第九章「湯煙」11


「は……ハクシュンッ!」
 あたしのくしゃみがやけに大きく無人の温泉に響き渡る。
「う〜……十分身体も温まったと思うんだけど……誰か噂でもしてるのかなぁ……」
 噂してるとしたら、あの暗殺者とは思えない女の子三人組に違いない。――根拠もなくそう思うと、あたしは乳白色のお湯から両手を出すと、汗のにじむ顔の表面を撫で拭った。
 既に日は暮れている。この“並行空間”と言う理解の範疇を越えた場所にやってきてから二度目の夜。―――それはそれはとても静かな夜だった。
 偶然ここを訪れてしまったあたしと綾乃ちゃんを除けば、五人の美女・美少女しかここにはいない。他にあるものは寝泊りするための建物と、あとは一週間入りっぱなしでも全部巡る事は出来ないだろうという無数に存在する数々の温泉だけ。
 どんなに静かであってもどうしても遠くから人々の喧騒が聞こえてくる街中では味わえないような無人の静寂……まるで世界を覆い尽くしているのではと思ってしまうほどの湯煙の向こうからは、誰一人として人の気配を感じることはない。ただ湯船に浸かってさえいれば温もりと共に身も心も静寂の中へ蕩けてゆき、ゆったりと、そしてゆっくりと時間だけが流れていく……
「はぁ……“仕事”もしなくていいし、ホントにここって極楽よねぇ……」
 湯船の中で一糸まとわぬ裸体を伸ばす。昼前からいくつもの温泉に入ってきた身体はお湯でむくれていてもおかしくはないのに、今なお弾けるような張りを保っていている。
 少しのぼせているのだろうか……不意にその気になり、気分を出して右足を水面から突き出して左脚へと絡み合わせるように乗せてしまう。
 ――どうせ誰も見て無いんだし……
 温泉の底に手を突いて頭からお尻までをグッと反り返らせる。すると、お湯を吸って一段とボリュームを増したかのような乳房は、滑らかな水質のお湯に濡れてより一層の淫靡さをかもし出している丸みを夜空へ向けて突き出し、湯気にピンッと尖った乳首をくすぐられてフルフルと震えてしまう。
 ……もしこの場に男性がいたら、今ならまぁ……構わないかもしれない。
 とろんとして焦点が合わない眼差しで夜空を見上げていると、今はもう、男に戻ることも魔王にされてしまったことも何もかも忘れ、いつまでもこの快感に包まれていたかった……
「はぁ……ぁ……んぅ………」
 首を起こすとあたしの手は、自然と内股へと滑り込んでいた。膝を解き、ミルク色のお湯が股間に触れるのを漢字ながら敏感なその場所を撫で上げると、唇からは心地よさに耐え切れずに唇から悩ましく湿った吐息を溢れさせてしまう。
 街で泊まっていた娼館にも温泉はあったけれど、望む望まないに関わらずに男性の客を相手させられる。お金を稼がなければならないと言う目的があっても、あたしにとって男性と肌を重ねる事にはどうしても嫌悪が付きまとう。――だけど今は違う。誰もいない温泉の中でしがらみから解放されたあたしの手指は、美しくなった自分の体を愛でるようにツツッと肌を撫でさすってしまっていた……
「んっ……アソコが…ヒクヒクしてる……んんゥ……だめ……………あッ!」
 短くも鋭い声を上げながら、跳ね上がったあたしの身体がお湯を波立てる。水面の上からでは見ることのできない太股の間で、自分自身の指先の思いがけない動きに驚いた身体は瑞々しい肌を大きく波打たせてしまっていた。
「ダメ……もう…とまんなくなっちゃうぅ………」
 お湯の中で膝を立て、お湯の中で軽くなった身体を軽く浮かせて恥丘を水面近くへと突き上げる。乳白色のお湯の向こうにうっすらと透けて見える肌色の自身の下腹部の姿に恥ずかしさと興奮とを感じながら、手を……少しためらってからお尻の穴へと滑らせる。
「フゥ!……ん…んぅ………」
 水底から浮かび上がったお尻の下からヒップの谷間へと伸びた手は、何度も洗って綺麗にしたお尻の窄まりを磨くように何度も擦る。指先がキュッと窄まったアナルに触れるたびに下半身全体の筋肉がおびえるように収縮を繰り返し、緊張が通り過ぎて心地よい視姦が全身へ広がると、少しずつ、あたしの中にある何かが目覚め始めて行く……
「あ…あっ…んぁ……あぁぁ……」
 ―――恍惚。
 パシャッとお湯が弾けると、跳ねた裸体が水面から少しだけ素肌を覗かせる。
 わずかな快感に腰がよじれ、肌ににじんだ汗はすぐに白い温泉に洗い流される。けれど割れ目の奥からにじみ始めた濃厚な愛液だけは、何度流されても尽きる事無くあふれ出してくる。
「ああぁ……もう…あたし…あたし……我慢がぁ………!」
 口元に喜悦の笑みを浮かべながら、あたしの指先はアナルからヒクヒク開閉を繰り返している膣口へと延びていく。……その時にふと、温泉の淵に置いてあった砂時計に目を止めてしまう。
 砂時計の砂は落ちきっていた。―――温泉を出る時間だ。
「ッ………ま、まぁ、こういうことしちゃいけないよね、うん」
 途端に我に帰ったあたしは、急激に押し寄せてくる自分の地帯への恥ずかしさに内心慌てふためきながら、バシャバシャとお湯を蹴立てて湯船から上がってしまう。
「はう……こんなところをあの人たちに見られたら……」
 やっぱり温泉に入りすぎてのぼせてるのか……夜もふけたし、そろそろ一度、食事もかねてねとまりしている建物へ戻るかと考えていると、入るときには見なかったこの温泉の名前の立て札に視線を向ける。
 ―――『疼きの湯』
  ―――効能・身も心もリラックスし過ぎて、いけない気分になっちゃいます。
「………なんなのよ、この温泉はぁ!!!」
 思わずそう叫びながら、濡れた手拭で立て札を引っ叩いた。すると地面への差込みが浅かったのか、水を含んだ手拭の重たい一撃に立て札はいとも容易く吹っ飛んでしまう
「ああもう。せっかくのいい気分が台無しじゃないの、まったく……」
 考えてみれば……もし話が真実なら、この温泉地を作ったのは“あの”ギルドマスターだ。あの美女の性格を考えれば、こんな温泉はまだいくつも存在していてもおかしくはない。
「本当にあの人がギルドマスターなのかな……どう考えても眉唾なのよね」
 濡れた前髪をかき上げながら、石の敷き詰められた洗い場を抜ける。すると温泉になら本来あるはずの脱衣所などはない。人の身長では覗けない程度の高さの垣根を越えれば、すぐに外へと出てしまう。
 この辺りも作った人の影響が出ているのだろう。無数の温泉が集まるこの場所では、いちいち着替えるのも身体を拭くのも面倒なことこの上ない。どうせすぐに別の温泉に浸かるのなら、濡れた体のままで移動した方が便利だから……と言うところなのだろう。あたしも最初のうちは移動のたびに体へバスタオルを巻いていたが、どうせ誰にも見られていないのだからと、今では濡れた裸体を大胆にさらけ出したまま出歩いてしまっている。
 ――まあ、ここにいるのは女の人ばっかりだし。見られてもそんなに恥ずかしいわけじゃ……
 綾乃ちゃんなら娼館で何度もあたしの裸を見ているから構わないとして。ギルドマスターもどうせ裸で出歩いてるだろうから構わないとして。………さすがに美由紀さんに見られるのは恥ずかしいかも……
「そういえば……」
 火照った体を覚まそうと手の平で首元を歩きながら次に入る温泉を見て回る。……けれど美由紀さんの事を思い出した途端、朝の出来事が克明に脳裏に再生されてしまう。
『話したい事があるの。今夜、温泉で……』
 そう言って姿を消した美由紀さん……言われた言葉を思い出すと、あたしは何とはなしに足を止めて、夜空を振り仰いでしまう。
「美由紀さん……あたしに何を言いたいんだろう……」
 話すべきはあたしにではなく、ギルドマスターに……のはずだ。“魔王”になってしまっているあたしをどうするか、その事をあたしと話しても、解決策なんて見つかるはずが無いのだから。
「逃がそうとしてるのかな……でもそうしたら美由紀さんに迷惑が掛かるし……」
 男に戻るのもいいけれど、この事もいつかは解決しなければいけない問題なのだ……その事を深く胸に刻みつけ、


 はっ…ああぁ……ダメぇ………


「この声……綾乃ちゃん?」
 遠くから風に乗って聞こえてきた声を耳にしたあたしは、それが綾乃ちゃんのもののように思えて、声の聞こえてきた方へと顔を向けてしまう。……けれど綾乃ちゃんの名前を呼んでも返事が返ってこない。星明りに照らされた石畳の道の向こうには静寂が広がるだけで、もう声は聞こえてこなかった。
 ――でも確かに綾乃ちゃんの声だった……空耳じゃないと思うんだけど……
 気になったあたしは、そのまま声のしたほうへと足を向ける。どうせどの温泉に入ると決めているわけじゃないし、体を冷ます時間つぶしにもなるだろう。ただ、もし綾乃ちゃんがいたときは……
「ん〜……タオルぐらいは巻いとこうかな」
 もし出くわしたときの為にと湿ったバスタオルを体へ巻きつけ、声がしたと思しき方角の道の先へと歩を進めて行く。
『んあぁ……くうッ……あ、あぁぁぁ……』
 ――ここだ。この温泉だ。
 近づいたのか、次第に綾乃ちゃんの声ははっきりと聞こえてくるようになる。……けれど、聞けば聞くほどにその声は……どう聞いても喘ぎ声にしか聞こえない。
 まさか……嫌な予感を覚えながら、忍び足で温泉を囲む垣根の中へと入っていく。通路を進み、何本もの竹を組んだ背の高い目隠しの壁に背中を押し当てて、洗い場の方をそっと中を覗き込むと……
「………あれ?」
 誰もいない。そこには白々とした湯煙を上げる温泉があるだけで、他には誰の姿もない。綾乃ちゃんはおろか、ギルドマスターやあのアサシン三人もこの場所にはいない……んだけれど、
「アァ、アァ、出ちゃう、私のおチ○チンから……あ…あああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
 ―――壁の向こう!?
 綾乃ちゃんの絶叫に胸を締め付けられながら、あたしの眼は声の聞こえてきた向かいの壁へと吸い寄せられる。
 綾乃ちゃんの身に何かが起きているのは間違いない。そう思うといてもたってもいられず、洗い場を早足で突っ切ったあたしは、綾乃ちゃんとの間に立ちふさがる壁にジャンプして取りつき、そして――
「たくや君……覗きはあんまりいい趣味とは言えないと思うんだけど……」
 と、壁の上の端にぶら下がったあたしのすぐ横に、いつの間にやら美由紀さんが現われ、ため息を突かれてしまっていた。
「の、覗きだなんて人聞きが悪い。だってこっちから綾乃ちゃんの声が……」
「あの声を聞いて何をしてるか分からないわけじゃないんでしょう? だったらその時点で遠慮しておくのが人の道だと思うけど」
 いつものように仮面で隠した顔は口元以外に表情が見て取る事が出来ない。けれど声につまらなさそうな雰囲気をにじませながら軽装鎧で固めた体を壁へと預け、まだぶら下がったままのあたしへ顔を向ける。
「―――気になる?」
「当たり前じゃない。だって、綾乃ちゃんは旅の仲間だし、危ない目にあってるとしたら……」
「旅の仲間、ね。……まぁいいわ。声を出さないって言うんなら壁の向こうに連れて行ってあげてもいいわよ」
 何かを確かめるようにあたしの言葉を繰り返すと、美由紀さんはあたしの返事を聞くよりも先に、あたしの腰へと腕を回してきた。
「ちょ、美由紀さん!?」
「声を出さないで。マスターには気付かれないだろうけど、あの三人に見つかるとマズいんだから……」
 壁から降り、代わりに両手で口を塞ぐ。とりあえず今は言うとおりにしようと言う意思の表れで、それを見た美由紀さんはあたしのウエストに回した腕に力を込め、
「………たくや君、ウエスト細いよね」
「あの〜…あたしのウエストはどうでもいいんですけど……」
「ご、ごめん。じゃあ――」
 そう言うと、美由紀さんの唇から囁くような大きさの声が紡がれる。……それは紛れもなく、呪文の詠唱だ。
「―――ヒドゥン(透明化)」
 最後に放たれたラストワードは回りから姿を見えなくする魔法だ。確かアンロック(鍵開け)などと同様に、あまり世間一般に出回っていない魔法なんだけれど……
「じゃあ、跳ぶから」
「ん?―――んんんっ!?」
 口を塞いで置いてよかった……美由紀さんが魔法を使ったことへ少なからず意識を向けていたあたしは、体が一気に数メートル上昇したことへの驚きにも口から手を離すこともなく、そのまま美由紀さんと一緒に壁の向こう際へと着地する事となった。
「………っ!?」
 そして……そのあたしの目の前で、裸のまま仁王立ちをしている綾乃ちゃんは股間にはえてしまった小ぶりなペ○スを、ギルドマスターの唇に舐めしゃぶられていた。
「んん……レロ、ハむっ…チュルッ……ンゥ………ふはぁ……」
 大きく息を履きながらペ○スを吐き出したギルドマスターは、顔に張り付く長い髪を指先でかき上げると、ギュッと眼を閉じて快感に耐えている綾乃ちゃんを見上げながら唾液に濡れるペ○スを扱き始めた。
「あぁぁ……ぅ…ぅんん……」
「どう? また射精したくなってきた?」
 あたしよりも一回り以上大きい乳房の膨らみに今にも触れそうな位置でペ○スを扱きながらギルドマスターが問いかけるけれど、綾乃ちゃんは唇を噛み締めて声を押し殺す。――ただ、それ以上は何も抵抗しようとしていない。体の横に垂らした両手で体を隠すこともギルドマスターを払いのける事もせず、ただ黙って股間をいい様に弄ばれ続けているだけだった。
「恥ずかしがることは無いのよ。これもあなたの仕事……見習いとは言え娼婦なのだから、ギルドマスターに直々に指南を受けるのは光栄に思いなさい」
「は……はい………」
「ふふっ……そんなに体を強張らせて……さっきのイくときの声はスゴく可愛かったのに……ん、ふぅ……」
 ギルドマスターが再び唇に綾乃ちゃんのペ○スを頬張ると、周囲にはピチャピチャと淫猥な唾液の音だけが響き渡る。
 見ているだけで頭がくらくらしそうな口淫奉仕……頭がゆっくりと引かれ、赤く腫れ上がった男根があらわになると、その幹が震えているのが見て取れた。そのままネットリと嘗め回しながら根元まで飲み込まれると、ギルドマスターはジュルジュルと音が響くほど強烈にペ○スを吸引し、その一方で肉茎の根元から続く未成熟な女陰を指先でくすぐるように弄ぶ。
「ふぁ、ふぁぁぁ……!」
 女性と男性の性器を同時に攻められると、綾乃ちゃんは否応無しに快感に意識を飲み込まれる……その事を知るあたしの目の前で、垂直に立てられたギルドマスターの指が、真上でヒクついている綾乃ちゃんの割れ目へと押し込まれていく。
「ふぁぁぁあああっ! ダメ、それダメぇぇぇ!!! ああぁん、わたし、もう……あああぁぁぁ!!!」
 膣穴を指にふさがれ、小さいながらもいきり立つ肉棒を涎が滴るギルドマスターの唇に舐めしゃぶられては、例え男女両方の快感を知っているあたしが綾乃ちゃんの立場でも我慢できるものではない。涙を流しながらギルドマスターの頭に手を置いた綾乃ちゃんは、腰を引きながらもアゴを前へと突き出す。汗に濡れた裸身をよじりながら腰をクイクイと踊らせ、より深くと言わんばかりにギルドマスターの口を犯し始める。
「んむぅ……ハァ…いいのよ、私をあなたの大好きなあの人だと思っても……」
「あ…せんぱい……お…姉様……お姉様、お姉様、お姉様ぁぁぁ!!!」
 それはあたしを呼んでいるのだろうか……普段の“先輩”と言う呼び方とは掛け離れた呼称に錯乱と困惑を覚えていると、綾乃ちゃんはギルドマスターの頭を抱きかかえるように体を折り曲げる。
「お姉…さまぁ…きもちい…です……も…はあ、あっ…あッ、あッ、くあぁぁぁ!!!」
 短い髪の毛を振り乱し、体を跳ね上げる。普段の綾乃ちゃんを知るあたしには信じられない嬌声を迸らせ、ギルドマスターの唇へ肉棒を深く深く捻じ込ませる。
「あ…はぁぁ……先っぽが……喉の壁に当たって…んっ…や…ぁ……ぁ―――――――――!!!」
 一体どれほどの甘い刺激に狂おしく身悶えているのか……それともあの唇をあたしの唇と思っているからなのか……はかない胸の膨らみを突き出すように背中を反り返らせた綾乃ちゃんは往復させていた肉棒の動きを不意に止めると、腰から下の下半身を激しく打ち震わせる。開いたままの唇を右手の指で覆い、切羽詰りすぎて声にならない悲鳴を上げる姿に目を奪われていると、ドロッと、ギルドマスターの唇と綾乃ちゃんのペ○スの間から濃厚な白濁液が溢れ出してくる。
「ひッ………やァ………あぁ……おチ○チンが……とれ…ちゃう………ふ…ふわぁぁぁぁ……」
 腰が震えるたびに美女の唇へ精を撃ち放っているのだろうか、意識を飛ばしたまま瞳からは焦点が失われ、腰だけにとどまらず肩や胸まで震わせるような強烈な絶頂感に陶酔しきった声で切れ切れに淫靡な言葉を漏らし続ける。
 ―――綾乃ちゃん……
 あたしは何も出来なかった……いや、何もしなかった。もし綾乃ちゃんが心から望んでいなければ、いくら美由紀さんが止めても邪魔しに入っただろうけれど、何故か……胸が張り裂けそうな気持ちを感じながらも、止めに入れずに、射精するまでずっと見続けてしまっていた。
 ―――綾乃ちゃん……喜んでた……
「たくや君、そろそろここから離れるわよ」
「え……?」
「あまり呆けないでよね。ここ、他の三人が監視してるんだから。いつまでもここにいると見つかるのは時間の問題なのよ」
 と言う事は、綾乃ちゃんの射精の瞬間は他の人にも見られてたのか……なんて事を考えている暇もあればとばかりに、あたしの体はあたしの了承無しに再び上空へと舞い上がり、今まだ射精の余韻に浸っている綾乃ちゃんとの距離はあっという間に手も声も届かない位置にまで離れていってしまった―――


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