「裸通日」


―― ピピピピ ―― 「・・・・・・んんっ・・・」 目覚ましが鳴っている。 私は目覚ましを止めるとテレビをつけた。 「おはようございます!スーパーモーニングです・・・」 ちょうど7時・・・・・・ケーブルテレビが朝のニュースを流していた。 「今日は5月6日月曜日です!葉塚市の皆さん、毎月第1月曜日は裸通日(らつうび)です!うっかり服を着たまま 出かけないように、注意しましょうね♪」 ・・・・・・ああ、そうか・・・・・・ うっかりしてた、危ない危ない! 毎月第1月曜日は裸通日。文字通り裸で通勤、通学する日だ。 全裸って訳でもなくて、靴をはくから靴下やストッキング(パンストは駄目)はOK。ストッキングならガーターベルトもOK。 あとは小物で帽子とか手袋とかアクセサリーとか・・・・・・ 最近では裸通日専用の物も出回るようになってきた。私もこの日はストッキングとガーターベルトを着用する。 「よしっ!じゃあ行くか!」 ・・・・・・・・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・(ジロジロ)」 「・・・・・・・・・・・・(ジロジロ)」 ・・・・・・もうっ・・・・・・ 今日は何処を見ても裸、裸、裸!男も女も子供もみんな裸だ。裸通日なんだから、当然である。 当然といえば、女が裸で歩いているんだから、男達がジロジロと見てくるのも当然ではある。 ・・・・・・でも・・・・・・ だからといって恥ずかしくないわけも無い。 それでもどうせ見られるならと、可愛いストッキングとガーターベルトをつけてくる辺り・・・・・・・・・女の子って微妙だなぁ・・・ ・・・・・・それに・・・・・・ なにも見られているのは女の子だけじゃなくて、あっちのバス停では女子高生の集団がチロチロとおち○ちんを盗み見ては キャアキャアと騒いでいる。 と、バスがやってきた。 ・・・・・・あっ!・・・・・・ タラップを上る私の後ろに、いかにも助平そうなハゲのおっさんがついてきた。 「・・・・・・・・・・・・(ジィ〜ッ)」 ・・・・・・ああっ・・・そんなにジーっと見ないでよぉ・・・・・・ お尻に・・・・・・・・・もっと言えば付け根の方、おま○こに絡みつくような視線を感じる。 私が足を上げる度にチラチラと見えてしまっているに違いない。 ―― ジュン ―― 「・・・んっ・・・・・・・・・」 視線を感じて、私のアソコは濡れてしまった。 「・・・・・・・・・おっ?・・・」 しかも気付かれてしまったみたい・・・ 「・・・・・・あぁん・・・・・・(//><//)」 私は急いで席につく。 ―― すいませ〜〜んんっ!!乗ります〜〜っ!! ―― と、叫びながら駆けて来る人がいた。 バスに乗っていた人たちの視線が何気なくそちらに向いて、一様に固まった。 ・・・・・・うわっ!?・・・・・・ 「ふぅ・・・はぁ、はぁ・・・・・・ま、間に合った・・・はぁ、はぁ・・・・・・」 その人は、多分OLかなんかなんだろうけど・・・・・・その、なんと言うか・・・ 「間に合ったは良いけどお客さん・・・・・・・・・今日は裸通日ですよ?」 「えっ?・・・・・・ああっ!?きゃああぁっっ!!」 運転手さんに指摘されて、ようやく気がついたみたいだ。そう、その女性はスーツ姿だったのだ。 ・・・・・・あちゃあ・・・・・・ これは滅茶苦茶恥ずかしい。よりにもよって裸通日に服を着て出勤だなんて・・・・・・ 「どうするね?帰って脱いでくるかね?」 「あっ!えっと・・・・・・・でも、ああぁ・・・・・・・・・い、いえ・・・このまま行きます・・・(//><//)」 きっと出直してくれば完全に遅刻なのだろう。だからと言ってこんな人前で服を脱ぐなんて、恥ずかしすぎて出来るわけが無い。 ・・・・・・可哀想に・・・・・・ この人は、これから会社まで好奇の視線に晒され続けるんだ・・・ 案の定その人は、これ以上は無いって言うほど顔を赤く染めていた。 ・・・・・・私は気がついて良かった・・・・・・ その人には可哀想だけど、私はきちんと裸で通勤してきて本当に良かった。裸を見られる恥ずかしさなんて、アレに比べたら 何てこと無いもの・・・ ・・・・・・・・・・・・ やがてその女性は、逃げるようにバスを降りていった。


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