第四話「羞恥騎士達の逆襲」


「炎の…」  私は心の中に浮かんだ言葉を紡ぎ出した。その瞬間、私の体から炎が巻き上がり拘束してい た蔦を焼き切ってしまった。水ちゃんと空ちゃんが驚いた顔で見つめる中で、私はゆらりと立 ち上がる。その時の私はトランス状態になっていて、なにが起こったのかわからなかった。た だ、心の命じるままに、次の言葉も口にしていた。 「槍…」  すると、私の体を包んでいた炎が一本の槍のようになり水ちゃんと空ちゃんを縛っている蔦 も焼いてしまう。2人が開放された所で、私は、はっと我に返った。 「なんなの、いったい?」  水ちゃんが当然の疑問を口にする。私も自分自身でやったことが信じられなかった。いった い、今のは・・・。 「そういえば、思い出しましたわ。クリスさんに教えてもらったことがもう一つありました」  空ちゃんがいつものお気楽な口調で語り出した。 「この世界には魔法の力というものが存在しているそうです。そして、その魔法というのは誰 の心にも存在しているものらしいです。当然、わたくしたち一人一人にも。もし、魔物に襲わ れた時はその魔法を武器として戦えとおっしゃっておられましたわ」  空ちゃんの説明を聞いて、私と水ちゃんはげんなりとしてしまった。 「空! だからどうしてそれを先に言わないのよ」 「すっかり、忘れていましたわ」 「はぁ、聞いただけ無駄だったわ」  水ちゃんはがっくりと肩を落とす。 「それにしても望さん。説明も無しに、いきなり魔法を使われるなんてすごいですわね」 「そうよ、おかげで助かったわ。やるじゃない、望。わたし、見直したわ」 「ううん。私はただ夢中で・・・」  私は照れてしまう。こういう風に褒められたことってあんまりなかったから。私たち3人は 和やかな雰囲気になってしまっていたが、それはまだ早かった。そう、敵はまだ倒れていない んだから。 「よくも、エリザベスを傷つけたな! もう、許さないんだから!!」  アソコットの言葉に私たちは振り向く。見ると、怪植物の花の部分に光が集まっていた。ど うやら、私たちがお喋りしている間に溜めていたらしい。いけない、あんなの受けたらひとた まりもない。 「お姉ちゃん達が悪いんだからね。いけ、ソーラ・ビーム!」  集まった光が一本の柱となってこちらに撃ち出された。だめ、もうよけられない。 「空気の壁!」  直撃を覚悟した私の前に、レンズのように湾曲した空気の盾のようなものが現れた。光はそ の盾に弾かれ、四散する。 「初めてでしたが、上手くいったようですわね」 「えっ、じゃあ今の空ちゃんが」 「ええ、わたくしの魔法ですわ。コツを掴めば、簡単ですわね」  空ちゃんは何事もなかったかのように、にっこりと微笑む。初めての魔法をとっさの判断で 使えるなんて。空ちゃん、普段はぼーっとしてるけど、大切な所ではしっかりしているんだ。 「そ、そんなぁ。エリザベスの攻撃が…」  必殺の一撃を防がれて、アソコットと怪植物は明らかにひるんでいた。 「さてと、今度はわたしの番ね」  水ちゃんが怪植物と向き直る。 「水ちゃん?」 「わたしも良いとこ見せないとね。まかせて。望や空に出来たんだから、わたしにもできるは ず。見ててよ、わたしの魔法を」  水ちゃんは目を閉じ、意識を集中した。 「見えたわ。いくわよ」  水ちゃんは大きく体を反らせながら、心の中の言葉を紡ぎ出した。 「これで決めるわ、水の流!」  水ちゃんの両手から湧き出した水流が怪植物に直撃した。怪植物は空の彼方へ弾き飛ばされ、 星となって消えてしまった。 「あっと、逃がさないわよ!」  怪植物が飛ばされるのを見て、慌ててこの場から去ろうとしていたアソコットの前を水ちゃ んが塞いだ。アソコットはすぐに方向を変えたけど・・・。 「空、そっちにいったわ。つかまえて!」 「わかりましたわ。束縛の風!」  空ちゃんの魔法の風が、アソコットの両手足に絡みついてその自由を奪ってしまう。すごい、 空ちゃんはもう魔法を自分のものにしている。アソコットは抜け出そうともがくけど、全く外 れない。私たちはアソコットの周りに集まった。さっきとは全く反対の光景だ。 「さてと、どうしてくれようかしら?」  水ちゃんが恐い顔をしてアソコットを見下ろしていた。 「そんな、相手はまだ子供だし、あんまりひどいことしたらかわいそうだよ」 「そうはいかないわ。望もひどいことされたでしょう?」  確かにこの子には全部見られちゃったし、あそこをさんざん弄られちゃたりもしけど。でも、 子供の遊びって感じで、私にはそんなに悪意があったようには思えないんだ。 「わたしたちをあんなにして、ただで済むとは思わないことね」  私の気持ちをよそに、水ちゃんの拷問タイムは続く。アソコットは震えて、声も出せない。 「それなら、こういうのはどうでしょう? 今度は逆にわたくしたちがこの子を嬲りものにし てしまうというのは?」  相変わらず、涼しい顔でとんでもないことを言う空ちゃん。でも、水ちゃんの口から出たの は、意外なことに同意の言葉だった。 「面白そうね。わたしも男の子のものには興味あるし、今度はこの子に全てを見せてもらいま しょうか?」 「そ、そんなことやめようよ。ねえ、水ちゃん?」  私は慌てて止めようとするけど。 「いいじゃない。それに、ここってそういうのがありな世界なんでしょ」  そう言いながら水ちゃんはアソコットの服をどんどん脱がしてしまっていた。アソコットは 大声を出して騒ぐけど、手足が動かない状態ではどうしょうもないみたい。そうするうち、水 ちゃんの手が最後の服に掛かった。 「いよいよ最後の一枚ね。いくわよ、空」 「ええ、よろしいですわ」  私が固唾を飲んで見つめる中で、それは剥がされていった。 「ふーん、こんななのね」 「なるほど、図鑑で見た通りですわね」 「でも、思ってたより小さいわね」 「まだ子供ですし、仕方ありませんわ」 「望、そんな所にいないでこっちに来て一緒に見れば? 結構面白いわよ」 「う、ううん。私は別に…」  そんなことを言いつつも、私の目は2人の間から見えるそれに釘付けだった。子供のものと はいっても、私にとっては生まれて初めて見る男の人のもの・・・。水ちゃんの言う通り、そ れは小さくとてもかわいいものだった。あれがいずれは大きくなって私の中に入るんだ・・・。 うっ、いけない。生々しい想像をしてしまった。私は慌ててその妄想を打ち払う。 「わあ、柔らかい。なんか、ぷにぷにしてて気持ち良いわね」 「ここ、こりこりします。なるほど、ここには本当に玉のようなものが入ってらっしゃるので すね」 「あっ、なんか硬くなってきたわ」 「それに全体的に大きくなってきています。これが勃起というものなのでは?」 「ほんとだ、上を向いてきた。ふーん、触られて感じちゃったとか?」  水ちゃんの意地悪な質問にアソコットは顔を真っ赤にして背ける。なんか、かわいい。 「でも、まだ完全ではないみたいですわね」 「だったら、わたしが完全にしてあげるわよ」  そういうと水ちゃんは自分の胸をかき寄せ、その間にアソコットのそれを挟み込んだ。 「なるほど。パイズリとは、胸の豊かな水さんならではですわね」  空ちゃんって、すごい言葉も知っているんだなぁ。 「まあね。一回やってみたかったのよね」  水ちゃんは挟んだそれを両方の胸でしごきだす。たしかに今の私には到底できそうもない。 でも、いつかは私だって。 「だんだん硬くなってくるのが胸に伝わってくるわ。なんか不思議な感触・・・」 「大きくなってきているということは、アソコットさんの方も、胸の感触が気持ち良いみたい ですわね」 「どう、そろそろいいんじゃない?」 「そう見えますが。ただ、本によれば勃起状態の時は周囲を覆っていた包皮は剥けてしまうら しいですけど、これはまだ被ったままですわ」 「最初だからまだ剥けきっていないのよ。そうね、わたしが剥いてあげるわ。ちょっと痛いか もしれないけど我慢しなさいよ」  そう言うと水ちゃんは、嫌がるアソコットを気にもとめずにそこの皮を剥いてしまった。 「わあ、きれいなピンク。男の人のってもっとグロテスクかと思ってたけど、そんなことない のね」 「まだ子供ですし。それに、こうして剥いたのも初めてでしょうから」  水ちゃんが言った通り、皮の下は薄いピンク色ですごく綺麗だった。思わず見惚れちゃう。 さっきアソコットが私のを見てピンクで綺麗だとか言っていたけど、あの時は恥ずかしいだけ だったけど、でも今はその気持ち、ちょっとわかるような気がする。 「い、いたっ!」  アソコットが大声をあげた。水ちゃんがピンクのそれをつついたのに反応したんだ。 「だめですわ、水さん。そこは敏感なのですからもっと大切に扱わないと」 「それもそうね、だったらこんなのはどう?」  そう言うと水ちゃん、いきなりそれを口に咥えてしまった。水ちゃんはそれをアイスキャン ディーみたいにしゃぶっている。あれって確か・・・。 「水さん、フェラチオですか?」  そう、そのフェラっていうの。でも、そんな男の人のものを咥えるなんて・・・。そう思い つつも私の心は興奮で高鳴ってしまっていた。 「ほうよ。ほう、へっほうふあいへひょ?(そうよ。どう、結構上手いでしょ?)」 「ええ、なかなかお上手だと思いますわ。それで、どんな感じですか?」 「あふふへ、ははいんはへほはんはふにふにひへへ、ひはへはねははふほほもひろひわ(熱く て、硬いんだけどなんかクニクニしてて、舌で舐めまわすと面白いわ)」 「バ、バカ。口に入れたままで喋るな! 振動が、伝わって・・・」 「ふーん。はっはらほうふるほほっほはんひる?(ふーん、だったらこうするともっと感じる ?)」 「だ、だからもう、やめてくれ」 「あんまり意地悪したら悪いですわ」  そう言いつつ空ちゃんもこの状況を楽しんでいるみたい。私も・・・、人のこと言えないけ ど。でも、空ちゃんには水ちゃんの言っていることがわかるんだ。私はもちろん全然だけど。  アソコットは顔を真っ赤にして悶えていた。もう、限界かも。そう思ったとき、水ちゃんの 表情が変わった。 「・・・!」 「大丈夫ですか、水さん?」 「げほげほ、急に出すから思わず飲んじゃったわ」  水ちゃんの口元からは白い粘液が糸を引いて流れ落ちている。あれって男の人の精液なんだ。 「まあ、元々体内に注入するものですし、毒にはならないと思いますが」 「でも、あんまり良いものでもないわね」 「どんな感じでしたか?」 「うーん。なんか苦くって、とりあえずおいしいものではないわ」 「水ちゃん」  私はこのときになって、ようやく2人の元に行った。 「なんだ、望ずっと見ていただけだったの?」 「う、うん」  私はなぜか赤くなってしまう。でも、そんなことより。 「ねえ、この子はどうするの?」  アソコットは気を失って眠ってしまっている。 「そうですね。今後のこともありますし、今のうちにとどめを刺してしまった方が良いのでは ないでしょうか?」 「えっ、そんな! まだ子供だし、いくらなんでも殺しちゃうなんて」 「もちろん、冗談ですわ」  はあ。でも、空ちゃんが言うと冗談に聞こえないんだよね。 「それはともかく、このままにもしておけませんわね」 「まあ、今回のことで懲りたでしょうし、そこら辺の木の陰にでも寝かしておけばいいんじゃ ない? そのうち目も覚めるでしょうし」  そう言って水ちゃんは少し離れた所に生えている木を見る。そこにはいつのまに戻って来た のかエリザベスがいた。でも、水ちゃんが睨むとすごすごと隠れてしまう。 「お友達も帰って来られたようですし、心配はなさそうですわね」  水ちゃんは木陰にアソコットを抱いていき、ちゃんと服を着せて木の根を枕にして芝の上に 寝かせてあげた。あんなこと言ってたけど、本当は結構面倒見が良いんだ。姉みたいに優しく 寝かしつけてる水ちゃんに、私は好感を持った。水ちゃんはちょっと照れながら、私たちの所 に戻ってくる。 「それでは、出かけましょうか? 水さん」 「その前に、この格好をなんとかしないと。まさか裸のままじゃ旅はできないわよ」  そういえば、私たち裸のままだったんだ。そして、着てた物はバラバラにされてしまった。 「それなら心配はないみたいですわ」  空ちゃんが指差す先には私たちの水着のような鎧がちゃんと元の形で置いてあった。 「なによ。これ、どういうこと?」 「おそらくこれがクリスさんの言っていた鎧の隠された能力ですわ。何度破壊されても元に戻 るという」 「す、すごい」 「これなら、またボロボロにされるようなことがあっても安心ですわね」 「ていうか、もうボロボロにされて欲しくないわね。それに、どうせなら絶対に破れない能力 とかの方が良かったと思わない?」 「うん、私もそう思う」  私は苦笑しながら答えた。水ちゃんと空ちゃんもつられて笑い出す。初めての勝利は私たち に強い絆と自信を与えてくれた。この2人と一緒ならこれからどんな困難があっても越えてい ける。私には、そう思えた。


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