第5話「イジメを受けている女子」


「あはははっ、今週はどんな落書きしよーかな♪」 「公衆便所女風に卑猥に描いちゃおうよぉ〜」 「それ名案じゃないっ!ほら、じっとしてるのよ。真希ちゃん〜」 「ぅぅぅ..」  女子トイレで1人の女子が全裸に剥かれて、同じクラスの女子たちに卑 猥なイジメを受けていた。  油性マジックを持った女子たちが何と次々と裸にされてる女子の身体に 落書きを始めたのであった。  卑猥なイジメを受けているのは、江淵 真希(えぶち まき)、高校1 年生。  入学した当時はアイドルなみの容姿であったせいか、クラスの男子たち の人気者となっていた。  だが、これが女子たちの反感を買って、イジメを受けるようになったのだ。  スタイルもよく、男性が喜ぶEカップの巨乳だったので、余計に女子た ちの妬みを集めてしまった。  今ではスケッチ会と称して、週初めの放課後に真希を女子トイレに呼ん で裸に剥いて油性マジックで真希の身体に落書きを繰り返していた。  これは真希が恥ずかしくて男子に近づけないようにするための制裁も含 まれているようであった。 「出来たぁぁ〜♪今日のは一段と卑猥よね〜真希ちゃんったら本当の公衆 便所女みたいよっ」 「さあ、今日も記念撮影しましょーね♪ほら、にっこり笑いなさいよっ!」 「は・はい..」パシャパシャ!「もっと、嬉しく笑えよ」「は・はい」 「いいこと♪毎回のことだけど、少しでも男子と仲良く話したら、その場 で剥いてやるからね〜。まだ男子には内緒にしてあげてんだから感謝しな さいよ」「は・はい、ありがとうございます」 「けど、これじゃずっと彼氏作れないわね。ぷぷっ、かわいそぉー」 「まあ、いいんじゃない♪真希は男子たちの憧れの女子なんだからっ♪ あははは〜」「・・・・・・」  女子たちに好き放題されて、悔しさいっぱいで家に帰った真希が号泣する。  登校しなければ写真をばら撒くと脅され、イジメを受け続けなければな らない。  いっそ、何もかも捨てて楽になりたい..この頃は真剣にそう思っていた。 「これからずっといじめられるなら..こんなことされるぐらいなら..」  すでに引き出しの中には用途不明のロープが買ってあり、もう限界に近 づいているのかも知れない。  そんな彼女に”午後6時16分26秒”、”件名:全裸登校メール”と書か れたメールが自宅のPCに飛んできたのであった。 「えっ..全裸登校メールって?これってあいつらのメール!?どこまで 私をいじめれば気がすむのよっ!わぁぁぁぁーーんん」  泣きながらキーボードを思い切り叩き始めると何と間違えてエンターキ ーをして開いてしまったのだ。 「あっ!しまったっ..」  もしこれが危険なウィルスメールなら大変なことになると思ったが、中 身はただ1行だけのテキストで書かれたメールであった。 ---------------------------------------------------------------- 差出人:   (空白) 宛先:    江淵真希さん 送信日時: 午後6時16分26秒 件名:    全裸登校メール 内容:    「江淵真希さん、あなたは明日から裸で登校してください」 ---------------------------------------------------------------- 「馬鹿にしないでよっ!何で私が全裸で登校しなくちゃいけないのよ!  裸の写真で脅され続けてるのよっ!そんな私が裸で外出るわけないでしょ!」  メールに対して真希が思い切り怒りをぶつけてくる。  確かにイジメを素直に受けているのは恥ずかしい姿を晒したくないから であって、そんな真希に裸で登校しろと言ってきたからだ。 「これって..最近噂になってる都市伝説よね..どうして、私ばかり辱 めようとするの?こういうメールはあいつらにこそ送るべきなのよっ!」  くだらないメールが来たせいで、余計に悔しくて泣いてしまった真希。  もう..この苦しさから解放されたい..早く楽になりたい.. (明日..明日、学校から帰ってきたら..決意しよう..)  全裸登校メールのせいで、真希に絶望の決意をさせてしまったようだ。  最後の睡眠を取るため、布団に潜った真希が明日の決意のための計画を 立て始めた。 「お父さん..お母さん..ごめんなさい..もうどうすることも出来な いの..ごめんなさい..ごめんなさい..ぅぅ」  そのまま泣きながら、眠りについた真希が朝方に何かが落ちた音で目が 覚めたのであった。  ゴトンッ..コロコロ.. 「!はっ、何なのっ!今の音は?」  カーテンを急いで開いて明かりを部屋の中に差し込むと、おかしなもの が転がっていたのだ。 「林檎?どうして私の部屋に林檎が..」 「見かけは綺麗でしょ?でも、それって虫食いなの..」「えっ?」  突然、部屋の隅から人の..少女の声が聞こえてきた。  アンティークドールが身につけるドレスを着ていることから、おそらく 例の謎の少女が部屋に現れたのであった。 「あ・あなた誰なの?何で私の部屋に..」 「虫食いであることをどうやって知らせたらいい?まあ、そのまま捨てる なら気にすることはないけど..貴女はどっちを取るの?」 「な・何を言ってるの..あなた?」  日の光では少女の顔が見えなかったので急いで明かりを付けたのだが、 何と明かりを付けたと同時に少女も林檎も消えてしまったのだ。 「今のは何なの?もしかして寝ぼけていたのかしら..」  変な幻を見たせいで、完全に目を覚ましてしまった真希は通学までの時 間つぶしに自分のPCを立ち上げ始めた。  このPCを触るのも最後だからメールの整理をしはじめた。 「都市伝説の全裸登校メール..」  例のメールを再びダブルクリックしてきた真希。 「江淵真希さん、あなたは明日から裸で登校してください..」  この何気ない言葉に先ほどの幻の少女の言葉を合わせて思い出した。 「虫食いであることをどうやって知らせたらいいって..見せなくちゃわ からないわ..そうよね。このままじゃただ捨てられるだけよね」  学校も..両親もきっと隠してままで捨ててしまう..綺麗な林檎として.. 「そんなのいやぁぁっ!私だけ、この苦しみを隠したままで終われというの?」 (許せない..言葉だけじゃ..隠されちゃう!隠せないようにしなくちゃ) 「全裸登校メール..これだわ!どうせ明日で終わりなんだもん..今さ ら、どんな目にあっても、たった1日我慢すればいいんだから..」  そう感じた真希はこのメールに対して、[全員へ返信]ボタンをクリッ クして返信メールを作成しはじめてきた。  カタカタッ「私が今まで何をされていたかを教えますので確認してくだ さい」  そう返事を書いて、そのまま送信ボタンを押したのだが、これは誰に返 信されるのだろうか?  でも、送信した後に送信エラーで帰ってこないから、誰かが受け取った はず。その誰かに真実を確認してもらえばいいと真希は思った。 「最後ぐらい..大馬鹿なことをやるのもいいかも知れないわ..見せて あげるわ..無様な江淵真希の全裸登校姿を..」  自分の口からそういうと、全ての服を脱いで全身が映る鏡台の前に裸で 立って、醜い落書きを鏡の自分に向かって馬鹿にし始めた。 「こう見ると、本当に公衆便所女よね..何よ、このおま●この上に書か れた1発20円って..あいつらに剃毛されてたから余計に恥晒しじゃない.. おっぱいだって結構自慢だったのに、今じゃ落書きだらけじゃない.. お腹には私の名前が書いてあるし..これで外を歩いたら人生おしまいよ ね〜」  普段だったら、見ただけで涙が止まらなくなる真希だったが、今日は悲 しみが襲ってこない。  不思議なことに嬉しさがこみあがってくる。全てを白日の下に晒すこと が出来る喜びなのかはわからないが、嬉しくてたまらないのだ。 「見ていなさい!いつまでも脅せると思ったら大間違いなんだから」  ソックスだけを穿いて、そのまま落書きをされた全裸のままで玄関へ向 かい、ドアをあっさりと開けてしまった。  ガチャッ..「ああぁぁぁぁっ!!」  外の光景が目に映ると何故か自分の身体が思い切り疼いてきた。  最近は泣いてばっかりだったので、こんな快感を受けるのは久しぶりの ことであった。 「これって..どういうことなのぉぉーー!気持ちいいぃ..何でこんな に感じてしまってるのぉぉーーー」  自分は露出狂ではないのに、快感が次々と襲ってくる。 「はぁはぁ..おかしいわ..こんなはずじゃないのに..」  甘い吐息を吐きながら、フラフラとした足取りでバス停まで向かう真希。  真希が通う高校はバスで20分のとこにあるため、毎日近くのバス停から バスに乗って通学していた。  バス停にはすでに多くの人がバスを待っており、真希の全裸姿を見て騒 ぎ始めたのだ。  その上、不運にも同じ学校の制服を着たガラの悪い男子の集団までバス を待っていたのであった。 「きゃぁぁぁぁーーー!何なの、あの子、全裸でこっちにくるわよぉ〜」 「おいおい..あれって江淵さん家の真希ちゃんじゃないのか..」 「うひょぉ〜見ろよ、身体中に卑猥な落書きを書いてるぜ」 「こりゃ、写メで撮ってばら撒いてやろーぜ」パシャパシャ..  バス停で待っていた人が次々と携帯を取り出して、真希の全裸の落書き を写してくる。  それなのに真希はどこも隠さないで自分からわざと足を開いた姿でバス 停に並んだのであった。  そんな中、例のガラの悪い男子の集団が真希を囲み始め、いきなり胸を 揉み始めてきたのだ。 「お前、3組でいじめられてる真希だろ?これもいじめの1つなのかよ」 「まあ、こんな落書きされた段階でお前、終わってんぜ。パイオツでけー のにもったいねーな」 「へへ。見ろよ。毛も剃られてパイパンにされてんぞ。ま●こ丸出しだな〜」  周りにバスを待ってる人がいるというのに、男子たちが徹底的に真希の 身体を弄り始めてきた。 「真希ちゃーん、俺たちと遊んでくれるよな?」「聞く必要ねーぜ」 「そーそ、見ろよ。こいつのま●こ、マン汁溢れまくってるぜ」 (えっ?うそぉ..何で私、濡れてきてるの..それに抵抗できない..)  心の中では男子たちを拒否する真希だが、実際は口から涎を垂らして快 感に酔いしれていた。  そんな状況の中でバスがやってきて、真希は男子たちと一緒に乗ってし まったのであった。  もちろんバスの中でも真希への陵辱がつづき、わざとバスの昇降口でし ているので、バス停に着くたびにドアが開いて、卑猥な姿を晒し続けるこ とになった。  ただ、さすがに性行為だけは出来ず、それは学校に着いてからじっくり 犯す手はずになってしまった。  20分後、真希が乗ったバスが学校の近くで止まり、男子たちに引きずら れる形で降ろされた。  どうやら足腰が立たないほど責められてしまい、両手足を男子たちに持 たれた形で校門をくぐることになった。 「ほら、公衆便所女、江淵真希のお通りだぁ!道をあけろぉぉー」 「写メ撮りたい奴は近づいて写していいぜ。1発20円のぱっくりおま●こ がマン汁垂らして喜んでるから」 「このEカップのデカ乳も揉み放題だぞ!こんな風に乳首を引っ張ると喘 いでくるぞ」ぎゅぅぅー「あんっ..」  理性のタガが外れた普通の男子たちも真希の身体を遠慮なく弄ってきて ものすごい状況となってきた。  そして、その後はガラの悪い男子の集団は真希を校舎裏の方まで運んで いった。  だが、数分後には校舎裏には失神している真希しかいなかった。  そんな真希に例の謎の少女が現れて、林檎をかじりながら話しかけてきた。  カリカリッ..カリカリッ.. 「まだ立てないのか?意識は戻ったはずだが..」 「何で誰もいないの?そ・それにあなたは今朝の幻..」  カリカリッ..カリカリッ..  林檎を相変わらずかじっている謎の少女に真希があることを聞いてきた。 「あ・あの..その林檎..虫食いじゃ..」 「虫はもう居ないようだ..味もなかなか美味しいのだけど..」 「何か気になるとこがあるんですが..」 「甘さが少し足りない..美味しいんだけど」 「・・・そうですか、なら少し置いてくれれば甘くなると思います」  真希は立ち上がり、どこかへ向こうとしていた。 「帰るのか?」「まさか..これから授業よ。皆勤賞かかってるから」 「そうか..」「何で私、今まであんな脅しに怯えてたのか不思議ね」 「・・・・・」「はは..もしかしたら本当に露出狂だったかも♪」 「そうだ、もし良かったら、別の日に会って話したいけどいいですか?今 はこんな格好だしね..」 「いつになるかわからない..それでもいいのなら..」 「いつでもいいわ、だって、私の人生、まだまだ長いんだもん♪」 「そうね..じゃあ、いつか会いましょう」  真希が堂々と全裸のままで教室へ向かって行くのを見届ける謎の少女。  カリカリッ..カリカリッ.. 「甘い..とてもいい甘さだよ。お前達も味わってみなさい」  そう言って、食べかけの林檎を地面に置くと何匹かの蟻が群がってきた。  その蟻を見ながら、またも一瞬に消えた謎の少女。  謎の少女が消えると同時に真希がいる教室から女子たちの悲鳴と男子た ちの歓声が響いてきた。  真希がこの後、どうなったかはわからないが、翌日も真希は全裸で登校 してきたみたいであった。  後日談:ゴミ回収の日。真希が出したと思われるゴミ袋が回収されていく。      この中には1度も使うことのなかった用途不明のロープや、そ      の他の似たような用途不明のものが全てゴミとして入っていた。


第6話へ