第六章「迷宮」08


(ここは………どこ………?)
 床へ横たわるあたしの肌を撫でるように冷たい流れが通り過ぎていく感覚で、深い闇のそこに沈んでいた意識がゆっくりと浮上し始める。
 ―――何か変な感じだ。息を吸い、吐き出す…生まれてから何回も繰り返してきた基本的な動作が、まるで水を吸っているかのように感じられる。
(死んでいないみたいだけど…確か水に飛び込んだ後に溺れて……)
 記憶がまだ少し混濁している。――落ち着こう。深呼吸の一つでもすれば頭の靄も晴れるかもしれない。
 ゴボゴボゴボ―――
(……今の音、なに?)
 あたしの唇から吐き出された息が音を立てた。まるで水の中にいるように唇から漏れた吐息は白い泡になると、あたしが見つめる天井へとふわふわと登っていく。
(え〜っと…これは夢よね。うん、お魚さんになった夢を見てるんだわ。やだな〜…こういう夢を見て子供の頃はオネショしちゃったんだし…トラウマだなぁ……)
 白いシーツに描かれたどこぞの世界地図が頭をよぎる。それを振り払って体を起こすと、ふわりと、軽やかにあたしの体が床から舞い上がった。――いや、あたしが起き上がろうとする動きが抵抗となって水を押し
浮き上がったのだ。
 そのままあたしの体は水中を音もなく進み、わずかばかりの距離を緩やかに飛んでから再びお尻から着地。その動きこそが水の中にいる事の何よりの証だ。そして夢を見ているという証拠が身を起こしたあたしの目に飛び込んできた。
(あ、脚が………魚!?)
 息を飲む。すると小さな泡が唇からこぼれて上へと登っていく。
 滑らかなラインを描いていたあたしの両足がピンク色のうろこに覆われている。手や胸を見ればワーウルフの象徴であった銀色の毛並みは姿を消し、頭に手をやればぴんっととがっていた犬耳が、お尻に手を回せばふさふさの尻尾が姿を消し、腰から下は腰びれや背びれ、尾びれを持つ魚そのものの姿を形作っていた。
(これって…人魚? 半漁人じゃないわよね……)
―――はい。現在、マーメイドに変身しています。
(うわぁ!……って、か、解説役のチュートリアルさん!?)
―――残HP350+100。
 ―――特殊能力「水中活動」起動中。
 突然頭の中に響いた声を聞けば…まぁ、今までの事は夢ではなく、エロ本の精神世界でどうのこうのと言うこれもまた夢のようだけど現実に近い話だと言う事を思い出してきた。
(最後に光球に触れたんだ……水の中だからマーメイドって言うのもストレートすぎるけどね)
 けどそのおかげで溺れ死ななくてすんだんだし、文句を言ったらバチが当たる。
 まだ少し酸欠の余韻が残っているのか、頭の芯が少し重い。それを払うように深呼吸をし、大量の泡を唇から溢れさせると、あたしは脚に――今は魚の姿を持ち、宝石のように輝く尾に力を込めると、重たい水の抵抗を切り裂いて水宙へ身を泳がせた。


(あ〜あ…せっかくお魚さんになったって言うのにつまんないなぁ……)
 空を鳥のように飛ぶ、水中を魚のように泳ぐというのは地を歩く事しか出来ない人間には夢見るような行為のはずだった。
 けれどあたしはすぐに退屈してしまっていた。なにしろここ、な〜んにもないから泳いでいるだけじゃつまらないのだ。
 水面までは相当の高さがある。実際に水面までは上っていないけれど、まるで空のように高い位置で水面からの光が輝いているのが見える。けれど、ここは湖でも川でもない。水底はあたしが進んできた通路と同じく巨大な石が隙間なく敷き詰められていて起伏もなく、どこまでも平らで四角四面。まっすぐに泳ぎ進み、この湖と呼ぶには不自然すぎる「水たまり」の一方の壁へとたどり着くと、そこも水底から垂直に石の壁がそそり立っていている。
(ここもエロ本の精神世界の中だから……しょうがないと言えばしょうがないのかな……)
 それより考えなければいけないのはこれからの事だ。
 一応あたしの目的は、この精神世界の中でモンスターを倒して(まぁ…エッチでもいいんだけど…)、ちょっとでも強くなる事だ。
 だけどこの場所にはあたし以外に動くものの姿はない。襲われる心配が無いといえばそれまでだけど、ここでいつまでもボンヤリしているわけにもいかない。
(それに上に揚がっても大丈夫なのかってのも問題なのよね……あいつ、絶対待ち伏せてるだろうし……)
 ミノタウロスと言う強力なモンスターとして現れた魔王の書。どの辺りから落ちてきたか分からないけど、あたしを待ち伏せているか、それとも迷宮の中をさ迷っているかしていることだろう。会えば当然……あぁ…もうちょっとご機嫌とって置けばよかった。いまさら後の祭りなんだけど……
 それに、魚は陸へは揚がれない。人魚の物語では岩の上で歌っているとか言うシーンがあるから大丈夫だとは思うけれど、ヒレと化した下半身でズリズリ床を歩くのは嫌だ。綺麗に輝いているというのもあるけれど、そんな状態で襲われたら逃げる事すら出来やしない。
(とりあえず…これだけ広いんだから、他のモンスターになれる光の玉を捜してみようかな)
 壁に手を突き、本来なら進むべき水面を軽く見上げてから身をひるがえしたあたしは、今度は周囲を見回しながら水の中を漂い始めた。
 周囲には魚どころか水草の一本も無い。なんとも味気ない世界だ。アイハラン村の湖には魚や多くの生き物が生きていて、子供心にも神秘的に思えたんだけど……
(それだけエロ本の心が貧しいのよね。あいつの頭の中にはエッチな事しか詰まってないんだから――)
 自分の位置を見失わないよう、なるべく壁に沿って泳ぐ。どこまで言っても代わり映えのしない灰色の壁と床だけの光景に少し飽き始めた…そんな頃合を見計らうかのように、耳…と言うよりも、耳のある位置から生えたヒレが、泡が立つ音を聞き取った。
(あれは…穴、かな……)
 何もないと思っていた壁の一箇所に四角い穴が開いていて、そこからわずかながら白い泡がこぼれていた。
 ざっと1メートル四方の穴だ。頭から入れば入れない事も無いだろうけど、顔を近づけてみると奥から水が流れ出てきていて、正面から覗き込むのは難しい。
(………手なら入るかな?)
 ボタンがあれば押したくなる。穴があったら覗きたくなる。他人の秘密は知りたくなる。……まさにそんな感じで、深く考えずに穴の中へ右手を差し入れる。
(物語なんかじゃ、こういう場所に宝物が入ってたり……)
―――にゅる
(………罠とか…仕掛けられてるのよね……)
 指先に何かが触れる。水よりも冷たく、ヌルッとした表面は結構柔らかいんだけど、何か分からない「それ」は身をのたうたせるとあたしの指に谷間をくすぐるように通り抜けると腕に巻きつきながら肘、肩へと近づいてくる。
(やッ………!)
 腕の肌を這い回るくすぐったさに、あたしの頭の中で何かが吹っ飛んでいた。
 蛇が絡みつきながら這い登ってくるようなおぞましさに背筋は震えてしまう。まるで長い舌に舐めなぶられ、いいように弄ばれているようだ。
(んっ…やだ……早く腕を抜かないと……)
 けれど既に遅すぎた。あたしが腕を引き抜こうとした時には、穴の奥から別の一本が指先から根元に向けてねっとりと嘗め回し、そしてまた一本、また一本と増えるにつれて絡め取られた腕を動かせなくなり、肘の裏側や腕の裏側を這いずり回られるたびに、あたしは長い尾ひれとなった下半身を震わせて体を強張らせてしまう。
(んんん……!! んっ……っ……ぁ……!!)
 それはまるで触手に包み込まれてしまったような感触だった。腕を包み込む一本一本の長い「何か」はどれ一つとして繋がっておらず、押し合うようにその胴体をあたしの細い腕に擦り付けてくるけれど、おぞましさが、くすぐったさが、そして得もいえない気持ちのよさが、一度味わってしまった触手の群との出来事と重なり合ってしまい、否応無しに性感を高められてしまう。
(は……ぁ……んんっ…!)
 あたしの体を包み込む水が冷たさを増していく。体が火照り始めているのだ。
 むず痒い疼きが体の奥から沸き起こると、あたしは丸々とした乳房をプルプルと震わせ、口を喘がせようとして慌てて甲高い声を噛み殺す。
 それにもう一つ、あたしを責めさいなむ快感があった。それは……
(うそ……さっきまでこんなの無かったのに……あっ…ああぁ……)
 泳いでいたときには下腹のその場所はヘソまで覆うピンクの鱗に包まれていた。けれど右腕をくすぐられ、這いずり回られる快感に肩を震わせて、唇から小さな気泡を漏らしてしまうほどに昂ぶった体にあわせるかのように、鱗の一部が鋭角に切れ込んで股間の一点…言うまでもなく、大切な場所が露出してしまい、水中でも冷やせないほど火照りあがってしまっているのだ。
(………、〜〜〜〜〜!!)
 顔をしかめて必死に感じないようにしているのに、あたしの左手は胸の谷間の下側からお腹のラインをなぞり下ろしていくと、割れ目を優しくなぞる。形を確かめるように三本の指を下から上に向けて……
(んんんっ!! ぬ、濡れてる……信じられない……あッ!…スゴ…はぁ…あ、あああ……)
 なぞっただけでも唇がわなないてしまう。奥へと指を進めていないのに股間の膨らみはビクビクッと敏感に反応し、肩をすくめたあたしは慌てて指を離した。
(まだオークたちに犯されたときの火照りが残ってる……こんなところじゃイくにイけないよぉ……)
 水中でオルガズムを迎える事に抵抗を覚えたあたしは頭を振ると、鱗に包まれた下半身の膝にあたる部分と左手を壁に突く。
(せ〜…のっ、んんんんんっ〜〜〜〜〜〜………とりゃあ!!)
 さすがに全力で引っ張ると、あたしの右腕はチュポンと四角い穴から引き抜く事が出来た。穴の中で締め付けていたものに纏わりついていた白い粘液が糸状に水中で漂う中、腕を確認すると肌が赤くなっているぐらいで骨に異常はないようだ。
(ったく……一体なにが動いてたのよ。まさかまた触手じゃないでしょうね)
 これ以上手を差し入れたくないけれど、それでも入っていた物がなにかなのかは気になってしまう。そんなちょっとした好奇心から、あたしは体を沈めて目線を穴の高さに合わせると、光の差し込まない穴の奥を覗き込もうとして……「それ」と正面からご挨拶してしまった。
(へ……?)
 「それ」は苦しそうに細い体をくねらせ、驚きと恐怖で硬直したあたしの鼻先へ近づいてくると、小さな口から舌を出してチロッとあたしの顔を舐め上げた。
(へ………へ、へへへ…へびびへびび……)
 あたしの口がガクガクと震えて勝手に開閉を繰り返すと、穴からはさらに数匹、四角い穴からさも窮屈そうに白い紐のような「それ」が頭を出してきた。
 ―――蛇だ。水の中にいるから水蛇だ。てーことはサーペントとか言う奴な訳で……
(で……出たあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!)
 子供の頃から蛇にいい思い出のないあたしは恐怖心がいくとこまで言ってしまうと、脱兎の如く――水中でウサギも何もないと思うけど――その場からダッシュで逃げ出した。
(ああああああっ! 追ってくる、なんか追ってくるぅぅぅ―――っ!!)
 マーメイドに変身しているあたしの泳ぐスピードは人間の倍ぐらいはあると思う。尾びれで水を蹴るたびに弓矢よりも速く水を裂いてまっすぐに泳いでいる……というのに、穴から飛び出した水蛇たちは先行するあたしよりもさらに速いスピードで追いかけてきた。
 やっぱりこの胸? 胸が重いから追いつかれるの!? ええい、クロールクロール平泳ぎバタフライ!
(ひゃあっ!)
 水中で腕をもがかせても遅くなると気づいたのは、必死に水を蹴っていた尾ひれの先に水蛇数匹が絡みつき、そのまま下半身の動きを妨げられてからだ。
(離してってばぁ! あたし、ヌルヌルのはもうホントにいや、いやなんだってばぁぁぁ!!)
 徐々にスピードが緩み、さらに追いついてきた水蛇があたしの体を縛めていく。鱗の上からでも分かる豊満なヒップのラインに頭を擦り付けるように体を這い登り、右に左に揺れ動く背中を嘗め回す。
(っ……!)
 まだ幼生なのだろうか、水蛇の体は柔らかく、鱗を感じない薄い肌には蛙のように吸い付くような粘液で覆われている。それが十数本、あたしの肌に触れながら蠢かれると吐息は短く乱れてしまい、白い泡を吐きながら仰け反る喉元にまで到達された途端、快感の痺れと甘い疼きが沸き起こってしまう。
(こ…の……んッ! い…いい加減に離れな…さ…んん…! ッ…! つぁ……ッ!)
 体のいたるところを水蛇が這いまわり、背を撫で、首筋を舐め、ヘソをくすぐって、あたしの快感を高ぶらせていく。どうして水蛇があたしを…そう思ったのもつかの間、胸の豊乳の谷間を水蛇が冷たい水と共に通り抜けると、乳房を愛撫されたように腰が震えてしまう。
(このままじゃ…また…さっきみたいに……そんなの…イヤ…なのにぃ……)
 拒むべき言葉が小さい。乳首やクリトリスを水蛇たちの頭の先から長い胴体全てを使って擦り上げられると、指で摘み上げられるのとも舌で転がされるのとも違う快感で頭の中が真っ白になり、割れ目から熱いものがあふれ出してしまう。
(んんんっ! ひゃあああっ!!!)
 濡れちゃってる…そう自覚した直後の事だ。腰の周りを這いずり回っていた水蛇数匹が急に頭をもたげると、一斉に割れ目へと殺到して頭の先端を膣の入り口へ押し付け、身を振るわせて入り込もうとし始めてきた。
(あひっ…はうううっ! は…入る…イヤ、それは……んあっ! な…なにこれ……ひっ、ひあああっ――ん、ふむぅ!?)
 腕も尾も動かす事が出来ず、次第に浮き上がるような興奮に意識まで侵食されてきたあたしの唇へ、水蛇の一匹が鱗から覗く淫裂と同じように頭を押し上げ、粘液を潤滑剤にして拒む暇も与えてくれずにヌルッと入り込んでくる。
(唇…犯されてる…? 太いし…頭と胴体のところのくびれ方がおチ○チンそっくりで……んむっ……へんな…味が口の中に広がって……うっ…ふむぅぅぅ!!)
 水蛇は男のモノよりも長い身をくねらせてあたしの喉の壁へ到達すると、口内で暴れるようにヌルヌルした粘液を口の裏側に擦り付ける。
(もう…イくならイってよぉ…こんなに…ビクビクしてるのに……)
 唇を大きく開かされ、さらに一匹の水蛇があたしの唇を犯し始める。身をよじり合わせ、うねる胴体を何とか傷つけないように咥え込んだあたしは、くびれに舌を這わせ、先端も何度となく舐め上げるけれど、水蛇たちの暴れはますます激しくなる一方で、その苦しさに耐え切れずに眉をしかめる。
(こんなに太いのを二本も加えさせられてるのに……んんっ! く、クリトリスを…噛んじゃダメぇぇぇ!)
 もっとも敏感な突起にちろちろと舌を這わせ、皮をめくって丸々と充血したものを露出させた水蛇は小さな口を開いて晴れ上がったクリトリスを飲み込み、歯の無い口で締め付ける。ブブブッと吸い上げられる衝撃にヒップから尾びれのラインを反り伸ばしてしまい、ふるんと重たい乳房を跳ね上げた次の瞬間には、突き出した恥丘に特に大きい水蛇が狙いを定め、痙攣している膣口の窄まりにズリュッと一際大きい頭を突き挿れ、何度も体を伸縮させながら膣道を埋め尽くして子宮口に尖った頭の先端を擦りつけた。
(やあああッ! お腹の中で動いて、ひグッ…動いてる…あんなに太いのが…あ、あたしの中でぇ……!!)
 愛液と混ざり合った粘液をグチャグチャと鳴らし、水蛇は執拗に子宮口を擦り上げ、締め上げる膣壁の中でS字に体を曲げ、口腔深くに二匹の水蛇を咥え込んでいるあたしは声を上げる事も出来ないまま人魚と言う半裸の肉体をフルフルと震わせた。
(はぁ…はっ、やんっ……奥に、届いてる…そこ弱いの……おマ○コが…ヒクついて…あっ…イく…うっ…うううぅ〜〜〜!!!)
 鱗に覆われていない一点が水蛇に覆われている。口とヴァギナをふさがれたまま、形よく両手でも隠しきれないほどふくよかに膨らんだ乳房を震わせると、そこがあたしの弱い場所だと気づいた二匹の水蛇に根元からぎちぎちと締め上げられ、絞り上げられてしまう。母乳の代わりに血液が流れ込んだ乳首は周囲の白い肌ごと膨れ上がるように勃起していき、オークたちによってたっぷり快感を穿り返されていたあたしはその恥ずかしい場所にチロッと細い舌先が触れた瞬間には目を見開いて登りつめ、恥丘の膨らみを押しつぶす水蛇たちに餌を与えるように愛液を噴き出すと、頭を下にして沈みながら激しい快感に包み込まれていった。
(お…お願い…早くイって……あたしの中に射精して…あたしのおマ○コにいっぱい射精してもいいから……だからこんな…こんなの……)
 痙攣の収まらない膣壁から愛液が大量ににじみ出る。けれどおマ○コの中で身をよじる水蛇に擦られるだけで悶絶しそうなほどの快感が体中を駆け巡り、奥深くに入り込んだ水蛇の頭を収縮する肉壁で締め上げてしまう。
(あ…イっ…くぅぅぅ………!!!)
 腰に幾重にも絡みついた水蛇が沈み行くあたしの体を支えると、ズンッと、重たい衝撃があたしの体を貫いた。子宮の壁を押し上げ、喉の奥を疲れる苦しみに涙を水中に流しながら身悶えるあたしは熱い精液を欲してヒクつくおマ○コから白い濁りのようなものを放ってしまった。
 もう何度噴かされたか分からない射精液……それが白い絵の具のように水中を漂い、蛇が身をのたうたせるとGスポットを否応無しに擦り上げられてしまい、半ば意識を失いながら男の人よりも大量の射精を詰めたい水の中で繰り返し噴出してしまう。
(また…イっちゃう、また出ちゃう、ああっ、やだ、許して、もうこんな…い、いやあぁぁぁ〜〜〜〜!!!)
 ブシュ、ブシュ、ブシュ―――
 膣が収縮し、いやらしい汁が噴出されるたびに、あたしの意識はかすれていく。あたしがどんなにイっても水蛇たちは射精する事はなく、わななく子宮に満たされない思いを抱えながらグチグチと音を響かせヴァギナをかき回し、乳房を締め上げる水蛇たちにいい様に弄ばれ、繰り返し際限の無い絶頂を味あわされてしまう。
(もう…こんなのイヤ…いつまでも犯されっぱなしで、か…感じすぎちゃう……イきたくないのに…アソコが…アソコがまた……熱い…熱いの、おマ○コの中で動かれて、また、また…またぁ……―――ッ!!!!!)
 ワーウルフの時と同じく、犯される事で体力を失ったあたしの変身は少しずつ解け始めていた。すると水蛇たちはあたしのお尻の谷間にも顔をうずめてちろちろとアナルの窄まりを嘗め回し、太い頭でメリメリと菊座を拡張しながら直腸まで犯される。
 水蛇たちに射精が無いのに気づいたのはいつだっただろうか……水中に漂う浮遊感の中で、入れ替わり三つの穴を犯し続ける水蛇たちに膣口と肛門を何度となくめくり上げられ、拡張され、果てる事無く濃厚な白濁液を噴出し続けた……




―――残HP63+100。
(も…お願いだから許して……これ…本当にもう……癖に…なりそうだから…だから……)
 いつしか水蛇の数は増え、陵辱の激しさも増してイく中で、あたしは崩壊しつつある理性を何とか束ねて必死に抵抗を続けていた。
 いくら犯されても経験値は入らない。人魚の鱗も膝下までとなり、ただ一方的に陵辱されながら人間に戻って溺れるときを待つ事しかあたしには出来なかった。
(だれか……誰か助けて……もうどうなってもいい。この状況から助けてくれるなら……あたしは……ッ!)
 ヴァギナを貫く太い水蛇の身が同じく直腸を冒している水蛇と擦れあう。薄い肉壁を挟み込まれ、押し込まれる感触に悶絶硬直すると、だらしなく開いた唇に入り込んだ一匹が舌を絡めとり、股間から二重に響く濃密で淫猥な水音にリズムを合わせて舌の腹に粘液を擦り付ける。
 もうどこもかしこもズルズルだった。締め付けがいいといわれているおマ○コだってイき過ぎて力が入らなくなって、水蛇がおマ○コで動くたびに本気汁が垂れ流しになってしまう。もうこの周囲全てがあたしの愛液になっているような気もしてきた。
 同じ二十本を相手にするなら人間の男……いや、終わりがあるだけ醜悪なオークに犯される方がマシだ。けれどあたしの罪深い体は快感を与えられればむせび泣き、口元に集まってきた小さめの水蛇たちを手の中で弄ぶように可愛がってしまうのだ……
(どうすれば…いいのよ…このままじゃ……気が…狂いそう……あ、あぁ……そんなに奥で動かれたら…やめて、もう…子宮口を舐めないでぇ!!)
 野太い水蛇に膣を穿たれ、水面へと向けた股間を震わせながら熱い飛沫を解き放つ。……丸みを帯びた女の身体を震わせて噴き出す熱湯のような愛液に水蛇たちが群がり、鎌首をもたげて絶え間なく絶頂を味合わされる秘孔を掻き回される。
 ―――今まで何度となく繰り返されてきた水蛇たちの修整を半ば諦めかけて受け入れようとしていた。だけど登りつめて内側からこみ上げる快感で張り詰めた四肢を痙攣させても水蛇たちが急に纏わりついてこなくなった。
(あっ……お、終わった…の?)
 淫核に吸い付いていたものも、ヴァギナとアナルにもぐりこんでいた水蛇たちも、潮が引くようにあたしの体から離れていく。ようやく自由になった尾ひれを動かし、白く濁った愛液を溢れさせる股間と締め上げられすぎて赤くはれ上がった乳房を手で押さえながら頭が上を向くように姿勢を立て直すと、白い水蛇たちがあの四角い穴のあるほうへ向けて一斉に泳ぎ去るのが見えた。
 そして――突然下から伸びてきた巨大な蛇に食べられていく様子も。
(………へ?)
 呆然とその光景を見つめていると、水蛇たちが食べられたのではないという事がよく分かった。先端が細く尖った巨大な触手のようなものに数匹まとめて絡め取られ、長い尾を振って抵抗するけれど視界の届かない水の底へと引きずり込まれていく。
(も…もしかして……食べてるとか?)
 巨大な触手は繰り返し水蛇たちを捕まえては暗闇が広がる水底へと連れ去っていく。そして触手が二本になり、三本になると、穴の奥へ逃げ帰った水蛇たちも書き出され、一匹残らず食らい水の底へと飲み込まれ…その場に残されたのはあたしだけとなった。
(えっと……あたしは大丈夫………なんて保証はどこにも無いわけで……)
 あたし自身の感覚で言えば、長いけれど食べれる所の少なそうな水蛇は前菜。もしくは精のつくもの、と言った所だろうか。
 そして散々イかされ、身も心も熱くほぐれ、まさに食べごろに「料理」されたあたしは……
(メインディッシュで美味しく頂かれちゃう…とか。ははは…あはははは、まっさか〜〜。そんなことがあるわけ―――)
 ウオオオオォォォオオオオオオオオッ!!!
(………あ、ありそう…かも)
 「それ」は足元の暗闇からゆっくりと姿を現した。
 視界を埋め尽くすほどの巨体。一見すれば水中を漂う島のようにも見えるその周囲で蠢く数え切れないほどの触手の群れ。そして…あたしを「美味そう」に見つめる二つの瞳の輝きと、そのすぐ舌に開かれた牙だらけの丸い口………見るのは初めてでもその巨体で正体には察しがついた。最大級の大きさ水棲モンスター、クラーケンだ。
 ―――ウボォアアアアアアアアアアアアッ!!!
(あ、あたしなんか食べても美味しくないのにぃ〜〜〜!!)
 クラーケンの食欲に満ちた叫びが響くのと同時に、あたしは水面に向けて命懸けで泳ぎ始めていた。


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