]]\.危験


「はぁ〜……行きたくないなぁ……」  歩く足が重い。さっきまである程度忙しそうに動いていたけど、今はできるだけゆっくりと廊下を歩いている。  どうしよう……このままじゃあたしの貞操の大ピンチ……はぁ……  今までどれだけ踏みにじられたか分かったもんじゃないあたしの清く美しい身体を心配しながら、出るわため息  ばかりなり……  このままゆっくりしてたら、また梅さんに怒られちゃうしなぁ……どうしよう…… 「はぁ〜〜……」 「あの……どうかしたんですか?」 「え?…あ、遼子さん」  俯いてとぼとぼと歩いていたあたしの背後に女の人の声がかけられる。振りかえると旅館備え付けの浴衣に身を  包んだ遼子さんが心配そうな顔をしてあたしの方を見ていた。 「たくやさん……もしかしてもう――」 「りょ…遼子さ〜〜ん!! ちょうどいいところで〜〜!!」  何か言おうとしていた遼子さんの言葉を遮るように、温泉に入って来たばかりなのだろうか、しっとりと温かい  遼子さんの両手を取って握り締め、あたしはすがるような気持ちで詰め寄った。 「ど、どうしたんですか? 一体なにが……」 「恐かったんです、恐かったんです〜〜!!」 「だ、だから、一体どうしたんです? そんな風に泣きつかれても……」 「実は……かくかくしかじかと言うわけで……」  というわけで、あたしは遼子さんたちの部屋に行くのが恐いと言う事と、たしか二十分ほどで夕食だと言う事  を告げた。 「そうですか……でしたらそれは私のほうから伝えておきます」 「ありがとうございます、遼子さん。たすかりました♪」 「そんなに気になさらないで下さい。元はといえば私の連れがたくやさんに暴力を振るったのが原因なんですから……」  とは言っても、やっぱりありがたいものはありがたい。まさに地獄に仏とはこのこと♪ 「……そうだ、実はたくやさんにお願いしたい事があるんですけど……」  そう遼子さんが、何やら言いにくそうに口を開いたのは、あたしがそろそろ二階の二部屋をどうするかと思案を  巡らせ始めた時だった。 「お願い……ですか?」  そんな言い方をしなくても、あたしはここの従業員なんだし、遼子さんはお客様なんだからなんでも言ってくれ  れば良いのに。 「なんですか、お願いって? 遼子さんの頼みだったらなんでも聞きますよ」  つい嬉しさが顔に出てしまって、にこにこ微笑みながら返事をするが、それとは反対に、遼子さんは何かに耐える  ように、わずかに開いている浴衣の胸元をぎゅっと握り締め、湿った黒髪で目元が見えないぐらいに俯いて、なか  なか話し出そうとしない。 「あの……遼子さん? ひょっとしてまだ体調が悪いんですか?」 「………近づかないで」 「え?」  昨日の朝みたいに疲れが溜まっているとか何とかの理由で、気分でも悪いのかと思ったあたしは遼子さんの方  に手を伸ばしたが、つぶやくように放たれた拒絶の言葉に途中でぴたりと止まってしまった。 「たくやさん…あと二・三日、二・三日でいいんです。その間は私たちの部屋に近づかないでもらえますか?」  近づかないでってそう言う意味か……でも、なんで部屋に近づいちゃ行けないんだろう? 今日みたいに梅さん  に行ってこいって言われたら行かなくちゃいけないし、布団の上げ下ろしとか部屋の前の廊下掃除とか……  ちょっと無理そうなんだけど…… 「そ…それって一体なんでなんですか?」 「えっ……そ、それは……」  あたしがそう言うと、遼子さんはまるで何かに気付いたかのように、長い黒髪を揺らしながら勢いよく顔を  上げた。 「で…できれば遼子さんの頼みですから聞いてあげたいんですけど、あたしも仕事があるから……」 「そ……そうですよね、仕事があるんですよね……仕事が………」  また俯いた……今日の遼子さん、一体どうしたんだろ? あたしがこの旅館にきてから、そんなに話したわけ  じゃないけど、今日は特に挙動不審と言うか、そわそわとしている。もう少し落ちついた人かと思ってたん  だけど…… 「遼子さん、やっぱりどこか具合が悪いんじゃないですか? 松永先生だったら診察もしてくれるし相談にも  乗ってくれるから、よかったら今から行きませんか?」 「い…いえ、いいんです。変な事を頼んじゃって……さっき言った事は忘れてください。じゃあ」 「あ、ちょっと遼子さん、待って」  そう言うと、止まるように言うのも無視してあたしの横を通りすぎると、遼子さんは自分の部屋のほうへと  早足で行ってしまった。  遼子さん……結局何が言いたかったんだろう?  そんな事をいつまで考えていても答えが出るはずもなく、あたしは再び気分を切り替えて、二階へ向かうべく  重た〜い足取りで階段に向かっていった…… 「さて……」  二階に辿り付いたのはいいものの、どちらから声をかけようか、この期に及んでまだ迷っていた。  考えろ、考えるんだ……どっちに入ったほうが安全かを……  砥部さん家族は三人、真一さんと遙くんの巨根親子にはイヤと言うほど身体を弄ばれちゃった……それに  遙くんはエッチな事に目覚めちゃったばかりでアレであたしを求めてくるかもしれない……アレで……  つい、遙くんの身体の割りに…と言うか、はっきり言ってアンバランスな大きさのおチ○チンを想像して  しまう。あたしのアソコを裂けちゃうんじゃないかって言うぐらいに割り広げて、徐々に押し入ってくる  あの圧迫感……息もできないぐらいに苦しくて、それでいてとんでもなく気持ちいい……そして最後には  子宮の中から溢れそうになるぐらいたくさんの精液が……あたしの…アソコに……  んっ……やだ……  あの時の快感を思い出してしまい、思わず股間を押さえてしまう。  股間だけじゃない、この数日で休む暇もないぐらいに揉まれて、吸われて、弄られて、だいぶ大きくなった  ように感じる双胸が鈍く疼き、シルクのブラの中で勃起し始めた乳首から甘い快感が伝わってくる。  よく…あたしのアソコ、壊れなかったわよね………って、ダメダメ!! ここは廊下で、今はお仕事中なん  だから!!  じゃあ、ここがあたしの部屋で、仕事中じゃなかったらどんな事をしていただろう?…という想像はさて  おいて、あたしは松永先生の部屋から声をかけることにした。  コンコン 「松永先生、いらっしゃいますか? 松永先生?」  コンコン  本当なら松永様と言わなきゃいけないんだろうけど、それを言うと松永先生と…その…主従関係…見たいな  モノになってしまいそうで、かなり抵抗がある。そんなわけで、松永先生は先生のまま…と、そんな事は  どうでもいいよね。  コンコン 「松永せんせ〜〜、いないんですか? せんせ〜〜?」  おかしいな……いないのかな?  いくらノックをして声をかけても、部屋の中からは返事が返ってこない。  入り口に鍵が掛かってなかったので恐る恐る部屋に踏み込んでみても、いろいろと実験道具が散乱している  部屋の中にはナイスボディーの保健医の姿は無かった。  ………まぁ、危険が一つ少なくなったと言う事で、これはこれでいいかな? でも今ごろ何処に行ったんだろ? あたしの薬を作ってくれていたはずだから街のほうに出掛けたって言う事はないだろうけど……お風呂かな?  見れば、なぜか敷いてあるお布団の上には松永先生のいつも着ている白衣が脱ぎ捨てられてるし、そう考えれば  納得も行く。  そういえば……遼子さんもお風呂に入ってたんだよね? じゃあ、あの二人が一緒に…………… 「ふぅ〜〜…ここの温泉に入ると肌がつやつやになるわ」 「そうですね。最近疲れ気味だったから……はぁ……気持ちいい……」 「ねぇ、遼子さん……よかったらもっと気持ちよくしてあげましょうか? お風呂の中でマッサージしたほうが  効果もありますし」 「でも…そこまでしてもらうのは悪いですし……」 「気にしなくていいわよ。私も楽しませていただくから、うふふ……」 「え? あ…やだ、何処を触ってるんですか!?」 「ふふふ……ここのコリがひどいようね……疲れが取れるように、しっかりと揉み解してあ・げ・る♪」 「やめてください! こんなところで…だれか…誰かきたら…はぁん……だ…だめぇ……」 「まぁ、ここがこんなに硬くなってるわ。ダメじゃない、どうしてこんなになるまで言わなかったの?」 「それは…触るから…ひゃあん、そ、そんなに摘まんじゃ…あぁぁぁ〜〜!!」 「私はそんなに触ってないわよ。本当は…期待してたんでしょ……二人っきりでお湯に漬かってる時から……」 「ちが…ちがう…ちがうの……私は…そんなつもりじゃ……んんっ、そ…そんなとこ…い…いや…ああっ!!」 「そんなに大きくないけど…いい張りしてるわ……とっても綺麗よ……ふふふ……」 「はぁ……ああ……こんなのって…こんなの……うん…はっ…はぁぁぁ……ま、松永さん……っダメ…やめて……」 「だめよ。啓子って呼んで……そうしたらもっと気持ちよくしてあげるから……」 「け…啓子…さん……」 「ふふふ……じゃあ、今度はここを揉んであげるから……」 「そ、そこは!!」 「あら? これってお湯じゃないわよね……胸だけでこんなにお漏らししちゃうなんて……」 「いやぁ! だめ、もうやめて!! そこは、そこだけは許してください!!」 「そんなに恐がらなくてもいいの。身体を楽にして……」 「あぅん! あぁん! あ…ああっ!! 指が…指が中にぃ!! そんな…そんなのって……はぁん!!」 「いいわ、今からタップリとイかせてあげる……ほら! ここをこんなにコリコリさせて、イきたいんでしょう? いいわ、イきなさい!」 「啓子さん、ダメ、だめぇ〜〜!! ああっ、ああっ、ああああぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜…………!!」 「遼子さん…最高よ……今度は身体中を洗ってあげるから……」 「はぁ……も…ゆるしてぇ……」  あ……ありうる……松永先生だったらやりかねない……年齢的には松永先生の守備範囲を超えてるかもしれない  けど、遼子さんって美人だし、物静かで押しに弱そうだし……  この旅館にきてから、どうしても物事をそっちの方にばかり考えてしまう癖がついてしまったあたしの想像は、  とどまる事無く松永先生と遼子さんの(かなりあたしの実体験も踏まえて)お風呂場でのあられもない姿を想像  し続けている。  そう思ってみれば……この布団も皺だらけだし、なんとなくアレの……ほ、本番の……後みたいに見えなくも  ないかも……  ごくっ……  実験中に風が吹きこまないようにするためか、窓が締めきられ、妙な熱気のこもった部屋の中で立ち尽くして  いると、いつの間にか喉がカラカラに乾いていた。  い…いつまでもここにいるわけにはいかないし……早く出ていかなくちゃ……  まるで自分に言い訳するかのように、なんとかこの部屋から出ていく理由をつけたあたしは、電話の横に備え  付けてあったメモ用紙に夕食の時間を書くと、この部屋の主が帰ってくる前にと、逃げ出すようにその場を後  にした。  の…残るはここだけか……  松永先生の部屋からほとんど離れていない砥部さん家族が泊まっている部屋。しかも急いだから10秒と経たず  に入り口の前に到着してしまった。  この旅館って、なぜか外からは中の声とかが聞こえないのよね……  入り口から部屋の襖まで距離があるせいなのか、それとも意外と防音設備がしっかりしているのか、入り口の  ドアが締まっている限り中で何をしているのかは分からないようになっている。耳でも付けたら多少は聞こえる  かもしれないけど……誰が見ているか分からない廊下でそこまでするのは……  というわけで、この部屋に関わりを持つのがいまさらながらに恐い……松永先生のところも十分恐かったけど、  あんな想像をした後だし……  しかし、時間は刻一刻と過ぎていく。夕食の準備が終わるまで、あと十分ぐらいのはず……  ………覚悟を決めなきゃ……  ――コンコン 「あの…砥部様、いらっしゃいますか、砥部様?」  ――しばし待つ―――  入り口には鍵も掛かってるし、このまま出てきてくれなかったら……何事も怒らない……神様お願い……って、  神様がいたらあたしはこんな目に会いつづけてないか……とほほ……  カチャ  きっ、来たぁ!!  本来なら何も怒るはずが無い、けどあたしは内心でビクビクしながらドアがゆっくりと開いていくのを見つめ  続けた。 「はぁい……なにかしら?」  あ……あぁ…神様ありがとう……神様って本当にいるのね……  ドアの隙間から聞こえてきたのは真一さんでも遙くんでもない、一番安全そうな栄子さんの声だった。  はぁ〜〜、心配して損しちゃった。そうよね、あんな目に会うような事がそうそうあってたまるもんですか……  て……えええぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!  扉の向こうから現れた栄子さんの姿を見て、あたしの目は点になるほど驚いた!! だって…だって……  あたしの目の前でけだるそうに答える栄子さんの姿は、浴衣こそ身につけているものの帯を締めていないので、  形のよい胸の谷間から股間の黒々とした翳りまで思いっきり丸見え!! しかも…しかも……露わになっている  肌や顔には、どう見ても精液としか思えない液体が付着していた。 「あら、たくやさんだったかしら……私になにか用?」  そういわれても……  ボディーに自信があるのか、自分の裸体を隠そうともせず、赤く染まった顔に真っ白い液体を貼りつけた栄子さん  の姿に、言うべき言葉は口から出てこないし、何を言っていいのかさえ思いつかない。  わかった事は……この部屋の中ではあたしの想像通りの事が行われていたと言う事である……


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