよぎる。
 まるで野獣のように己の欲望に忠実に生きる呂布を星華がどのように口説き落としたのか、一時は曹操軍の間でも様々な噂が流れていた。
 そんな噂など根も葉もないものばかりだが、その内の一つが見目麗しい美女である星華が肉欲を持って呂布を繋ぎとめていると言う話だった。それこそどんな話題からでも立ち上る下世話な内容の四方山(よもやま)話、信じる根拠などどこにもありはしないが、呂布の声を聞き、星華と同じ場所にいることが、夏侯淵が一度も信じる事のなかったその話に急速に信憑性を帯びさせていく。
(そんな……星華殿に限って、そのようなことがあるはずがない! ましてや呂布となどと、星華殿を侮辱するにも程がある!)
 必死に頭に浮かんだ想像を否定するものの、夏侯淵は呼吸する事も忘れるほどに強張っていた。
 背中に、嫌な汗が伝う。
「先ほどあんなに出されたのに、もうそんなに元気なのですか? お仕事が終わってからずっと相手をさせられて、少々疲れたのですけれど……」
「疲れたのも相手をさせられたのもオレのほうだ。肌を重ねているときは何度となくイき果てるくせに、気が付けば先に眠っているのはいつもオレだ」
「それはそれでよろしいではありませんか。ここが……私の元が、呂布殿の牙を安心して休められる場所だと言うことなのですから……ん、だからダメですって、あ…んゥ………」
 星華が鼻を鳴らして甘ったるい声を漏らすと、夏侯淵の忍耐は限界を越えた。それでも星華と呂布に気取られぬよう慎重に、飛び出してしまいそうになる己の心を殺しながら軒下から頭を上げ、二人の様子を覗き見ると―――
(なっ!?)
 星華と呂布が唇を重ね合わせていた。
 いちおう星華は抵抗するそぶりを見せているものの、払いのけようともしない呂布の手に乳房を揉みしだかれ、ビクッ…ビクッ…と身体を震わせている。
(星華殿……なにを…なさっているのですか………!)
 蝋燭の明かりを背に、いつ誰が通るかもしれない回廊で唇と舌とを絡め合わせる星華たちの姿に、夏侯淵は愕然とする。
 動く事も、声を出す事も出来ない夏侯淵に出来るのは、愛する女性が獣よりも凶悪な大男に弄ばれている現実を見つめることと、したとしたとの間で唾液が奏でる粘つく音と、次第に火照りを帯びていく星華の鼻息をその耳で聞くことだけだ。―――そしてそんな夏侯淵が軒下に潜んでいる事に気付かぬまま、二人はうっとりとした表情で唇を離す。透明な唾液が橙色の炎に照らされながら糸を引き、不意にぷつりと切れて雫が星華の胸へ垂れる。それを指先で肌へ星華が塗り広げていると、呂布は星華の片足を持ち上げて肩に抱え、既に根元から先端に至るまで精力が充満した肉棒を膣口へ押し当てる。
(あ…あれが……人間の持ち物か!?)
 星華の体は柔らかいものの、脚を抱えられては自然と身体を捻らねばならない。手すりからお尻を下ろし、夏侯淵のいる方へと足を開く姿勢を強いられるが、夏侯淵の目は星華に挿入されようとしている呂布の男根に釘付けになっていた。
 次元が違う……太さも、長さも、大きく張り出したカリ首も。星華を何度も刺し貫いてきたであろう呂布のペ○スは、夏侯淵が履き物をずらして露わにしているモノが赤ん坊同然の粗末なものに見えるほどに、巨大で、威風堂々とした風格を漂わせていた。
(オレでは……星華殿を満足させる事が出来ないのか………!?)
 自分のアイデンティティに疑問が生じると同時に、今の今まであれほどいきり立っていた股間が見る見るうちに脱力し、萎えきってしまう。夜風の音に二人が唇を重ね合わせる音が混じっていると言うのに、夏侯淵は肩を落とし、頭も落とし、ただガクガクと軒下で身体を震わせてしまう。
「何が落ち着くものか……安心して休めなどせん。星華、お前を見ているだけですぐに我慢が出来なくなる。成長で仕事をしている姿を見ても、戦場で鎧を身にまとう姿を見ても、常にオレの股間はたぎりっぱなしよ」
「あの……もう少し節操と言うものを覚えていただけませんか、呂布様?」
「まだその名でオレを呼ぶのか?
「奉先様と呼んで欲しいのですか?……んんっ!」
「そうよ、その通りよ。字(あざな)で呼ばれることでお前と俺の間の絆を確かめる事が出来る、そう思わんか、遼原!?」
 互いの字を呼ぶことは、それほどに親密な証。星華と呂布が夏侯淵のおよびもつかないほどの関係である事を思い知らされる一方で、ちっぽけな夏侯淵の存在など気にもとめていない呂布は己の欲望のままに腰を突き出していく。
「待って、まだ、本当に私……はぁあああああァん!!!」
 夏侯淵の体に痙攣が走る。まるで悪夢に取り憑かれたように一気に精気の失った顔をのろのろと上げると、あれほどまでに巨大な呂布の男根がズブズブと星華の股間に突き入れられているところだった。
(星華殿が……星華殿が汚されてゆく……お、おのれ、おのれ呂ォ布ゥウウウウウッ!)
 歯が折れんばかりに食い締めていると、死んだ魚のような目に次第に怒りの炎が宿っていく。
 だが―――
「あぅ……ああん、もっと…ゆっくり動いて……はァ、ク、ンゥ!」
 前後に幅を取る大きなストロークで呂布の巨根が抽送を繰り返す。その動きにあわせて羽織っているだけだった着物からこぼれ出た星華の乳房が重たげに揺れ、尖った先端で歪んだ円を描く。
 夏侯淵のいるほうへ向けてわざと見せ付けるかのような立ったまま開脚した姿勢で、呂布との性交に甘く切なげな息を何度も漏らしているのが聞こえてくると、股間はいつの間にか先にも増して硬く熱く充血していたそれを呂布に突き上げられて星華が苦悶する表情を見つめながら握り締めると、ボリュームのある胸の揺れに合わせて扱き上げ始める。
「スゴいィ……奉先様のおチ○チンが、ああ、奥に、奥に当たるのォ……わたしの、中に、こんなに大きいの、は…入ってるのォ……!」
「はは、いやらしい言葉を口にするじゃないか、遼原」
「だって……こう言えって教え込んだの、お二人じゃないですかぁ……」
(……二人?)
 惚れた女性が犯されているのに飛び出してもイけないどころか股間を扱いてしまい、自分の情けなさに打ちのめされながらも手を止められないでいる夏侯淵が、ふと眉をしかめる。
(呂布以外に……まだ他の誰かが星華殿を……!?)
 そうか、と夏侯淵の頭の中で答えが出る。
 星華は呂布とそのもう一人の男に弱みを握られ、卑猥な調教を受けているのだ。そうでなければ星華ほどの女性が呂布にやすやすと身体を許すはずがない―――
 夏侯淵に都合の良い結論でしかない。そして自分が呂布ともう一人いる男を切って捨てれば、星華の心も恩人である自分になびくだろう……そんなところまで、あくまで自分の都合しか考えていない。いや、考えられていない。
 完全に今の夏侯淵は冷静さを失っていた。揺れ弾む乳房の艶かましさに、呂布の巨根に割り開かれた花弁のいやらしさに、夏侯淵は助け出さねばならないと言う想いを抱きながらも目を離せず、ただただ興奮を昂ぶらせてゆく。
「あぁ……あん、あァ、あんんんゥ!」
 呂布の男根が押し込まれるたびに眉をしかめる星華だが、その吐き漏らす声には快感に酔いしれる雌の泣き声が混じっている。声が上ずるほどにストロークは激しさを増し、あの巨根を根元まで押し込まれてパシンパシンとヒップに腰を叩きつける音が回廊と中庭にやけに大きく鳴り響く。
「おおぅ、おおうぅ、遼原、いいぞ、締りが……おおウッ!」
「き…気持ちいい、気持ちいい、気持ちいいのォ! ほーせんさまのおチ○チンがスッゴく気持ちいいのォ〜〜〜!!!」
 限界が近くなり、二人の表情から余裕が消えうせ、お互いに貪りあうように腰を揺すり立てる。
「きて、早くキてェ! 奉先様の熱いのを、中に、おマ○コの中に注いで欲しいのォ―――!!!」
「そんなに、欲しいか、俺のチ○ポを根元まで咥えて、イヤらしい、イヤらしいな遼原!」
「ヤァアアアッ! だって、言えって、言うからァ! 恥ずかしいのに、こんな格好で犯され恥ずかしいのに言わせるからァ!」
「だったら褒美だ、よく…言えましたァ!!!」
「あ―――――ッ!!! あ、あッ、アッ、ダメッ、いッ、あ、いや、イヤァ―――――――――――ッ!!!」
 もはや夏侯淵の目でも捉えきれないほど加速した呂布の動きが、バシンと腰を叩き付けた途端にピタリと止まる。
(だ…出した………おのれ、星華殿の膣内にィ……!!!)
 自分に男根を握り締め、夏侯淵が歯軋りする。呂布と星華の結合部から逆流してきた白濁液が溢れ出し、それが太股を伝い落ちていくのを見ていると、二人の繋がりの深さを見せ付けられているようで、夏侯淵には我慢ならない。
(あのような……だらしない顔をなされるなんて………!)
 膣内射精を受け止め、ビクッビクッと身体を大きく震わせている星華は、唇からだらしなく涎を滴らせていた。長い黒髪を振り乱すほどの激しい性交の余韻にうっとりと浸り、未だ脈動の収まらない呂布のペ○スを柔らかい膣肉で締め上げ、最後の一滴まで精液を吸い上げると、内側からぬくもりが広がっているお腹に手を当て、幸せそうなため息を漏らす。
「ふ〜……これで九発目か。遼原とすると、瞬く間に搾り取られるな。しかも一発一発大量に」
「そんなの……私が悪いんじゃありません」
 星華は自分の体のいやらしさを耳元で囁かれると、恥ずかしさに顔を赤らめながらプイッとそっぽを向く。だが呂布はそんな星華の顔を自分へ向けさせると自分の舌を差し込むように口付けをしてから身体を離し、さすがに打ち止めらしいペ○スを引き抜いた。
「んうゥ………!」
 肉棒の栓がなくなると、ポッカリ開いた膣口から愛液と精液が混ざり合った体液がドロッとあふれ出してくる。近くの柱にすがり付いて体を支えた星華はしばらくガクガクと膝を震わせていたが、右手の指を太股の内側へ滑らせて白濁粘液をすくい取り、そのまま唇へ―――
(な、舐めるのか!? あんな、星華殿を凌辱する汚らわしい男の精液を自分から舐めるのか!? やめてくれ、お願いだからそれ以上自分を汚さないでくれェ!!!)
 夏侯淵の悲痛な願いも届かず、星華は自分の指を口に含み、喉を鳴らして呂布との性交の印を飲み下してしまう。それを見て一瞬魂が抜けたかのように呆けた夏侯淵だったが、次の瞬間には腰に差していた短剣の柄を握り締めていた。
(おのれ呂布めがァ! 星華殿をよくもここまで汚しおって、も〜う許さん! もう一人いると言う男共々この夏侯淵が成敗してくれるわァ!!!)
 理性が完全に飛んでいた。
 星華を奪われた――最初から夏侯淵のものではなかったが――ことで溜まりに溜まりに溜まっていた怒りが一気に噴き出し、夏侯淵は軒下から飛び出そうと全身に力を溜め込む。
 例え呂布が最強と称される豪傑であろうと、今は剣はおろか一糸まとわぬ全裸。しかも性交直後で脱力し切った後ならば、夏侯淵にも価値の目は十分すぎるほどある。
(今お助けいたします、星華殿! あのような輩に、あなたを渡しなどいたしません!)
 手の皮に短剣の柄が食い込む。その痛みで辛うじて理性が目を覚ますものの、夏侯淵の怒りの突撃を止めるほどではなかった。―――あの男が姿を見せるまでは。
「ちッ、九発か……あと三回戦はさすがに身体が持たんな」
 そう言いながら、星華や呂布が出てきた部屋からもう一人の男が姿を現す。星華と同じように着物を羽織っただけのその男が出てくると、既に地を蹴っていた夏侯淵はわずかな理性が欠けた急ブレーキのために地面に突っ伏すように倒れ込み、口を押さえて慌てて軒下に飛び込んだ。
(何故……殿が星華殿のご寝所から姿を現すのだ!?)
 夏侯淵が言う“殿(との)”とは、もちろん曹操の事だ。今は劉備の軍門に下ったとは言え、夏侯淵が曹操に誓った忠誠は未だ健在。だがしかし、まさか星華の寝所から出てくるとは思っていなかったために驚きはひとしおだった。
「仕方ない、負けを認めてやる。呂布、貴様が長兄でいいぞ」
「ふん、威勢がいいな曹操、いや孟徳。この俺様が義兄弟にしてやると言うのだ。これからは兄である俺の前では常に土下座し、地べたを這いずるのだ、わかったな?」
「はッ! な〜にを偉そうに。星華の事を考えずに犬畜生同然に腰を振ってイき果ておって。“回数勝負”だったから体力馬鹿のお前に軍配が上がっただけで、真に星華を喜ばせたのは俺の方ではないか、え、早漏?」
「ハッハッハ、バカを言うな。そう言う貴様は遼原の尻を辱めたではないか。遼原が心底嫌な顔をしていたのが貴様にはわからなかったようだな!」
「そう思っているのは呂布、貴様だけだぞ?」
 そこで言葉を区切ると、曹操はまだ柱から立ち上がれないでいる星華の傍に近寄り、警戒を掻い潜って着物の内側へと指先を滑り込ませる。
「あっ!? ん、ンフぅ………!」
「随分と熟(こな)れてきたな。触れられただけでいい声で鳴くようになってきたではないか」
「も…とく様……んッ…!…ッ…ヒァウッ!」
「どうだった、肛門の奥に精液を注がれた気分は? ほれ、この尻の穴がヒクヒク蠢いてまで欲しがっているものは何だ?」
「やッ……い、言えません…そんな…ハズかしい事……」
「恥ずかしいモノが欲しいのか。クックック、なかなかに正直じゃないか」
「!? そんな、い…挿れちゃ……んゥ〜〜〜! ゆ、ゆるし…てェ……あッ!? はあッ! あああァ――――――ッ!!!」
 曹操の指先が星華のアナルを丹念に揉み解す。自分の主の精液を知っている夏侯淵にとって、頭上の回廊で成果がどんな辱めを受けているかは手に取るように分かってしまう。
 キュッと窄まった菊座に指の第一関節を押し込まれ、排泄口を弄ばれる事で刺激される羞恥心に打ち震えている星華をさらに追い詰めるように、曹操の舌がうなじを這い回る。首筋を嘗め回されて力が抜けそうになると星華は足に力を込めるけれど、それは指先を押し込まれたアナルに力を込める事になる。先の呂布に押し上げられた絶頂の余韻も手伝い、汗の滲んだ乳房を震わせて悶える星華だが、体を揺するほどに緊縮するアナルは曹操の指先を捉えて離さない。どうする事も出来ずに何度も身を揉んでいると、ほんの指の先っぽだけで星華は幾度となく下半身を震わされる事になり、ブルブルと頭を振って冷静になろうとしてもその度にグリッと排泄口の入り口を刺激され、肛門で味わう禁断の快感に情けないほど悶絶を繰り返してしまう。
「おね…がい……お尻はダメ……だから…だから………」
「そんな顔をされて今さら止められはせぬは。それィ!」
 回廊の手すりに手を突かせて星華に大きく尻を突き出させると、曹操は背後から呂布のペ○スでは太すぎて犯せない肛門の穴へとペ○スの先端を押し付ける。最初は抵抗を見せる肛門だが、徐々に圧力に屈してその口を開き始めると、曹操は強引に先端を捻じ込み、たっぷりと精液を刷り込んでおいた直腸に呂布ほどではないが十分巨根と呼べる逞しい肉茎を押し進めた。
「ひゃグゥ……! ふ、太すぎるのォ……孟徳…様……お願いだから……もうお尻はァ………」
 星華が涙を流して懇願するが曹操はペ○スを決して引き抜いたりはしない。一旦根元まで捻じ込み、直腸の厚い粘膜に包み込まれる感触をたっぷりと堪能すると、曹操は敏感な直腸粘膜にカリ首をわざと擦り付けるように肉棒を引き、丸く押し広げられた菊座を勢いをつけて深々と抉りぬいた。
「おお、締まる、今までのどの女よりもだ。尻の穴でまで男を絞るなんてなァ……ほう、いい顔をしてよがっているではないか。よほど気に入ったようだな」
「そんなの……し、知らないぃ……わ、わたし……お尻でエッチなんて……だ、大嫌い……んんハァ!」
(殿…まで………俺は、俺は星華様をどうすればいいんだ………?)
 星華を見捨ててはおけず、かと言って自身が誓った忠誠を裏切る事も出来ず、夏侯淵は軒下で倒れこんだままに一心不乱に肉茎を扱く。動けない現状が現実逃避を誘発し、星華が肉棒を押し込まれるたびに上げる嬌声に肉棒を漲らせて興奮を昂ぶらせながら、精神はその声に打ちのめされる様に弱っていく。
 尻の穴を犯される星華…元・主君の曹操とその宿敵である呂布の二人に犯される星華…そして、それでもよがり悶えている星華に、漏れてしまうそうになる嗚咽を必死に堪え、夏侯淵は地に伏せて涙を流す。
「ふぅ、あ、あぁ……あ…は…ひ、いッ……〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
「ほぐさなくても根元まで呑み咥えるようになりおって。どうだ、いい加減尻の穴が気にいったと認めたらどうだ?」
「きっ、嫌い、お尻の穴は、イヤ、だから、抜いて、早く、お尻から抜いてェ!!!」
「まだ抵抗して素直になれないのか……だが、だからこそ楽しみがいがあるというものだ、なあっ!」
 曹操のペ○スが星華の直腸を激しく連打すると、手すりについていた腕に力が入らなくなり、星華の身体がガクッと沈む。それでもすがりつくように崩れ落ちる体を支えると、挿入の角度がずれて直腸に亀頭が強烈に食い込み、腸内から引き抜かれる排泄感と腸内に押し込まれる圧迫感の狭間で揺れ動いていた星華は長い髪を舞い上がらせて頭を跳ね上げ、憔悴のように愛液の雫を撒き散らしながら何度も背筋を震わせる。
「ふァ……あ………ああああああああああッ!!!」
 焦点を失った瞳をさまよわせ、恥じらいと嫌悪と恍惚が混ざり合ったオルガズムに星華は括約筋を締め付け昇りつめる。さすがの曹操も星華のアナルの締め付けに動きを止めると、自身の肛門に力を込めて射精を留めようとする努力もむなしく、腰を震わせて星華の直腸の一番深い場所へ本日七発目の精液を迸らせた。
「ひ…ゃ………あ……んゥ〜………!」
 ペ○スが脈打ち、熱い精液が腸の中に流れ込んでくると、星華はキュッと唇を噛み締める。まるで熱湯を艦長でもされたかのような腸内射精に慣れておらず、ゆっくりと肉棒が引き抜かれていくのに合わせて漏れそうになる精液を漏らさないように下腹にを肉棒を締め付けすぎず、かと言って腸内のものをこぼさないギリギリの加減で括約筋を緊縮させなければならないからだ。
「どうだ、これでよくわかっただろう。星華の本心が俺の物だと言うことが」
 さすがに呂布同様、限界まで射精を繰り返したために、曹操の股間もすっかり元気をなくしている。それでも胸を張って呂布を鼻で笑うと、それを侮辱と取った噛み付きそうな目つきで挑発に乗ってしまう。
「な〜にがだ。尻の穴なんぞで汚らしい事をしおって。遼原の身体はお前の物ではないのだぞ!」
「その言葉、そっくりお前に返してやろう。ただチ○ポがでかい事だけを鼻にかけて、無理やり捻じ込めば女が喜ぶと信じているのだろう? 何度眉をしかめて苦しがっていたと思うんだ」
「尻の穴を犯される方が苦しいだろうが!」
「い〜や、乱暴なだけの貴様との行為を遼原が望んでいるとは思えんな。顔を洗って出直して来い!」
「キーサーマー!!!」
 エッチのときとは別の興奮のボルテージが急上昇し、一触即発状態の曹操と呂布。この世の中でいったい誰が止められるのだろうかと思う二大英傑の星華の取り合いに、鉄槌を下したのはその星華だった。
「二人とも、ダメェ――――――!!!」
 ゴギン! ゴギン!
 血が上った二人の頭に、星華が尻を抑えながら部屋から取ってきた眉尖刀の柄が振り下ろされる。
「もう約束をお忘れになられたんですか? 奉先様と孟徳様が喧嘩ばかりなさっているから仲良くして欲しいと、私の願いはそれだけでしたのに!」
「ま、待て遼原、これはだな―――」
「問答は無用なのです!」
 どんな石頭でも、刃が付いていれば脳天唐竹割りにされたであろう強烈な一撃を堪えられるはずがない。曹操は頭を抑えてうずくまり、呂布でさえあまりに見事な威力に軽く目を回してふらついてしまっている。
 星華はその隙に羽織っていた着物を胸元で掻き合わせると、呂布の鼻先にぴたっと眉尖刀の刃を突きつける。
「許して欲しかったらお二人が絶っ対に仲良くなれるお話、受け入れてもらえますわよね、奉先“お義兄様”?」
「わ、わかった、遼原の言うとおりにする。約束は破らない。ほ〜ら、俺と孟徳はこんなに仲良しだぞォ」
 まだ頭の痛みで声も出せない曹操だが、星華の“NOと言ったら切りますわよ?”と殺気がたっぷり込められた微笑みを前にしては、嫌とは言えない。呂布に手を引かれるがまま、男二人、肩や全裸、肩や半裸で肩を抱き合って仲良し度をアピールしてみせる。
「うん、よろしい。では今日から―――」
「星華様、大変です、一大事です、星華様〜〜〜!」
 表情から殺気が消え、本当に嬉しそうな表情で頷く星華だが、その言葉の途中で回廊をトタトタと若い衛兵が走ってきた。
「侵入者です、密偵です、コソ泥です、スパイです! 宮城内に何者かが入り込んだ形跡があります! ですがその前に服を着てくださぁい!」
「わわわわかりました! 着替えてすぐに指揮を取りに向かいますから、先に行っててください! ほら、奉先様と孟徳様はいつまでも股間を出しっぱなしにしてないで部屋に入っていてください、わいせつ物陳列罪で捕縛しますよ!」
 報告を受けるや否や、頭を切り替えて陳留太守としての顔になった星華は、呂布と曹操を部屋へ押し込むと、帯を腰へ簡単に巻きつけて眉尖刀片手に飛び出していく。


 その侵入者本人の夏侯淵は、軒下でずっとすすり泣いていたのに星華どころか誰にも居場所を気付いてもらえず、星華の部屋の近くにクリの花の臭いを残して無事に宮城内から逃げ出す事に成功する。
 だが……
「惇にーちゃん……おれ……えい兵になるんだぁ……そしたら星華様のおぞばにいられるもんな〜…アハ、アハハハハハ」
 数日後に公表された呂布・曹操・そして星華の三人が義兄妹の契りを結んだと言う情報を一足早く知ってしまったがために心に深刻な傷跡を負ってしまっていた。恋が終わり、これから新生活を始めようと言うところなのに、痴呆が治って星華軍に正式に仕官するまでにさらに半年を要し、その間、夏侯惇の怒声が鳴り響かない日はなかったと言う。


 夏侯淵はその後、呂布と曹操をライバル視しながら一軍の将として戦場で活躍するのだが……それはまたいずれ。







次回
「星華、天子をお救いする」の事


続く