第一話「騙されて・・・・」


「うまい話には裏がある」
自分には関係のない話だと思っていませんか?

私は伊東ユキ、大学二年生
最近私はついている。
旅行会社にいくと、一万人目のお客ということで三泊四日のハワイ旅行があたった。
ついている・・・・はずだった。


私はハワイのビーチに降り立った。いってみたいなと思っていた海外旅行。しかも無料。これでテンションが上がらない方がおかしいだろう。
「青い空、白い雲、綺麗な海!ホントにパンフレットみたい!!」
無料だからぼろいホテルなのかとおもったら日本人向けの結構いいホテルだった。
普段の疲れを癒すべく、肌をやいたり、ショッピングしたりと思い切り羽根をのばしていた。
そして帰りの飛行機にのろうと空港にいったときに問題が起きたのだ。

指定されている飛行機ともらったチケットが違う。
ユキは急いで旅行会社に電話をかけた。旅行会社はひらあやまりで、滞在を延長していただき、すぐに迎えの者をよこすと言われた。別に予定があったわけでもないので、ハワイ滞在延長は願ってもないことだった。
空港の前に立っていると、リムジンから黒スーツでサングラスをかけた、いかにもSPといったがたいのいい男性達がおりてきた。
「伊東ユキさんですね?」と確認され、私はそれに応じ、車にのった・・・・・そこで、私の意識は途切れた。

目がさめると私は薄暗い見知らぬ部屋にいた。椅子に縛り付けられ、手は後ろにまわされ、手錠がつけられていた。
何がなんだかわからないまま、5分か10分かわからないほど時間が流れた。部屋の扉があき、一人の女性らしきひとが入ってきた。フードをかぶり、狐のお面をつけているので顔はわからない。
「こんにちわ、伊東ユキさん。はじめまして」
私に話しかけてきた。
「一体何をするつもり!!私をここから返して!!」
私は声のかぎり叫んだ。
狐のお面の女はクスリと笑って話し始めた。
「何をするつもりねぇ・・・、じゃあまずこれをみてもらおうかしら」
リモコンらしきものを押すと目の前の壁に映像がうつしだされた。かなり大型のテレビが埋め込まれていた。

そして、信じられない映像が流れ始めた。

伊東 ユキ 20歳
B82 W52 H82

まず学生証が映し出された。
住所も、名前も、顔写真も,多くの情報がのっている。
そして空港に入るところ、飛行機ですやすやねむっているところ、水着に着替えるところ、ホテルでお風呂にはいっているところ、トイレで用をたしているところ、興味本位で机の上においてあった無修正裏ビデオをみているところ、それを見てオナニーをしているところ、三日間のユキの様子があますところなく収録されていた。
「いやっ、やめて!もう止めてよ!!」
ユキは金切り声をあげた。
狐のお面の女が話し始める。
「この度当社で発売された裏DVD『女子大生ユキのハワイ旅行』一本五万円で予約を含めましてお得意様約六百名に購入されました。あなたはその体で三日間で約三千万円稼いだことになるわけです。すばらしい。大変ありがとうございます」
「うそっ・・・・」
それ以上言葉にならなかった。狐のお面の
「本来ならこのことはお伝えせずそのままおかえりになっていただくのですが、私あなたの顔が非常に気に入りまして」
ユキは話がわからずただぼうぜんとしていた。
「五年前の十億円事件って覚えてらして?」
大々的に取り上げられていたから記憶には残っている。たしか銀行員数名が自分の銀行の金庫から十億円を抜き取り逃走したという事件のはずだ。銀行員は指名手配されたが未だ捕まっていない。
「私、その犯人でして。お金を盗んでも、使えない、出歩けないで困っていたのですが、組織に拾われて、山分けを条件にマネーロンダリングと整形もしてもらってある程度普通に暮らせるようになりましたの」
「それが私になんだっていうのよ!」
ユキはすでに泣き崩れそうになっている。
「でもね、私は普通の生活に戻りたいの、ある程度じゃなくてね。私の言いたいことわかるかしら」
ユキには全くわからない。
狐のお面の女はその表情を読み取り、ゆっくりとお面をはずし、フードを脱いだ。
驚きを隠せなかった。目の前の女はゆっくりと言葉を言い放った。
「私は、あなたになる」
目の前の女は、自分と同じ顔をしていた。
「都合のいいことにあなたは両親を共に亡くしていて、一人っ子。入れ代わったことには誰も気付かない。しかも可愛いってのがいいわね。あなたの友達にはハワイで事故に遭って、記憶が混乱してるっていうわ。組織の後ろ盾があれば、そのくらいの診断書は簡単に捏造できる。」
あまりの発言に何をどうすればよいのか全くわからない。
「そんなこと・・・・・・できないっ、許されるはずがないっ!」
ユキはただただ呟いた。
女はユキの近くに寄り耳元で囁いた。
「そうね、確かに許されないかもしれない。でも、できるのよ」
そして女は室内をカツカツと音を立てて歩き回る。
「そうそう、同じ顔が二人もいたらまずいでしょ。だから、あなたの処分だけど、組織に任せることにしたわ。顔がいいから商品価値が多様にあるのよね。今あなたオークションにかけられてるの。値段によって接待用の性奴隷か金持ちのペットか、それとも裏AV女優かしら?まぁ、いずれにせよ、がんばってね〜」
そういうと、ユキの顔をした女は手を降りながら出ていった。
コメント:万が一続きが読みたいという要望がありましたら続きを書くかもしれません


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