第1話「熱湯PR」


作山は取ってきた仕事の内容を衣愛代に話し始めた。 衣愛代はその内容に少し動揺したが作山はそんな動揺をうまく和らげながら 説明していった。 「衣愛代ちゃん。これ見てよ。過去これにゲストで出た子だよ。」 そこには今もビッグアイドルと呼ばれる少女たちの名が連ねてあったのだ。 そう今回の仕事は日曜の昼にやる番組の”熱湯PR”への出演仕事だった。 よくアイドルの新人や新曲をPRしたい女の子が熱湯に入ってPR時間を 稼ぐものだった。 ただ、問題なのは熱湯に入る前に用意された着替えルームで水着に 生着替えをすると言う事だった。 それも時間制限がくると更衣室の幕はおり、着替え終わらなかった子は タオルで隠してそのまま入ると言う恥ずかしいものだった。 しかし今は寄り好みする立場でもないので承諾して出ることとなった。 そして日曜日の昼、生放送の中”熱湯PR”のコーナーが始まったのだった。 司会者が呼ぶ中、衣愛代は現われ恒例の簡単なトークが始まった。 「あれ?もしかして君ってあの衣愛代ちゃん?いやあ、年月ってもんは少女を  爆乳にしちゃうんですね。」等あいかわらず下品なトークが連発していた。 時間もそろそろになり司会者がルーレットを指差し話してきた。 「さあ、そろそろ例のルーレットで着替えを決めましょう。今週からは お父さん、お兄さん必見!タオルなしがあるんですよ。めちゃ枠、小さいけど。」 その枠はかなり狭くとてもあたる様子がないが衣愛代は少し不安を感じた。 「大丈夫だよ。衣愛代ちゃん。たとえ当たっても着替えればいいんだから。  じゃあさくさくっとルーレットボタンを押してってね。」 衣愛代はルーレット台によりスタートボタンを押し数秒待ってストップボタンを 押した。 「さあ、どこに止まるか。俺の所はやめてくれよ。さあどこに行く。」 ルーレットのランプはゆっくりと進み微妙な間隔で進んでいた。 「おお、もしかしてタオルなしか!いけーあと少しー。」 司会者が叫ぶ中、何とルーレットはまさかの例の小枠に止めてしまったのだった。 「ああータオルなし決定ー。衣愛代ちゃん。残念ー。」 「・・・・・」(衣愛代) 衣愛代が愕然とする中「さあ、生放送だから本当に気をつけてやってよ。」 と掛け声と共に私の生着替えは始まった。 時間は60秒。とりあえず下だけはまずいので一番早くスカートを穿いたままで 着替えたのであった。 時間もまずまずの中、次のブラを上着の中に手を入れて外そうとしたが中々外れ なかったのだった。 時間がもうあとわずかになり、このまま上着の中で細々やったら間に合わないので 上着を脱いでブラを外しにかかったのだった。 そしてようやく外れてブラを取った途端、タイミング悪く時間切れも幕がおりたの だった。 とっさにしゃがんだおかげで胸が見える事はなかったが、スタジオは大盛り上がり となった。 それもそのはず、今回は運悪くタオルなしを選んでしまい、まさしく手かくしの 状況になってしまったのである。 私が顔を真っ赤にしてる中、司会者はあっさりと手で隠してる私をつかんで 起こし「はい、スタンバイ。スタンバイ。生なんだから。」と熱湯の前まで連れて きたのだった。 私はしかたなく熱湯風呂のミニ階段を上りスタンバイの状態になった。 ただ、胸がCカップの為、両手で押さえて入るというバランスの悪い状況の中、 スタートの音と共に私はあきらめて思いきり入った。 しかしこの熱湯が予想以上に熱く、私は条件反射で両手を離して出てしまった。 時間としては数秒だが、私の両胸は思いきり露出してしまったのだった。 でも、カメラマンがとっさにアングルを変えてくれたのでTVとしては0.5秒 ぐらいしか映ってないだろう。 だが、あわてて手をかくし出ようとしたので今度は足をつかえていまい私は1回転 してしまったのだった。 そして床にたたきつけられた瞬間、完全に両手は離れ、その上仰向けだった為 スタジオ内では完全に私のCカップの胸はあらわになってしまった。 もちろんすぐに手で隠しはしたが、10秒近くは完全に見えていたであろう。 当然、スタジオは騒然となったが司会者がうまく取り繕ってくれたおかげで その場はなんとか切りぬけられ、すぐにPRという事で2度熱湯に入らずにすむ 事になったのであった。 こうして私の出番はこれで無事?終わったのだった。 TVの方は後日チェックした所、例の転んで露出した所はカットされて出ておらず 胸が見えるシーンは出る時の0.5秒のシーンだけだった。 PRは結局ろくに出来なかったのだが、なぜかこの後から2本のレギュラー出演が 決まり衣愛代としては結果的には良かったものとなった。 しかし、敏腕マネージャー作山にとってはまだこんな事は序盤ですらなかったので あった。


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