]]]]U.脅撫


「ど、どう言う事ですか!? 私は…そんな事したくありません!」  あっ……あれ? いまいち理解出来ないんだけど……いったい何がどうなってるの?  遼子さんにあたしを犯せ、と命令した夏目に当の遼子さんがそれまで気落ちしていた雰囲気を振り払い、立ち あがって抗議し始めた。あたしはといえば、目の前の男たちにひどい事をされる事をある程度覚悟していただけ に、拍子抜けの感が否めない。少し困惑しながら、あたしに関係なく進む事態の流れを静観するしかなかった。 「なんだ、お前も俺の言う事がきけないって言うのか? しばらくだ言えてやらないうちに反抗的になったもん だ、このメスは」 「あ……いえ、その………わ…私は……」  勢いを取り戻した遼子さんに夏目が顔を向けると、徐々に反抗の声が小さくなり、怯えたように後退さった。 そんな遼子さんを追い詰めるように夏目はゆっくりと詰め寄り、その静かな迫力で彼女を壁際へと下がらせてい く。 「俺がやれって言ってるんだ。お前はハイと言って素直にやればいい、分かったな」 「えっ? あ……」  それまで畳に押しつけていたお尻に滑らかなラインが壁に当たり、振り返って逃げ道がなくなったことに愕然 としているうちに、夏目が手の届く距離に近づいていく。それに気付いて遼子さんが別の逃げ道を求めて小さく 左右に目を走らせるけど、あたし同様ここから逃げられるはずもなく、頭の両側を通り過ぎて壁に突かれた夏目 の腕を怯えた眼差しで見つめるしかなかった…… 「遼子…何回言えば分かるんだ? お前がこんなところまで俺たちについてきたのは何のためだ? 今まで黙っ て犯されてきたのは何のためだ? 分かってるよな……恥や外聞を捨てて逃げていればこんなに苦しまずにすん だのに…なぁ…遼子……」  キスをするように近づいた夏目の顔が背けた遼子さんの顔の下側……長い髪の隙間から覗く首筋へと降り、大 きく出した舌で白い肌を舐め上げた。 「やっ……んんっ……」  怯える遼子さんはそれに対して震えるだけで、二度、三度と舌が這いまわるたびに顔をしかめて細くしなやか な身体をブルッと震わせる……そのおぞましさが見ているあたしにも伝わってくるみたい…… 「くくく…お前はもう逃げられないんだ、いや、逃がしやしない。お前は俺の言う事を聞け、分かったな?」 「……………」 「分かったかと聞いているんだが……」 「!!」  耳元で囁かれる男の言葉になんの反応を見せなかった遼子さんの胸を鷲掴みにした。それは弾力を楽しむため に揉むのではなく、立てた指を食いこませる動きで、露出した乳房からの突然の痛みにうつむき気味だった遼子 さんの瞳が一瞬で見開かれた。 「うっ…あっ……わ、分かりました……だから…くっ!」  目尻に涙を浮かべながら激痛に耐える遼子さんに夏目はにやりと笑うとようやく遼子さんから離れ、他の二人 の男がテーブルに用意していた席へと座りこんだ。その位置は斜め正面で、もしあたしと遼子さんが絡み合えば よく見えるだろう……逆にあたしからもよく見えるので、目の前で仁王立ちしている人がいない今のうちにあた しはありったけの憎悪を込めて、コップにビールを注いでもらっている眼鏡顔を睨みつけた。  なんなのよ、こいつ……遼子さんに無理やり言う事を聞かせて、いい気になって……いつかギャフンと言わせ てやるんだから!  そんな事を心の中で思っても視線で殴ったり出来るはずもなく、その間に壁にもたれていた遼子さんがあたし の側へとやってきて、畳の上に膝を突いた。  間近で見ても…やっぱり綺麗な人よね……そういえばどうしてこんなやつらと一緒にいるんだろ……  どう考えてもそれが不思議だった。弱みを握られているのかと思うけど、それが何なのかは当事者ではないあ たしには全然思い当たらない。それがわかれば………どうにかなるのかなぁ…… 「たくやさん……」  まるで見惚れるように遼子さんの顔を見つめながら考えにふけっていたあたしへと、黒髪の美人は正座からお 尻を上げ、床に手を突きながら近づいてくる。 「もがもがもが……!」 「それ…くるしいですか?……今から少しだけ取りますけど…決して大きな声を上げないで下さい……そうじゃ ないと……もっと酷い目にあいますから……」 「!…ぷぁ、はぁぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」  一瞬だけ後ろに視線を向けて男たちの様子を確認した遼子さんは、あたしの口の中に指を入れ、詰めこまれて いた布を取り出してくれた。と同時にあたしは深呼吸を繰り返し、冷たい空気を肺から全身へと流しこんでいく。 「りょ…遼子さん…どうして…なんでこんな……」 「………口を開けてください。声を出せば…誰かに聞こえてしまいます」 「遼子さん……」  あたしを見つめる遼子さんの瞳にはさっきの胸を揉まれた時の涙がまだ残っていた。ひょっとすると、別の涙 かも……  それを見てしまったあたしは旅館でお風呂に入るときと通うに用意している手拭いを口から首の後ろに回され、 再び大きな声で喋る事はできなくなってしまったけど、布を詰めこまれてずっと口を開けっ放しでいるよりはず いぶんと顎が楽になった。 「おいおい、いつまでちんたらやってるんだよ。早くしないと俺たちが二人まとめて犯しちまうぞ」  テーブルから飛んで来る野次にも遼子さんは焦ったりせず、あたしの顔を掴んでゆっくりと持ち上げ……左頬 に唇を触れさせてきた。 (ごめんなさい……)  えっ!? 今の…遼子さんが言ったの?  触れるだけの軽くキスされると同時に耳に小さな囁きが聞こえ、あたしは反射的に聞き返そうとしたけど既に 声を出せなくなってモガモガとしか喋れなかった。それでも、今確かに遼子さんの声が聞こえた…… 「……んっ!」  不意に遼子さんの手があたしの太股に当たる。動かした時に偶然当たったと言うのではなく、手のひらを閉じ 合わせた太股の上に置き、ソックスの上から優しく撫でまわされる。 「ふぅ……んっ……」  あたしは足を動かして抵抗しようと思ったけれど、相手が遼子さんでは蹴り上げるわけにもいかず、結局立て た太股の表も裏も入念に撫でまわされるしかなかった…… 「力を抜いて……大丈夫…ひどい事はしませんから……」  そ…そんなこと…いわれても……ふあぁっ……  薄いソックス越しのお触りにあたしの身体は以上に反応してしまう。いきなりレイプされると思っていた状況 から一転して女性を相手にしているからか、それとも遼子さんの触り方が上手いのか、太股からふくらはぎ、そ してつま先まで、まるでマッサージするように這いまわる遼子さんの両手のひらに、それまで頑なに閉じ合わさ っていた太股から力が抜け落ちていく…… 「んふぅ……んんっ……」  時折込み上げてくる浴場を我慢しようとしても押さえきる事が出来ず、下肢から全身に震えが走り、そのたび に縛られた身体を悶えさせ、手首の痛みで我に帰ることを繰り返した。  やっ……もうやめて…これ以上されたら………  いつの間にかぼんやりとしてきた目を開くと、テーブルの向こう側で夏目たちがビールを飲みながらニヤニヤ とあたしの方を眺めていた。  あ…あんなヤツらの前で……あたし…感じちゃったら……  開き始めた太股の隙間に手を差し込み、足を覆っていたソックスを片方ずつ脱がされる間、遼子さんの愛撫の 手は止まっているものの嫌悪を感じる視線の前であられもない姿をさらしてしまうかもしれないという恐怖があ たしの心に付きまとって離れなかった。 「遼子、いつまで遊んでいるつもりだ。早く次に進め」 「そうだそうだ、早くイかせろ。そしたら俺たちがたっぷり可愛がってやるからよ!」 「は…はい……たくやさん…足を開いて……」 「んん……」  指の先からソックスを脱がすとそのまま内股に入りこんできた遼子さんの手に力が入り、密着していたはずの 長い足が左右に広げてられていく……遼子さんの手が触れている場所…そこから静電気のような痺れが走り、広 がっていく足に力を入れる事ができない…… 「たくやさん……大丈夫……」  そんな事言われても……何が大丈夫なんですか!?  開いた足を閉じさせないように太股の間に身体を進めてきた遼子さんがあたしだけに聞こえるぐらいの小声で つぶやく。  あいつらの前で感じさせようとする遼子さん……その言葉の意味はまったくわからない…… 「……大きな胸ね……大丈夫…大丈夫だから……」  そういいながら、遼子さんはゆっくりと顔をあたしの胸に近づけてくる。その先には……  や、やだ、やめてっ! お願い、そこを触られたら…あたし……あたし…… 「うっ……んむぅぅぅ!!」  太股の愛撫で少し固くなり始めていた乳首を遼子さんの唇が挟んできた。吸い上げるわけでも、舐めまわすわ けでもなく、ただその小さな唇の上下でついばむように咥えられただけで、乳房の膨らみの中に蓄積されていた 快感が一気に暴れだし、猿轡で放つ事ができなかった叫び声と共にあたしの身体に熱い火を灯しだしてしいた……


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