アル●ィオン二次創作小説 『ミーナ×カミサマ』 後半


「はあァ……んッ、ハァ、な…なにが……んァ、あああ、んはァああああああァ!!!」
 濃厚な口付けを受け、ボリュームのある膨らみをこね回されても起きなかったミーナだが、クリトリスをついばまれる衝撃に大きく腰を震わせると、うっすらと目を開く。
 ぼやけた視界に最初に映ったのは薄暗い天井。だからまだ起きる時間ではないと思い、
「ふあっ! あぁアアアアぁぁぁぁぁッ!!!」
 背中をグンッと大きく弓反りにし、目を見開いたミーナの口から絶叫が迸る。頭の先からつま先にまで重い喜悦がいっせいに駆け巡り、なぜか脚をMの字に開いたまま瑞々しい裸体を波打たせ、なぜ……と疑問に思う暇もなくオルガズムへと昇りつめてしまう。
「ヒィ! アぁ、やァ、アヒぃぃぃいいいいいいいいいいッ!!!」
 ―――いっぱいイってるのにィ! とまんない、やだ、ひあ、いく、イっちゃうよぉぉぉ!!!
 シーツをキツく握り締め、つま先を何度も宙へ向けて蹴り上げても、クリトリスから沸き起こる絶頂痙攣は一向におさまらない。イけばイくほどに、まるで誰かに舐めしゃぶられているかのような快感が尽きることなく込み上げ続け、豊満すぎる乳房が張り裂けそうなほどの絶頂に、まるで幼女のようにぽろぽろと涙を流して頭を振ることしか出来ずにいた。
 ―――こんなの、こんなに気持ちいーの、ハジめてだ…よォ……なんか…ユメ見てるみたい……♪
 長く続いたアクメからようやく開放されたミーナは、まだ余韻でピクピクしている手足をベッドに投げ出しながらも、涎でベトベトになっている唇にうっとりとした笑みを浮かべてしまう。
 そうして心地良い脱力感に包まれていたら不意に、
「ミーナさん、結構ハデにイったッスね。大丈夫ッスか?」
「ふえ……えっ? カミサマ…く…ん……?」
 何でベッドの上にカミサマがいるのか……その理由が思い出せない。ベッドに入る前にお酒を飲まされて少し酔っていて、カミサマを同じ部屋に強引に泊まらせたこと思い出す以前に頭が記憶していないのだ。
 だから、
 ―――そっか、これって夢なんだぁ♪
 と、あっさり間違えた結論に行き着いてしまっていた。
 そもそも、もし神様がミーナに夜這いをかけていれば、いつも一緒にいるヘルデーモンのヘルたんが黙っているはずがない。それなのに何の反応もないのだから、これが現実のはずがない……と言う思考だ。
 ―――でもでも、エッチな夢にカミサマくんを出演させちゃうなんて、おねーさん、明日からどんな顔しればいいんだよ〜〜〜!!!
 なにも、オナニーするときに愛しい男性に抱かれているところを想像しないわけではない……けれど、バージンのミーナに想像はそこでいつもストップしている。
 愛しいと言っても、想像の中の恋人は顔が真っ白のぬっぺら坊。みんなのアイドルを自覚しているだけに、特定の誰かにホの字になったりすることは今まで経験が無く、無理に誰かをイメージしようとしても、ぴったりと当てはまる相手がなかなか思い付けていなかったのだ。
 ―――でも夢に見ちゃうほどカミサマくんのことを好きになっちゃってたなんて……どうしちゃお!?
 今まで好きだなんて意識したことのないカミサマの顔が視界いっぱいになるまで近づいてくると、夢の中のはずなのに心臓がどうにかなってしまいそうなぐらいに高鳴ってしまう。そんな胸の膨らみを押しつぶしながら唇と唇とが重なり合えば、抱きしめてくるカミサマの手の平に汗ばむ肌を撫で回されるくすぐったさも入り混じって、理性が蕩け、全身を包み込むような甘い疼きに抗いきれずに自分からもカミサマの背中に両腕を回してしまう。
 ―――んッ……舌を絡ませて……こんなキスするなんて…考えたこともなかった………
 酒場の客から男女のことをよく聞かされたりするのだけれど、自分の舌をむさぼるように吸い上げられ、快感を訴える声の代わりに卑猥な音が唇の隙間からこぼれ出る。
 それはミーナの思い描いていた恋人同士の口付けよりもずっと濃厚で、たまらずカミサマの胸板に乳房を押し付けるように身を揺すれば、飲み干せなかった唾液が雫となって唇の端からツツッ…と滴り落ちていくほどに何度も何度も大量の唾液を口内へと流し込まれてくる。
 ―――ダメ…だよォ……ツバは…き…汚い……から……ん、んはァあああッ!!!
 カミサマの指が背中の敏感な場所をなぞり、ミーナの指が相手の背中に突き立てられる。けれどカミサマは痛みなどないかのように、ミーナ自身も知らないポイントを次々と指で触れていく。
「んっ! んんゥ、んゥ! んゥ! んムゥうううううぅ〜〜〜!!!」
 背中から、細くくびれたウエストへと肌触りを楽しむかのように這い回ったカミサマの右手が、そのまま舌へと伸びてミーナの針のある太股を撫で回す。外から内へ、付け根から膝へと、やさしいタッチで触れられる心地良さにうっとりと瞳を潤ませていたけれど、カミサマの指先が股間に触れた途端に、ヒップを引き絞り、恥骨を突き出すように腰を打ち震わせた。
「あはぁあああああッ! カ、カミサマくゥ〜〜〜んんんゥ!!!」
「もう一回イっときますか? ミーナさんのおマ○コ、もうドロドロのグチョグチョに蕩けきってるッスけど」
「バカァ!!! お姉さん、そんなにスケベじゃないもん、バカァ、カミサマくんのバカバカバカバカバカァアアアアッ!!!」
 けれど指先が熱気と湿り気の充満しきった秘唇を断ち割るように往復するたびに、自分で触れるのとは違う快感に何度と無く打ちのめされる。そして、ベッドの上で大きく弾むミーナの身体の上でダイナミックに暴れている乳房にもう片方の手を伸ばすと、鷲掴みにし、指と指の間からツンッと突き出した頂を口に含み、舐め転がす。
「ふきゅううううううん! 吸っちゃダメェ! オッパイでないの、そんなに吸ったって、おねーさんのオッパイからミルクは出ないんだってばぁあああああッ!!!」
 そう叫ぶものの、カミサマは一向に乳首から口を離そうとはしない。それどころか、チュウチュウレロレロと丹念に舐めしゃぶると、指で挟んでギュッギュッと根元から先端に向けて扱き上げる。
「んああああああああああああああッ!!!」
 神様の舌技と指技とに、ミーナは否応梨に絶頂へと追い詰められていく。だらしなく眉をハの字にゆがめ、振るえる舌を突き出している唇からはダラダラとだらしなく涎を滴らせている。そこには普段の酒場内で明るく無邪気に走り回るミーナの姿はなく、沸騰するかのような興奮の昂ぶりにベッドの上で一直線に肢体を伸び上がらせてイヤらしく泣き悶えてしまっていた。
「あッ、あっ、カミサマ、くんに、イかされちゃう、お姉さん、イっちゃう、イっちゃうゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 左右の胸の膨らみと股間から沸き起こった快感美が全身を駆け巡る。一度知ったら二度と忘れられないオルガズムの衝撃に恍惚と表情を蕩かせ、やがて叫び声すら絞りつくしてベッドへと崩れ落ちていく。
「ハァ……ハァ……カ…カミサマくんの……エッチ……おねーさんをこんなに乱れさせ…て………♪」
 きっとこれからオナニーをするたびに、カミサマくんのことを考えながらしちゃうんだろうな〜……そんなことを考えながら、疲れ果てたい式をもう一度ベッドに沈み込ませていこうとしたミーナだけれど、いきなり眼前に突き出された異形の物体に驚き、目を見開いてしまう。
「な…なにこれ………もしかして…お、男の人の……?」
 棒状の物体から視線を動かせば、それは神様が突き出している腰から生えていた。……が、大きさが信じられない。男性の股間から生えているものはダラ〜ンとしていてフニャフニャと柔らかそうで、大きさだって指と大差ないぐらいのもののはずなのに、カミサマのそれは見るからに力が漲っていて、大きく膨らんだ先端を斜め上へ向けて堂々と雄々しく突き上げていた。
 ―――そっか、これが“ボッキ”なんだ。カミサマくんのおチ○チン、“ボッキ”しちゃってるんだァ……
 男の人の股間は、興奮すると大きくなる、固くなる、“ボッキ”すると言う話は何度も耳にしている。子供時代の記憶の中にある近所の少年を裸にひん剥いた時などの光景を思い浮かべてみても、それがどのぐらいに固くなったり大きくなったりするのかは今までわからなかったのだけれど……
「あの、一つ聞いときたいんだけど……本当にそれ、中に入っちゃうの?」
 夢の中とは言え、現実の男性器を目の当たりにするとやはり興味や気持ちよさよりも恐怖の方が先に立ってしまう。
「………いまさらやめるって言ったって、もうストップなんて出来ないッスからね」
「そ、そうじゃなくて、心の準備がまだだから!」
「大丈夫ッスよ。オレの、エコ意識なくて無駄にデカいから最初はキツいかもしんないけど……これだけ準備が整ってたら」
 カミサマの右手が股間から離れ、ミーナの眼前に突き出される。指先から手首までびっしょりとミーナの愛液で濡れており、初心な乙女であるミーナは顔を赤らめながら視線を逸らしてしまう。
 そんなミーナに覆いかぶさりながら、
「オレ、もう我慢できないッスよ……ミーナさんが欲しくて欲しくてたまんないんス!」
「え……や、な、なに、いきなり告白されても、おねーさん困るよ!?」
 膝の間に身体を割り込まれ、ミーナが何度となくイかされ続けている間中ずっと性欲を滾らせていた肉棒の先端を秘唇へ押し当てられる。夢の中とは言え、二枚の花弁に生々しいまでに感じる肉棒の感触に腰の芯にまで届くほどの痺れと疼きを感じながら、どこか獰猛な光を帯びたカミサマにまっすぐに見つめられると、あふれ出そうとする言葉がノドにつまり、何も言えなくなってしまう。
 ―――カミサマくんにだったら……本当にあげちゃっても…なーんて思っちゃいそうだよ……
 狙いはもう、完全に定められていた。カミサマが腰を押し出すほどに自分の秘所が押し広げられる感触に唇を引き結んで表情をゆがめてしまうけれど、
「んっ……カミサマ…くん……入ってきて……あ…あッ……やあァ……ッ!」
 カミサマが押し込んでくる肉棒の先端を、押しとどめるような感触……それが自分の処女膜なのだと感じた次の瞬間には、これまでずっと守ってきた純潔の証がいとも容易く引き裂かれ、より深い場所にまでカミサマの分身を押し込まれてしまっていた。
 けれど思ったほどの痛みはない。夢なのだから、いっそ痛み全部なければいいのにと思うけれど、男性を迎え入れることに本能的な恐怖を覚えていたはずなのに、一瞬で恍惚に酔いしれそうになる妖しい快感美がイヤらしい身体の隅々にまで駆け巡ってしまう。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
「入ったけど……大丈夫ッスか?」
「んっ……そんなに痛くないし、おねーさんは平気だよ。それよりも……なんか……」
 今はまだ、股間にはグロテスクな男性器を捻じ込まれた灼熱のような痛みが広がっている。そもそも受け入れられないぐらいに太くて長い男根に処女を散らされたのだから、身をプルプルと震わせ、声を出すたびに潤んだ瞳から涙が零れ落ちそうになってくる。
 でもそれだけじゃない。カミサマの肉棒をキツくキツく喰い締める膣道は緊縮と弛緩を繰り返すたびにジンジンとした痺れが込み上げ、それが乳首やクリトリスといった敏感な突起部分に響いていて、それが男性を受け入れているのだという気持ちを甘酸っぱい喜びへと変え、大きな胸を疼かせるのだ。
 ―――夢だもん……夢だから感じちゃってるだけだもん! 初めては痛いって、初めてはそんなに気持ちよくないって、し…知ってるんだか…らァ……!
 けれど膣の奥深くにまで肉棒を押し込まれたまま、浅くてせわしない呼吸を繰り返していると、唇からは痛みを訴えるのとは別の声が溢れそうになる。
「カミ……サマ……くゥ…ん……」
「ミーナさん…そろそろ動くッスよ」
 体の左右に手をつき、覆い被さっている神様の体がいつもよりも大きく、逞しく見える。自分を見下ろす眼差しに、我知らず胸の奥をきゅんと甘酸っぱく疼かせ、ボ〜っとしたまま小さく頷いてしまい、
「んんゥ!!!」
 極太の肉棒を抜き差しされる圧迫感にくぐもった声を上げてしまっていた。
 ―――おなかの中で……ゴツゴツしたのが動いてる……
 ミーナの膣内を圧迫しながらゆっくり抜き差しされるカミサマのモノに膣壁を擦られると、鈍い痛みは伴うものの、その奥に身体を蕩かすような快感が潜んでいた。
 カミサマが腰を押し出すたびに豊満すぎる乳房がたぷたぷと揺れる。弾力のある膨らみが重たげに震わせていると、スリコギのような男根で膣内をかき回されているのにミーナの表情には快感に喘ぎ悶える色艶が滲み出し、ただキツかっただけの膣内の締め付けまでもが強弱をつけた快感を求める蠢動へと移り変わっていく。
「んっ、ああァ、い…いのぉ……カミサマくんと…SEXして……き、きもち…いいよ……ォ♪」
「ミーナさんの膣内(なか)も、スッゲー熱くて、気持ち、いいッスよ。気ィ抜くと、あっという間にイっちゃいそッス……!」
「いいの? おねーさんとエッチして、カミサマくんも、いいの? 気持ちいいの!?」
「ったりまえッスよ。ミーナさんとSEXしてるのに、最高じゃないわけ、ないじゃないッスか!」
「ぁ……♪」
 ミーナの表情がほころんだ途端、細い腰がくねり、抽送のリズムが次第に滑らかになってきた肉棒をキツく締め付ける。引き抜かれるペ○スには破瓜の血液を洗い流しそうなほどに大量の愛液が付着し、神様のストロークに合わせて寝室の隅々にまで生殖器の粘膜の擦れあう音が響き渡る。
「んんっ……は、あああァん♪」
 最初はただ受け入れるだけだったミーナだが、初体験の痛みが快感で薄れ、むしろ興奮を高ぶらせる程よいスパイスになってくると、飛び散った愛液でびっしょり濡れた恥丘の膨らみをカミサマの腰へ向けて突き出し始める。
 ―――ううう、カミサマくんに感じさせられてるぅ! おねーさんの威厳が、あっ、あっあっあっああっ、もう、どーでもよくなってきたァ♪ カミサマ君のチ○ポで、おなかの中をかき回されてるのにぃぃぃ!
 けして上等とはいえないベッドがいつの間にか軋んだ音を奏で始めていた。二人の肌には大粒の汗が浮かび、その雫を振り払うかのようにカミサマは速いストロークでミーナの膣内を深々と抉る。抜けるギリギリまで腰を引くほどの大きな前後運動で膣壁を擦り上げられたミーナは、声を抑えると言う考えさえ頭から吹き飛び、絶え間なく目の前で閃く快感の火花に意識の全てが真っ白に染め上げられていく。
「カ…カミサマく…ごめん、わたし、もお、もおォ、イくよ、イくよォおおおおおッ!」
 まるで恋人同士のように、神様の首へ両腕を絡めたミーナは、まるでぶら下がるようにして反り返らせた背中をベッドから浮かび上がらせる。それに応じるように、くびれたウエストに手を書けたカミサマは、持ち上げたミーナの腰へ自分の腰を叩きつけるような荒々しいラストスパートに入り、カリ首で乱暴なまでに膣壁を掻き毟る。
「んあっ、んはァああああああッ! もう、とまんないィ、カミサマくん、好き、大好きだから、このまま、一緒に、一緒にきてェ〜〜〜〜〜〜!!!」
「ミーナさん、中ッスか? 外ッスか? オレももう、ミーナさんの締め付けに、耐えられないッスよ!?」
 “中”と“外”……それが射精する場所なのだとギリギリで気付いたミーナは、反射的に「外」と答えようとして、
「中にぃ、私の中にぃぃぃ!!!」
「い、いいんスか?」
「いいから、離さないで、抱きしめて、初体験なのに、わたし、もう、ダメ、ダメなんだから、あ…んあァあああああああああッ!!!」
 ミーナの両脚がガッチリとカミサマの腰に絡みつき、もはや逃れることのできなくなったカミサマは下腹部を恥丘へ密着させ、処女を失ったばかりの膣内の一番奥へ亀頭を擦りつけながら豪快に精液を撒き散らした。
「あっ…出され…てるゥ! 私の中っ…いっぱいに…いっぱいになっ…てェ………ッ!!!」
 射精される寸前まで膣内を擦り上げられ、子宮の隅々にまで行き渡るほど膣内射精されたミーナは、カミサマと抱き合いながら長い絶頂に全身を打ち震わせる。つながりあった場所でお互いの脈動を感じ、熱い吐息を吐き出しながら二人はどちらからともなく唇を重ねあわせ、ネットリと舌を絡め合わせる。
 ―――ホントに……ユメみたい……
 そもそもこれは夢なのだから、夢“みたい”と形容するのはおかしいのだけれど、ただただ相手の舌と唇を貪り、長い長い幸せの余韻に酔いしれているのは、まさに初めての幸福体験だった。……のだが、そこへジャラジャラと鎖の音が鳴り、途端にミーナは眉をしかめる。
『テメェコラ……ミーナに何してやがる、クソボケカミサマがァアアアアアアアアアッ!!!』
「あ、ヘルさん、おはよーございまス。死んでなくてよかったッスね」
『ぬあにが良かっただァ!? コノヤロー、あれだけ釘さしといたのにミーナに手ェ出しやがって! コロす、テメェはこの場でブッコロフげェ!!!』
 今まさにカミサマに向けて飛びかかろうとしたヘルデーモンだが、飛んできたアイスピックが眉間に突き刺さり、そのまま床へ転げ落ちてた。
「も〜、ヘルたんのアホォ! 人の夢を良いとこで邪魔をしてェ!」
「あの……さっき、アイスピックが根元まで刺さってたッスよ、ヘルさんの眉間のど真ん中に。白目むいてピクピク痙攣してるけど、あれ、マズくないッスか?」
「別にいーんじゃない? ふあ〜……ん〜、なんか寝たはずなのに体がだるいィ……」
 ベッドの上に胡坐を書いて身体を起こしたミーナは、汗でベトベトする肌に不快感を覚えながら、両腕を上げて筋肉と間接とを伸び上がらせる。
 ヘルデーモンが騒いだということは、そろそろ起きなきゃいけない時間だ。まるでずっと運動していたみたいに体が重いけれど、シャワーでも浴びればすっきりする……とか考えながらぼんやり眼で辺りを見回すと、
「………あれ? なんでカミサマくん、ここにいるの?」
「何でって訊かれると、ミーナさんが誘ったからッスけど」
「んじゃ、なんで裸?」
「SEXする時、服は脱ぐもんでしょ? まあ半脱ぎも全然アリアリッスけど、ミーナさんもオールヌードだったわけだし」
「わたしも……裸? あれえ?」
 そう言えば、客にお酒を飲まされて酔っ払ったので、少し仮眠休憩に入ったはず。その前にカミサマが幸せそうに食後に睡眠に入ったから介抱もしたけど、
 ―――えっ……ちょ、ちょっと待って。あれってユメ……じゃないの?
 思い出そうとすると脳裏に溢れかえるのは、カミサマの腕に抱かれて気持ちよくなっていたことばかり。
 まさか……そう思って手を股間に差し入れてみると、クチュリと言う粘ついた音が響き、顔の前へと持ち上げた指先には少し赤い色の混じった真っ白い体液がべっとりと付いていた―――


 −*−


「膜ってさ、走り回ったりしてると破けちゃうこともあるんだって。冒険者なんてやってるとそんな風にバー人なくしちゃう子も結構いるんだよ」
「へ〜、全然知らなかった」
「んでさ、ミーナちゃんがそういうこと気にするってことはさ、もしかして誰かと犯っちゃったりしたわけ!? でもって膜が無いから処女じゃないとか言われちゃったり!?」
「そ、そーゆーエッチなかんぐりは酒場じゃご法度だよ! もー、なんでもないんだからね! ヘルたん、いくよ!」
 とは言うものの、返事をする顔は真っ赤だ。顔なじみの女冒険者にそのことを茶化されると、慌てて踵を返し、ヘルデーモンをつないだ鎖を引っ張りながら厨房へと早足で戻っていく。
『ココはドコ……? オレはダレ……?』
「ほらもー、寝ぼけてないでちゃんと付いてきなさい!」
 虚ろな目で天井を見つめ、いつもと雰囲気がまったく違うヘルデーモンだけれど、そのうち正気に戻るだろう。そう楽観的に考えながら厨房に足を踏み入れると、
「カミサマ、ここじゃ転生できないだろ。早く遺跡に戻ってくれよ!」
「一ヶ月も門番様のところへ通いつめて、ようやく皿3貰えたんだぜ!? この努力を無駄にするのか!?」
「定職か!? いつも自由人きどってぶらついてるくせに、定収に目がくらみやがったなコノヤロー!!!」
 エプロンをつけて皿洗いをしているカミサマのところへ十人以上もの冒険者たちが詰め掛けていた。
 そんな人垣の中心にいるカミサマはと言うと、首には鍛冶屋のプリスのものにも負けないほどデカいく琵琶が取り付けられていて、それにつながる鎖の先端は店の柱に釘で打ち付けられていた。
「儀式を手伝うのは別にいーんですけど、これっしょ? オレの自由、完全に束縛されちゃってるンスよ」
 首輪か釘をはずさない限り、カミサマを遺跡にまで連れて行くことは出来ない。かと言って、苦労して転生の準備を整えてきた冒険者たちが、その程度のことで諦めるはずもない。
「よし! 酒場でバールかバールのようなものを持ってる奴がいないか訊いてくるぜ!」
「カミサマの首の間接ゴキッとはずしたら首輪から抜けないか?」
「最悪、頭と右手さえありゃなんとかなるだろ」
「この鎖、頑丈だね。よっしゃ、ナパームフレアで溶かしてやるか!」
 こういうときのチームワークは素晴らしい冒険者たちが鎖をはずすために次々と試行錯誤し始める。ミーナはなぜか不機嫌そうな顔をすると、
「ちょっとちょっと! カミサマくんはおねーさんのショユーブツなんだから勝手に持って行っちゃダメだからね!」
 深く考えずに、堂々とカミサマとの関係を疑われる言葉を公言してしまっていた。


 −*−


 決して隠し事が上手くないミーナであるから、そんな感じに失言を連発し、初体験してしまったことは一日と経たずに冒険者たちに知れ渡る。
 そしてカミサマはと言うと、熱烈なミーナファンから街中であろうと殺意を持って追い回されたため、どうやってか鉄製の首輪から脱出し、ほとぼりが冷めるまでと言葉を残して姿をくらませてしまう。
 ともあれカミサマがいないことには転生の儀式が出来ない。そこで探索クエストが急遽組まれたものの、神降しの祭壇の奥にまで逃げ込んだと言う噂もあるぐらいに、その行方はなかなか掴むことが出来なかった。
「ずえええええええええええええったい逃がさないんだから! 責任、取ってもらうもんね!」
 それは愛か嫉妬か憎しみか。それとも怒ってるのか恥らってるのか解らない酒場の看板娘に手を出したのが運の尽きか。


 とりあえず寝ぼけた彼女には近づかないようにしましょう。いやはやまったく。