焦がれる制服 第二部 3


 会社の中ではいつもどおりの時間が過ぎていく。
 回された仕事をこなし、コピーをとり、キーボードを叩いて、また次の仕事をこなしていく。
 けれど、繰り返される社内の時間を、誰もが同じように感じるわけではない。長く怠惰な時間に感じるものもいれば、短く慌しく時間を過ごすものもいる……そして薫の感じる時間は今、焦れるほどにゆっくりと、そして焦るほど早足に通り過ぎていく。矛盾した感覚と感情に困惑しながらも、周囲には平静を装って普段どおりに接しながら、薫は写真に添えられたメッセージの事を思い出していた。
 ―――今日中に犯してやる。楽しみにしていろ。
「ッ………!」
 意識的に考えまいとしていた事が脳裏によぎった瞬間、腰の下から重たく響く甘い疼きが込み上げてきてしまう。スカートの中では朝の痴漢に会ってしまった下着が新しい愛液を吸って温もりを取り返しており、わずかに腰を動かすだけでも湿った音が体の内側を通して薫の耳に届いてしまう。電車の中でバイブレーターを挿入され、精液を吐き掛けられながら昇りつめるという痴態は性欲に胸を焦がされていた薫にとってもあまりにショッキングな出来事過ぎて、思い出したくもないことのはずなのに、思い返すたびに戸惑うほど身体が火照り、周囲に気付かれぬよう小さな吐息を唇からこぼしてしまう。
(私……な、何を期待しているのよ……犯されるって、レイプなのに……嫌な事の…はずなのに……!)
 初体験、そして課長に今いるオフィスで犯された時から、数え切れないほどレイプされる自分を想像してオナニーを繰り返してきた。電車内では痴女のように振舞いながらも、その間、一度として男性に抱かれた事のない薫には、「犯す」と言う言葉は拒むに拒みきれない甘美な誘惑でしかなかった。
(違う……私はそんな変態じゃ……淫らな女じゃない………)
 けれど否定すればするほど下半身の疼きは激しくなり、動いてもいないのに時折グチュッと粘膜が蠢いて粘着質な音を立てる。薫は気付いていないけれど、必死に快感を噛み殺す薫を見て興奮している男性社員はこのオフィスの中に何人もおり、制服に包まれたスレンダーな肢体にたぎるほど熱い性欲のこもった視線がたっぷりとそそがれていた。
「やあやあ、水無月君、調子悪そうだね、大丈夫?」
 そんな時、新たに就任した課長が薫の傍へやってくる。本人は早く部下と馴染もうとしていただけなのだが、その手が背後から薫の肩に置かれた瞬間、
「――――――ッ!!!」
 薫は反射的に課長の手を払い、身体を椅子ごと反転させて自分の身体を抱きしめていた。
(だ…ダメ、出ちゃう……!)
 唇を噛み締めても止められない。体に力を込めても押さえ込めない。男性に触れられたと意識した途端、激しくうねった性器からドプッと愛液が吐き出される。しかもトロトロの、朝から興奮しっぱなしだった体の奥で練り上げられて濃縮された淫蜜だ。ヒクヒクと快感を求めて収まらない膣口から溢れたそれが下着の中に生暖かい感触となって広がるのを感じながらも、とっさに口を抑えて喘ぎ声を噛み殺す。
(もう……頭の中が、おかしく…なり…そう……ッ!)
「み、水無月君、本当に大丈夫? いや、さっきのセクハラじゃないよね? え、悪いのワシ?」
「し……失礼しますっ!」
 このままここにいたらみんなが見ている中で昇りつめてしまう……薫は目の端に浮いた大粒の涙を手で拭うと、バッグを掴んでオフィスから飛び出してしまった。
(早く……早くトイレに行かなくちゃ……このままじゃ私………!)
 恐怖かも期待かもわからない感情に大きく脈打つ胸をバッグで押さえつけ、トイレを目指す薫の股間からは今もなお大量の愛液があふれ出していた。ストッキングは朝の痴漢に会ってから履いていない。白い内股の間に滴る粘液は太股が擦れあうたびに卑猥な音を響かせ、焦り昂ぶる薫の心をさらに急き立てる。
(こんな音を誰かに聞かれたら、犯され、犯されて、何度も犯されて……イヤァ!)
 叫びそうな口と狂おしいほどに疼く股間とを抑えていては、込み上げる涙はどちらの手でも拭えない。今にも身をよじりながら膝を突きそうなほど快感に追い詰められた薫は赤らめた泣き顔を俯かせ、ドロドロに濡らした股間を震わせながらトイレへと駆け込む。―――が、
(ど…どこも空いてない……)
 こんな時にどうして……運命の悪戯を呪わずにはいられない。女子トイレの個室はちょうど全部埋まってしまっていた。誰も外にいないだけマシと言えばマシなのだが、スカートの中で秘裂が怪しい蠢きを繰り返すたびに腰が震え、今にもイってしまいかねない状況なのだ。
 股間と押さえつける手の平とに挟まれたスカートには、ここが会社のトイレである事も忘れてあふれ出した愛液が大きな染みを作っている。平静を装う事も指で慰める事もできずに、とまらない快感に薫の喉はとめどなく唾液を飲み込み上下の動きを繰り返さなければならなかった。
(どこか別のフロアでも……もう、隣の男子用でもいいから……!)
 今の薫の心境なら男子用にででも駆け込んでしまいそうだったのだが、運悪く、トイレから駆け出したちょうどその時、誰かが隣のトイレへと入っていく。人がいると知って異性用のトイレに後を追って入るわけにもいかず、さりとて女子トイレで個室から出てくる人と鉢合わせするのを覚悟して待ち続ける事も出来ない。
 もうストッキングを履いていない太股の内側が愛液でグッショリと濡れてしまっている。動くたびによじれる膣からあふれ出る淫蜜に人の意識が向けられるのではと、そう思えば思うほど薫の心が締め付けられて身動きが取れなくなる……そんな時だ。階段のほうから高そうなスーツで身を固めた社の重役が二人、薫の前を通り過ぎてゴルフの話題で談笑をしながら男子用のトイレへと入っていった。
(………そうだ。あの場所なら……)
 普段、誰も使っていない部屋……しかも今の時間帯なら会議も何も行われていないはずだ。
(会議室……あそこなら……)
 もう猶予も余裕もない。薫は人の目を避けるように階段へ向かうと、上のフロアへと駆け上っていく。そしていつもなら上がってくる事もないフロアにまで辿り着くと、廊下に誰もいないのを確認してから会議室の扉へと走り寄っていった。
(よかった……誰もいない)
 人の姿のない大部屋へと滑り込むと、薫は扉をしっかり閉めて鍵を掛ける。だが一瞬の安堵を得た次の瞬間には、股間からは生々しいほどの愛液が溢れ、粘膜がよじれる音が奏でられ、身を震わせた薫は足をもつれさせて向かい合うように並べられた会議机の上へ身体を倒れこませた。
「んああッ!」
 それは拍子に過ぎなかった。たまたま腕を投げ出し身を預けた机の角が、スカート越しに羞恥と興奮とで熱く火照りきっていた股間をグリッと圧迫してしまったのだ。
 けれど薫の体に駆け巡った衝撃はたまたまと言う言葉で済ませるには、あまりに強烈過ぎるものだった。硬く直角に尖った机の角は汗ばんだ太股の付け根に深々と食い込んでおり、スカートとショーツの二枚の布地を挟んでいながら絶頂寸前の割れ目を圧迫し、クリトリスを的確に捉えてしまっている。
「こ…これって……くンッ! んァ………!」
 机を爪で引っかき喘いだ薫は、打ち上げられた魚のように平らな机の上で両手をさまよわせる。その指先に倒れた際に投げ出してしまったバッグの紐を引っ掛け、そのまま自分のほうへと引き寄せると、制服のスカートに包まれたお尻を突き出すような姿勢のままで、そのお尻を左右に小さくくねらせてしまう。
「ッ……! いッ……あ…んゥ……!」
 硬い角が花弁を割り開いて、もっとも感じるポイントに突き刺さる。するとそれまで溜め込んでいた甘美な快感が一気に弾けてしまい、薫の足元へショーツからにじみ出た淫蜜がポタポタと滴り落ちる。刺激を受けたヴァギナは緩んでいたゴムが収縮するように緊縮を開始し、
「スッ…ゴい……もう…こんな……あムゥ…! ア……あァ、あッ、あッ、あッあッあッあッあッあッあ―――ッ!!!」
 どこか会議の熱気が……言い換えれば人の気配が色濃く残る会議室で長机にすがりつくように這いつくばり、秘所を擦り付けてクリトリスを押しつぶす行為に、薫の胸には否応無しに羞恥心が込み上げる。それなのに薫は腰を振って快感を貪る行為をやめられず、両手を机に突き、より強く股間と机とが擦れあうように身体を起こして恥丘を角へ押し当ててしまう。
「ダ…メッ……おかしく、なる…机で…イっちゃうなんて……は…恥ずか、しいのに…これ…これ……あああああッ!!!」
 薫の背中に広がる長く艶やかな髪が、激しく首をよじる動きに合わせて舞い上がる。身体全部を揺すり、股間の肉芽をまるで掻き毟るように机の角に擦りつけると、薫のスレンダーなボディーがビクッビクッと震え上がり、白い喉元を反り返らせ、だらしなく開いた唇から唾液を滴らせながら、拒み続けながら待ち望み続けたアクメへのスロープを一気に駆け上がっていった。
「ひゃうぅうううううう――――――――ッ!!!」
 下着を押し込むかのように角を股間へ食い込ませた薫の脳裏が真っ白に締め上げられる。膣道が震え、尿管が震え、おしっこかとも思うほど太く愛液をショーツの中に射ち放ちつつ、薫は立ったまま下腹部を震わせてしまう。
「あ……あァ………イっちゃった……こんな…ところで………」
 それに……と心の中で言葉をつなげると、ようやく性欲を満たされて次第に落ち着きを取り戻した思考が、どうしてこういう状況になるまで興奮してしまったのかを思い返し始める。
(犯されるって……私をレイプするって、そう書いてあったから……)
 今の薫は、まるでレイプされるのを待ちきれずにオナニーを、しかも思春期の子供が教室でするかのようbに稚拙で、全然普通ではない行為で自ら秘所を慰めてしまったのだ。その事実はショックではあるものの……なぜか、喉を鳴らして唾を飲み込んでしまう。
(犯して…欲しいのかな……)
 考えるほどに、この数日、薫が男性に犯してもらいたがっていたかが思い返されてくる。電車の中で痴女のように大胆な行為をして男性を誘惑して、発作のように込み上げる肉欲の疼きを紛らわそうとしてきたのだ。太い肉棒に無理やり膣内をかき回されて中出しされた初体験を思い出しながら自慰した事も一度や二度では済まされない。そのどれもこれもが、男性を知る以前の薫では考えられないような事ばかりなのだ。
 疑いようもないほど揺るぎのない結論が導き出される……薫は、心の中でどう思おうが犯してもらいたがっていた。その証拠に、今しがた迎えた絶頂の余韻に包まれていたはずのヴァギナに新たな疼きが宿り始めており、後ろへ大きく突き出したヒップを揺さぶってしまう。
「ふぁあぁぁぁ……!」
 机の角が軽くショーツ越しにクリトリスへ触れただけで薫の腰から力が抜け落ちた。今はもう、その刺激はただの机の角ではなく、誰とも知れないレイパーに肉芽を突付かれたものへと薫の脳内がイメージをすり替えてしまっている。
「……い…ゃあぁ……………!」
 形ばかりの拒絶の言葉を口にしながら、薫はバッグの中から、朝の痴漢に挿入されてしまったバイブレーターを取り出していた。
「これ……これぇ………」
 唇を開き、震える舌を突き出すと、まだ自分の愛液の湿り気が感じられるバイブレーターを口の中へと頬張り、フェラと言うにはまだまだぎこちない動きで舌を絡みつかせていく。脳裏に机の下に隠れて課長のペ○スを嘗め回していたときの事を思い出し、恐怖と、それを上回る粘着質な興奮とに意識を侵食されながら。表面に無数のイボを持つ肉棒を模した性玩具をいとおしげに嘗め回す。
「はむうっ…んうぅ、んむぅううっ……!」
 自ら秘所を机の角へ押し付けながら、手にしたバイブを前後に動かし、唇から出し入れする。次第に課長のペ○スを頬張らされたときの事を思い出し、机の上に垂直に立てて手で押さえたバイブを上から飲み咥え、顔にかかる髪の毛を掻きあげながら、口内から唾液が掻き出されるほど激しく頭を振りたくった。
「ふむゥ、んんんッ、あ、んむゥうぅ」
 十手のように二股に分かれたバイブのクリトリスに当たる場所が鼻先に触れるほど、深く唇へ咥えこむ。先端の当たる喉の奥をキュッと締め付けると、何度も注ぎ込まれた熱い精液と鼻に抜ける臭気の感触が克明に蘇り、喉をふさがれるにおぞましさにむせ返りそうになる。それなのに薫は頬をすぼめてバイブを吸い上げながら、舌の裏で裏筋に当たる場所を舐め回し、口の中で泡立てられてドロッとするようになった唾液を飲み干す。それはまるでバイブを射精に導くかのようでもあり、焦点の合わない瞳を机に向けたまま薫は狂ったようにバイブをしゃぶりたてていた。
「んッくぅうううううううううううッ!!!」
 そうしている間にも、机の角を相手にして二度目の絶頂を迎えてしまう。たまらずバイブを吐き出し、会議室の外へ漏れないように口を押さえてつけるけれど、それ以前にトロトロの秘所から溢れる愛液が薫の足元に小さな水溜りを作ってしまっており、太股はおろか足首にまで愛液の筋が伝い落ちてしまっていた。
「あ……あ…スゴいィ……いつもよりも…スゴいのが……キてるぅ………♪」
 いつものオナニーが子供の遊びのように思えるほど興奮して意識も理性も蕩かせた薫は、机の上を転がるように体を回すと、机と共に置いてある肘掛つきの椅子へお尻を落とす。そしてバイブを手に取る代わりに机の上に片足を乗せ、ゆっくりと閉じたまぶたの上に顔も想像できないレイパーの姿を思い描く。
「犯されても……いい……こんなに…気持ちいいなら……」
 と、ショーツを指で横へずらし、もうこれ以上愛撫する必要も余地もないぐらいに濡れきっている淫裂に肉棒を模したバイブを押し当てると……薫の手は自分の秘所をレイプするかのように、太くて長く、イボだらけのバイブレーターを一気に根元まで突きいれてしまう。
「んぁああああああッ!!!………ハッ! あッ…ん……ぁ………い…イっちゃっ…た………♪」
 バイブのスイッチはまだ入っていない。いや、“入れる”と言う事さえ今の薫には思いつけない。バイブの表面に無慈悲なほど並んだイボイボに二度の絶頂を迎えて敏感になりすぎている肉ヒダを掻き毟られ、クリトリスにクリバイブが、子宮の入り口に先端が押し当てられ、そして狭い蜜壷が張り裂けんばかりに押し広げられ、ただそれだけで達してしまった薫のヴァギナからは涎のように愛液があふれ出してくる。
 バイブが挿入され、もうショーツを抑えている必要がなくなると、空いた手は制服の胸元のボタンをハズし、普段よりも一回り大きく張り詰めている乳房を揉みしだき始める。そのリズミカルに膨らみへ食い込む指の動きにあわせて震える唇を嘗め回すと、薫の手はイメージしたレイパーの動きそのままに、絶頂を迎えたまま痙攣しっぱなしのヴァギナへバイブを出し入れする。自分の手だと言うのに充血した膣肉を荒々しくかき回す動きには容赦が無く、クリトリスの裏側の窪みに先端を圧迫するように押し込み、薫が恐怖心を抱くほどに膣天井を擦りたてながらヴァギナの奥へ向けて抽送を繰り返すのだ。
 たちまちの内に椅子の上は薫の秘所からあふれ出て、または弾け飛んだ愛液や絶頂汁でビショビショに濡れてしまう。透明な絶頂汁が椅子に密着したヒップを濡らすほど噴き出ているのにも構わず、飛沫を浴びるバイブと手とを動かして、こじ開けんばかりに子宮口を先端で抉ると、ついに薫の閉じた瞳から涙が溢れ落ちる。……けれどその口元は悦びの笑みを浮かべていた。
「ひゃ…ぁ……おマ○コ…中に……犯され、てるのに……根元まで……クリトリスも……んあッ、くッ、は、激しいの……ダメ…ダメ……あぁ、いいの、だから…んぁあ、あッ、そこ、ダメ、レイプで、レイプされていっちゃう、から、あァ、んああぁあぁぁぁあああっ!!!」
 男性に抱かれた回数などまだ数えるほどしかないと言うのに、子宮口をバイブに突き上げられ、頭を後ろへ仰け反らせながらビクビク痙攣する淫裂から愛液を噴き、椅子とヒップとの間からグチャグチャと卑猥な蜜の音を響かせエクスタシーへと昇りつめていく。今にも子宮が押しつぶされそうなほど深々とバイブを突きたてたまま、下腹部の中にある淫液を一滴残らず絞りだしまうほどの勢いで噴き上げる。
 けれどそれでもまだ、薫は……いや、薫のイメージする“レイパー”は陵辱をやめようとはしなかった。
「はぐぅううぅぅぅ!」
 痙攣収縮する膣筋を押し広げ、膣口へ肉ヒダにイボを引っ掛けるようにバイブの抽送が繰り返される。もう薫自身は精根尽き果てているはずなのに、まるで呪われてでもいるように膣肉をかき回し、続けざまにオルガズムへと押し上げる。
「ダ……ゆ、許して……あ、あああ、アァァァ―――――――――ッ!!!」
 快感が弾け、もう何度目かもわからないアクメの波に意識をさらわれたと言うのに、バイブを握る手は休む事無く動き続け、薫をすぐさま次の絶頂へと導く。秘所からは絶え間なく蜜の音が鳴り響き、愛液を撒き散らしながら天井へ向けられた薫の唇から広い会議室の隅々にまであられもない嬌声が迸る。
 いないはずの相手が満足するまで犯され続けてしまうオナニーレイプ……永遠に続くかと思われる快感の中で、薫はそれでも悦びに満ちた笑みを浮かべていた……


4へ