第26話


 (瞳ちゃん・・・すごい・・・)
 目の前で全てをさらけ出した瞳の痴態に、絵美は息をのんだ。
 女の人がイクところを見るのはもちろん初めてだ。それもこんなに激しく、あのかわいらしい瞳ちゃんが・・・ついさっき一緒にシャワーを浴びながら、今にも逃げ出したそうに真っ赤になっていた白いビキニ姿を、絵美は不思議な気分で思い出していた。
 「おほぉ・・・・・・」
 誰か分からない、あるいは複数の男の吐息が聞こえてきたが、絵美にはもはや彼らの姿を見るだけの勇気は残っていなかった。
 (悔しい・・・)
 好きなように弄ばれて、この人たちの性欲の生け贄にされる屈辱・・・まだ荒い呼吸に波打つ瞳の裸体を横目に見ると、絵美はまるで自分の事のように口惜しかった。

 (はっ・・・)
 絵美の長い脚をはいずり回る不気味な舌のような指先が、再び彼女の股間を目指して上がってきた。
 (・・・負けない・・・!)
 瞳の分も、という思いが絵美の口を固く結ばせた。
 ・・・だが、本当はどうだろう?
 (ほんとは・・・怖いのね・・・私・・・)
 次は自分の番かもしれない・・・不気味な粘性をおびた不安が、絵美の脳裏をトロリトロリと流れていった。
 (考えないようにしよう・・・どうせ・・・)
 絵美は彼女の太腿をまさぐる触手を思った。
 (もうこのオジサンにまかせるしかない・・・)
 祈るような思いで、あの優しそうなにっこり顔を思い出そうと努力した。

 「あ・・・」
 瞳のか細い声だ。
 (え・・・まだ・・・なの?)
 もう十分でしょ・・・そう願う絵美の顔の真横で、オジサンが瞳の力の抜けた両脚をガシッとつかんだ。
 「ん・・・」
 何か言いたげだったが、無駄だと悟ったのかあるいはもう思考力がないのか、瞳の言葉は宙空に消えた。
 「フフフ・・・○×□・・・」
 オジサンは独り言を言いながら両膝をそろえてたてさせると、彼女の股関節の柔らかさをためさんとばかりに両脚をガバッと大きく開いて見せた。
 「んん・・・」
 瞳の口から、僅かに残された恥じらいの吐息が漏れる。
 (な・・・ひどいよ)
 絵美はその様子を怒りさえ覚えて見守った。もはやわざと瞳を辱めて楽しんでいるようにしか見えない。
 (これだけ楽しめばもういいでしょう!?)
 若い乙女の裸を好きなだけ鑑賞して、しかも一番恥ずかしい姿をみんなの前でさらし者にしたのだ。温厚な絵美でさえ、彼らに明らかな敵意さえ感じずにはいられなかった。
 横には膝を立てたままで秘部を露出させられた瞳の下半身と、その中心部をのぞき込む島本とオジサンの姿が見える。
 (くやしいよぉ・・・)
 もう不可抗力とかいえるような物ではなかった。麻里子さん、久美子さん、由美子に、瞳ちゃん、そして絵美自身の大切な裸まで・・・ただこの卑猥な男たちのためのショーの生け贄にされているだけに思えた。
 その上まだ自分たちは舞台の上におかれたまま、彼らの快楽のために貢献しているのだ。
 (くやしぃ・・・くやしぃ・・・)
 絵美は頭の中で、ただただそう繰り返すだけだった。
 
 オジサンがニヤニヤと笑いながら再び秘所を弄んでも、瞳には抵抗しようというそぶりもなかった。
 それをいいことに、毛深い指が閉じられた割れ目を、左右に大きく開いて見せる。
 荒い吐息とともに「ぁぁあ・・・」という男の気色の悪い声が聞こえたのは島本のほうからだ。絶頂を迎えて生々しく色づいた瞳の秘肉に、興奮を抑えきれないのだろう。
 「ハハハ」
 オジサンは楽しそうに笑い、右手の指先でピンク色の襞の中をツーッと撫で上げた。
 「ア・・・ア・・・」
 途端に、それまで無反応だった瞳が耐えきれずに悶え声をあげた。
 「ククク・・・」
 「・・・アッ!アアアアッ!」
 一度イッて感じやすくなったクリトリスへと達した愛撫は、彼女を簡単に恥辱の沼に引き戻した。
 やっぱりまだ解放する気はないらしい・・・瞳の股間を陵辱する男たちを心配そうに見つめる絵美に、オジサンがニヤリと笑ってこたえた。
 (何よぉ!)
 絵美は精一杯きつい視線を送ったつもりだったが、相手は気にしたそぶりもない。
 「フフン♪」
 右手を伸ばして桶の中の液体に指を浸すと、にらみつける絵美に向かって得意げにふって見せた。
 (どうする気・・・?)
 とたんに不安そうになった絵美をあざ笑うように、オジサンは、ヌルヌルと光る指先を瞳の股間へと持って行く。
 
 「ハッ・・・!」
 本能的になにか不吉なものを察知して、瞳が息をのんだ。
 「な、に・・・?」
 思わずこぼれたというような日本語が聞こえたが、もちろんオジサンは気にしない。
 ニヤニヤと下を向けた手の中指だけを伸ばして、瞳の無防備な股間へと向けていく。
 (まさか・・・!)
 挿れるの!?・・・という彼女に似合わぬ卑猥な言葉を想像した絵美の目の前で、毛むくじゃらの中指からツーッと糸を引く液体が瞳の股の間に垂れていった。
 「・・・エンジョォイ」
 オジサンは中指を立てた右手を瞳の股間に寄せていった。
 「ヒャッ!・・・ァ・・・ア・・・ア・・・ン・・・」
 瞳の顔が次第に上に向けて反り上がり、うつろな視線が天井を移動していった。
 中指がまるで手品のように瞳の身体の中へゆっくりと飲み込まれていき、「アァンッ!」という声とともに完全に胎内に消えた。
 「ア・・・ア・・・アアア・・・」
 指先がゆっくりと外へ戻ってきて、また中へと消えてゆく。
 (イヤァッ!もう・・・止めて!)
 絵美の心の叫びをあざ笑いながら、ゆっくり、ゆっくりと中指の往復が続いた。
 「ハァッ・・・アッ・・・アッ・・・」
 次第に瞳の喘ぎ声が高くなる。
 「フフム・・・」
 オジサンはまるでマジシャンのような大げさな仕草で、中指に加えて人差し指を立てた。
 「ヒャァッ!・・・ハ・・・アァアアアッ!アアッ・・・アアアッ!」
 そろえられた二本の指にあっさりとヴァギナを侵略され、瞳の口からいっそう大きな声が漏れる。
 「アァァ・・・ンッ!ンアア!・・・イヤァアア・・・!」
 火照った裸体は再び快楽の網に絡め捕られ、艶めかしく悶えはじめた。
 指の動きに呼応するように陰毛のあたりがピクンッピクンッと上下に動き、むき出しの乳房がプルンと揺れる。
 「イヤッ!・・・イヤッ!・・・ア・・・アアン」
 真っ赤になったかわいい顔が歪み、眉間には縦にシワがよったが、それが逆に男の欲望をかき立てた。

 そしてオジサンの指が、この空間に渦巻く淫らな欲望に急かされるように、次第にその動きを早めていった。
 「アッ!イッ・・・ヤ・・・メッ!・・・んはぁっ!・・・アァッ!」
 瞳は首を左右に激しく振りながら意味不明な声を上げ続けた。
 「ア・・・ダメッ!・・・ダメッ!・・・ダ・・・メェ・・・」
 
 「アアアァァァ・・・イク・・・イクゥ・・・イックゥッゥゥゥ・・・アァァァァァッ!」
 悲鳴のような声を上げ、反り上がった裸体がビクッビクッと動き、やがて力尽きた。

 「・・・オオゥ」
 二度目の絶頂の余韻に浸る瞳の胎内に残った指を締め上げられて、オジサンがおどけた声を上げた。


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