一時限目


一時間目:舞台作り 「ここには全ての世界があり、いつにでも時間をつなぐ事ができる」 トンテンカン、トンテンカン、 ……スケさん、金槌なんか持って何してるんだ?それにこの張りぼては何? 「なにって見れば分かるでしょ。舞台を作ってるのよ。ほら、ボケッとしてないで、そこの板とって」 はいよ。でも小説ではこんな大道具や書割りなんか必要無いぞ 「うそ!?だって舞台作りって書いてあるじゃない!」 小説の舞台とは設定のことだよ。だから頭の中で考えたり、紙に書くだけで十分。 「じゃあ、あたしの苦労って……」 無駄。お疲れ様です。 ドゴッ! 金槌は止めてぇぇ〜〜〜!!  STEP1−1 初心者向け  小説を書く前には物語の背景となる設定が必要です。カッコよく言うと世界観。  世界観、なんていうたいそうな言葉を使ってますが、それほど難しいものではありません。  例えば「マンションの一室」。これだけでも十分です。他にも「家」「お店」「街」などなど。  「こんな感じ」というのも十分な世界観です。 「なんだ。こんなのでいいんだ。てっきり大きなお城とか西洋風のお姫様の格好して……て感じだと思った」 短い話ならこれで十分。書きながら設定を増やしていくこともできるしね。 「あんた得意の行き当たりバッタリってやつ?」 臨機応変と言ってくれ。確かにお姫様とか、そんな設定も作れるよ。  STEP1−2 上級者向け  先に言っときますが物語を書くのは自分です。  下に書いたような項目に縛られずに自由に考えて下さい。  想像は爆発だ〜〜!!どっか〜〜ん!!  設定には先に述べた物語の舞台となる「場所」の他にもいろいろあります。  「世界」:一番大元になる設定。「国」などがこれにあたります。いわゆる「世界観」ですね。      「世界」によって物語の中の法則、常識、慣習、文化、服装などガラッと変わっちゃいます。      「普通」なら自分の暮らしてる所だけど、「戦場」とか「魔法の世界」とか非現実的なモノもあります。      「魔法の世界」「異世界」「SF」なんて一から世界を作らなきゃいけないから大変です。  「時代」:世界に含まれるものかもしれませんが、一応区別。      例えば「日本」を舞台にしても「現代」と「明治時代」「江戸時代」「平安時代」では全然話が異なります。      「中世のヨーロッパ」ならお姫様なんかもでてきます。  「場所」:登場人物のいる場所です。物語が展開されるメインステージです。      「世界」と似ているようですが、こちらは「登場人物の行動範囲」と言うところでしょうか。      「地球」という世界では人物がどこにいるのか分かりません。移動しても「地球」です。      そこで「街」とか「家」など「世界」を限定する必要があります。      「海」とか「友達の家」とか、想像しやすいでしょ?      話が長くなると行動範囲も広くなって、いろんな「場所」が必要になります。  「人物」:登場人物の事。二時間目で詳しく紹介。  「ジャンル」:話の内容じゃなくて物語の雰囲気みたいなものかな?        これにはシリアス、ギャグ、童話、恋愛、戦記、18禁などなど。        要は自分の書きたい話って事。  「その他」:う〜〜ん……今は他に思いつかない。当然これ以外の自分なりの設定も有りです。 ハッピータウンを例に挙げれば、世界はネット上の架空都市、場所がハッピータウン、 人物は登録している皆さん、ジャンルは掲示板に書きこむ話の内容。そして物語が作られる、ってとこかな? 設定よりも先にキャラクターを作る事もあるけど、順番ということで。 「う〜〜ん……」 おや?スケちゃん、どうした?紙と鉛筆持って頭抱えて。 「スケちゃんって言うな!実は今、設定を考えてるんだけど上手くいかなくって……」 そう言う時は既にある設定を利用するのも手だと思うよ。 「……それって盗作じゃないの?」 全部じゃない。参考にしてそこから自分らしさでアレンジしていくのも、一つの手だと言ってるんだ。  STEP1−3 初心者・愛好者向け  設定を全部作ろうとするのは難しいものです。  「こんな感じ」とアバウトに済ませるのが一番良いのかもしれませんけど……  そんな時は身近にある既存の物語の設定を見てみましょう。  テレビドラマやマンガ、小説、映画、ゲームなど自分の好きな話から最初の設定を考えるんです。  でも話の内容までそっくりそのままだと、自分で小説を書く意味があんまり無いです。  「AとBはこんな関係なんだけどCも実はAに興味があって……」とか思ったことはありませんか?  「うそ!これは絶対AとBがくっつかなきゃおかしいよ」とか思ったことはありませんか?  その「もしも……」を書けばいいんです。  こうやって物語の骨組を利用して他の設定も混ぜて、自分の好きな設定を作っていきます。  中でもアニメやゲームの話の「もしも……」の話は二次創作と呼ばれます。 例えば「学校」を設定にした物語はたくさん在るけど、似てる所はあってもやっぱり違う話だろ? 設定の一つが同じでも他が違えば当然違う物語が生まれてくるんだ。 二次創作は原作が好きで好きで堪らないから、同じ設定で自分の思った物語を作るなんだよ。 「へ〜〜、じゃあ鶴の書いてるのは二次創作になるんだ」 そうだ。鶴はあのゲームが好きだから自分で小説を書き始めたんだ。 「そんな……好きだなんて……やだ、もう……こんなところで……」 おいおい……こんなスケさんは放っといて一時間目のまとめ。 好きなようにして 「まとめになってない!!」 バキッ!! あああああああぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜………………キラ〜ン☆ 「あちゃ〜〜、強く蹴りすぎたか。ま、いいか」 これじゃまとめになってないんで、ちょっと「時間」と「場所」の表現をしてみたいと思います。 例:夜の町 俺は道路に面して建っているビルの壁に背中を預けると、ポケットから煙草を取り出して火をつけた。 既に日付も変わってだいぶ経っている。 周りに目をやると、道路を挟む建物からは明かりが消え、昼間に見慣れたはずの街がまるで別のものに見える。 人も無く、車も通らず、月も見えない。 見えるのは弱々しい星明りに照らされたビルの群れ。 その様はまるで墓場だ。何人もの血を吸ってきたこの町には相応しい。 そんな静かで重たい闇の中、何時の間にか俺の咥えた煙草の火だけがこの世界を照らす光のように思えてきた。 そう……危険を示す赤い光だけが、俺の世界を照らしている……… 直接「何時」と書いてもいいんですけど、雰囲気出すためにちょっと変えてみました。 夜に時間設定する事でいつもの自分のいる街もまったく違う世界へと早変わり。 いかがなものでしょう? 注意!!設定を多少真似てもいいとは言いましたが話の設定・内容の全部を真似るのは止めましょう。     これは盗作といって立派な犯罪です。あくまで参考にとどめておきましょう。     そんな作品は読む方も書く方もつまらないでしょう?


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