Bルートその1


「千里、本当に大丈夫なのね?」 「任せてください。この天才科学者である私に掛かれば人間の体重なんて簡単 に減らして見せますよ」 「そうじゃなくて……本当にダイエットできるのね?爆発したりはしないわよ ね?男が女になったりしないわね?」 「………大丈夫です。私は天才なんです。失敗なんてするわけ無いじゃないで すか、はは、あはははは」 「最初の間は一体なんなのよ。それに毎回あたしが女になるのは誰のせいだと 思ってるのよ。これで失敗なんてしたら……」 「そ…それでは明日の放課後、化学室でお待ちしていますから。ではいろいろ と準備がありますので私はこれで」 「逃げたわね……なんだか心配だなぁ……でもダイエットなんてあんまりした くないし……はぁ……」  そんなわけで翌日の放課後。 「千里〜〜、来たわよ〜〜」 「先輩、待ってましたよ。準備万全、いつでも行けます!」 「こ…これは……」  なぜか眠たくなってしまう授業を終え、明日香に先に帰るように行ってから 科学室に来たんだけど、教室に入った途端、いきなり固まってしまった……  普通の教室二部屋分はある化学室の後ろ三分の二が何やら異様な機械で生め 尽くされている。そのうち半分ほどは以前から千里が造っては設置していった 怪しげな機械類だったけど、教室の前に近い物は部長のあたしも見た事が無い ものがほとんどだった。  まるで血管のように大量のコードで繋がり合った機械群の中央には前面がガ ラス張りで人が入れそうなほどのカプセル状のものが斜めに設置されていた。 床を生め尽くすさまざまな機械から延びる数え切れないほどのコード類はその カプセルに向かって収束していた。いくらあたしがそれほど頭が良くないと言 っても、そのカプセルがこの機械の中心となるものであることは明白であっ た。 「そんなところにボ〜っと立って、どうしたんですか? 早くこっちにきて準 備をしてください」 「ちょ…ちょっと待ってよ! この機械は一体何なの!? 一体こんなの何処 に置いてたのよ!!」 「私の家から持って来たんです。先輩からお預かりしていた研究費だけでは少 し足らなかったので、私が中学生の頃に開発していた演算処理機も組み込んで データ収集の高性能化を図りました。まぁ、本体はほぼ完成していましたが、 せっかくのデータが採れなくては意味がありませんからね」 「………千里、今なんて言った?」 「どうしたんですか? まだ寝ぼけるには時間が早いですよ。ではもう一度最 初から説明をさせていただきます」 「そうじゃなくて……「研究費だけじゃ足らなかった」……そう言ったわね」 「はい。こんな事もあろうかと思って、以前から作成していた究極のダイエッ トマシーン、その名もウルトラウエイトシェイパーです!!」  そう言うと千里は「さぁ。思いっきり見てください! それで私をたたえて ください、はっはっはっ!!」と言わんばかりに腕を振って後ろの機械を指し 示した。 「千里……そうじゃないでしょ……あたしのお金を………男に戻るためのお金 を……これに使っちゃったって言うのね………」 「え?……えぇ…まぁ……でもそのおかげで先輩はダイエットもできて、私は データも採れて一石二鳥と――」 「……明日も奢りね……」  あたしの指摘にしどろもどろで返事を返す千里に、あたしは最終死刑勧告を 告げた。 「そ、そんな〜〜〜!! 私は先輩の為にウルトラウエイトシェイパーを作り 上げたんですよ!!」 「嘘をつかない!! たった一日でこんなのが作れるはずないでしょ!! 白 状しなさい、他にも何かあたしのお金で作ってるでしょうが!!」 「え…え〜っと……あれと…それと……あれもですね……それから……」  こ…こいつは〜〜……指折り数えてる……片手じゃ足りなくてもう片方の手 の指まで……そんなに無駄使いしてたのか……!! 「まぁ、いいじゃないですか。こうして先輩の役に立つんですから、チャラで すよ、チャラ。嫌なら使ってくださらなくてもいいんですよ」 「あ…あんたわ〜〜!!」  白衣のポケットに手を入れて自分の非を認めようとしない千里の我侭っぷり に頭に来たあたしは一歩足を踏み出した。  ぐに  ………あれ? なんだか柔らかいものを踏んだような気が……  つま先が床とは明らかに違う材質の盛りあがりを踏んづけた。何かコードで も踏んだのかと思って視線を下に向けると…… 「きゃあ!! て…手ぇ〜〜〜〜〜!!!」 「どうしました? あんまりその当たりの機械に触らないで下さいよ。壊れた ら弁償してもらいますから」 「そ…そうじゃなくて……そこの所から人の手が出てる〜〜〜!!」  驚きのあまり後ろに尻餅をついてしまったあたしの視線の先には、物陰から 飛び出ている肌色の物体……そう、人間の腕が力なく床に転がっているのを捉 えていた。 「ま…まさか……いくら千里がマッドサイエンティストだからって……じ、人 体実験で人を殺してるなんて〜〜〜!!!」  そんな事は想像した事は千里の事だからありえるとは思ってたけど、こんな ところに死体が転がってるなんて〜〜!! 「先輩、何を言ってるんですか? これは…よいしょっと」  千里は面倒くさそうに死体の手を掴むと、掛け声とともに後ろに引っ張っ た。 「こ…弘二!!」  そう、物陰から仰向けで現れた死体の顔は、いつもあたしに付きまとって 散々あたしのことを襲ってくれたスケベな後輩の工藤弘二だった!! 「ち…千里が弘二を殺したぁ〜〜〜!!!」 「違います。ただ単に寝ているだけです」 「へ??」  千里にそう言われて、恐る恐る四つん這いで床に倒れている弘二に近づいて 顔を覗きこんでみる。 「むにゃむにゃ……せんぱ〜〜い……相原せんぱ〜〜い……ぐふふ……」  確かに寝てるわね……涎まで垂らして………ちなみに、学生ズボンの前は膨 らんでたり……  一体こいつは夢の中であたしにどんな事をしてるんだろう……なんだか背中 がぞくぞくしてきちゃった…… 「工藤先輩には昨日の晩からウルトラウエイトシェイパーの不寝番をしていた だきました。もし誰かに触られて壊れでもしたら大変ですからね。相原先輩の 為だと言うと、夜中の十二時でも飛んできてくれましたよ」 「そ…そう……」 「ちなみに報酬は相原先輩の一日使用権ですから」 「し…使用権〜〜〜!?」 「それもこれも先輩のダイエットのためですから我慢してください。大丈夫で す。傷はつけないいうと約束ですから」  それってそう言う問題なの!? 「さて、それでは早速実験……もとい先輩のダイエットを始めましょうか」 「な…なんだか千里に頼んだのがそもそもの間違いだったような気がしてき た……」 で 「なんで全裸にならなくちゃいけないのよ〜〜!!」 「脱いでから文句を言わないで下さい」  一応教室のカーテンを閉めてドアに鍵をかけたけど、広い教室(半分ほど埋 まってるけど…)のなかで自分の裸を晒すと言うのはなんとも恥ずかしい。  見ているのがデータ収集のためにあたしの裸を見慣れている千里(弘二は見 えないように教壇の裏に放りこんだ)だけだとは言っても、腕は自然と胸の先 端と股間を隠してしまう。 「それではカプセルの中に入って身を横たえてください。操作は外で私がしま すから」 「ううぅ……早く終わって……我慢…我慢……」  少しでも早く実験を終わらせて、服を着たい一心で、あたしを飲みこもうと するかのように口をあけて待つカプセルの中に入りこんで、あたしの身長にぴ ったりのカプセル内部を覆う冷たい金属の壁面に背中を預けた。  ぷしゅ〜〜  バスのドアが開閉する音に似た音をたてながら上に上げられていたカプセル の前面のガラスが降りてきて、カプセルと隙間無く密着してあたしの逃げ場を 奪ってしまう。  その間あたしは狭いカプセル内に閉じ込められたせいで強烈な圧迫感を感じ て、どうにも落ちつかなかった。腕で押さえている胸やお腹の表面はじっとり と汗ばみ、ふくらみ越しに感じる振動の鼓動がはっきりと感じられていた。 「それでは始めます。少し苦しいですけど我慢してください」 ごぽっ、ごぽごぽっ、ごぽぽ 「な…なにこれ?」  千里の開始の合図と同時に、あたしの足元――カプセルの床面から生暖かい 液体があふれ出てきた。慌てて上げたつま先に残る感触はねっとりとしてい て、肌の表面に薄い膜を形成していた。 「ち、千里! 一体なにこれぇぇ!!」 「いちいち騒がないで下さい。別に飲んだり触ったりしても人体に害はありま せんから心配無用です」 「そうじゃなくて、気持ち悪い!! この感触なんとかしてよ〜〜!!」 「身体に害の無いように水温は人肌に設定してあります。加えて言うならば、 その液体の中では呼吸も会話もできますから安心して全身漬かってください」  千里作らしい謎の液体は見る見るうちにカプセル内を満たしていく。  妙に身体に纏わりつく液体の水面が高くなるにつれて、上げていた足も液体 の中に沈みこんでいく。 「んっ……」  害は無いと言う千里の言葉を信じ、何よりダイエットの為と自分に言い聞か せて、カプセル内で身体を伸ばすが、まるで肌の表面から身体の中に染み込ん でくるような液体の感触と、形のよい丸みを持った脹脛からキュッと閉じ合わ された太股、小さな三角形の隙間の空く股間へと水面が上がってくるたびにな んだかゾクッとする感触が背筋を走り抜けていく。  なんだか……誰かに触られてるみたい……んん……  液体が胸の下あたりに達する頃には下半身からこみ上げてくる快感を千里に ばれない様に噛み殺していた。  身体を震わせるたびに揺らめく水面はあたしの頭の中で無数の手のひらにな ってゆっくりと身体の表面を這いあがってくる。  背筋やわき腹の敏感なところを撫で上げられてゾクゾクと身を震わせる一方 で、胸の付け根からふっくらとした丸みを包み込んでいき、すっかり固くなっ てしまった乳首に人肌の唾液のような感触が絡みつかせてから、胸と肩甲骨、 上腕を舐めるように伝いあがりながら、いっせいに首筋へと集まってくる。 「はぁ!」  方のくぼみからうなじの辺りまですっと撫でられた瞬間の感触に思わず口を あけると、口の中にまで液体が流れ込んできた。 『あっ……んあぁ!!』  開いた唇から流れ込んでくる液体は歯茎や舌の裏まで隙間無く満たし、うね りになってくすぐりながら喉の奥へと流れ込んでいく。  普通なら咳き込むような感触のはずがなぜか苦しくなく、まるで喉の奥から 犯されているような感触にあたしは身をすくめて耐えるしかなかった。 「これで先輩の全身が液に漬かりましたね」 『はぁ…はぁ…はぁ……』  これって……すごい……  あたしの身体はつま先から頭の天辺まで液体に覆われてしまったけれど、粘 液の感触はそれで終わったわけではなかった。いくら身体をジッとさせていて も、液体内の揺れが肌の表面を通りすぎるたびに鳥肌が立っていく。  最初は力んでいて入ってはこなかったアソコや直腸の中にも、小さな隙間か らじわりじわりと進入してくる。  なんだかこれって……精液の感触みたい……あたし…全身精液に包みこまれ ちゃったのかな……  想像の中であたしの身体が精液の海の中に沈みこんでいく。  散々嬲られて……たくさんのおチ○チンから……あたしの身体に精液 が………はぁ……やっ……お腹の中までいっぱい…いっぱい…… 「ではこれからが本番です。先輩、スイッチを入れますよ」 『う…うん……や、やさしくして……も…はぁ……』 「? 一体どうしたんですか?……まぁ、実験に影響はないでしょう。それで は――」  ぱちん、ぱちん、ぱちん――  カプセル横の操作盤の前で千里の指がリズムよくいくつかのスイッチをオン にしていく。 「さて、これで後は待つだけ――」 『はぁん!!』  ばちん!!  その音はスイッチを入れる音とは違っていた。  あたしには見えなかったけど、カプセル内で少し高い声を上げた瞬間――カ プセル上部で黄色い火花が飛び散っていた。


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