昼休み


昼休み:おまけ効果 「人生にはちょっとしたスパイスも必要だね」 ふい〜〜、いいかげん身体がボロボロだな。 なんで授業するだけで殴られたり蹴られたり斬られたり抉られたりせにゃならんのだ? さて、それじゃあ屋上で昼寝でもして光合成しながら自己修復するか。 「あ、こんな所にいた。何してるのよ。次が始まるわよ」 う……うるさいのが来た……仕方ないなぁ……  STEPおまけ−1 おまけ効果  文章の書き方次第で印象が変わります。  鶴が勝手にあると思い込んでる事だけど 「なによこれ?」 zzz……zzz…… 「さっさと起きろ(↑+P)!!」 ドガッ!! ぐはぁ!…昼寝してる人間にダウン攻撃かますか…… 「あんたは例外なのよ!ほら!早く説明しなさい!」 ……でも下からスカートの中が…… 「早くしないと寝てる間にC4を口に詰め込めこんで縫い合わせるわよ」 C4ってなに? 「プラスチック爆弾。言っとくけど死ぬほどまずいわよ」 ……早速始めさせていただきたいと思います。 「よろしい」 ……ネコさんプリント…… 「やっぱり見たな!!」  STEPおまけ−2 文字効果  同じ意味、同じ言葉でも使う文字で印象が異なります。  主に、漢字、平仮名、片仮名の違いを利用します。 じゃあ、早速だけど漢字のお勉強。次の漢字を呼んでみて。 恰も 「……はまぐり?」 それは蛤。右の偏が違う。 「……ひろう」 拾うだろ? 「なまり?」 鉛。そもそも後ろの「も」はどこに行った? 「……ぱす。漢字苦手なんだもん。こんな漢字読めなくたって別にいいもん」 結局拗ねやがった。これは「あたかも」って読むんだ。聞いた事はあるだろ? 「つ〜ん」 こいつは……例を挙げると  スケットは恰も花のような美しさだ。 「いやん♪美しいだなんてそんな♪それほどでもあるけど♪」 ほんと、乗りやすいな。でもスケット、この文を読んでみてなんだか気にならないか? 「気になるって何が?あたしが綺麗だって言ってるんでしょ?間違いないじゃない」 違うだろが。接続語の「恰も」だよ。 「そういえば……読めない」 だろ?これを「はまぐり」なんて読んだらどうなると思う? 「……あぁ…あたしの美しさがぁ……」 文章を読む上で文字を漢字に直すという事は重要な事なんだ。それだけで言葉に意味を持たせられる。 しかしながら、言葉の意味というのは「読む」事と「見る」事の両方がある。 人は文字を見て、それを頭の中で読むことで意味を理解している。 しかし文字が読めなければ?そこを飛ばすなり適当に読むなりしても意識に「引っかかり」が生じるんだ。 「へぇ……つまり分かんないからイライラすると?」 まぁ、そんな所だ。書いた方が意図している事と読む方が理解した事にズレが生じる、と考える事もできる。 「じゃあ、こんな「恰も」って言葉、あっても使えないじゃない」 そうだな。「恰も」は文章の中では余り使わない方がいいな。 その代わりに「あたかも」とするんだ。もしくは同じ意味の「まるで」に置き換えたり。 「ひらがなにしただけじゃない。それでなにが変わるって言うの?」 読めるだろ? 「うん。馬鹿にしてもらっちゃ困るわね」 ひらがなを読んで何を威張ってんだか。 「……なんて言ってるの?」 やっぱり読めなかったな。「威張る」は「いばる」と読むんだ。 「だったら最初からそう書いてよ。難しい漢字は苦手なんだって言ったでしょ」 そう。それが文字効果の最初の一つなんだ。 「え?」  STEPおまけ−2−1 文字効果その1・漢字の崩し効果  漢字を平仮名に直すと読みやすくなります。ただしほどほどにしないと…… そもそも「いばる」って言葉は他に無いんだから平仮名で書いてもいいわけだ。 文章作成ソフトの発達で読み仮名を打てば一発で難しい漢字も出てくるけど、そんな漢字使う必要無し。 歴史や文学のような格式ばった文章ならいざ知らず、 普通の小説の場合は漢字よりも平仮名の方が意味が通りやすい場合があるんだ。 これは選挙のポスターなんかにも使われてる効果だね。 「ねえねえ、ちょっとちょっと、あたしいい事思いついちゃった。聞いて聞いて」 いいかげん引っ張るの止めろ。で、なんだ?大体の予想がつくけど…… 「だったらさ、文章を全部ひらがなにしたら?そしたら誰でも読めるじゃない」  すけっとはあたかもはなのようなうつくしさだ。 ほれ。読んでみろ。 「…………読みにくい」 だろ。漢字は文章を単語に分解したり、アクセントをつけたりする役割もあるんだ。 だから平仮名だけって言うのは止めた方がいいな。 「いい考えだと思ったのに……」 馬鹿の考え休むに似た… バキ! 「一言多い」 スケットは一発多い…… 「うるさい!」  STEPおまけ−2−2 文字効果その2・視覚効果  小説の視覚効果は文字の大きさと色ぐらいしかないと思っていませんか? 「もう難しい話はいやよ……」 「嫌」よりも「いや」にしたのはいいことだ。でも漢字にした方がいい場合もあるって知ってるか? 「難しい漢字はあんまり使わないほうがいいんでしょ?」 一概にそうも言いきれない。それでは文字効果の一覧でも見てみましょうか。  漢字:意味の強調  ひらがな:丸み  カタカナ:鋭さ 「分かるように説明しなさい!」 だから今から例を挙げて説明するって。フィーリングみたいなものだから説明しにくいんだよ。 一応漢字とひらがな、ひらがなとカタカナに違いを説明しようと思う。 じゃあ漢字とひらがなから。というわけでスケット。 「なに」 今のパンツ何色? 「嫌!」と「いや!」 どっちが激しく嫌がってると思う? 「嫌!」 速決だな。 「スカートめくるな!」 ゴスッ! が…顔面膝蹴り……素晴らしいおみ足……だったらこうだ!ガバッと! 「いや〜〜〜!!やめて!!」 おおっ!さっきよりもなんだか恥じらいが含まれてるぞ。 「変なところ触らないで!!」 バキッ!ドゴッ!グシャ!ゴスッ!メキッ! うぅ……ぴくぴく…… 「はぁ…はぁ…はぁ…死んだ?」 と、このように同じ「いや」という言葉でも漢字を使うかでニュアンスが違ってくるんです。 漢字はそれ自体で意味を持ち、またアクセントの基本にもなるので漢字の方がより強い意味合いになります。 「なんで殺人フルコースをくらって、そんなに平然としてるのよ……まったく……」 もう一個例を挙げてみるか。おい、スケット。 「なによ?」 脱げや。 「は?」 脱げぇ〜〜!! 「やめてぇ!!」 「ばきっ!」と「バキッ!」 どっちが痛そう? 「いいかげんにしてよね!さっきからセクハラばっかりして!そりゃ…その…ゴニョゴニョ……」 鶴が思うにですね。 「だからなんでそんなに平気なのよ……このスケベ」 安心しろ。本気だったら0.1秒でひん剥いてるから。ただ効果音で説明したかっただけだから。 主に効果音にはカタカナが使われます。これは文字の形が鋭角的なカタカナの方がスピード感が出るからです。 逆に 「ふわっ」と「フワッ」 どっちが軽そう? 「ふわっ」だと衣が舞い落ちるような軽さ、「フワッ」だとモノがその場で浮き上がるような感じを受けます。 「なるほどねぇ……」 ふわっ…… 「え?」 ねこさんプリントか……やっぱりな。 「い…いやぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!」 バキッ!ベキッ!ゴキッ!ボキッ!ガキッ! 「馬鹿馬鹿馬鹿!!!鶴の馬鹿!!」 こふっ…こ…このように…… グシャッ! 「こうやって文字の形を変えると攻撃力もアップするって事よね?」 し…死む……  STEPおまけ−3 文章効果  文章も書き方次第で感じ方が変わります。 それでは早速、例を挙げて……おい、なに逃げてるんだ? 「だってまた変な事するつもりでしょ?このセクハラ大魔人」 何がセクハラだ。そんな事言うなら設定をいじって…… 「や…やめて!痴漢!変態!スケベ!女の敵!そんなの反則よ!」 えっと「服装:ドレス」「場所:王の間」っと。 「え?ドレスって……うわぁ♪」 気に入っていただけましたでしょうか?お姫様。 「ありがとう!こんなの着れるなんて……あたし感激♪」 それではこちらの椅子にお座り下さい。 「は〜い♪」  STEPおまけ−3−1 長文効果  文章が長いと時間がかかる。 それでは今からわが国の皇女様を守る兵たちをお見せいたします。 「あぁ…あたしって王女じゃなくて皇女様なのね♪」 ……調子乗りすぎ。  王座の前には兵たちが整然と並んでいた。  兵たちは鎧に身を包み手には槍を持っていた。  その槍の先まで神経が通っているように統制が取れていた。 「何これ?」 もう一つ。  王座の前には兵たちが整然と並んでいた。兵たちは鎧に身を包み手には槍を持っており、その槍の先まで神経が通っているように統制が取れていた。 「いったいなによ。これがなんだって言うの?」 ちょっと分かり辛いかもしれないな。本当なら5行ぐらい書きたかったんだけど…… 前に段落を多く分けるとテンポが良くなるって言ったの覚えてる? 「うん。たしか戦闘のようは場面の展開が早いときに向いてるんだったよね」 じゃあ逆に段落を減らして文章を長めにしたら? 「……逆になるの?展開が遅い方に向くって事だから……」 本当ならもっと長い文章にすれば分かると思うけどね。 長文の場合、短文の場合と比べて目で文章を追う距離が長くなる。 テンポっていうのはいかに文を速く読めるか。そうなると一目で読める短文より長文の方がテンポが遅くなる。 一・二行ならともかく、何度も目を往復させると、その分無意識に時間の経過を感じてしまうんだ。 「目の動きか……」 画像なら全体を見つづけていればいいんだけどね。「見つづける時間=物語の時間」という感覚になる。 小説では「文字の量=物語の時間」という感じかな。10ページもかけてほんの三秒、何てことも無いだろ? また一つの文章が長いとたくさん文字を書くから、一文だけでたくさんの情報を加える事ができる。 だから長文で時間の流れ、意味・思考の深さ、場面の雰囲気・重要性なんかを表現する事もできるんだ。 「意味がよくわからない……」 難しいからね。要は展開の早くない場面、例えば軍隊の行進、熟考中、上のような整列シーン、 他にも集団対集団の戦闘シーンでは一つ一つを細かく書けないから、文章による描写を増やす意味でも 長文を使った方がいいかな。全体として長いシーンになるわけだから。 ま、短くてすむところは短くてもいいと思うけど。 「ふ〜ん……でもまだわかんない」 テンポを取るか、情報量を取るか、ってところだな。 テンポ重視でつまらない小説を見た事もあるし、文章が長ったらしくて言いたい事が分からない事もあるし。 ま、こんな効果は使う人次第だからね。鶴も実際気にしてないし、100%理解しきれてないし。 それにこんな効果があるかどうかは眉唾物だね。 「なに!?だったらなんで長々とこんな説明してるのよ?」 だから最初に言ったろ?「おまけ」だって。この辺りは実際に小説を書いてるうちに身についてくるし。 「……役立たず」 ほっとけ。まだまだ未熟者なんだから仕方ないだろ。それにお姫様になれたんだからいいじゃないか。 「そう♪あたしはお姫さま♪あとはかわいい男の子をたくさん周りにはべらすの♪」 ………まだ諦めてなかったのか……


続く